渡邊義弘@東北に四たび目の行脚をさせていただきました。
さて、仲島陽一 『共感の思想史』 創風社 2006。
思想史の中で共感はどのように位置づけられて来たのか、に迫ろうとする思想書。
自分のテーマである「情報のかけ橋」や、方法論としてのソーシャルメディア利活用では「共感」が重要なキーワードだと考えているため手に取った一冊。
読んでみると、著者も認めているように、もともと別の論文を合わせたもので形式が統一されておらず、内容も主観が述べられている章とそうでない章があり、まとまりが無くて読みにくい。
(せめて各章の最後にまとめが統一されていると読みやすかった)
そんな中でも・・・
☆共感=他人の感情に対して同じ感情を持つこと
<第1章 日本語における共感ー「共感」は新しい言葉>
・・・と定義しているところ。
また、共感の問題を・・・
○共感の問題性=
1:共感という現象がどのように起こるのかの解明=事実問題、心理的研究
2:共感という現象をどう評価するか=価値問題、倫理的研究
<第6章 デカルト・ホッブズ・スピノザー近世の情念と共感>
・・・と事実と価値の二つに分けているところ。
さらには感情移入については・・・
○「共感」と「感情移入」とは異なる概念
→「感情移入」=1(原義):感情を持たない対象に感情を移し入れて、これを対象のあり方として感じること、
2(一般的意味):他者に自己の感情を移し入れて、これを他者の感情として感じること、
<第14章 リップスとフロイト>
・・・と、その違いを明確にしているところ。
最後にアレント(Hannah Arendt)の思想を批判的に解読しながら・・・
○対立の克服は望ましいものと認めるとしても差違の尊重を忘れてはなるまい
→同情は大切であるが、同情が世界を救うとまでするのは、過大な、時には危うい思い込み
<第16章 アレント>
・・・と著者の主観を述べているところなどは興味を持った。
2013 11/8
思想史
まろまろヒット率3