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さて、『捨聖 一遍』今井雅晴著(吉川弘文館)1999。
遊行と踊り念仏で有名な一遍の生涯を追った伝記。
最近、一遍がつくったとされる・・・
「こころより こころをえんと こころえて こころにまよふ こころなりけり」
・・・という歌を知り、この歌が妙に印象深かったので彼の人生も知りたいと思って手に取った一冊。
そもそも鎌倉仏教の開祖たちの中で、一遍の生涯はよくわからない部分が多い。
それは一遍が死ぬ直前に、自分の関連書籍を燃やしてしまったからだ。
この一点からも分かるように、こだわりを捨てることを掲げて「捨聖」と呼ばれた一遍の人生には独特のにおいがある。
彼の人生を読んでみると、「こころより こころをえんと・・・」の歌は、そんな一遍のにおいを感じるものとしてしっくり来た。
ただ、捨てるはずの遊行が結果的に時衆(後の時宗)を引き連れることになり、
自分自身が信徒の固執の対象になったことの苛立ちや悲しさが伝わってくる
晩年のエピソードは読んでいてちょっと切なくなった。
2007 1/22
宗教、歴史、仏教
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