京極夏彦 『百器徒然袋-雨』 講談社 1999

お酒はほとんど飲まないのでこの季節は帰宅後シャワーを浴びてからの
一杯の麦茶を人生の生きがいにしている、らぶナベっす。

さて、『百器徒然袋-雨』京極夏彦著(講談社ノベルス)1999年初版。
『今昔続百鬼-雲』と同じく京極堂シリーズの外伝的側面のある中篇集。
『今昔続百鬼-雲』には「多々良先生行状記」という副題がついていたが、
この『百器徒然袋-雨』には「探偵小説」という副題がついている。
作品の冒頭こそ、「一般大衆などと云うモノはこの世には存在しない・・・
個人は、個人としての責任を果たしたくない時に、大衆と云う覆面を被るのです。
責任の所在を不明確にし、不特定多数に転嫁する・・・」という一節が出てくるように
硬質な文体&世界観だったものの、そういう深刻さを打ち砕く探偵が作品を貫いている。
時代錯誤にも感じる「探偵小説」という副題に込められたコミカルさを感じる一冊。
特にオチになる最後の一文では笑わずにはいられなかった。

ただし『今昔続百鬼-雲』よりも京極堂シリーズ本編(『姑獲鳥の夏』から)を読まないと
おもしろさのツボがわかりにくい作品ではある。
たぶん著者は自分自身の同人作家のような楽しみでこの作品を書いたのだろう。
(妄想銀行)

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2002 7/22
小説、文学
まろまろヒット率★★★

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