弁護士である著者が担当した民事事件を中心にして・・・
「自分の物だという証拠が示せない時でも盗品は取り戻せるのか?」
「夫婦間の約束が取り消せる場合とできない場合との違いは何か?」
「不正入学を依頼して失敗すればお金は返してもらえるのか?」
「結婚するという嘘の約束をしてセックスすれば結婚詐欺になるのか?」
・・・などの民法が関係する実際のケースを101個紹介している。
三笠書房らしくいかにも安物くさいタイトルを付けている本だが
無味乾燥な法律の条文にケースという肉付けをつけて理解する上でも
民法の視点から日常生活を見直す上でもけっこう有益な一冊だと思える。
この本の中で知らなかったり気になったトピックスが三つ・・・
・「売り主は手付金の倍額を買主に支払えばその売買契約を解除してよい」
(民法五五七条)という条文から絶対欲しいものは
手付金じゃなく内金を払うべき。
・日本の相続法は血のつながりで財産を縦に流す性格が強いので
夫の死亡後も夫の両親に尽くした妻であっても
夫の親がちゃんと遺言書でその意図を明確に書かないと
夫の親の財産を相続できなかったり、
血がつながっていても前妻の子供と後妻の子供では相続に関して違う。
(たとえ認知していても父親の後に後妻が続いて死ねば
後妻の子供がその父親の遺産を全額相続する)などの弊害が生まれている。
立法時には「社会の混乱を防ぐ」という意図を含めてこういうのが
あるんだろうけど「ちょっとひどいなぁ」っと感じた。
・遺言書は家庭裁判所が「検認」する必要があるために当事者が
勝手に開封してはいけないが、たとえ開封しても
5万円以下の過料にしかならない(民法一〇〇五条)。
・・・ってことはいくらでも開封して改ざんするやついるぞって
思ってしまった(^^;
1999 11/12
法学、民法
まろまろヒット率3