馳星周 『不夜城』 角川書店 1998

これがちょうど僕が大学に入ってから送った1万通目のメール
電子メール使えるようになって最初のうちは確かに嬉しかったとはいえ、
「僕って自分で思っているよりも暇人やな」と感じているっす(^^)

さてさて、僕も『不夜城』馳星周著(角川文庫)を読みました。
あまり読む気がしなかったが藤江に強力に薦められて読み始めた小説。
読み始めてみると緊張感と怠惰性が合わさったような妙な雰囲気に
夢中になってあっという間に読み終えた一冊。
ストーリーの方は藤江が書いたとおりだが、
彼も言っているようにそんな話の展開はあくまで演出であって
(その展開自体も物語としてとてもよくできているんだけど)
この小説を通して印象に残るのは人間の心、
それも生きるために代償として養ってきたそれぞれの中にある闇の部分だ。

ナイフで人を切り裂くことで性的満足を得ることができる人間、
ロリコンハッカー、才能を持ちながら賭博で破滅しつつある風俗ライター、
暴走する兄に体を与えることで安息と力を得る妹、
そして憎悪と媚びを複雑に合わせたような表情をする癖を持つ主人公たち。
・・・こんな人間たちが泥臭い歌舞伎町を舞台に生き生きと
その闇の部分がえがかれているのに思わず魅了された。
安っぽいハードボイルド小説ならこういう登場人物たちは
物語のお約束的な展開に華をそえるだけの存在だが、
そんな安っぽい展開やセリフなどどこにも出てこない。
これほどまでにお約束的行動をしない主人公も僕は見たことがないし
(美形でも何でもないトルエン狂いの男を犯すシーンなんてその典型)
ここまで無気力な雰囲気と力強さを感じさせてくれる主人公も
あまり知らない。

「・・それでも生きる」というテーマがある『もののけ姫』よりも
はるかにこの小説の方が「生きる」ということを考えさせてくれる。
これは僕も心に闇を飼う人間だからか?(^^)
ふと「これを2時間の映画という枠で映像化するのは難しいだろう?」
と感じたが案の定映画の方は安っぽいデキらしい。
(そもそも質の良い角川映画なんて見たこと無いが)

ちなみに僕の住んでいる大国町はちょうど大久保(歌舞伎町の隣町)と
同じような場所で難波中学校出身の僕にはとっては新宿西口近辺、歌舞伎町、
大久保あたりは前から妙に気に入っている場所ではあったんだけど
この小説を読んでますます好きになったっす。
エニックスに働くようになったら大久保に住んでやろうかと考えているっす。
歌舞伎町あたりで堕落した人生送っている僕を見かけたら声かけてねっ(^_^)

この本をamazonで見ちゃう

1998 9/22
小説
まろまろヒット率4

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