リチャード・ドーキンス、日高敏隆監修 『ブラインド・ウォッチメイカー―自然淘汰は偶然か?』 早川書房 上下巻 1993

愛機ThinkPadのHDがおじゃんになっちゃったけどWEBにあげていたのでデータは助かった、
らぶナベ@この本でも生命でも大切なのはハードではなく情報だと言ってました(^^)

さて、『ブラインド・ウォッチメイカー~自然淘汰は偶然か?~』上下巻
リチャード・ドーキンス著、中嶋康裕ほか訳、日高敏隆監修(早川書房)1993年初版。
ダーウィン主義に対する「生命のような複雑なものは自然淘汰ではできない」とか、
「われわれには創造者がいるのだ」などの批判に一つ一つ反論している本。
この本のタイトル自体からして、かつて生命の複雑さに驚いて
「この世界を作った時計職人がいるに違いない」と考えた昔の神学者に対しての
「時計職人なんていないし、いたとしてもそれは盲目の時計職人」だ
という反論になっている挑戦的な一冊。

本文も「起源を超自然のデザイナーに頼って説明することは、
そのデザイナーの起源を説明しないままにしているのだから、
何も説明していないことになる」(6章)などの記述が満載。

『利己的な遺伝子』のときもそうだったけど、この著者の本は緻密な積み上げと
思い切りの良い大胆さが両立しているからおもしろい。
だからドーキンスは胡散臭いんだ(^^)

ちなみに盲目の(blind)という言葉はあまり適切ではない言葉になってきているので、
この本のタイトルも今後は変わっていくのかな?

以下はチェックした箇所(一部要約)・・・

○われわれの存在がそのものが、ぞくぞくするような謎なのだ
→しかも同時にこの謎はすでに明快に解き明かされている
<まえがき>

○われわれの脳は、ほどのどの速度で三次元空間を動く、
ほどよい大きさの物体の世界を把握するためにデザインされている
<1章 とても起こりそうもないことを説明する>

☆時計職人は先の見通しをもっているが自然淘汰は盲目の、意識を持たない
自動的過程であり、何の目的も持っていない
→もし自然淘汰が自然界の時計職人の役割を演じていると言ってよいなら、
それは盲目の時計職人なのだ
<1章 とても起こりそうもないことを説明する>

○複雑=あらかじめ特定でき、でたらめな偶然だけではとうてい獲得されそうにない
何らかの性質をもつこと
<1章 とても起こりそうもないことを説明する>

○物理学の課題=究極の起源と究極の自然法則の問題を解くこと、
生物学の課題=複雑さの問題を解くこと
<1章 とても起こりそうもないことを説明する>

○進化的変化が起こるのに使える時間が途方もなく長いので、
われわれはそれを直感的に把握できない
<2章 すばらしいデザイン>

○現実には淘汰で残る基準は常に短期的に、単純に生き残るか、
あるいはもっと一般的に繁殖に成功するかである
<3章 小さな変化を累積する>

○遺伝子は実際には二つのことをしている
=発生に影響を及ぼすこと、将来に世代に伝えられること
<3章 小さな変化を累積する>

☆自然淘汰は遺伝子を直接に選びはしない
→遺伝子が体に及ぼす効果(表現型効果)を選ぶ
<3章 小さな変化を累積する>

○数学について大切なことは恐怖心を抱かないようにすること
→「こんなやつにもできるんだから誰だってできる」を思い出すこと
<3章 小さな変化を累積する>

○数学者でない人間にとってコンピューターは想像力の心強い友だち
<3章 小さな変化を累積する>

○サスライアリのコロニーは20kgを越える重さをもち、
2000万にも及ぶ口と針を持つ一匹の動物
→哺乳類とはかけ離れた進化物語の頂点
<4章 動物空間を駆け抜ける>

☆兵アリたちは女王アリのために私を覚悟するが、それは母親を愛しているからでも
愛国主義の理想を叩き込まれているからでもなく、
その身体が女王自身の携えている鋳型の原版から打ち抜かれた
遺伝子によってつくられているからにすぎない
<4章 動物空間を駆け抜ける>

☆生きるもののすべての中核に存在するのは、炎でも、熱い息吹でも、生気でもない
→それは情報であり、ことばであり、指令である
<5章 力と公文書>

☆遺伝子の情報技術はデジタルである
<5章 力と公文書>

○種を定義するのはその全構成個体がDNAに関して同じ番地システムをもっていること
→ある生物種の個体間で異なりうるものは、それらの座の内容である
<5章 力と公文書>

☆種の公文書中に自らを垂直的に伝達させる成功率に関して、
ライバルのDNA間に差があることこそがまさに自然淘汰
<5章 力と公文書>

○自然淘汰にできるのは新たな変異のうちのあるものを受け入れ他を拒絶することだけ
<5章 力と公文書>

☆物理的な実態としてのDNA分子そのものは霧に似ていて、
適当な条件下では大変な速さで生成されるが、
長く存在するものはなく数ヶ月以内にすべて壊れてしまう
→しかし分子がその配列によってつくりだすパターンは最も固い岩と同じくらい長持ちする
<5章 力と公文書>

☆すべてはまったく単純で、楽しくなるほど自動的で、意図的ではない
→累積淘汰の基本的要素ー複製、誤り、そして力ーがまず最初に現れたなら、
似たようなことが起こるのはほとんど必然
<5章 力と公文書>

☆ミーム進化は文化的進化と呼ばれる現象に現れている
→文化的進化はDNAにもとづく進化より桁違いに速く進むので
のっとりではないかと思わせるほどである
<6章 起源と奇跡>

○進化はわれわれの脳に1世紀以下の寿命をもった生物にふさわしい、
危険率や実現可能性についての主観的な意識を備えさせた
<6章 起源と奇跡>

○遺伝子が淘汰されるのは遺伝子の内的性質ゆえではなく環境との相互作用による
→ある遺伝子の環境としてとりわけ重要な構成要素は他の遺伝子である
<7章 建設的な進化>

○科学におけるもっとも偉大な進歩のいくつかがもたらされたのは、
頭の言い誰かがすでに理解されている問題といまだに謎の解かれていない
別の問題とのあいだにアナロジーが成立することを見抜いたおかげでもある
<8章 爆発と螺旋>

○ちょっぴり少数派がさらに少数派になり、ちょっぴり多数派がさらに多数派になるとき、
われわれはいつでも正のフィードバックを生み出す秘訣を握っている
→不安定なバランスがあれば必ず任意でランダムな始まりは自己強化されるようになる
<8章 爆発と螺旋>

☆生物のもつ特性=適応的複雑さ
=途方もない規模での統計的な不可能性(適切に了解されたランダムでない生存)
→ゆっくりした斬新的な累積淘汰こそが生命のもつ複雑なデザインの存在を説明する
<11章 ライバルたちの末路>

☆遺伝子は設計図よりも料理法にはるかに似ている
<11章 ライバルたちの末路>

○偶然を飼いならす
=とうてい不可能なものを順序よく配列された
それほど不可能でない小さな構成要素に分解すること
<11章 ライバルたちの末路>

この本をamazonで見ちゃう

2003 11/11
進化論、自然科学
まろまろヒット率3

追記:案の定『盲目の時計職人』に改訳されてました(2005.8.1)。

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