毛沢東、藤田敬一・吉田富夫訳 『遊撃戦論』 中央公論新社 2001(原著1938、1942)

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さて、『遊撃戦論』毛沢東著、藤田敬一・吉田富夫訳(中央公論新社)2001(原著1938、1942)

毛沢東の代表的な論文「抗日遊撃戦争の戦略問題」(1939)、「文芸講話」(1942)の二つを載せている一冊。
「抗日遊撃戦争の戦略問題」は遊激戦の基本原則をまとめたもので、後の世界各地のゲリラ戦の教科書にもなったもの。
一応読んだけど「文芸講話」の方はこのタイトルでは余計だと思った。

メインの「抗日遊撃戦争の戦略問題」で一番興味を持ったのが、毛沢東が主動権(主導権)については語っている部分だ・・・
「主動権というものは、いかなる天才といえども生まれつきもっているものではけしてなく、
ただ聡明な指導者が客観的状況をまじめに研究し、正確な判断をくだし、
軍事上、政治上の行動を正しく処理することによって、はじめて、生まれるものである」(第4章)、
「情勢判断に長じ機をみるに敏であるといったこういう聡明さは、虚心に研究し、観察や思索につとめる人だけが獲得できる」(4章)
・・・なるほどと思った。
確かに主導権争いは、相手との争いじゃなくて自分がいかに冷静に判断できるかの争いなんだろう。
怖れ、焦り、自信の無さ、コンプレックス、そういう自分の中にある状況判断を曇らせるものとの戦いが主導権争いの本質なんだと感じた。
立ち退きにあっていて交渉を続けている時だったのでこの考えはとても印象深かった。

ちなみに僕は毛沢東に対しては、複雑な印象を持っている。
毛沢東が評価している明の朱元璋と同じくグロテスクな面が目立って肌が合わないと思うときもある。
でも、延安時代に書かれたこの論文は、修飾語が少なくて言っていることがクリアだ。
常に劣勢な状況から、徐々に主導権を握っていった毛沢東の語る言葉には説得力があった。

以下はチェックした箇所(要約含む)・・・

○戦争の基本原則は、自己を保存し敵を消滅することである(第2章)

○遊激戦の方針(第3章)・・・
(1)主動的に、弾力的に、計画的に、防衛線のなかで侵攻戦を、持久戦のなかで速決戦を、内戦作戦のなかで外線作戦を実行すること
(2)正規戦争との呼応
(3)根拠地の建設
(4)戦略的防御と戦略的侵攻
(5)運動戦への発展
(6)正しい指揮関係

☆主動(主導)権というものは、いかなる天才といえでも生まれつきもっているものではけしてなく、
ただ聡明な指導者が客観的状況をまじめに研究し、正確な判断をくだし、軍事上、政治上の行動を正しく処理することによって、
はじめて、生まれるものである(第4章)

☆情勢判断に長じ機をみるに敏であるといったこういう聡明さは、虚心に研究し、観察や思索につとめる人だけが獲得できる(4章)

○受け身の立場にたたされたときは、その立場から脱出すること
→多くの場合は移動することが必要(移動がたやすいのは遊撃隊の特徴)(第4章)

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2005 10/5
戦略論
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