今年は義理チョコ断絶宣言を出したけどメリルリンチに行った帰りに
チョコをもらってしまい(イメージキャラの牛さんチョコだったので思わず)
あっさり方針を撤回した、らぶナベ@というわけで義理チョコでも受付中っす
さてさて、『憲法がわかった』日笠完治著(法学書院)1999年初版。
憲法関連で3冊目に読んだ本。
当初は憲法学のバイブルと言われる芦部信喜の本を読もうと思っていたが
彼の本は人権に偏りすぎていて統治の記述が無いと聞いたので
まずは全体を把握することを第一の目的とする本を読もうと思って
本屋で探して選んできたのがこの本。
読んでみると「文章書くの下手だなぁ」と思うことが多々。
分かりやすく図解などを使って書こうとしているのは理解できるが
修飾語が多すぎて結論が見えにくい記述も多かったように思える。
どうもメリハリの感じられない構成&文章が目立ったが
よくよく見てみたら著者はドイツ公法の専門家だった。
確かに意味無いほどの時代変遷の列挙や抽象論的議論をしているのは
ドイツ観念論の傾向が強いからか?(ヘーゲルの影響)
どうも大陸法、特にドイツ関連の素養を持った日本人研究者っていうのは
日本語の文章がうまく無いように感じられる。
観念論的過ぎるためか?とりあえず結論を明確に書く
英米法の素養を持った研究者の方が読んでいてわかりやすさを感じる。
以下は、チェックした箇所・・・
○憲法前文は具体的事件に適応されるべき裁判規範ではなく、
個別条文の「解釈指針」でしかないとするのが通説
○憲法学の構成・・・
「憲法総論」、「基本的人権」、「統治機構論」、「憲法保障論」
○新旧憲法の違い・・・
・大日本帝国憲法→ドイツ憲法の影響→外見的立憲主義
(法実証主義的、合理主義、演繹的傾向)
・日本国憲法→アメリカ憲法の影響→実質的立憲主義
(判例中心主義的、機能主義、帰納論的傾向)
○グラウンド・・・
・憲法学の5段階構造
「憲法理念」→「憲法原理」→「憲法典」→「憲法制度」→「憲法現実」
・法学のグラウンド
「法理念」→「法律」→「現実」
☆憲法理念の価値序列・・・
「個人主義」→「自由主義」→「平等主義」→「福祉主義」→「平和主義」
○誰を指すのか曖昧な「国民」という言葉は錦の御旗的な機能を果たし
実際の政治的権力を行使している者の隠れ蓑となる可能性がある
→「国民主権の現実隠蔽的機能」
○「法律上の争訟」であっても「統治行為」の理論によって裁判所が
判断を回避した判例:「砂川事件」(昭和34)での安保条約の合憲性
○基本的人権を記載した条文の関係・・・
11条=「基本的人権の享有」(人権の大原則)
12条=「自由・権利の保持責任と濫用の禁止」(国民の債務)
13条=「個人の尊重・幸福追求権の保障」(国家・社会の債務)
○人権の限界=「公共の福祉論」に関する解釈では
「一元的内在制約説」が通説
○「二重の基準理論」が確率されたのはニューディール時代に
経済的自由が制約を受ける社会国家的政策が展開されたため
○13条=「個人の尊重」=「生命・自由及び幸福追求権」
=「幸福追求権」=「包括的基本権」
→裁判上で新しい人権を直接生み出すことが可能
○38条1項=「自己負罪拒否の特権」
(privilege against self-incrimination)」
○「国家の宗教活動の禁止」(20条3項)は
国家が「習俗的行為」を行うことまでは禁止していない
→判例:「津地鎮祭事件」(昭和52)
○「政教分離原則」(20条、89条)の違憲審査基準に関しては
「目的・効果基準」よりも「endorsement test」が有効とされる
☆「アクセス権」に憲法上の保障を与えようとする動きがあるが
国民とマス・メディアとの関係はあくまで私人間関係なので
憲法上の権利としてアクセス権を国民に認めることは難しい
→アクセス権の中核に位置するのが「反論権」だが
判例:「サンケイ新聞反論権事件」(昭和62)ではこの権利を否定
○守秘義務がある人間には「証言拒絶権」があるが
(民事訴訟法197条、刑事訴訟法149条)
新聞記者を含めた報道関係者には守秘義務が無いとされる
→判例:「石井記者事件」(昭和27)
○行動を伴う表現(speech plus)の制約についての違憲判断基準
=「オブライエン・テスト」
○「二重の基準理論」の根拠=「代議的自治論」
経済的自由への制約は正常な民主主義的手続が保障されていれば
民意にもとづいて修正されるが精神的自由(特に表現の自由)への制約は
民主主義=代議的自治によっては是正されないとされているため
→政治部門と司法部門の役割分担
○厳格な審査基準の「事前抑制禁止の理論」
=相手側に情報ないし表現が伝達される前に
立法その他の公権力がその伝達を阻止することへの禁止
→検閲の禁止(21条2項)
○厳格な審査基準の「明確性の理論」
=「漠然性ゆえに無効」、「過度の広汎性ゆえに無効」
○厳格な審査基準の「より制限的でない他の選びうる手段」(LRA)
=立法目的を達成するための規制手段として規制の程度のより少ない
規制手段が存在するか否かを具体的・実質的に審査して
そのような手段がありうると解される時は当該規制立法を違憲とする審査基準
☆経済的自由権に対する消極的制約に対して
「厳格な合理性の審査」をしてさらに「LRA」の審査で違憲判決をした
判例:「薬局開設距離制限違憲判決」(昭和50)
→職業選択の自由(22条)への制限立法に対する合憲性審査をした
☆経済的自由権に対する積極的制約に対して
「明白性の原則」の審査で合憲判決をした
判例:「小売市場開設距離制限事件」(昭和47)
→職業選択の自由(22条)への制限立法に対する合憲性審査をした
○「国務請求権」=「受益権」
→「請願権」(16条)、「国家賠償請求権」(17条)、
「裁判を受ける権利」(32条)、「刑事補償請求権」(40条)
○「両議院独立活動の原則」・・・
「議員の資格争訟の裁判」(55条)、「定足数・表決数」(56条)、
「会議録」(57条2項)、「役員の選任・議院規則・懲罰」(58条)、
「国政調査権」(62条)などの条文にある「両議院は、各々・・・」に根拠
☆両議員独立活動の原則の例外(両院協議会)・・・
「法律案の議決」(59条)、「予算案の議決」(60条2項)、
「条約の承認」(61条)、「内閣総理大臣の使命」(67条2項)
☆衆議院だけにある機能=「内閣に対する信任・不信任の決議権」(69条)
「参議院の緊急集会における緊急措置に対する同意」(54条3項)
☆「国政調査権」(62条)の機能・・・
「情報提供機能」、「争点明確化機能」、「世論形成機能」
判例:「浦和充子事件」(昭和24)
☆地方公共団体による条例制定「自主立法」(94条)は
地方公共団体の事務に関する事項に限定されるが
国家法とは原則的に無関係の独自の法定立ができる
判例:「徳島市公安条例事件」(昭和50)
○司法消極主義による憲法判断の形式
「憲法判断回避の準則」
(憲法上の利益が保障されるなら憲法判断を回避)
↓
「違憲判断回避の準則」
(当該法令の解釈が多用にある場合には憲法に合致するような
限定解釈をおこなって当該法令の違憲判決をしない)
↓
「適法違憲」
(当該法令をその事件に適応する限りで違憲判断)
↓
「法令違憲」
(法令そのものが憲法に合致していないと判断)
2000 2/11
法学、憲法
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