まろまろ@今月は東京にいます(^_-)
さてさて、『孔子伝』白川静著(中央公論新社)2003。
儒教の開祖、孔子(孔丘、Confucius)について定評のある伝記。
中心におくにせよ、否定するにせよ、東アジアの社会と文化にとっては儒教は無視できない思想。
しかし、その思想の始祖である孔子は、ソクラテスと同じように実際には何も書き残していない。
この本は「哲人の事業が、ひとえにその人の言行によってのみ示されるとすれば、伝記こそ、その思想でなければならない」として、
後世の美化や粉飾を差し引いて(『論語』もかなり怪しい部分が多い)孔子の人生に迫ろうとする一冊。
読んでみると、孔子は巫女の非嫡出子であり、シャーマン的な側面の強い人物であったという仮説を打ち立てている。
また、孔子とその弟子たちも後世の美化された思想集団ではなく、反体制的な生々しいカルト教団だった可能性を示唆している。
特に興味を持ったのが、『論語』と『聖書』との共通点を指摘している部分だ。
ナザレのイエス(イエス・キリスト)も孔子も、聖人として美化されやすいけれど、実際はかなり人間くさかった可能性が高い。
そんな彼らの思想を受け継いだ『論語』も『聖書』も「敗北者のための思想」としているのは印象深い。
2008 1/11
歴史、思想、宗教
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