まろまろ@城崎温泉にいってきました☆
さて、『城崎にて』志賀直哉著(角川書店『城の崎にて・小僧の神様』より)1954。
大けがをした自分は、温泉地の城崎で療養する。
三つの小さな命の死をかいま見た自分は、偶然に助かった自分を振り返る。
そして生と死の間にある隔たりの薄さを感じる・・・
・・・志賀直哉によって1917年に発表された心境小説(心情小説)。
前々から読んでみたいと思っていた10ページに満たないこの短編を、
今回は志賀直哉が実際に宿泊した旅館(三木屋)に同じように泊って、
志賀直哉が見ていた中庭を眺めながら読んでみた。
読んでみると、簡潔な文章の中に城崎の情景と心の動きが伝わってくるものだった。
特に印象に残ったのは、自分(志賀直哉)が生と死の間にある隔たりを感じる場面・・・
「生きている事と死んで了っている事と、それは両極ではなかった。それ程に差はないような気がした。
もうかなり暗かった。視覚は遠い灯を感ずるだけだった。」
・・・という箇所は、余韻を感じさせるものとして心に残った。
谷崎潤一郎が『文章読本』の中で例文として挙げているのも納得できる短編。
2009 8/22
小説
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