ごはん&麺類好きだけど、最近ふとしたことからパンを勉強中のまろまろです。
さて、『邪魅の雫(じゃみのしずく)』京極夏彦著(講談社ノベルス)2006。
1953年(昭和28年)、江戸川、大磯、平塚で次々に不可解な毒殺事件が発生した。
一見、何のつながりも無いように思える各地の事件を、捜査本部は早々に「連続」殺人事件と認定した。
各地でバラバラに発生した毒殺事件に関連はあるのか?
・・・京極堂シリーズ第8弾。
内容はタイトル通り、邪(よこしま)なことの魅力、そのひと雫に魅了された人々の物語がストーリーの中心となっている。
個々に出てきた場面がパズルのピースのように、最後に一枚の絵としてつながることを期待して読んでいたのに、
結末の絵はこれまでのピースとのつながりが弱いもので、印象が薄い一枚でしかなかった。
そのために読み終えてみると物足りなさが残ってしまった。
この作品では、自分が世界の一部なのではなく、世界が自分の一部だという錯覚にとらわれてしまった人々、
砂漠と砂一粒の大きさを逆転させてしまった人々の切なさがテーマとなっているだけに、
謎解きよりも内面的な描写が多いのは仕方ないんだろうけど、途中の退屈さが解消されずに終わったように思えてしまった。
前作の『陰摩羅鬼の瑕』と同じく、期待が高かっただけに迫力に欠ける印象を感じてしまった。
次回作にはこれまでのシリーズのように最後に大きな絵を見せてくれることを期待したい。
(読者はどんどん欲深くなってしまうものなのか(^^;)
2006 11/29
小説
まろまろヒット率3
売れ筋 本
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