J.G.マーチ&H.A.サイモン、松田武彦・高柳曉・二村敏子訳 『オーガニゼーションズ』 ダイヤモンド社 1977

さて、『オーガニゼーションズ』J.G.マーチ/H.A.サイモン著、土屋守章訳
(ダイヤモンド社)1977年初版をば。
『経営行動』から10年後に書かれた本。
基本的に『経営行動』の理論をもとに肉付けをしたという感じがある。
それ故理論自体は『経営行動』の焼き直し的な匂いを感じた。
なかなかに難解だが著者の特徴として第一章で結論的なことを述べ、
各章の終わりにもその章での結論を項をさいて書かれているので
歯ごたえはあってもうんざりするものではなかった。
これは著者が理系に強く傾いているからか?

具体的な内容の方は最初に組織のメンバーに関する一般的な三つの命題・・・
(1)組織のメンバーは受動的な器械であるという命題
(2)組織のメンバーは態度、価値、目的を組織に持ち込むという命題
(3)組織のメンバーは意思決定者かつ問題解決者であるという命題
・・・を挙げてそれぞれに考察を加えていくという構成になっている。
第一章はこの問題提起、第二章は(1)の命題に関する考察、
第三章~第五章は(2)の命題に対して考察し、
第六章から第七章は(3)の命題に対して考察している。
(全七章完結)

以下は重要と思われる箇所の抜粋・・・
第1章”組織内行動”
<社会制度としての組織の重要性>
☆組織の特徴を二つあげて・・・
「組織のメンバーそれぞれを取り巻いている環境としての他の人々は、
高度に安定し、予測可能なものとなる傾向がある。
組織が環境に対し調整のとれた方法で対処することができる能力を
もっている理由は、すぐ後に論じられる組織の構造的諸特徴とともに、
この予測可能性があるからである。」
                ↓
「組織は相互作用する人間の集合体であり、われわれの社会の中では、
生物の中枢の調整システムと類似したものをもっている最大の集合体である。
しかしこの調整システムは、高等の生物有機体にある中枢神経系統ほどには
とても発達していないといえるー組織は、猿よりもミミズに近い。
それにもかかわらず、組織内の機構と調整の高度の特定性こそ、
ー複数の組織間、ないし組織されていない個人間の拡散した多様な関係と
対比してみればー生物学における個々の有機体と重要性において比較可能な
社会学的な単位として、個々の組織を特徴づけているものである。」

第2章”「古典的」組織理論”
<結論>
○古典的組織理論(科学的管理法)の限界についての結論を・・・
「古典的組織理論は組織内行動に対する理論全体の
ごく一部分のみを説明しているにすぎない・・・」
            ↑
「(1)理論の基礎となる同期に関する過程が不完全であり、
したがって不正確である。
(2)組織内行動の範囲を規定するに当たって、
利害の組織内コンフリクトがもつ役割を、ほとんど認めていない。
(3)複雑な情報処理システムとしての人間の限界のために
人間に課せられている諸制約条件がほとんど考慮されていない。
(4)課業の認定と分類における認知の役割に対して、
意思決定における認知の役割とともに、ほとんど注意していない。
(5)プログラム形成の現象をほとんど重視していない。」

第3章”動機的制約ー組織内の意思決定”
<集団圧力の方向>
「個人の生産への動機づけに作用を及ぼすものとしての個人の諸目的は、
彼が入りうる集団(組織を含めて)に対する彼の一本化の強さと、
その集団圧力の方向との二つを反映しているものである。」

<結論>
○動機づけに及ぼす影響を三つの関数に絞って・・・
「(a)個人にとっての行為の代替的選択肢の喚起作用
(b)喚起された代替的選択肢の個人によって予期された結果
(c)個人によってその結果につけられた価値」

第4章”動機的制約ー参加の意思決定”
☆「組織の均衡」理論について・・
「均衡とは、組織がその参加者に対して、
彼の継続的な参加を動機づけるのに十分な支払いを整えることに、
成功していることを意味している。」
            ↓
<組織均衡の理論>
「(1)組織は、参加者と呼ばれる多くの人々の
相互に関連した社会的行動の体系である。
(2)参加者それぞれ、および参加者の集団それぞれは、組織から誘因を受け、
その見返りとして組織に対して貢献を行なう。
(3)それぞれの参加者は、彼に提供される誘因が、
彼が行うことを要求されている貢献と、(彼の価値意識に照らして、
また彼に開かれた代替的選択肢に照らして測定して)等しいか
あるいはより大である場合にだけ、組織への参加を続ける。
(4)参加者のさまざまな集団によって供与される貢献が、
組織が参加者に提供する誘因をつくり出す源泉である。
(5)したがって、貢献が十分にあって、その貢献を引き出すのに足りるほどの
量の誘因を弓よしている限りにおいてのみ、
組織は「支払能力がある」ー存続しつづけるであろう。」

<結論>
「誘因ー貢献の差引超過分は、二つの主要な構成部分をもっている。
すなわち、組織を離れる知覚された願望と、
組織にとどまるために放棄している代替的選択肢の効用
(すなわち組織から離れる知覚された容易さ)である。
移動の知覚された願望は、現在の職場についての個人の満足と、
組織から離れることを含んでいない代替的選択肢に対する彼の知覚との、
二つのものの関数である。」

第5章”組織におけるコンフリクト”
<コンフリクトに対する組織の対応>
「組織はコンフリクトに対し、次の四つの主要過程によって対応する。
すなわち、(1)問題解決、(2)説得、(3)バーゲニング、
(4)「政治工作」である。」
           ↓
「これらの過程の最初の二つのもの(問題解決と説得)は、
決定についての公的一致とともに、私的一致をも確保する試みを示している。
このような過程を、われわれは分析的過程と呼ぶ。
公私ともの一致ではない後者の二つ(バーゲニングと政治工作)を、
われわれはバーゲニングと呼ぶことにする。」
●バーゲニング(bargainning)がかぶっているやん!!
           ↑
「・・・バーゲニングは、意思決定過程としては、
潜在的に分裂的な結果をある程度もっている。
バーゲニングは、ほとんど必然的に、
組織の中の地位および権力体系に緊張を与える。
もし、より強い公式の権力をもっているものが優勢になれば、
これは組織の中の地位および権力の差違を、
非常に強いものとして知覚することになる
(これは一般的にはわれわれの文化の中では逆機能的である)。
そのうえ、バーゲニングは、組織の中の諸目的の異質性を、
承認し合法化する。目的の異質性が合法化されてしまえば、
組織内ヒエラルキーにとって利用できたかもしれない
コントロール技法が、利用できなくなってしまう。」

「組織の中のほとんどすべての争いは、
分析の問題として規定されることとなる。
コンフリクトに対する最初の対応は、問題解決および説得になる。
このような対応はそれが不適応にみえるときにすら持続する。
共通の目的が存在していないところでは、
それが存在しているところと比較して、
共通の目的に対するより大きなあからさまの強調がある。
また、バーゲニングは(それが起きたときには)、
しばしば分析的な枠組みの中に隠蔽される。」

第6章”合理性に対する認知限界”
<組織構造と合理性の限界>
「組織の構造と機能の基本的特色が生じてくるのは、人間の問題解決過程と
合理的な人間の選択とがもっている諸性質からであるということであった。
人間の知的能力には、個人と組織とが直面する問題の複雑性と比較して
限界があるために、合理的行動のために必要となることは、
問題の複雑性のすべてをとらえることでなくて、
問題の主要な局面のみをとらえた単純化されたモデルをもつことである。」
●ここは『経営行動』の理論そのまま

第7章”組織におけるプランニングと革新”
<個人および集団の問題解決>
○ケリーとチボーの問題解決過程に対する集団の作用・・・
「(1)数多くの独立の判断をプールしておく効果
(2)問題の解法に対して直接の社会的影響によってなされる修正」
            ↓
○(1)について個人の問題解決能力に対して集団がもっている優位性・・・
「(a)エラーの分散、(b)よく考慮された判断の際立った影響力、
(c)自身のある判断の際立った影響力、(d)分業」
            ↓
○(2)について直接の社会的影響力によってなされる修正の種類・・・
「(a)集団メンバーは全体として、どの個人メンバーよりも可能な解法もしくは
解決への貢献を、より多く利用することができるであろう。
(b)個人の集団メンバーに対して、多数はの意見に同調させようとする圧力。
(c)集団の環境は、孤立した個人に比較して努力と課業完遂とに向けての
動機づけをを増加させたり現象させたりするであろう。

(d)集団メンバーは、自分の考えを他の人に伝える必要のために、
自分の考えを鋭くし明確化しなければならなくなる。
(e)集団の解法を出すために、個々人の解法を組み合わせたり
重みづけすることからくる作用。
(f)集団の環境は、程度はさまざまだがわずらわしさを生じさせる。
(g)集団の環境は、相違を刺激したり疎外したりする。」

<目的構造と組織構造>
○目的構造と組織内単位のヒエラルキーとの関係について・・・
「(1)手段ー目的ヒエラルキーの高いほうのレベルでの目的は、
操作的ではない。」
(2)手段ー目的のヒエラルキーの低いほうのレベルでは、
目的は操作的である。
(3)手段ー目的ヒエラルキーにおいて目的が操作的になっているレベルの
もっとも高いところから一つか二つ下のレベルでは、
個々の行為プログラムを認識することができる。」

<限定された合理性の原則>
○フォン・ミーゼスとハイエクの分権化擁護論・・・
「人間のプランニング能力の現実的な限界を所与とすれば、
分権化されたシステムは、集権化されたものに比較して、
よりよく作動するものである。」

1999 6/22
組織論、経営学
まろまろヒット率4

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