河合隼雄 『箱庭療法入門』 誠信書房 2000

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さて、『箱庭療法入門』河合隼雄編(誠信書房)2002年第31版。

HP活動と箱庭療法が似てるような気がしたので(まろまろコラム)読んでみた、
30年以上(初版1969年)使われ続けている箱庭療法の定番テキスト。
理論篇と事例篇(9例)から構成されている。

箱庭療法を「思考、感情、感覚、観念、記憶が不可解なほどにからみ合っている」
人の治療として「視覚だけでなく触覚のような感覚の要素」をもって、
「通常の治療に必要とされる解釈や転移なしに治療できる方法」として紹介している。
(第1章:技法とその発展過程)
特に子供に有効であるということを述べているが、
思考、感情、感覚、観念、記憶が複雑にからみ合っているのは
認知科学的に言っても子供に限ったことではないし、
現に事例でも32歳の成人男性(精神分裂症)への箱庭療法による治療を紹介している。

120点も収められている事例の箱庭をぱっと見ただけで伝わってくるものがあって、
確かに言葉では表現できない心情が表現されているというのが視覚的にも納得できる。
事例篇では治療が進んでいくにつれ箱庭の感じが徐々に変わっていくのが垣間見れて、
事例の最後で治療が完了した報告を読むのと同時に
最後の箱庭を見るとうるうる来そうになってしまったこともあった。

また、箱庭を作っている時には「それを見ている治療者の存在が大切」
(第3章:箱庭表現の諸相)という点や、
最初は雑然としていたものが回を追うごとにつれてだんだんとテーマ性や
その人なりの個性がはっきりしてくるところは(事例篇)、
HP(WEBサイト)にもすごく似ているように思えた。

以下は、その他でチェックした箇所(一部要約&重要と思われるもの順)・・・

☆治療的な面から見れば箱庭療法は遊戯療法と絵画療法の中間にある
→被治療者自身が創造の過程に自ら参加し、
結果の意味を直感的にしろ潜在的にしろ把握する度合いは他の投影法の場合より大
<第2章 理論的背景>

☆箱庭の空間配置について・・・
・左側はその人の内的世界・無意識世界、右側は外的世界・意識世界を示すことが多い
・すべてが一定方向に向いているときには、左向きは退行(regression)を、
 右向きは進行(progression)を示すことが多い
(ただしこれらは例外もあるので絶対ではない)
<第3章 箱庭表現の諸相>

☆箱庭の主題になりやすいテーマ・・・
(意識を無意識を含めた)全体性の象徴、全体性の中心としての自己(Self)、
二つの世界の統合、二つの世界の領域の反転、死と再生、領域の拡大、
渡河や出立(人格発展に立ち向かう姿勢を示す)、
行列や川の流れ・動物の行進(エネルギーの流れを表す)、
給油(エネルギーの供給を表すのでガソリンスタンドの模型は大切)、
勢力が均衡している戦闘場面(単なる攻撃性ではなく新しい発展を示す)、
蛇は劇的な変容を象徴する場合が多い、
(ただしこれらは例外もあるので絶対ではない)
<第3章 箱庭表現の諸相>

○まず大切なことは、作品をできるだけシリーズとして見ること
→箱庭の作品を見たとき、それに対して全体として受ける感じ、
印象のようなものを大切にしなければならない
<第3章 箱庭表現の諸相>

○(箱庭療法の有効性について)人間に自由を与えてその内的なものを深く掘り下げた
表現をさせる場合、何らかの制限を必要とする→自由と同時に適切な制限が必要
<第2章 理論的背景>

○箱庭は治療者と被治療者との人間関係を母胎として生み出された一つの表現
=心像(image)=意識と無意識・内界と外界の交錯するところに生じたものを、
視覚的な像として捉えたもの
→心像は具象性、直接性、集約性といった特徴をもっている
<第2章 理論的背景>

○(箱庭療法は)患者が言語を手段とすることなく
保護された場面における象徴体験によって治療が進んでいく(略)
象徴の意味する点を何ら解釈して患者に伝えなくても治療がなされることもある
<第2章 理論的背景>

○統合性=分離、粗雑、貧困、機械的、固定的な要素の少ないこと

この本をamazonで見ちゃう

2003 11/4
心理学、臨床心理、箱庭療法
まろまろヒット率4

“河合隼雄 『箱庭療法入門』 誠信書房 2000” への0件の返信

  1. ふとして”箱庭療法”のワード検索をしたら、偶然にもたどり着きました。エイシンです。ご無沙汰していますが、、、足跡がてらコメントします。このページ見て、大学のとき読めばKJ法とかと絡めて、いろいろ整理したのに!っと思ったしだいです。早速、本、ゲットして見ます。それでは、機会にまたお話させてください!

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