辻原登 『翔べ麒麟』 読売新聞社 1998

昨日のNHKラジオ「やさしいビジネス英会話」のVocabulary Buildingに
出てきた”hero sandwich”って一体どんなサンドイッチなのか
かなり気になっている、らぶナベ@そんなにメジャーなのかなぁ?

さて、記念すべき2000年第一冊目に読み終えた本をば・・・
『翔べ麒麟』辻原登著(読売新聞社)1998年初版。
タイトルフェチの僕がこの題名に惹かれて一昨年くらいから
何となく読んでみたいなと感じていた小説。
古今和歌集に載っている阿倍仲麻呂の和歌・・・
あまのはら ふりさけみれば 春日なる
三笠の山に いでし月かも
・・・は遣唐使として中国に渡りそこで皇帝に気に入られて出世したものの
日本に帰りたくても帰られなかった望郷を詠った悲歌として知られているが
果たしてこの歌は本当に悲歌なのだろうか?という疑問と
正倉院に収められている宝物の中で唯一出所の分からない七絃琴
(金銀平文琴)を物語の基点として書かれたちょっと珍しい歴史小説。

8世紀半ばの東アジアを舞台に唐政府の中枢を担う行政官、
阿倍仲麻呂(唐名:朝衡)と広嗣の乱の首謀者の息子として
汚名を受けながら遣唐使に参加した藤原真幸の二人を主役にして
日本と新羅の激しい外交対立、国際色豊かな長安の文化、
活力を失い楊貴妃に溺れる玄宗皇帝、中国社会の構造変化、
楊貴妃の従兄である宰相の楊国忠と阿倍仲麻呂の宮廷闘争、
李白や杜甫などの官僚出身の詩人たちの姿をえがいている。

『村の名前』で芥川賞を受けた著者と読売新聞連載ということから
読む前にはかなりお堅いものをイメージしていたが
唐代末期に起こった安史の乱の影で重要な役割を果たしたのが
実は阿倍仲麻呂と藤原真幸だという大胆な視点で書かれていた
思いきりの良さに思わず驚いてしまった。
阿倍仲麻呂をしたたかな政治家と捉えること自体には異論は無いが
ちょっとノリが軽すぎるかなと戸惑うようなところもあった。
ただスケールの大きな物語としてはさすがに読ませてくれたし
それなりに内容に深さもあった。
分量が多いしハードカバーしかまだ出ていないのであまり薦めしにくい本だが
こういうのが好きならちょっと毛色の違う歴史小説としてお薦めできる。

最後に読んだ感想を一言・・・
「俺もいつか麒麟のように翔べるだろう」

この本をamazonで見ちゃう

2000 1/5
小説、歴史
まろまろヒット率3

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