篠原一 『ヨーロッパの政治―歴史政治学試論』 東京大学出版会 1986

[Dokusyo-Kai]”the Politics in Europe”
らぶナベ@交流会OB会ではひさびさに弾けれて面白かったっす(^^)
(牟田ちゃんホントにお疲れさま)

さて、『ヨーロッパの政治~歴史政治学試論~』篠原一著(東京大学出版会)
をちょうどいま読み終えました。
16世紀から第二次世界大戦勃発までのヨーロッパの通史を
各国、地域ごとに追いながら「政治学的にはここではこういう議論がある」
というふうに政治学の視点で歴史的事象を一つ一つ拾い上げているという
感じの本(本人は歴史政治学と呼んでいる)。
近世から現代という時期も長いがヨーロッパという地域も広いために、
全15章(48節!)の分厚い本になっている。
やたらと長く、ばりばりの理論書なのに
比較的読むのが苦痛にならなかったのは僕が歴史オタクだからだろう。
基本的に社会科学はみんなそうみたいだが政治学と社会学では
特に歴史的基礎知識が必要とされることに今さらながら感じさせられた。

具体的な内容としては・・・
・イギリスのロイド・ジョージ、イタリアのジョリッティ、
ドイツのシュトレーゼマンなどの個性的なリーダー研究
(これで高橋直樹著『政治学と歴史解釈』を読もうかなと思っている)
・戦争は破壊、テスト、参加、心理的側面の四つの視点で
ほぼ分析できるとするマーウィックの主張
・スウェーデンの自由党が数的にもっと弱小でありながら
重心的議会主義によって単独内閣を形成したこと
などが「へぇ!」と関心させられたが、疑問点として・・・
ヴァイマール共和国についての項で
「連合政権自体が不安定という考え方は、
最近の政治学的分析によって否定された、一種の政治神話にすぎない」と
著者自身が断言しているところがいまいち納得できない。
ちなみにあんまり重要では無い点だが、NEPをおこないながら
ボリシェビキの独裁を進めたソ連の革命第二時期を扱っている項で
「退却期間中は規律は百倍も必要」という
レーニンの言葉を紹介しているのには思わず笑えた。

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1998 8/30
歴史、政治
まろまろヒット率3

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