らぶナベ@芸術法セミナーにお呼ばれして世田谷ものつくり学校に行ってきました。
さて、『蓮如 夏の嵐』岳宏一郎著(毎日新聞社)1999。
すたれ気味だった本願寺を再興して、戦国時代の一向宗の勢力伸長と
現代に至るまでの浄土真宗の実質的な基礎を築いた蓮如を主役にした歴史小説。
特にこの小説では家督を継いで歴史の表舞台に登場した40代からを中心にえがいている。
読んでいて不思議だったのは彼は人生の中で二度も本拠地を焼かれて退避しているが、
その度に前よりも大きく復活している点だ。
その最大の原因は彼を支える信者(門徒)が支援したからと言えるけど、
蓮如は信者をおいてけぼりにして自分だけ財産を持って逃げたりしている。
そんな彼がなぜ信者の信仰を一身に集めることができたのか、
その過程や経緯をもっとえがいてほしかった。
(悪人正機だけなら他の真宗諸派も唱えていたことで別に蓮如じゃなくてもいい)
蓮如は教義としては親鸞の教えをゆがめているところもあるし
親鸞の血脈にこだわって貴族的な序列を明確にさせるなど、
実は親鸞が激しく批判した旧仏教的な体質を持ち込んだ人間でもある。
この小説の中でも蓮如が歴史上あまり人気がないのがよくわかる描き方をされている。
でも、そういう蓮如だったからこそ今に通じる基礎を築けたという見方もできる。
彼の人生には何の感動も覚えないけど、彼の功罪にちょっと興味を持った。
2005 6/10
歴史小説、宗教
まろまろヒット率2