『ハゲタカ』(ドラマ)

外資系投資ファンドの日本法人代表、鷲津(大森南朋)はその手法から「ハゲタカ」と呼ばれる。
現代のハゲタカ、鷲津には銀行員時代のトラウマがあった・・・

全6話完結のNHKドラマ。
何と言っても、全体を通じた迫力が印象的。
迫力の原因は、重厚な配役と練り込まれた演出という技術的な要因もあるけれど、日本がおかれている状況をえがきだしているからということが大きい。
このまま過去の栄光を食いつぶしながら全体(同調性圧力風に書けば”みんな”)が没落していくのか、それとも痛みをともなう再生に挑戦するのか。
その選択を一人一人が迫られている日本の状況を見事にえがきだしているので、観る人のそれぞれの立場に引きつけて重みが感じられるドラマになっている。
企業買収や不良債権処理などを舞台装置にしているけれど、そういう意味では経済ドラマというよりも日本社会の縮図をえがいたドラマと言える。

また、現状維持と改革のどちらにしても結局は弱い立場の人から切り捨てられていくところや、人間の業を感じさせられるシーンが散りばめられていて、勧善懲悪の薄っぺらさがないところも印象深い。

たとえば第3話で・・・
芝野(柴田恭平)が「私は人生の折り返し地点はとっくに過ぎています・・・ですが残りの人生、自分に言い訳しながら生きていくのは長すぎます」
と辞表を提出したのに対して、
飯島(中尾彬)が「かっこええな・・・だから駄目なんだ」
・・・と応えるところなど、それぞれの立場の対比を見事にえがいている。
これまで観たことがある中では、間違いなく21世紀最高のドラマ。

このコンテンツをamazonで見ちゃう

2010 8/7
もろもろ鑑賞、ドラマ
まろまろヒット率5

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です