弥永真生 『リーガルマインド手形法・小切手法』 有斐閣 1999(補訂)

気がつけば自分のオリンピックが閉会されていた、らぶナベっす。

さて、『リーガルマインド手形法・小切手法』[補訂版]
弥永真生著(有斐閣)1999年補訂。
先に読んだ『リーガルマインド会社法』に続いて読んだ
手形法&小切手法の基本書。
手形法の基礎的な問題点を民法とのつながりを重視して書かれている。
手形法&小切手法はそれを学ぶ必要性は一応あることにはあるけれど
(試験にも出るので)いまいち学ぶことへの意欲がわかない分野だ。
手形も小切手も普段接することが少ない上に抽象的な議論が多いので
妄想溢れる僕のイマジン力をもってしても
実体的なイメージがわきにくくかなり理解に苦労した。

以下、チェック項目・・・
<Part1 約束手形の意義と手形法の視点>
☆信用取引は買主にとっては資金繰りを楽にし、
売主にとっては資金繰りを苦しくするという財務的効果をもつので
「債務者は信用を受けること(支払期限を先に延ばすこと)を望んでいる」
という仮定に立てば債権者は自分の資金繰りが苦しくなるのをいやがるで
そのための対策を考えなければならない
→その対策の一つは債権の譲渡を容易かつ確実にすること
→技術的には有価証券化すること、より本質的には抗弁の主張制限、
譲渡を容易にするための担保責任を譲渡人が負担するなど

○手形が「担保のために」授受され債務者が原因関係の履行期を
徒過している場合には、債権者から手形の返還を受けなくても
債務者は履行遅滞になる(最判昭40.8.24)

○原因関係の無効・不存在・消滅は、
手形関係の無効・不存在・消滅をもたらさない=「手形の無因性」

<Part2 約束手形>
○「一覧払」=支払呈示があった日を満期とするもの(手形法77条1項)

○手形交付をめぐる学説の対立に関しては二段階構成説ではなく手形行為も
手形の授受という方式によって行われる契約と考える「交付契約説」が通説

○手形行為における意思表示の瑕疵や無権代理などの問題は
手形法に明記がないので民法を適用

○「変造」=手形債務の内容を決する手形上の記載に
他人が無権限で変更を加えること(抹消を含む)
「偽造」=行為者の署名を変更すること

○法律行為としての裏書きの効力=「権利移転的効力」、「担保的効力」

○裏書きの連続を欠く場合でも手形所持人が自己の実質的権利を証明すれば
権利行使が可能とするのが判例・通説
→手形法16条1項は単なる権利推定を定めているだけであって
裏書きの連続を権利行使の要件とはしていないから

○善意者介在(手形法17条)をめぐっては善意者の下で抗弁が切断されるとする
「切断説」が通説

☆判例では裏書不連続手形の呈示であっても遡求できる
「遡求権保全効」が認められている(大阪高判昭55.2.29)←学説は否定的
=裏書不連続手形の所持人もその実質的権利を客観的に裏書の不連続を
補完して裏書の連続のもつ形式的資格と同等の地位を所持人に
肯定しうるような証明をして呈示した場合、
あるいは裏書の連続以外を理由に支払拒絶をした場合に認められる

☆「支払呈示」→支払呈示期間内になされる呈示
(遡求権保全効あり・時効中断効あり)
「請求呈示」→支払呈示期間が経過しても手形上の権利が時効によって
消滅しない限り手形所持人は主たる手形債務者およびその手形保証人に対して
手形金の支払を請求できるのでこのような支払呈示期間経過後に
手形を呈示して手形金の支払を請求すること
(遡求権保全効なし・時効中断効あり)

☆「利得償還請求権」=手形上の権利が手続の欠缺または時効により
消滅した場合に所持人が振出人、引受人または裏書人に対し
その受けた利益の限度で償還の請求をなしうる権利(手形法85条)
=所持人が権利の消滅により発生した利得の償還を債務者に請求できる趣旨
→要件=1:手形上の権利が有効に存在し償還請求者が
その権利を有していたこと、2:手形上の権利が手続の欠缺または時効によって
消滅したこと、3:請求の相手方である手形債務者に利得が存在すること

○「除権判決」=権利と紙切れの結びつきを解いて有価証券を無効にすること
←公示催告手続を経たうえでなされる

○その白地を補充する権利=「補充権」の存否が
要件欠缺による無効手形と白地手形を分ける差(大判大正10.10.1)

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