読んでいてやたらと前に読んだことのある『戦略的思考とは何か』
(TBSブリタニカ)に出て来た事例が多いなあと思ったら、
この本の編者は『戦略的思考とは何か』の訳者であると気づく(^^;
ただ、ゲーム理論のエッセンスを理解するという点では
こっちの本の方がずっと読みやすく、かつわかりやすかった。
ゲーム理論に関しては「相手が合理的行為者(アリソン風に)で
なければ意味がない」とか「実行段階での不確定要素を排除し過ぎる」など
などのさまざまな批判があるようだが、僕としてはゲーム理論を考える上で
まず前提となる利得表の数値化がはたして可能なのかという点が
もっとも気になる。
この戦略ごとの結果および影響の数値化がまず割出せないとゲーム理論の
思考が始められないわけだが、「そもそも数値化できるくらいの
状況判断が出来ているなら戦略なんて必要ないやろ」と思ってしまう。
これは僕が政策形成論のゼミにいるからか?(笑)
このことについてはゲーム理論の創始者、ノイマンがその著書の中で
頻繁にポーカーの例えを引用して研究していたにもかかわらず、
実際のプレイヤーとしては絶好の鴨だったというエピソードが
すべてを語っているような気がする(^^)
ゲーム理論とは現状で使う戦略を選びだす道具よいうよりも
終わってからの分析に使う理論のように思われる。
また、ゲーム理論では「勝っても最も少ない勝ち方、負けても
最悪ではない負け方」という現状にできるだけ近い選択を選びだすという
性質があるため、状況を一変させなくてはならないような状況下での
戦略的思考としてはあまり適切な思考法とは言えないと思う。
社会に変化が少ない時期の「無難」な戦略と言えると思う。
1997 11/24
ゲーム理論、意思決定論、戦略論
まろまろヒット率3