広井良典 『コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来』 筑摩書房 2009

渡邊義弘@IWRIS2012で”A Workshop `TEKUTEKU`”を発表しました。

さて、『コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来』広井良典著(筑摩書房)2009。

様々な面から「コミュニティ」と呼ばれるものを問い直そうとする一冊。
特に興味深かったのは・・・

○コミュニティのひとまずの定義=人間が、それに対してなんらかの帰属意識をもち、
かつその構成メンバーの間に一定の連帯ないし相互扶助(支え合い)の意識が働いているような集団
<プロローグ コミュニティへの問い>

・・・というコミュニティの特徴として・・・

☆「重層社会における中間的な集団」こそがすなわち「コミュニティ」というものの本質的な意味
集団の内部的な関係性(=農村型コミュニティ)と、その外部との関係性(=都市型コミュニティ)の両方を持つ点に核心があり、
その互いに異質な両者が人間にとって本質的な重要性をもっている
<第1章 都市・城壁・市民>

・・・と、その二重性に注目している点だ。
そのようなコミュニティの視点で日本の現状を振り返ると・・・

○戦後の日本社会は、都市の中に「カイシャ」と「(核)家族」というムラ社会を作り、農村的な関係性を都市に持込むことを行いながらある時期まで一定の好循環を産み出していたが、
人々の需要が飽和し、経済が成熟して従来のようなパイの拡大という状況がなくなったいま、「ウチーソト」を明確に区分し、集団の内部では過剰な気遣いが求められる反面、
集団を一歩離れると何のつながりや”救い手”もないような関係性のあり方が、かえって人々の孤立や拘束感・不安を強め、また様々な”生きづらさ”の源になっている
<第1章 都市・城壁・市民>

・・・と指摘しているところは実感としても理解できた。
そして、個人が自律した中でのコミュニティをこれから作っていく上で重要な点を・・・

○都市型コミュニティ作りのポイント
1:ごく日常的なレベルでの、挨拶などを含む「見知らぬ者」どうしのコミュニケーションや行動様式
2:各地域でのNPO、協同組合、社会的起業その他の「新しいコミュニティ」づくりに向けた多様な活動
3:普遍的な価値原理の構築
<第7章 独我論を超えて>

・・・と整理して、「普遍的な価値原理の構築」の必要性を唱えている。
そして、紀元前5世紀前後に世界各地で同時多発的に普遍的な価値原理(精神革命・歴史宗教)が発生したことについて・・・

○精神革命・歴史宗教誕生の背景
・水平的な要因=異質なコミュニティの接触→普遍性への志向
・垂直的な要因=文明の成熟化・定常化→内的深化や規範原理への志向
<終章 地球倫理の可能性>

○異なるコミュニティが共存していくための原理として、すわなちそれら複数のコミュニティを「つなぐ」原理として生成
→それらの思想がいずれも「普遍的」な志向、つまり特定のコミュニティや「集団」を超えた中立性ないし不遍不党性を持つ
<終章 地球倫理の可能性>

・・・と、現代に共通する点に注目して・・・

○これからの普遍的な思想や価値は、「有限性」と「多様性」が重視されであろう
<終章 地球倫理の可能性>

・・・と結んでいる。
展開やまとめ方については、力技を感じるところはあるけれど、コミュニティの問題を様々な視点で問い直し、
さらに人類の思想史の中で位置づけようとする試みには共感が持てた一冊。

以下は、その他でチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○人口統計の推移=子どもと高齢者は地域への土着性が高い
→戦後から高度成長期をへて最近までの時代とは、一貫して「地域」との関わりが薄い人々が増え続けた時代であり、
それが現在は、逆に「地域」との関わりが強い人々が一貫した増加期に入る、その入り口の時期
<プロローグ コミュニティへの問い>

○農村型コミュニティが「水平的な排他性」をもつとすれば、都市型コミュニティは「垂直的な排他性」をもつ
<第1章 都市・城壁・市民>

○都市政策や街づくりの中に「福祉」的な視点を、また逆に福祉政策の中に「都市」あるいは「空間」的な視点を、導入することがぜひとも必要
<第5章 ストックをめぐる社会保障>

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2012 10/15
コミュニティ論、社会学、文明論、思想
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