高坂正堯 『国際政治―恐怖と希望』 中央公論新社 1966

この前、津に住んでいるH部くんのところに遊びに行ったら
セガ・サターンと『同級生2』『下級生』
「持って帰れ!」と無理矢理渡されたっす。
・・・あんだけバカにしていたくせに攻略本まで買って
おもいっきり研究しとるやんけ!って思ったんだけど
僕もハマりそうでちょっと恐い(^^;

さてさて、『国際政治』高坂正堯著(中公新書)を読んだです。
著者は佐藤栄作政権で沖縄返還などの外交政策のブレーンとして
活躍した日本ではめずらしい行動派の学者。
この前死んでしまったんだけどたいてい京大法学部出身の人は
この人の授業を一度は受けたことがあるらしい。
内容の方は「これでもか!」というくらいリアリズムに徹して
国際政治を述べている。
具体的には「国際的相互依存が進めば国際関係は良くなる」という考えが
如何に表層的で現実として問題が多いかということを説明することと
「国際機構を強化すれば(≒統一国家を創れば)国際関係は良くなる」
という考えを現実的事象によって否定することに
ほとんどすべての項を割いている。
つまり安易な国際主義がどれだけ意味のないものかということを
徹底して書いている一冊。
「相互依存」と「国際機構」という魅力ある言葉を
ここまで体系的に問題視した本は僕は他には知らない。
今後僕にとってこれらの耳障りの良い言葉を使う人が
この本に書かれているような国際政治の現実を知った上で
話しているのかどうかがその人を見る判断の目安になるだろう。

特に面白かったのが単純なロマンティズムが昔からどくれくらい
多かったかということを説明するために引用した
中江兆民著『三酔人経論問答』の中では非武装を主張する洋学紳士くんと
諸列強に対抗する軍備を持ち弱小国を支配することを主張する豪傑くんの
意見を聞いた後で南海先生が「紳士くんの主張はヨーロッパの学者が
その頭の中で発酵させ、言葉や文字では発表したが、
まだ世の中に実現されていないところの、
眼もまばゆい思想上の瑞雲のようなもの。
豪傑くんの主張はすぐれた傑人が、百年、千年に一度、
じっさいに事業におこなって功名をかち得たことはあるが、
今日ではもはや実行しえない政治的手品です。
瑞雲は、未来への吉兆だが、はるかに眺めて楽しむばかり。
手品は、過去のめずらしいみものだが、ふり返って痛快がるばかり。
どちらも現在の役に立つはずがありません。」という風に
言わしているのが印象に残っている。
そしてこの本の最後に「現実主義は絶望から出た権力政治のすすめではなく、
問題の困難さの上に立った謙虚な叡知なのである。」と述べた後で
チェーホフ著『往診中の一事件』を引用して治療しえない病気にかかっている
娘に医師は自分の無力を感じながらもなお彼女を診断し語りかける姿に
国際政治に対するあるべき姿を見いだしている。
(ジョージ・ケナンもこの本が好きらしい(^^))

その他印象に残った一文・・・
「熱情を持って始められた戦争はやめることが難しい」
「権威とはハンナ・アレントが述べているように、
実力の行使でもなければ説得による同意でもない。
その中間のなにものかである。」

この本をamazonで見ちゃう

1998 8/18
政治学、歴史
まろまろヒット率5

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です