橋爪大三郎 『世界がわかる宗教社会学入門』 筑摩書房 2001

何気に今日が誕生日の、らぶナベ@おちゃめな分裂症:ふたご座O型だす。

さて、『世界がわかる宗教社会学入門』橋爪大三郎著(筑摩書房)2001年初版。
前に読んだ『神道の逆襲』がけっこう面白かったので、
宗教関係の本をもう少し読んでみたいと思っていたところ図書館で発見した一冊。
内容は著者が担当する講義「宗教社会学」の内容を出版化させたもので、
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教を網羅的に紹介している。
この本の中で一番面白かったのは大乗仏教で重要な阿弥陀仏は、
実はゾロアスター教の神・アフラマズダなのだという説を紹介していた点だ。
(講義7:大乗仏教とはなにか)
前から大乗仏教、特に浄土宗、浄土真宗は仏教らしくなくて
一神教的だなーっと感じていたので、この説は心情的にかなり納得してしまった。

ただ、網羅的すぎて内容がちょっと簡単すぎるというところや
どうせなら神道や道教も入れてほしかったという点などがちょっと残念だった。
宗教知識の確認や見落としチェックには役立つと思う。
(イスラム法の法源はぜんぶ押さえてなかったのでありがたかった)

以下はチェックした箇所、一部要約含む・・・

○宗教の定義=「ある自明でないことがらを前提としてふるまうこと」
<講義1:宗教社会学とはなにか>

○日本人は儒教を”思想”だと受け取ったが、
 実際は社会を実際に運営するための”マニュアル”
 →この点を理解しない日本人は、儒教を誤解してる
<講義1:宗教社会学とはなにか>

○(ユダヤ教は制服されたエジプトの死者信仰に対抗するため)
 霊魂も絶対に認めない→古代宗教としてとても珍しい点
<講義2:ユダヤ教とはなにか>

○一般に権力に反対する知識人などはたいていすぐ殺されて社会的影響力を持ちにくい
 →一方ユダヤ教では神の声を聞くことのできる預言者を簡単に殺せない
 →権力と知識が分離するダイナミズムは一神教の特徴
<講義2:ユダヤ教とはなにか>

○(神殿での儀式を少なくして日常の行動様式を規定することによって)
 場所、時間に無関係で世界中に散らばっても信仰を続けることが可能
 →これが世界最強の宗教団体を形成できた理由
<講義2:ユダヤ教とはなにか>

○食物規制を厳格に守ると、異教徒を食事に招待できない
 →友人になれないし、ましてや結婚ができなくなる
 →信仰の共同体が次の世代にも再生産される
 (食物規制のねらい)
<column:食べてはいけない>

○預言者の社会的機能=”built in stabilizer”(元はサイバネティックス用語)
<講義3:キリスト教とはなにか>

☆イスラム法の法源=
 ・「クルアーン」(神の啓示=人間との契約)
 ・「スンナ」(ムハンマドの行為・言葉)
 ・「イジュマー」(法学者=ムジュタヒド全員の一致)
 ・「キヤース」(法学者の論理推論→ただし他の判例を拘束せず)
<講義5:イスラム教とはなにか>

○輪廻を信じなければ仏教は理解できないが、日本人は輪廻を信じていない
 →輪廻を信じるなら先祖崇拝はありえない(先祖を祀るのは道教のやり方)
<講義6:初期仏教とはなにか>

☆大乗仏教の阿弥陀仏はゾロアスター教(拝火教)の神「アフラマズダ」が
 仏教化したものという説がある→浄土宗が一神教に近いことの理由の一つか?
<講義7:大乗仏教とはなにか>

○「天」=統一国家の統一権力を可能にする仮設構成体(フィクション)
 →天の思想は先祖崇拝をたくみに転換した儒教的イデオロギー
<講義9:儒教とはなにか>

☆「先祖崇拝」=確定した過去の人間関係によって不安定な現在の人間関係を整序する試み
<講義9:儒教とはなにか>

○朱子学ではあくまで分離していた義/孝を忠=孝と一致させたのが日本朱子学の特徴
<講義10:尊皇攘夷とはなにか>

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2003 5/26
宗教社会学
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