佐倉統 『遺伝子vsミーム-教育・環境・民族対立』 廣済堂 2001

毎週一回くらいは我が家でお食事会を開きたいと画策している、
らぶナベ@気分は栗本はるみだす。

さて、『遺伝子vsミーム-教育・環境・民族対立』佐倉統著(廣済堂ライブラリー)2001年初版。
さくら組研究室の文献購読で『ミーム・マシーンとしての私』を発表したのをきっかけに、
ミーム論がどういう風に使われているのかもう少し知りたくなって関連本を探していたところ、
研究室の端っこにひっそりとあったのを見つけたので(研究室長が著者だから当然だけど)
さくさくっと借りてさくさくっと読んだ一冊。

内容はメディア、教育、環境、民族の各問題をミームの視点で論じている。
読んでみると確かにレベルの違う話を統一的に話せる可能性のあるところが
魅力的な理論だけど、進化論のDNAのように「これがミームだ」と言える物質が
見つからないことには信頼して使えない理論のような気がする。
僕がミーム論で興味を感じた文化・技術の自然選択的(不作為的)普及と、
性的衝動と表現衝動との関連についてもあえてミームを使わなくてもよさそうなフレイバーが(^^;
著者もあとがきで「ミーム概念の有効性は、定量的な記述や予測ではなく、
比喩やアナロジーにもとづく問題発見能力にある」と言っているように
ちょっとこましな比喩以外にはあまり使えなさそうな感じがした梅雨のはじめ。

以下はチェックした箇所(一部要約)・・・

○生命体というは、進化することができるシステムという意味
 →自分で変化できるという意味
<1-2 知識という生命体>

○生命の適応能力=自然選択を起こしうる能力→突然変異できる能力と同値
<1-2 知識という生命体>

○生物学的な文化の定義=遺伝子によらず次世代へと受け継がれていく情報の体系
<2-1 利己的な複製子たち>

○ミーム学最大のポイント=文化を進化するシステムとみなす点
 (生物進化論のツールを使える)
<2-1 利己的な複製子たち>

○進化=自己複製するシステム(生命)が累積的に変化していくこと
<2-3 老年期の役割>

○科学はどの価値が正しいのか直接答えを出せないが、
 議論のための共通の場を提供することはできる
<2-3 老年期の役割>

○(自然)選択のメカニズム=1:無方向の変異が生じる、
 2:選択が起こることで適応的な進化の方向が決定される、という二段階の過程
<3-1 伝えることの意味>

○ミーム概念の有効性は、定量的な記述や予測などではなく、
 比喩やアナロジーにもとづく問題発見能力にある
<あとがき>

この本をamazonで見ちゃう

2003 6/3
自然科学、進化論、ミーム論
まろまろヒット率3

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