内モンゴル草原記

これまでいろいろ難局&挫折があったが念願の草原で生活する
遊牧の人の家に訪問することができた!(それも大学の費用で(^^))
一時は諦めかけた事もあったが苦しい時こそ
自分にプラスになることをする僕の必勝法はここでも有効だった。
以下、読書会にアップした体験記など・・・

<2754> inbox, 00/ 4/ 1 02:03 ps360953@askic.kic.ritsumei.ac.jp から 135行
標題: [ml-dokusyo 200] 内モンゴル体験記
期限: 00/ 9/28 02:03
宛先: ml-dokusyo@ml.ritsumei.ac.jp

内モンゴルから生還した、らぶナベ@やっぱり大陸&騎馬民族はすごい(^_^)

もともと中華人民共和国内蒙古自治区で砂漠化防止活動をしている日本人が
主催している植林ツアーに便乗させてもらって(その方が何かと安い)
途中、草原で放牧しているモンゴル族を別行動で訪ねるという方針で出発。
ところが大寒波が訪れているということと植林をしている日本人の拠点から
草原が遠いこととでかなり難色を示されて交渉は予想外に難航、
途中の北京でねばって許可をもらい、その日本人の知り合いのモンゴル族の人の、
さらに友達の内蒙古新聞で記者をしている人の奥さんの実家の里帰りに
便乗させてもらうことになった、こう書いてみても実に遠いつながりだ(^^;
内モンゴルの中心都市フフホト(大阪に匹敵するくらいの人口)から
車で道なき道を越えに越えて草原にたどり着いた。
乗った車はおんぼろトヨタ車それも二輪駆動だったがトラックが
横転しているのに誰も驚かない山道をかなりのスピードで越えていった。
ホンの少しのハンドリングミスで即死だろうという道を車で行きながら
「日本車ってヤルなぁ。日本で四輪駆動なんて必要ないよな」
などとしょうもないことに想いを馳せてしまった、
もしあそこで死んでいたら思考がもったいなかったな。
また、新聞記者の人の奥さん(後で聞くとこの人も新聞記者)が車の助手席で
どう見ても何の特徴も無い平原で「右、そこは左!」と
テキパキと指示しているのには驚いた。さすがは草原の民。

草原のお宅に訪問するといきなり「スーテイチエ」という
しょっぱいミルク茶と山羊の乳を煮つめたチーズ状のお菓子を出してくれた。
どうも騎馬民族にとっては客を自分の家に招くことは小さなお祭りで
さらに遠ければ遠いところからの客が良いとのことでかなり歓迎してくれた。
モンゴル語が話されているとは言え、内モンゴルは中国領なので
コミュニケーションは筆談が通じるのでかなり助かった。
ある程度日本語が分かる人がいたのも大助かりで意思疎通は問題なかった。
日本語とモンゴル語は文法的にはハングルや中国語よりも
遙かに近い存在なので単語さえ覚えればマスターするのは簡単らしい。
最初に「酒は弱いのであまり飲めない」と強調していたにも関わらず
噂に聞いたアルコール度数最低40度の酒を振る舞われた。
モンゴル式の乾杯を教えられて最初からがんがんに飲まされた、
テーブルを囲んだ一人が飲もうとする時に回りも合わせて飲まなければ
いけないというルールはかなりつらかった。
もうかなり酒も回ってきたというところで羊を一頭まるまる
塩ゆでしたものをボーンと出されてモンゴリアンナイフを渡された。
モンゴリアンナイフで自分で骨を砕き肉を切りながら食べるようだ、
モンゴルの男は結婚するときに舅の前でモンゴリアンナイフをちゃんと
使いこなして羊を食べられないと「ダメな奴」と思われるらしく
やたらと丁寧にモンゴリアンナイフの使い方を教えてくれた。
(後で聞くと僕は騎馬民族好きする顔立ちらしくどこかの家に
入り婿することがあった時に困らないようにしてくれたようだ(^^;)
羊の塩ゆでは意外にあっさりしていて美味しかった!
塩ゆでしたお湯にお米を入れたスープもうまかったがちょっと引いたのは
噂に聞いていたトマトにやまほど砂糖をかけたものだ。
一度食べてみるとなかなかいけたけど羊の頭なんかよりも
こっちの方がずっと手をつけるのに勇気が必要だった。
総じて美味しかったがその夕食をあてにまた酒を飲まされた(^^;
用を足しに外に行くと星がぐるぐると回っている(三半規管がいかれている)、
ちなみにトイレというものは無くてどこまでも広がる草原と青空の下で
用を足す、とても爽快でこういう生活もあるんだなと思うが
夜は真っ暗なのでちょっと危険。
テーブルに帰ってきて「もう酒はダメだ」と訴えると女主人が
歌を歌ってくれた。聞き入ってみるとどうも酒を勧める歌らしくて
またまた飲まされた(;_;)
家の人が眠りについてようやく眠ることができたので泥のように眠ったが
夜中急に気分が悪くなってしまった、外に出て吐こうと思って駈けたが
戸の開け方がわからずにそのまま床に思いっきり吐いてしまった。
悪い事したなと思ったが真っ暗でどうしようもなくこれで家の人を
起こすのも悪いので次の日の朝に起きてかたずけようと思って眠った。
朝起きると家の人が僕の吐いた物を掃除してくれていた。
寒いので完全に凍っていてほうきの裏でパリンっ、パリンっと割って
ささっと片づけるだけなのでかなり簡単&清潔だった。
そうはいっても悪いので謝ろうとすると家の人も僕を連れてきてくれた
新聞記者の夫婦もすごくニコニコしていて昨日よりもずっと親しげだった。
よくよく話を聞くと騎馬民族にとって客を吐かせるくらいまで
もてなすというのが最高のもてなしらしい。
そしてそこまで飲む客というのは客として一番最高のお返しを
主人にしたということになるらしい・・・なんて身体に悪い文化だ!!
僕はちょっと気に入られたのでモンゴル式の最高のもてなしをしてくれて
それを僕がちゃんと受けたということらしいが「死ぬ人もいるでしょう?」
と聞くと「いる」と平然と答えて「そういう人間は淘汰される」と
涼やかに言ってきた、さすが騎馬民族そういうところはやはりシビアだ。
(もし吐かなければ僕も死んでいただろうし)
そんなこんなで朝食を取ろうとするとまたまた酒を勧められた、
これもお礼らしい(^^;
どんなにか「アルコールの強制は犯罪です」という大学パンフレットを
出してやろうかと思ったことか・・・。
朝食は昨日食べ残した羊の塩ゆでをモンゴリアンナイフで切って
しょっぱいミルク茶にぽんぽんいれて食べたが不思議な感じがした。
さぁ、そろそろツアーに合流しようかと思って出ていこうとすると
「待て!」と強引に引き留められた、「ホーショーロ」という
モンゴリアンバーガーをつくっているそうだ。
話を聞いてみると騎馬民族は自分の家に客が来るとその客を腹一杯に
させないと自分の家から外には出しては行けないという文化があるらしい。
冷静に考えればかなりひどいことをされているんだけどそれが別に
イヤという感じはしなかった、これは騎馬民族が自分も移動するため
来た客とは本当の意味で一期一会ということみたいだ。
だからその人間が食べる一生分の食べ物と酒を振る舞う、
次の日に死ぬことだって普通なんだから。
春先は一番草原が痩せている時期らしく(冬で蓄えは食べ尽くし
羊は子供生むのにそんなに草がまだ生えていないから)
この時期に来る客自体がめずらしいのに日本から来たということで
最大のもてなしをしてくれたということらしい。
僕を送り出すときもふるっている「お前に子供か孫ができたら
また連れてこい」ってさらっと言われた。
時間の進み方が日本人とはまた違うみたいだ、
自分から三代前と三代先はつい「最近」にあたるらしい。
特にモンゴル族は移動する騎馬民族なので珍しい客や気に入った客は
子供たちに語り継いで物語として忘れないようにしているそうだ。

また日の高いうちに羊飼いをさせてもらったが「羊に信頼される」という
ことってあるんだと実感、僕の場合はたまたま信頼されてラッキーだった。
訪問したお家とその一体は女系なので最後の最後まで
「どうだ?お前は騎馬民族としてやっていけるからここらへんの娘を
とらないか?ハーン(大将という意味もあるらしい)になれるぞ」と
薦められた、老後になったら考えても良いかな?(^^)

そんなこんなでモンゴル族の住んでいる草原は草原でスケールの大きな
風景と人間関係を感じたが大陸自体規模が違う!
北京も普通の道に人とチャリが溢れていて人とチャリは信号を守らなくても
良いので好き勝手動き回っている、そこを車がほとんどスピードを落とさずに
通り過ぎる。本当に日本では殺人クラスの道路状況だ。
交通事故で毎日死人が出ているが誰も歩道橋をつくれとか文句は言わない、
「下手なやつは淘汰されるんだよ」現地で知り合った漢民族の人間は
そう平然と話していた、国や誰かになんとかしてもらおうという
意識が基本的に希薄だ。だからこそ自分の血縁を大切にするんだろう。
国が王朝だろうが資本主義だろうが社会主義だろうが関係ない、
それぞれの家族は自分の生活をして上が自分たちを食わせられない
状況になれば(餓死者が大量に出れば)上を変えるだけだ。
だから現地では天安門事件もかなり冷ややかに捉えられている。
「食わしてくれた(餓死者は出ていない)んだから悪いことはない、
あれを起こしたのは西洋型の教育を受けた学生だ」と言い切る人間もいた。
そういわれてみれば歴代の中国の王朝は漢民族以外の征服王朝が多いが
それらの異民族もいまではすべて漢民族に融けてしまっている。
(最近の清朝満州族でさえもう識別できない、ただしモンゴル族だけは例外)
物や数だけでなく時間も雄大な捉え方をしている、
「こんな国を征服しようとしたらダメだな」とふと思った。
『蒼天航路』の世界はまだ生きている。
2000 3/19~25
出来事メモ、海外体験記、インターンシップ

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