司馬遼太郎 『歳月』 講談社 1971

G.A体験のため東京出張したときに南さんの家で中大の長坂京ちゃんと
司馬遼太郎の話で盛り上がり、彼女が「一番好き!」と言っていたので
気になって読んだ本。
身分が低く餓死寸前の状態から非常に鋭い論理性を持って時勢の波に乗り
佐賀藩を代表する人物にまでなり、明治政府でも司法郷、参議を歴任。
日本の法整備の基礎を気づきあげる。
しかし征韓論にやぶれると、なし崩し的に佐賀の乱の首謀者となる
江藤新平の話。誰よりも弁が立ち、自らも自分の論理性の正しさに
自信を持っていたのに対人関係や高等な政治的視点が欠落していた人。
これは彼の政敵で、最後に彼を自滅に追い込み当時日本士族には
適応されなかった死罪を強引に適応して新平を殺した大久保利通の陰湿な
するどさにくらべると何か滑稽ささえ感じてしまう。
どこか憎めなくて、ある種爽快な感じを与えてくれる
他の司馬作品の主人公たちと比べて彼はどうも
「ううん」とうなってしまうような可愛げの無さがある。
・・・京ちゃんは彼のどこが良いんだろう?
実際の女を前にしても漢詩で表現しないと自分が欲情していると認められ
ないようなところが意外に可愛いと感じるのか?(笑)

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1998 2/15
歴史、小説
まろまろヒット率 3

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