波瀾万丈の1997年最後に読み終えた本。
藤江の家に行ったときにもらった化学の入門書。
化学入門とは言っても著者の書いているように化学成果の羅列ではなく
「化学的アプローチ」について説明している。
とても興味深い本だが、初版が昭和28年と古いせいか旧態漢字が
使われていたのが読みづらかった。
第一部:化学の対象と内容、第二部:化学と社会、
第三部:化学の方法の三部構成だが第一部で化学的思考について語り、
その事例として歴史的発見の経緯を述べているという書き方。
歴史オタクの僕としては各発見経緯も楽しく読めた。
そして印象に残った点としては「純粋自然科学の目的は二段構えに
なっている・・・自然現象の客観的反映という当面の目的と、
社会的有用性とい究極の目的とである。この二つの目的はたがいに
密接に関連しているのであって、前者は後者なしにありえず、
後者も前者なしには有効的ではありえないのである。」という箇所は
自然現象を社会現象に置き換えればまさに政策学の目的となる。
そして「観察に多く依存しているような分科は、進歩がおそい。
これに反して、実験によって新しい個別的事実がどんどん発見されるような
分科は、進歩がはやい。」という箇所は社会科学にとって耳の痛い話だ。
このような自然科学の実験主義の性格もいくらかは
政策学に取り入れるべきだとあらためて思う。
1997 12/30
化学、自然科学、学問一般
まろまろヒット率4