らぶナベ@これが大学に入ってから1万2千通目のメール、
けっこう忙しいはずなのに意外と暇人のような生活してるっす(^^)
さて、『太平洋文明の興亡~アジアと西洋・盛衰の500年~』
入江隆則著(PHP研究所)1997年初版を読んでみたっす。
政策科学部のT教授が「どうせ(修士論文という)風呂敷広げるなら
でっかく広げてみろ」と買ってきたので借りてみた本。
そのタイトル通りこれまでの太平洋文明を論述し、
これからの方向性を示そうという意図で書かれた本。
意欲的ではあるけど太平洋文明と言うわりにはあまりにも
スポットを当てているのが部分的すぎるように感じる。
また、論の展開を見てみても自分で確信を持てていない
前提を多用しているのでどうも説得力に欠ける。
特にウォーラステインを批判しているのに
彼の「近代世界システム」論を機軸に話を進めていて
この論からの飛躍が見られなかったのが気になった。
さらにいくら最近再評価がなされているとは言え、
鎖国を含めた日本の江戸時代のシステムについて
ちょっと持ち上げ過ぎだなぁとも感じた。
スケールの小さい研究者がスケールの大きい題材に挑戦すると
どうなるかっていう典型的な一冊だろう。
しかしこの本で取り上げられいたミクロネシアなどの地域は
僕には今まで馴染みが薄かったのでこの本の中で参考文献に
使われていたこれらの地域を取り上げていた本には興味を持った。
世界的にも独特なバリ島の生活・社会様式を研究した
クリフォード・ギアツ著『ヌガラー19世紀バリの劇場国家ー』や、
ニューギニア北東部にあるトロブリアンド諸島の伝統的社会に
注目して書かれたブロニスロー・マリノフスキー著の
『西太平洋の遠洋航海者』などは一度読んでみようかなと思った。
南太平洋地域の一部の伝統社会を知るきっかけになったことと、
文化人類学的な興味がちょっとわき起こったこと、
大阪にある「国立民俗学博物館」にまた行ってみようと思ったこと、
・・・ここらへんがこの実少ない本から得たものだろう。
1999 9/19
歴史
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