“think through world history”
らぶナベ@交流会が終わり、明日は交流会OB会(^^)
さて、『世界史の中から考える』高坂正堯著(新潮選書)
高坂正堯が死ぬ直前まで『FORESIGHT』に連載していた
歴史エッセイをまとめたもの。
前半はヨーロッパ史から現代と対比できるような
(対比とははっきり言わないでも参考になるような)
事例を出しつつ現代の課題を述べている。
例えばバブルとその崩壊はイギリス
(南海会社水泡事件←バブル経済の語源)、オランダチューリップ投機、
アメリカ大恐慌などが日本のバブルと経済背景的に似ている点に
注目したりしているという風に。(二流の国が一流を目指そうとしている時に
起こりやすい事象と判断している)
後半は太平洋戦争へいたる過程を綴って「なぜ日本は失敗したのか?」
というテーマについて政党運動や経済政策、軍事政策で述べた後に、
重要な要素として日本人の気質的欠点を述べている。
しかし気質とは本質的に欠点でもありはそのまま美点でもあるので、
そのことを見つめることの難しさを述べている。
全体的には一章3,4ページで書かれていて読みやすかったが
歴史的事象の説明と彼自身の解釈がよく出ていて興味深かった。
以下は上記以外で印象に残っている箇所・・・
「響きのよい抽象的な言葉は、力ある人がその気になれば
なんとでも解釈できる。しかし、具体的に散文的に書いていることは
ごまかしようがない。」(味気ないが歴史的意義の大きい権利章典を表して)
「休んでいるものを邪魔するな」(ウォルポールの言葉)
「弱国は冒険を避けなくてはならない。
何ら威信のない王朝の基礎を固めるには、ゆっくり時期を待つことが肝要だ」
(アンドレ・モロアの言葉)は進路を決める立場にある
僕のような個人にも適用できるのだろう。
1998 8/28
エッセイ、歴史、政治学
まろまろヒット率4