ウヴェ・フリック、小田博志・春日常・山本則子・宮地尚子訳 『質的研究入門―「人間の科学」のための方法論』 春秋社 2002

この前も「”まろまろ”さんのブログによく出てくる”らぶナベ”さんってどんな人ですか?」と聞かれた、
らぶナベ=まろまろ記ブロガーです(>_<)

さて、『質的研究入門―「人間の科学」のための方法論』
ウヴェ・フリック著、小田博志・春日常・山本則子・宮地尚子訳(春秋社)2002。

質的な研究の方法論を網羅的に解説している概要書。
代表的な質的研究アプローチのほぼすべてが取り上げられていて、
それぞれの一長一短まで踏み込んで解説、比較しているのがすごい。
質的な研究分野は全体を見通す概要書がほとんど無いこともあって、
まさに質的方法論の決定版と言っていい一冊。

また、日本語版は独自に日本の質的研究の歴史解説と用語説明もついている。
用語説明は訳語の対立点が解説されているので質的研究の簡単なレビューとしても読めるし、
訳者が原著との出会いについて語っている解説部分は、人柄がかいま見えて面白かった。
どのようなアプローチによってその結論が出てきたのか考える道具にもなるので、
特に研究目的でなくても、質的な資料を読む際にも参考になる本でもある。
僕が起案をつくった佐倉研究室必読文献2005年度版にも入れておいた、
この分野ではオススメの一冊。

ただ、一口に質的研究と言っても、その理論的背景と実際の方法論は多様なので、
入門という割には内容、分量ともに軽くは無いのが致し方ないところだろうか(^^;

ちなみにこの本は2005年度学際情報学府:社会情報学研究法1「メディア研究調査法」のテキストでもある。
(担当教員:花田達郎教授&林香里助教授)
さすが公共圏、まろまろ圏も思わず納得(^_-)

以下はチェックした箇所・・・

○質的研究の背景=
口述されるものへの回帰、特殊なものへの回帰、地域的なものへの回帰、時間的なものへの回帰(Toulmin 1990)
<第1章 質的研究とは何か―その意義、歴史、特徴>

☆質的研究の特徴
・研究対象に対する方法と理論の適切性
・研究対象者の視点とその多様性
・研究者による自己と研究に関する反省
・アプローチと方法の多様性
・認識的原則としての理解
・出発点としての事例の再構成
・基礎としての現実の構築
・実証的資料としてのテクスト
<第2章 理論的立場>

☆個別の事例から抽象的な理論へと一般かしていくためのステップ・・・
1:どの程度の一般化が目指されるのか、また達成可能なのかの明確化
 →一般化の要求レベルを押さえておく
2:現象が埋め込まれた事例や文脈を慎重に統合する
 →研究結果の一般化はサンプリング方法によって決まることが多い
3:得られた材料を系統的に比較する
 →グラウンデッド・セオリー法の継続的比較の方法(the constant comparative method)など
<第18章 質的研究の基礎づけと評価基準>

○質的方法と量的方法とは対立するものとしてよりも相補的なものとして見られるべき(Jick 1983)
<第21章 量的研究と質的研究>

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2005 9/18
研究方法論、学問一般
まろまろヒット率4

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