スティーブ・クルーグ、中野恵美子訳 『ウェブユーザビリティの法則』 ソフトバンククリエイティブ 2007(改訂第2版)

まろまろ@各記事の下に関連記事を表示できるよう改良しました☆
ただし、自然言語処理で抽出しているので、チューニングはまだ発展途上です。てへっ。

さて、『ウェブユーザビリティの法則』スティーブ・クルーグ著、中野恵美子訳(ソフトバンククリエイティブ)2007(改訂第2版)。

AppleやAOLなどのWebサイトにも関わったウェブユーザビリティ・コンサルタントによるウェブユーザビリティ本。
弊社の元同期で、現在のまろまろ記サイトデザイン構築時も協力してもらった、ユーザビリティ・スペシャリストのtmaedaから推薦を受けた一冊。
原題は“Don’t Make Me Think: A Common Sense Approach to Web Usability” (2nd Edition, 2005)。

内容は、原題にあるように「ユーザーに考えさせない」ということを第一にしたウェブユーザビリティについて解説している。
特に、Webサイト製作側が想定する利用法と、実際のユーザーの利用には大きなギャップがあることに対する指摘が多い。、
たとえば・・・
「人はページ内の文章を読まない。ざっと見るのみ」、「人は最良の選択に時間をかけるよりも、ある程度満足できるところで妥協する」、
「人はものごとの仕組みを理解しない。何とか帳尻を合わせて切り抜ける」という傾向を指摘して、
「製作者はウェブページを卓越した著作物(パンフレット)だと思っているが、ユーザーは時速100キロで疾走する車の窓から見る看板という方が実態に近い」。
・・・と断定している。
(第2章:ユーザーは”実際には”どんな風にウェブを使っているのか)

さらに・・・
「大きさの感覚がない」、「方向感覚がない」、「位置感覚がない」というWebの特徴は、
「物理空間に比べてはるかに自分がどこにいるかを把握するのが難しい」点に注目して、
「ウェブページをデザインする場合は、ユーザーはトップページから、きちんと整理された経路を通って目的のページに到達すると想定したくなる。
しかし現実には、そこがどこかもわからないままで、サイトのど真ん中に放り込まれるというケースが多い」。
だから、「内容の詳細ではなく、全体の外観だけで判断がつくようにしておく必要がある」。
・・・と展開している。
(第3章:道路標識とパンくず)

また、製作者側とユーザー側とのギャップについてだけでなく、製作者側の内部での不毛な議論についても解説しているところも興味を持った。
自分の好みや信念を一般化させて議論することを「宗教論争」と表現して、一般論ではなく具体論で話し合う必要性を強調している。
(第8章:「きっと仲良くやっていけるさ」)

そのために必須となるユーザー・テストについては・・・
「テストを行う目的は、何かが正しいと証明することでも、間違いがあると証明することでもない。
製作者の判断を整理するためにおこなうのである」。
・・・と位置付けている。
(第9章:1日10円でできるユーザビリティテスト)

確かに一般論で話し合うことは自分たちの好みを言い合うだけの不毛なものになることがあり、
有益なものにするためにはテストが必須としているところは他の分野にも通じるものとして納得した。

また、ユーザビリティをあえて逸脱することについては・・・
「自分が違反しているルールが何なのかは自覚しておくべきだし、
少なくともルール違反を犯すだけの納得のゆく理由があるのだと考えるくらいのことはしてほしい」。
・・・と結論づけている。
(第12章:助けて!ウチのボスが○○しろって言うんです)

ウェブユーザビリティの考え方と、具体論の進め方を知ることができる一冊。

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2010 7/13
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