シャーロック・ホームズが好きな、まろまろです。
さて、『一瞬で信じこませる話術 コールドリーディング』石井裕之著(フォレスト出版)2005。
観察や会話から相手のことを言い当てていると相手にと信じ込ませるコミュニケーション・テクニック、
コールドリーディング(cold reading)の種明かし本。
相手から情報を出させているのに、あくまで自分が当てたように心理誘導することは、
霊感・ニセ占い、カルト宗教、マルチ商法などのネガティヴなものから、
推理、カウンセリング、セラピーなどのポジティヴなものまで、
相手と信頼関係を築こうとするコミュニケーション一般に見られる。
(よく言えばシャーロック・ホームズ・プレイですな)
特に「最大の関心事は自分自身」、「そう信じたい選択肢に寄り添う」、「事実よりも印象を記憶する」などの、
人間の心理の特徴を利用して相手を誘導&信頼させる方法は、昔からあるものなので、今さらな感じはする。
でも、最近、このコールドリーディングに見事に乗っている人を見かけたこと、
また、接客業の人が無自覚におこなっているのこかいま見たことで、
自分も無意識のうちにやっていないかチェックしてみようと手に取った一冊。
(僕はうさんくさいけど健全なのですw)
読んでみるとコールドリーディングの例文が面白い。
中でもリーディングのミスをフォローする例文が、第三者の視点で読むと滑稽で微笑ましい。
だから「コールドリーディングを行う人は録音や記録されることを嫌っている」、
「聞きなおした時にミスを思い出されるから」と書かれてあるのは納得。
確かに占いや霊能、詐欺のセミナーなどで客観的な記録を嫌うのは心理操作が入っているものが多い。
また、コールドリーディングのテクニックの中で興味深かったのは、
言葉の定義を広げたり狭めたりする「ズームアウト&ズームイン」だ。
日本語は曖昧な表現が多いので、この方法は特に有効なんだろうと感じた。
ズームアウト例:
Q「ここ最近辛い別れがありましたね?」
A「いいえ・・・」
Q「別れと言っても精神的な別れのことです」
A「はい!」
ズームイン例:
Q「人間関係が苦手ですね?」
A「いいえ・・・」
Q「今はそうでも昔はどうですか」
A「はい!」
・・・などなど。
読んでみてあらためて思ったのは、コールドリーディングに乗せられる人は決して無知蒙昧な人だけではないということだ。
(自分の経験だけに頼り、無知で不安をあおられて飛びつく人もいるけれど)
「自分の欠点の中にいい面を見てくれたり、自分でも気づいていな長所を見出してくたら誰だって嬉しい」。
そして、自分のことを分かって味方になってくれる人だと思えば信頼したくなるものだ。
(僕も思わず乗っちゃいそうになるw)
また、こうしたコミュニケーション・テクニックは善悪や大小を問わずよく見受けられるものである。
ただ、悪意あるコールドリーディングには乗らないようにすること、そして自分も無自覚に乱用しない心構えが大切。
そのことを考えさせられる一冊でもある。
2009 7/9
実用書、心理、コミュニケーションスキル
まろまろヒット率4