町田健 『言語学が好きになる本』 研究社 1999

この本を読むきっかけを考えるとネットで公開するってすごいなぁっと思う、
らぶナベ@くわしくは以下のメモにて(^^)

さて、その『言語学が好きになる本』町田健著(研究社)1999年初版。
はじめて読んだ言語学関係の本。
言語学の入門書を探していたところまろまろ掲示板にも遊びに来てくれることがある
ちづさんがたまたまた大学院で言語学を研究していて(生成文法)
「読みやすいけど基本も押さえられてる」と薦めてくれた一冊。
ちなみにちづさんは研究科は違っても僕が入る学校と同じだったのでびっくり。
(こんなこともあるんすねぇ)

内容の方はQ&A方式で書かれているのでとても読みやすい。
言語学って、ものすごく難しかったり読みにくい先入観があったけれど
確かにこれなら僕でも慣れることができそうだ。
特に面白かったのは「Q6チンパンジーやイルカもコトバを使うの?」で、
人間の言葉と動物の言葉との決定的な違いを分節性に求めた点や
「Q7赤ちゃんはどうやってコトバを使えるようになるの?」で、
言語能力という動物学的には特異な能力を人間は本来的に持っているのかという議論、
そして「Q18英語の冠詞の使い方に決まりなんてあるの?」で、
定冠詞と不定冠詞を聞き手が文脈の中で特定するのかどうか、
部分と全体という視点で説明している点だ。
特に定冠詞と不定冠詞は日本人なら誰でも一度は苦しめられたことがあるものなので
こういう風な説明をされると「なるほど!」っと素直に感動してしまった。
(掲示板での補足説明ももらいました→ここ)

また、巻末にはもう少し上のレベルでの入門書が紹介されてあるが、
それぞれの一長一短をちゃんと書いてくれてあった。
入門書は読んでからある程度時間がたたないとその良し悪しがわからないものだけど、
(本人がその分野をどう活用するかどうかにもよるし)
こういう基本的な丁寧さには好感が持てた。

以下は、チェックした箇所の抜粋&一部要約・・・

○ソシュールは言語の音の方を「能記」(シニフィアン)、
 意味の方を「所記」(シニフィエ)と呼んだ
 (ただし訳語は研究者の間ではあまり人気がないらしい)
<Q1世界一の言語学者はだれ?>

○記号の「体系性」=記号の意味や動きは他の記号との関係で決まる
 とソシュールが主張
<Q1世界一の言語学者はだれ?>

○比較言語学の目的=複数の言語を比べてそれらのもとの言語(祖語)は
 どうなっていたのかを推測すること
 =言葉の歴史を研究する分野のひとつ
 →もとの言語を復元する「祖語の再建」もおこなわれる
<Q2文字で書かれていない言語の歴史は分かるの?>

○「音韻変化の規則性」=ある言語で使われている音が時とともに変化すれば、
 どんな場合でも一律に同じように変化をするという性質のこと
<Q2文字で書かれていない言語の歴史は分かるの?>

○イタリアの諺には「翻訳者は裏切り者」(traduttore,traditore)というのがある
<Q5完全なる自動翻訳機は実現する?>

☆人間の言葉と動物の言葉との一番の違いは、「分節性」があるかないか
 「分節性」=文という記号がより下位の記号単位である単語から
  構成されている性質(平たく言えば文が単語にわかれていること)
  →分節をもたない言葉を使って作り出せる文は
   最大でもたった三十個にしかならないという研究がある
注:ただし人間の言葉も動物の言葉もどちらも「記号」であり、
  「恣意性」もある点では同じ
<Q6チンパンジーやイルカもコトバを使うの?>

○生成文法の目標=普遍文法を見つけ出すこと
 「普遍文法」=人が生まれながらにして脳の中に組み込まれている言語の本質
  (チョムスキーが存在すると主張)
 →初めから文法規則の根本原理が頭の中に入っているから
  少しぐらい間違った情報が混ざっていても
  幼児は短期間のうちに正しい文法規則をおぼえていけると考える
<Q7赤ちゃんはどうやってコトバを使えるようになるの?>

○単語の意味が抽象的=言葉の一番大切な性質のひとつ
<Q7赤ちゃんはどうやってコトバを使えるようになるの?>

☆モノや事柄を個別的ではなく共通の特徴をもった集合としてとらえる能力こそが
 人間に先天的に備わった言葉を覚えるための能力で、
 文法的規則などは言葉を覚えていく段階で身につけていくものではないか
 と著者は現在考えている
<Q7赤ちゃんはどうやってコトバを使えるようになるの?>

☆言葉がいつどのように生まれたか=「言語起源論」
 →言葉も一種の社会規範なので社会全体に広げるためには、
  何らかの権威が関わったのだろうと著者は予想
<Q8コトバはいつどうやって生まれたの?>

○「ピジン」=異なった言語を話す人々が通商などの目的で
 自分たちの母語ではない言語をもとにして、
 自分たちの母語の単語などを入れてつくった言語
 →ピジンが発展してその人たちの母語となったものは「クレオル」
<Q11日本語はどこから来たの?>

☆定冠詞と不定冠詞の違い
・「定」=文脈で与えられた範囲の中で、他のモノとは違う
     どれか特定のモノを示すことが「聞き手」にも分かること
・「不定」=文脈で与えられた範囲の中で、名詞が指しているものが
     「聞き手」にとってはどれでもよいこと
→重要なのは名詞の指すものを聞き手が具体的に知っているかどうかではなく、
 聞き手がそれについて同じ名詞が指すことができる他のモノとは
 質的に違うのだということを、文脈から判定することができるかどうか
 また、定と不定という性質は文中の名詞の指すモノが、
 ある範囲のモノの中の「全体」なのか「部分」なのかを表すものでもある
<Q18英語の冠詞の使い方に決まりなんてあるの?>

○言語学は本質的にいい加減な「言葉」という対象の中にある規則性を、
 できる限り客観的な方法を用いて発見していこうとする学問
<本格的に言語学に挑戦したい人のために>

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2002 12/21
言語学
まろまろヒット率3

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