陳舜臣 『旋風に告げよ』 講談社 上下巻 1982

まろまろコラム『WEBと海』に補足を追加した、らぶナベ@ウィナーさん話入れました。

さて、『旋風に告げよ』(上下巻)陳舜臣著(講談社文庫1982年初版)。
明末から清初にかけての時代に、中国人の父と日本人の母を持ち(7歳まで日本育ち)、
明朝復興を目指して戦い、最後はオランダ支配の台湾を奪取した
鄭成功(国姓爺)の人生をえがいた歴史小説。
前から日本と台湾の両方で英雄とされている鄭成功の本を読んでみたいと思っていたのと、
海を舞台にした物語を読んでみたかったので(鄭家は半分海賊)手に取った一冊。

読んでみると、鄭成功が一番活躍するはずの
台湾からオランダを追い出す後半部分は駆け足すぎだし、
最後も不自然なほどあっけない終わり方をして不十分な気がした。
(フィクションとして出てきた登場人物も不自然さしか感じなかった)
ちなみに主役の鄭成功よりも、事実上明を滅ぼして満州族による中国支配を確立させた
清の摂政王ドルゴンのドライな合理主義者ぶりの方が魅力的に感じた。
登場回数は少なくても迫力と魅力が自然と感じられる、
歴史の主役と脇役との差がこんなところにもあるような気がしてしまった。

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2005 2/16
小説&文学、歴史
まろまろヒット率2

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