これがネットを使い始めた大学入学以来1万5千通目の送信メールになる、
らぶナベ@やっぱり読み書きが主流の仕事に向いているんだと自己分析(^^)
さて、『最高裁物語』山本祐司著(講談社+α文庫)1997年初版上下巻。
軽そうなタイトルからは想像できないほどの大著、でもかなり面白い(^^)
法廷の内外を問わず最高裁を中心に繰り広げられた人間模様、事件、
そうしたものの結果としての判決を最高裁誕生期の終戦前後から
現在までにわたって書かれている本格的なドキュメンタリー。
暗躍めいた裁判官たちの対立、歴代長官や重要人物のキャラクター、
官僚機構としての裁判所の裏事情などについて
とにかく「よく調べたなぁ」と関心するほど詳細に書かれている。
(戦前の事件でもかなり詳しく書かれているし付録の年表もやたらと充実)
分厚いし上下巻もあるので読み始めるまで少し躊躇があったが
実際に読み始めると面白くてとまらなかった。
戦後の有名な事件や社会問題の”顛末書”として最高裁判決を見ていくと
日本の社会情勢の変転が垣間見れてかなり楽しい。
ちょっと風変わりな現代史という表現が一番良いだろうか。
ただ難点を言えばこの本はすべての事柄について保守対リベラルという視点で
追っているのだがこれでは本質がぼやけてしまうこともあるだろうと感じた。
確かに終戦直後から安保くらいまではこの視点抜きにしては語れないけど
あまり二元論にこだわると原理原則論にがんじがらめになってしまうだろう。
現に70年代後半以降の記述は論理の統一性や説得力の迫力が
いまいちパワーダウンしている。
著者が長年ジャーナリストだったことを考えると
この年代の人が持つ匂いなのかなとも思うが
すごく良い本なだけに恣意性があまりに目立つ箇所にはちょっと残念。
でも総じて良い本だと言える一冊だろう。
2000 12/20
法学一般、歴史、ドキュメンタリー
まろまろヒット率4