フェルナン・ブローデル、金塚貞文訳 『歴史入門』 太田出版 2002(第3版)

アレンジものが流行っているからといってUAが歌う『もりのくまさん』はやりすぎだと思う、
らぶナベ@”NHKみんなのうた”で聴けます(^^)

さて、『歴史入門』フェルナン・ブローデル著、金塚貞文訳(太田出版)2002年3版。
原題は『資本主義の活力』(“LA DYANAMIQUE DU CAPITALISME”)で、
著者はアナール派として有名な歴史学者兼思想家。
この本は彼の代表作『物質文明・経済・資本主義』を著者自身が要約して紹介している。
実はこの『物質文明・経済・資本主義』は「共依存的生滅の論理の探求」という
何だかよくわからないけど熱い名前の講義(学際情報学特殊講義)のテキストになっている本。
面白そうな本だけど分厚いのが六巻もある大著なので、
全体像を把握するためにまずはダイジェスト版のこちらを手に取った。
(親本の方はどうしても飛ばし読みして読書メモを残せないからという意味もある)
この『歴史入門』は親本とまったく同じ章立てから構成されている上に、
いま読んでいる場所が親本ではどこなのかという注釈までついているという
僕のような読者にとっては完璧なダイジェスト版。

著者は緻密で膨大な資料の上に当時の社会のうねりを再現させることに定評があるけど、
この本でもその片鱗は十分に感じられてダイジェスト版にありがちな安物臭さはなかった。
文中で「食べ物や暮らしの話だって、有名な事件や人物の話と同じくらい重要じゃん」
っと述べているところは(ナベ語訳from第1章:物質生活と経済生活の再考ー2:物質生活)、
彼の本領発揮というところだろうか(^^)

以下はチェックした箇所(一部要約)・・・

○歴史的事象の時間性
 ・「短期持続」=一回限りの歴史的事実「事件」
 ・「中期持続」=時々刻々動きながらも一定の周期を示す「複合状況」
 ・「長期持続」=事件や複合状況の深部にあって、ほとんど動かない「構造」
<第1章:物質生活と経済生活の再考ー1:歴史の深層>

○私が出発したのは日常性であった(中略)
 こうした行為=慣習的行動(la routine)を行なわしめる刺激、衝動、模範、様式、
 あるいは義務は、われわれが思っている以上に多くの場合、
 人類史の起源にまで遡るのである。
<第1章:物質生活と経済生活の再考ー1:歴史の深層>

☆物質生活とは、長い歴史を背負った人類が、まさに内臓の中に吸収するように、
 彼自身の生に深く合体させているものであり、
 そこではあれこれの過去の経験なり興奮なりが、
 日常生活の必要性、凡庸性となっているのだ。
 そうであるが故に、誰もそれに注意をはらおうとはしない。
<第1章:物質生活と経済生活の再考ー1:歴史の深層>

☆貨幣は、それを交換を促す手段のすべてを指定するものと解すれば、
 非常に古い発明である。そして交換のないところには、社会も存在しない。
<第1章:物質生活と経済生活の再考ー2:物質生活>

☆つねに再審をせまられる、過去/現在、現在/過去の弁証法こそが、
 まさしく、歴史そのものの核心、その存在理由なのかもしれない。
<第2章:市場経済と資本主義ー2:資本主義という用語>

○資本主義、それは(略)普通ほとんど利他的なものではない目的のために行われる、
 資本投入という絶えざる賭けのあり様そのものに他ならない。
<第2章:市場経済と資本主義ー3:資本主義の発展>

○交換のタイプ
 1:次元の低い、透明であるがゆえに競争原理の働くもの
 2:高度で洗練され支配的なもの
 →この二つはまったく別のメカニズム&経済単位(資本主義の領分があるのは2の方)
<第2章:市場経済と資本主義ー3:資本主義の発展>

○ヨゼフ・シュンペーターが、企業家をデウス・エクス・マキナ(救いの神)とみなすのは間違いである。
 決定的なものは全体としての働きであり、あらゆる資本主義は、
 何よりも、その下の経済に見合ったものでしかない。
<第2章:市場経済と資本主義ー3:資本主義の発展>

○16世紀末の、地中海から北海への中心の移動は(略)
 新興地域の旧勢力に対する勝利を意味するだけである。
 (略)マックス・ウェーバーの誤りとは、そもそも資本主義の役割を、
 近代世界の推進力として過大評価してしまったことに根本的に起因するように思われる。
<第2章:市場経済と資本主義ー4:資本主義発展の社会条件ー国家、宗教、階層>

○資本主義は優れて、頂点における、あるいは、頂点を目指した、
 経済活動から生まれるものに他ならないということである。
 それゆえ、この高空飛行(大規模)の資本主義は、物質生活と、
 まとまりのある市場経済という二重の層の上を飛翔し、
 それは高利潤の層をなしているのである。
<第3章:世界時間ー4:産業革命>

○すべての客観科学の前には、つねに、発見されるべきアメリカ大陸が横たわっているのだ。
<第3章:世界時間ー4:産業革命>

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2003 4/20
歴史学、経済史
まろまろヒット率3

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