テレビ朝日でやっていたインダス川の源流を探る番組(筒井道隆出演)を見て
またまたやばい旅がしたくなった、らぶナベ@やっぱ次はチベットかな?(^^)
さてさて、『憲法』[新版補訂版]芦部信喜著(岩波書店)1999年初版。
去年死んじゃった日本最高の憲法学者、芦部さんの代表的著作。
その道では定番の一冊らしいが確かにその記述は簡潔で明確さを感じる。
ただし本の構成に文句を付ければこの記述量ならこれだけ分厚くしなくても
もっとコンパクトにできたはずだ(文字も大きいし岩波書店儲けすぎ!)
また、読む前に「基本的人権が中心で統治部分の記述の薄さは致命的」という
話をそこら中で耳にしていたがそれほど手薄さを感じることはなかった。
これは行政法の本(『プロゼミ行政法』)を読んだ時と同じように
『行政書士マスターDX1~実務法令編~』の憲法部分の問題を
一通りこなしてから読み始めたためもあるのだろうが。
以下、こういう本にしては数少ないチェック項目・・・
○特別な法律関係における人権の限界では法治主義の排除、人権の制限、
司法審査の排除からなる「特別権力関係論」が通説だったがそれぞれの
法律関係における人権の制約を具体的に明らかにしなくてはならない
☆在監者の人権は「相当の具体的蓋然性」が予見される場合には
制限できるとしたのが「よど号ハイジャック事件新聞記事抹消事件」
(最大判昭和58年6月22日)
☆人権規定は私人間では「間接適用説」されるため制限されるとしたのが
「三菱樹脂事件」(最大判昭和48年12月12日)
○間接適用説の立場に立つと法律行為以外での純然たる事実行為による
人権侵害に対しては真正面から憲法問題として争うことはできない
→アメリカの判例で採用されている「国家行為(state action)」理論が
その救済手段として注目される(民法709条の不法行為の違法性の裏付けを
強化したり国家賠償請求などの行政訴訟を提起する救済手段につながる)
☆憲法13条の法的性格は裁判上の救済を受けることができるとする
具体的権利性が認められている→
「京都府学連事件」(最大判昭和44年12月24日)、
「前科照合事件」(最判昭和56年4月14日)
→ただし一般法にも特別法にも個別の人権が妥当しない場合に限って
適用される「補充的保障説」が通説
☆憲法13条から導き出されるプライヴァシー権の要件に
「一般の人々にいまだ知られていないこと」が必要としたのが
「宴のあと事件」(東京地判昭和39年9月28日)
☆行政訴訟法31条が定める違法だが無効とせず違法宣言に留めた「事
情判決」をしたのが「衆議院議員定数不均衡事件」(最大判51年4月14日)
☆検閲は行政権による事前抑制で絶対的に禁止されるが
裁判所による事前抑制(差止)は憲法21条1項の表現の自由の保障によって
原則的に禁止されるとして両者を概念的に区別したのが
「北方ジャーナル事件」(最大判昭和61年6月12日)
=例外的に事前差止がみとめられる
☆公務員の労働権が制約されることを認めたのが
「全逓東京中郵便事件」(最大判昭和41年10月26日)
また、公務員の政治活動も制限されると判決したのが
「猿払事件」(最大判昭和49年11月6日)
☆司法の概念を構成する重要な要素・・・
具体的な争訟が存在すること、適正手続の要請等に則った手続に従うこと、
独立して裁判がなされること、正しい法の適用を保障する作用であること
☆「法律上の争訟」=当事者間の具体的な権利義務ないし
法律関係の存否に関する紛争であってそれが法律を適用することにより
終局的に解決することができるものに限られる(判例)
→裁判所に救済を求めるには原則として自己の権利もしくは
法律によって保護されている利益の侵害という要件が必要とされる
☆法律の違憲判断を回避する解釈と法律の合憲性に対する疑いを
回避する解釈の二つを含む「憲法判断回避の準則」が適用されたのが
「恵庭事件」(札幌地判昭和42年3月29日)
2000 6/26
法学、憲法
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