講談社 『隋唐演義』 安能務 全3巻 1999

ニュースで坂口厚生労働大臣を見るたびに横から「フーッ!」っとふいて
はるか・かなた師匠の芸をやってみたくなる、
らぶナベ@僕が厚生労働省のキャリアだったら職を捨ててやってます(^^)

さて、久しぶりに通して読んだ歴史小説『隋唐演義』全3巻
安能務著(講談社文庫)1999年初版。
『封神演義』、『三国志演義』と共に三大演義ものとして
中国ではポピュラーな物語。
著者は中国ものをよく書いていることで有名らしい。

内容は統一期の隋初から安史の乱が終了する唐中期までの約二百年の物語。
南北朝の統一、煬帝の宮廷での退廃的な生活、唐建国と混乱の収集、
則天武后の王朝樹立、玄宗皇帝によるクーデター、楊貴妃との情愛、
安史の乱・・・と、この時代はエピソードには事欠かない。
以前読んだ『翔べ麒麟』を選んだ時もそうだけど
どうも僕はこの時代に漠然とした興味があるみたいだ。
儒教の影響が強い中国史の中では女性が一番強かった時代だったし、
(実力で成り上がった唯一の女性皇帝まで出てきているんだから)
国際色豊かでもあったので多彩な人材が活躍した時代だからだろう。
そして唐の太宗、李世民に興味があるみたいだ。

そんなこんなで期待して読んでみたけれど
著者の文体が軽すぎるように感じていまいち乗り切れなかった。
せっかく面白い人材や話がいっぱいあるんだから、
もっと叙情豊かにえがいてくれればいいのにと思うことが多々あった。
力はめっぽう強いが単純でだまされやすい前半部分の主役・秦叔宝に
あまり感情移入できなかったというのもあるけれど、
李世民や則天武后はもっと彼らの政治、戦略面を書いて欲しかった。
勝手な予想だけど、どうも著者は政治と言えばコソコソと人を蹴落とす
小物のやること、みたいな価値観があるみたいだ。
それで政治物語が主流になってくる物語の後半部分は登場人物の魅力を
えがききれずに姑息な話ばかりになって読んでいて退屈してしまう。
私見では13歳で男を知ってから死ぬ間際まで夜は男を離さず、
僧院に送り込まれても宮廷に復帰して最後は皇帝にまでなった則天武后は
実にスケールの大きい人物だと思うんだけど。
(それも優秀な宰相を抜擢して国政を安定させている)
彼女のそういう面をこの著者の視点ではうまくえがけていなかったのが残念。
中国史を書くってやっぱり難しいんだろうなと痛感した一冊でもある。

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2001 5/26
小説、歴史
まろまろヒット率2

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