稲泉連 『ぼくもいくさに征くのだけれど―竹内浩三の詩と死』 中央公論新社 2004

5年ぶり『大阪アースダイバー』の取材に同行した、渡邊義弘です。

さて、『ぼくもいくさに征くのだけれど―竹内浩三の詩と死』稲泉連著(中央公論新社)2004。

『骨うたう』や『ぼくもいくさに征くのだけれど』で知られる詩人、竹内浩三の詩と、
縁のある人々へのインタビューを中心にしたノンフィクション。

印象的だったのは、インタビューは竹内浩三の生前に関係があった人だけでなく、
死後にその詩から影響を受けた人もインタビューしているところだ。
竹内浩三は23歳で戦死したということもあり、職業詩人ではなかったけれど、
その詩から影響を受けた人へのインタビューは竹内浩三の表現者としての迫力を感じさせられた。

竹内浩三の詩からは、もの分かりの悪い不器用さが感じられる。
著者自身も竹内浩三の詩について・・・
「『ぼくも征くのだけど』と迷い沈みつつ、『どうか人なみにいくさができますよう』と願う彼の言葉が、
とくに竹内浩三という人間の本質を表しているようで、強く胸を打つ。
そこには、胸を張って国のために戦おうとする凛々しさがなく、
世の中が認めた「普通」の価値観に自身を溶け込ませたいと願いながら、
心の奥底では自身の運命に打ち震えていた青年の姿がちらついている」
・・・と書いているように、割り切れないものを抱えながら流されていく自分を立ち止まらせる力があるのだろう。

また、竹内浩三が詩人として発掘されるきっかけとなったのが、松阪市の戦没者手紙集『ふるさとの風や』ということ、
それが松阪市の発行する「広報まつさか」での呼びかけられたという経緯が詳細に紹介されているのが興味深かった。
もともとこの本は松阪市役所に勤務されている方からお貸しいただいたこともあり、
松阪の公共セクターにご縁がある人間としても熱を込めて読んだ一冊でもある。

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2011 9/3
ノンフィクション
まろまろヒット率3

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