森谷公俊 『アレクサンドロス大王―「世界征服者」の虚像と実像』 講談社 2000

まろまろ@携帯電話を洗濯するというドジっ子プレイをしてしまったので、
携帯電話をdocomoのSH-03AからSH-01Bに機種変更しました、てへっ。
携帯カメラも800万画素から1210万画素になったので、ごはん日記の写真も向上すると思います(^_-)

さて、『アレクサンドロス大王―「世界征服者」の虚像と実像』森谷公俊著(講談社)2000。

アレクサンドロス大王(アレキサンダー大王、アレクサンドロス3世)の実像に迫ろうとする歴史書。
20歳でマケドニア王になってから33歳で急死するまでの間に、東地中海からインド西部までの
広大な領域を征服したアレクサンドロス大王は世界史上で最も英雄らしい英雄の一人。
ヘレニズム時代をつくったその影響力は絶大で、同時代からすでに伝説化と神格化が進んでいた。
そんな伝説と神話的エピソードに包まれたアレクサンドロス大王の実像を原典研究を通して解明しようとしている。

特にアレクサンドロス大王の生涯を代表する戦いである、
グラニコスの会戦(第2章)、イッソスの会戦(第3章)、ガウガメラの会戦(第4章)の三つの戦いに
それぞれ1章づつ割り当てて戦いの実像を再現しようとしているところが中心部分になっている。

原典研究から再現した戦いの推移を読んでみると、完全無欠のように評価されることが多いアレクサンドロス大王も、結構失敗をしている。
戦略的なミス(イッソスの戦いでダレイオス3世に後方を遮断される)と、戦術的なミス(すべての戦いで深追いしすぎる)の両方があったこを解明しているのが印象深い。

読み物としても、アレクサンドロスが展開した戦略・戦術の本当の姿を、原典研究の過程を追いながら丁寧に再現されていくのには、
歴史研究の静かなおもしろさと、アレクサンドロス大王の実際の思考・行動の躍動感の両方を感じた。

また、古代からアレクサンドロス大王の成功は「単に幸運だったのか、それとも実力か?」という議論があったことも興味深かった。
ダレイオス3世の再評価や東方政策の実像も再現して、「東西融合はフィクション」だとしているなど、
アレクサンドロス大王の実際の戦いと生身の姿をかいま見ることができる。

この本の結論部分では伝説的な側面を削り取ったアレクサンドロス大王の実像を「未熟だが成長する若い将軍」として結論づけている。
それでも「大王の魔力」として、人を引き付けていったエピソードをエピローグで紹介しているのも印象深かった。

英雄伝説としてでは無く、歴史上の人物としての生身のアレクサンドロス大王に迫ろうとする一冊。

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2009 12/29
歴史、戦略論
まろまろヒット率3

2 Replies to “森谷公俊 『アレクサンドロス大王―「世界征服者」の虚像と実像』 講談社 2000”

  1. 実は今、塩野七生著のローマ人の物語を読んでいます。
    その中でハンニバルがアレクサンドロスの戦略・戦術を参考にしていたとありました。
    当時は方々でアレクサンドロスの戦略や戦術が語られていたのかもしれませんが、実際のところ現代に残っている史実書として残っているのは、アレクサンドロスの功績つまり結果を礼賛するものばかりと書かれていました。
    対してハンニバルは側近に軍事戦略論を理解できる記録係を置いていたために、実際に施行された詳細な戦略・戦術が後世に残ったとしています。
    ということは、アレクサンドロスの戦略や戦術はほぼフィクションとなりますが、アレクサンドロスにしろハンニバルにしろ、数で優る相手を如何に攻略するかを考えるエキスパートであったことは間違いないと思います。

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