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出版社探訪 アーカイブ

2006年10月29日



ランダムハウス講談社

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続きはまた後ほど。

2006年10月25日



新教出版社

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続きはまた後ほど。

2006年10月16日



青土社

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青土社は、1969年に清水康雄が創立した出版社です。

会社創業と共に清水は、今でも同社の看板雑誌である「ユリイカ」を
創刊します。そもそも同社は「ユリイカ」を出版するために立ち上げられた
出版社で、元々1950年代に伊達得夫が1956年に創刊した現代詩と
芸術のクロスオーバー誌「ユリイカ」(1961年、伊達の死により廃刊)を
清水が復刊させたものが、現在の「ユリイカ」というわけです。
全く別の出版社から出版された「ユリイカ」ではありますが、その創刊号には
「復刊第一号」と銘打ってあり、そこには清水の伊達に対する強いシンパシーと
遺志を継がんとする強い意志が感じ取れます。

さて、その後同社は1973年に現代哲学・思想の専門誌である「現代思想」を、
1990年にはマインド・サイエンスの専門誌「imago」を創刊しますが、後者は残念
ながら1996年に休刊することとなります。とはいえ、人文科学関係者における
同社雑誌・書籍への支持の厚さは絶大なものがあり、同社への執筆陣の豪華さが
それを裏付けています。

㈱青土社
〒101-0051 千代田区神田神保町1-29
TEL 03-3292-7076 FAX 03-3294-7829
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2006年10月12日



三一書房

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三一書房は1945年、竹村一により京都で創業された出版社です。
1957年には本社を東京に移転し、現在に至ります。竹村は筋金入りの
マルクス主義者で、同社の刊行書籍は彼の思想を色濃く反映したマルクス主義的
なものや、反権力・反差別的な見地に立つものが多く見られます。

代表的な書籍としては、1958年に刊行され、数百万部を売り上げた五味川純平の
「戦争と人間」、「原価の秘密」「あぶない化粧品」などのベストセラーを生み出した
三一新書シリーズ、わいせつ物にあたるかどうか物議を醸した大島渚の「愛のコリ
ーダ」、そして「日本庶民生活史料集成」などがあります。


㈱三一書房
〒113-0033 東京都文京区本郷2-11-3
TEL 03-3812-3131 FAX 03-3812-5400
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2006年10月08日



学術図書出版社

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学術図書出版社は、1955年に設立された、大学、短期大学、高等学校などの
教科書を中心に刊行している出版社です。文科系・理科系の垣根無く、
多くの書籍を発刊していますが、特に数学・物理学関連の教科書・テキストが
多いのが特徴と言えます。

㈱学術図書出版社
〒113-0033 東京都文京区本郷5-4-6
TEL 03-3811-0889 FAX 03-3811-2464
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2006年10月01日



大月書店

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大月書店は、1946年に小林直衛らによって東京・有楽町に設立された出版社です。
小林の協力者としては、民主評論社の有賀新、マルクス・レーニン研究所の野坂参三
などがおり、これら協力者たちの陣容を見ても分かるように、同社は日本共産党や
マルクス主義に関連した書籍を刊行するために設立された出版社といえます。
同社で刊行された「マルクス・エンゲルス選集(上記のマルクス・レーニン研究所が編纂)」
「レーニン全集」などは、戦後多くの学生・研究者・労働者たちに読まれ、総発行部数は
300万部に及ぶと言われています。
また、同社のラインナップとして有名なものに「国民文庫」シリーズがあります。これは、
そもそも大月書店、三一書房、岩崎書店、理論社という(当時の)左翼系出版社が設立
した国民文庫社から刊行されていた文庫シリーズをそのまま承継したもので、
マルクス主義関連の文献を安価かつ手軽に提供し、読者の厚い支持を得ました。

現在もそうしたマルクス主義関連の書籍のほか、哲学書、歴史書、児童書などを刊行
しております。また、学校教員・学校職員の労働組合である全日本教職員組合(全教、
日本共産党との結びつきが深い)の機関運動誌である「月刊クレスコ」の発行もしています。

㈱大月書店
〒113-0033 東京都文京区本郷2-11-9
TEL 03-3813-4651FAX 03-3813-4656
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2006年09月20日



南山堂

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南山堂は、1901年に鈴木幹太により創立された医学関連書籍専門の出版社です。
同社は特に辞典ものに強みを持っていて、代表的なものとしては「南山堂医学大辞典」や
「医学英和大辞典」などがあります。

㈱南山堂
〒113-0034 東京都文京区湯島4-1-11
TEL 03-5689-7850 FAX 03-5689-7851
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2006年09月14日



山海堂

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山海堂は、1896年に来島正時が創業した出版社です。
元々は学習参考書の出版社として創業した同社ですが、昭和になり土木工学関連書の
刊行を始め、また軍事兵器などの機械工学書にも進出しました。戦後には自動車工学・
機械工学書なども手掛けるようになり、現在は理工学関連書を主体に年間約100点を発行
しています。とくに土木工学関連書については名実共にNo.1の出版社と言えます。
また、最近では趣味・実用書の分野も多く発行しております(鉄道関連のものなどが特に多い)。
刊行雑誌としては「土木施工」「エンジンテクノロジー」「ラリーエクスプレス」「F1モデリング」
「サイクルサウンズ」などがあります。

㈱山海堂
〒113-8430 東京都文京区本郷5-5-18
TEL 03-3816-1611 FAX 03-3816-1619
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2006年09月12日



工業調査会

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工業調査会は、1954年に創立された出版社です。数多くの技術系雑誌・
書籍を刊行しており、代表的な雑誌としては、元々は日本プラスチック工業連盟の
機関誌として1950年に創刊した「プラスチックス」、1957年に創刊された「機械と工具」、
1959年創刊の「化学装置」、1962年創刊の「電子材料」、1982年創刊の「M&E」
があります。
また、書籍分野でも理工学専門書を中心に多くのものがあり、「Kブックス」
「ビギナーズ」「ビジネス最前線」の各シリーズのほか、技術辞典やテキスト類も
数多くのものを刊行しています。

㈱工業調査会
〒113-0033 東京都文京区本郷2-14-7
TEL 03-3817-4701 FAX 03-3817-4748
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2006年09月10日



マキノ出版

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マキノ出版は、講談社で少年マガジン、週刊現代の編集長を務めた牧野武朗が、
1977年に創業した出版社です。その経緯もあり、同社は講談社との関連が深く、
1996年まで「壮快」の営業業務は講談社が行っていました。

牧野は講談社を退社後、まずマイヘルス社を1974年に立ち上げ、
月刊誌「壮快」を立ち上げます。そして3年後、それが軌道に乗ったのを見て、
関連会社としてマキノ出版を創立、健康書シリーズ「ビタミン文庫」などを
刊行します。そして1983年、同社を代表する雑誌である「安心」を創刊。
健康ブームに乗って、刊行された書籍・雑誌群は好調な売れ行きを推移し、
1995年にはより広い購読者層を狙った「ゆほびか」を創刊しました。
その後も、健康・ダイエット・ヒーリングなど、一般読者の生活に密着した
視点での書籍・雑誌を刊行し続けています。

なお、牧野武朗は1989年にわかさ出版を立ち上げ、「わかさ」「夢21」などの
雑誌を刊行しております。

㈱マキノ出版
〒113-8560 東京都文京区湯島2-31-8
TEL 03-3813-8603 FAX 03-3813-1714
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2006年09月06日



養賢堂

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養賢堂は、及川伍三治により1914年に創立された出版社。
主に農学、自然科学、工学関連の書籍を多数出版しています。
1926年に創刊された「農業および園芸」をはじめ、「畜産の研究」
「機械の研究」などの雑誌でも著名です。

ちなみにこの「養賢堂」という名前、仙台の伊達藩にあった藩校の名前から
とったものです(現在の東北大学医学部)。

㈱養賢堂
〒113-0033 東京都文京区本郷5-30-15
TEL 03-3814-0911 FAX FAX 03-3812-2615
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2006年09月01日



誠文堂新光社

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誠文堂新光社は、実用・趣味書を幅広く手がける老舗出版社です。
この会社は、その名の通り「誠文堂」と「新光社」が合併し、誕生した会社です。

1912年、出版物の販売取次会社「誠文堂」を、創業者である小川菊松が設立します。
この会社は当初、販売取次業のみを行っておりましたが、小川の出版業への夢は
断ちがたく、翌1913年には出版業に進出することとなります。
ちなみに、処女出版作は渋川玄耳の「わがまま」という書籍でした。

その後、誠文堂は1918年に刊行した「社交要決ー是丈は心得おくべしー」(加藤美倫:著)
が大ベストセラーになり、業界に地歩を築きあげます。これは、現在の同社の
「趣味・実用書の老舗」というカラーの原点となった一冊とも言えます。
そして、1921年に「商業界」、1924年に「無線と実験」「子供の科学」と、矢継ぎ早に
新雑誌を創刊、1935年には経営危機に陥っていた別の出版社「新光社」を吸収合併、
株式会社誠文堂新光社となりました。

第二次世界大戦後は、累計360万部というベストセラー記録を打ち立てた
「日米会話手帳」をはじめとして、実用・趣味書の分野でいくつもの良書を刊行し、
現在に至ります。また、雑誌も「無線と実験」「子供の科学」をはじめ、「天文ガイド」
「趣味の園芸」「囲碁」「愛犬の友」「アイデア」などが、長期にわたり刊行され続けて
います。

㈱誠文堂新光社〒113-0033 文京区本郷3-3-11
TEL 03-5800-5775 FAX 03-5800-5773
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2006年08月31日



青林書院

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青林書院は、社会科学系の書籍を刊行する専門出版社。中でも法律学関連の
図書については、日本有数の名門出版社と言えます。
1954年に設立された同社は、一時(1961~1984年)青林書院新社と名称を変更しますが、
1985年に再び青林書院に改称し、現在に至ります。
同社の代表的な書籍として、「現代法律学全集」「新・裁判実務体系」「新・青林法律相談」
「大コメンタール刑法」などがあります。
学術向けの書籍や全集は勿論(特に「現代法律学全集」は名全集との誉れが高い)のこと、
一般向けの暮らしに密接した、ある程度わかりやすい法律解説書の刊行が多いのが特徴的
と言えます。
なお、その社名は哲学者で当時学習院の院長でもあった阿部能成氏により名付けられたものです。

㈱青林書院
〒113-0033 東京都文京区本郷6-4-7
TEL 03-3815-5897 FAX 03-3814-1316
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2006年08月30日



郁文堂

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郁文堂は、1899年に大井久五郎により設立された出版社です。
設立当初は郁文堂書店という社名でドイツ語学書の出版を専門に行っていましたが、
大正期より語学書以外の出版物にも取り組み、「独和対訳小品集」「独逸語論説文庫」
などのシリーズを刊行。ハイネ、ゲーテ、アンデルセン、ショーペンハウエル、シュトルムなど
ドイツ語圏の作家たちの名作群を精力的に世に送り出しました。
(※アンデルセンはデンマーク人ですが、彼の作品はドイツでまず認められ、ドイツ語を
通じて全世界へと知られるようになったため、郁文堂でも著作の刊行がありました)

現在でもドイツ語の教科書、参考書、辞書、ドイツ文学の研究書を中心に刊行して
いるほか、ドイツ語原書の取扱いも行っています。
また、英語の参考書や海外のトラベルガイドなども出していますが、それでもやはり
「ドイツ語学書の出版社」というイメージが強くあります。
学会誌「ドイツ文学」を刊行している日本独文学会が一時期事務局を同社内に
設けていたりもしていました。

ちなみに郁文堂の現社屋は大正12年に銀行として建てられたものです。重厚で
なかなか趣のある建築で必見です。出版社探訪の際に、是非ご覧になって下さい。

㈱郁文堂
〒113-0033 文京区本郷5-30-21
TEL 03-3814-5571 FAX 03-3814-5576
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2006年08月19日



山川出版社

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山川出版社は、1948年8月に設立された会社です。
同社は歴史書、歴史教科書に特に強みを見せており、
「世界歴史大系」全19巻、「日本歴史大系〈普及版〉」全18巻、
「新版世界各国史」全28巻、「新版県史」全47巻、「新全国歴史散歩
シリーズ」全47巻、「世界史リブレット」全56巻 など、歴史学の
研究者たちに絶大な支持を得る書籍群を刊行しており、1997年10月には
日本史の総合辞典「日本史広辞典」を刊行しています。

㈱山川出版社
〒101-0047 東京都千代田区内神田1-13-13
TEL 03-3293-8131 FAX 03-3292-6469
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2006年08月12日



塙書房

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塙書房は、1946年に発足した出版社。
古代史、万葉集の研究書を中心に刊行しています。

著名な書籍として村瀬憲夫「万葉びとのまなざし」、上野誠「万葉びとの生活空間」、
加藤静雄「万葉あずまうたの世界」などがあります。また塙新書シリーズも有名です。

ちなみに会社所在地の本郷6丁目はちょうど東京大学の西側の地域で、
以前取り上げた学会出版センターのほか、信山社出版青林書院同友館などの
古参の出版社が多く居を構えております。それらもいずれ紹介する予定です。


㈱塙書房
〒113-0033 東京都文京区本郷6-8-16
TEL 03-3812-5821 FAX 03-3811-0617
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学会出版センター

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学会出版センターは、本郷にある出版社。
生化学、生物物理学、動物学、微生物学などに関する書籍のほか、
季刊の雑誌「科学総説」や「人と学問」シリーズなどを刊行しています。
社屋が東大の正門の目の前にあることでも有名です。

ちなみに、ご近所の出版社としては、もう少し東大の赤門寄りに
ドイツ語関連の書籍でお馴染み(管理人もお世話になりました)の郁文堂があります。
また、本郷郵便局の脇の道を入ったところには、農学・工学書の名門出版社である
養賢堂、そして以前紹介した医学書院の本社ビルや角川学芸出版の入る
角川本郷ビルも至近距離にあったりして、この辺りはまさに出版社探訪に最適です。
興味のある方は、夏の日暮れ時など、ぶらっとするといいかもしれません。

㈱学会出版センター
〒113-0033 東京都文京区本郷6-2-10
TEL03-3814-2001 FAX 03-3814-2002
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2006年07月25日



吉川弘文館

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吉川弘文館は、1857(安政4)年創業。現存する出版社の中で
最も長い歴史を誇ります。

1857年、創業者の吉川半七は奉公していた玉養堂から独立し、
書物の仲買業を始めます。その後、1863年に姉の嫁ぎ先である
貸本屋の近江屋嘉兵衛を継ぎ、近江屋半七と名乗り始めます。

1870年、吉川は京橋に新しい店舗・吉川書房を開店します。この
書店は和漢書から西洋の翻訳書に至るまで取り揃えた総合書店であり、
階上には「来読貸観所」という名の書物展覧所(有料)を設け、
広く内外の書籍を集め、紹介しました。これは、今で言う図書館の
はしりのようなものです。

1877年に吉川書房は出版業に進出。
田口卯吉の企画により編纂された「国史大系」全33巻、「古事類苑」普及版
全51巻などの大著作を得意としていました。また、近代的な国語辞書の
パイオニアである「言海」も、ここから刊行されました。

その後、1949年に株式会社に改組して再発足。今でも「人物叢書」シリーズや
「新訂増補国史大系」など、日本史、考古学の専門家を唸らせる良書を
刊行し続けています。

㈱吉川弘文館
〒113-0033 東京都文京区本郷7-2-8
TEL 03-3813-9151 FAX 03-3812-3544
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2006年07月24日



みすず書房

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みすず書房は1945年12月に創業した出版社です。みすずの名は、
万葉の時代から歌に詠み継がれて来た、信濃にかかる枕詞
「みすず刈る」から来たものです。はじめは「美篶書房」と
漢字で表記されていました。

その社名の由来の通り、同社は長野県出身の3人(小尾俊人、
山崎六郎、清水文男)によって創業された会社です。3人は、もともと
1939年に「宮沢賢治名作選」を刊行し、宮沢賢治を世に出したことで有名な
羽田書店で働いていました。ちなみに羽田書店の創業者は羽田武嗣郎、
元総理大臣の羽田孜氏の父親です。

彼ら3人は羽田書店に在籍中に徴兵されてしまいますが、終戦後に再会し、
同社を立ち上げます。当時、日本や英米の有名な作家はすでに
他の大手出版社から多くの書籍が刊行されていたこともあり、同社は
英国以外のヨーロッパの書籍を日本に紹介することに注力することになります。
そのため創業当初から現在に至るまで、フランス語、ドイツ語書籍からの
翻訳書の割合が多く、同社の大きな特徴となっております。

処女出版は片山敏彦の「詩心の風光」。有名な刊行書籍としては、
「ロマン・ロラン全集」やフランクルの「夜と霧」、『ゾルゲ事件』で
有名な「現代史資料」などがあります。
ちなみに、管理人もかなりお世話になった出版社です。

㈱みすず書房
〒113-0033 東京都文京区本郷5-32-21
TEL 03-3815-9181 FAX 03-3818-6435
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2006年07月23日



南江堂

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南江堂は、1879年創業の医学・薬学書専門の出版社。
130年近くの歴史を誇る、まさに老舗中の老舗と言えます。

創立者は小立鉦四郎。彼は西南戦争に従軍巡査として参戦するのですが、
その時、傷や疾病に苦しむ兵士達の姿を目の当たりにし、医学の重要性を
悟ることとなります。

その後、小立は烏森の書店の2階に下宿しますが、そこで階下の書店の
仕事を見ているうちに書店経営に興味を覚え、医学書専門の書店を
立ち上げてみてはどうだろう、と思い至ります。
そして彼は1879年、本郷に医学・薬学の専門書店である南江堂を創業します。
ちなみに南江とは、彼の故郷である小田原の相模湾にちなんだものです。

当初は厳しい経営が続きますが、次第に東京帝大の医学生が通いつめる
ようになり、また私立の医学校の設立が相次いだこともあり、経営は
年を追うごとに上向きになってきます。また、洋書の輸出入も当たりました。

そして1888年、小立は遂に出版業に進出します。「臨床医典」「新撰解剖
学」「薬物学」などの医学・薬学関連書を次々と刊行し、業界での地歩を
固めていきます。また、洋書の輸出入も継続しており、ドイツの有名な文庫
「レクラム文庫」の輸入も開始しています。ちなみに、岩波書店の岩波文庫
は、このレクラム文庫を模範にして企画されたものです。

その後、現在に至るまで同社は医学・薬学書において良書を
刊行し続けているほか、戦前より続いている「外科」など、
多くの専門雑誌でも有名です。

㈱南江堂
〒113-8410 東京都文京区本郷3-42-6
TEL 03-3811-7140 FAX 03-3811-7265
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2006年07月21日



医学書院と金原出版

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医学書院と金原出版。
どちらも本郷三丁目に居を構える、医学書の名門出版社です。
なぜ、今回は一緒に取り上げるのか?と言うと、実はこの両社、
戦前までは同じ会社だったんですね。

両社の創業は、1875年にまでさかのぼります。
創業者の金原寅作は1875年、本郷に金原質店を開業します。
これは開業場所と店名から容易に推測がつきますが、
東京帝国大学(現・東京大学)の学生・研究者などを対象にした質屋でした。
商売は比較的早くから軌道に乗り始めるのですが、場所柄か質草として納められる
ものとして医学書・洋書が非常に多く、それに気づいた寅作は医学書を専門とした
売買を行おうと思い至ります。
そうして同年、金原医籍店を開業することとなります。

この金原医籍店も経営は順調で、またこの医籍店の開業により帝大の研究者や
学生たちとの交流も増え、寅作は次第に彼らの信任を獲得していきます。

そして1881年、ドイツ医書の輸入業も成功を収めた寅作は、遂に出版業への
進出を図ります。1881年の「祥約薬物学」をはじめ「ハイツマン解剖書」
「ベルツ医学書」などを次々と刊行し、すぐに医学書出版の世界において
大きな存在感を示すこととなりました。

この出版業の成功の要因としては、やはり寅作が営んでいた医籍店、質店で培った
帝大の研究者・学生とのつながりが大きいと言えます。特に、学生時代に寅作に
世話になった学生達はみな出世し、後に医学界の重鎮となる者も多く、そうした
人々とのネットワークを確保していたことがかなりの強みとなったのは
間違いないでしょう。

その後寅作は本郷貯蔵銀行の経営頓挫などによる心労がたたり、1908年に
逝去しますが、その妻・鋳と4人の息子により、金原商店
(医籍店と質店が合併し、寅作死去前に同名の合資会社に改組)は
より一層の繁栄を謳歌することとなります。

しかし1944年、第二次世界大戦下の企業整備令により、
金原商店は書籍出版部門と雑誌出版部門に分割の上、同業他社との合併を
強いられることとなります。
これにより、書籍出版部門は日本医書出版㈱に、
雑誌出版部門は日本医学雑誌㈱になってしまいました。
このとき、鋳の次男・一郎が日本医学雑誌㈱に、三男の二郎が
日本医書出版㈱においてそれぞれ筆頭常務となっています。

そして終戦後、日本医学雑誌㈱は1950年に改組して㈱医学書院に、
そして日本医書出版㈱は1953年に改組して㈱金原出版になり、
今に至ります。

歴史を見てもわかるように、両社は純然たる兄弟会社といえます。
そういえば、両社とも社長さんが現在でも金原氏ですね。
お気付きの方も多いでしょうが(笑)

㈱医学書院
〒113‐8719 東京都文京区本郷5‐24‐3
TEL 03-3817-5600 FAX
地図

㈱金原出版
〒113-8687 東京都文京区湯島2‐31‐14
TEL 03-3811-7184 FAX 03-3813-0288
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2006年07月15日



帝国書院

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帝国書院は、1917年に地理学者の守屋荒美雄によって創立されました。
守屋は中学校・高等女学校・師範学校向けの地理向けの教科書を
生涯で160冊以上も著すほど著述に熱心で、遂には自分で会社を興し、
自ら販売をしようと思い立ちます。それが会社設立の発端です。
なお、守屋はもともと獨逸学協会学校(現・獨協大学)の地理教員であり、
1924年に関東商業学校(現・関東第一高校)を、1938年には帝国第一高等
女学校(現・吉祥女子高校)をそれぞれ創立しています。

業績は創業当初から好調に推移し、1926年には旧制中等学校用の地理教科書
と地図帳の発行部数は過去最高となり、業界トップとなります。
それ以降も、現在まで中学・高校での地理教科書・地図帳においては
業界トップであり続けているほか、近年では地理以外の地理・歴史・公民
の教科書においてもシェアを拡大しております。
また、一般ユーザ向けの地球儀や地図帳なども販売しております。

㈱帝国書院
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町3-29
TEL 03-3262-0834 FAX 03-3262-7770
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有斐閣

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有斐閣の創業は1877年。創業当初の社名は有史閣という名で、もともとは
古本を扱う書店として出発し、2年後に有斐閣と社名を改め、出版業に
進出しました。その創業者の名は江草斧太郎と言います。

江草は面倒見の良い、なかなか太っ腹な人物だったようで、有史閣に
やって来る苦学生たちの世話を商売度外視で買って出たりしていました。
例えば、非常に高名な法律家であった江木衷もかつて江草に面倒を見て
もらった一人で、その恩義に報いようと思った彼は、後に自著
『法律解釈学』を有斐閣より発行することになります。
そして、続いて江木が執筆した『現行刑法汎論』(1887年刊)、『現行刑法
各論』(1888年刊)はそれぞれかなりの売れ行きを示し、これにより、
有斐閣は出版界での地歩を固めることとなります。
まさに「情けは人の為ならず」ですね。

その後も、社会科学の分野においてメルクマール的な意味を持つ良書を
刊行し続けています。代表的な物としては、天皇機関説により戦前に一度
発禁処分となった美濃部達吉の『憲法撮要』、1957年に創業80周年を記念
して刊行された『法律学全集全60巻』、1964年より刊行の『注釈民法』など
があります。また『六法全書』『社会学辞典』なども非常に有名ですね。
雑誌も『ジュリスト』『別冊ジュリスト(判例百選シリーズ)』『法学教室』
など多数あり、学生・専門家・研究者などから厚い支持を得ています。

㈱有斐閣
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-17
TEL 03-3264-1312 FAX 03-3264-5030
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日本文芸社

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日本文芸社は1959年に創業された中堅出版社。
一般書、実用書を中心に様々なジャンルの雑誌・書籍を発行していますが、
漫画では『ミナミの帝王』や『ザ・シェフ』などが連載されている
「漫画ゴラク」が非常に有名ですね。
また、一般書籍に関しても競馬・麻雀・パチンコなどのギャンブルや
風俗関連、極道・アウトロー関連など、壮年の男性層の興味をそそる内容の
ものが多いように見受けられ、大きな特徴と言えます。

と思ったら、ボーイズラブ系のコミック雑誌「花恋」や占星術、イラスト
ロジック、はたまた資格関連書など、結構多岐にわたる分野の書籍を
刊行しておりますね。あらら・・・勝手なイメージだけで語ってすみませんでした(苦笑)

㈱日本文芸社
〒101-8407 東京都千代田区神田神保町1-7 NSEビル
TEL 03-3294-8931 FAX 03-3294-8923
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2006年07月14日



日貿出版社

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日貿出版社は、書籍の輸出入業を営む日本出版貿易(「Nature」の
国内取扱い代理店としても有名ですね)の出版部門から発展して
生まれた会社です。創立は1966年のことです。
出版貿易会社の関連会社ということで、その発行の中心は当初、
和書の英訳本(海外向け)がメインだったのですが、円高などの
影響もあり、徐々に独自企画の国内向け書籍の点数が増加して
きます。特に、1971年の「墨絵の技法」、1972年の「仏像彫刻の
すすめ」などが堅調な売れ行きを示したことにより、絵画、仏教、
彫刻、書道などの日本美術関連の書籍に注力するようになり、
現在では発行書籍の中心となっています。

㈱日貿出版社
〒101-0064 東京都千代田区猿楽町1-2-2 日貿ビル5F
TEL 03-3295-8411 FAX 03-3295-8416
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2006年07月12日



中央経済社

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中央経済社は1948年10月に創立されました。設立当初から、
企業の会計・税務を中心とした社会科学関連の書籍を中心に刊行しており、
今でも発行書籍の中心は、弁護士・会計士や企業の会計担当者、
会計学を専攻する大学の研究者向けの書籍・雑誌です。しかし、現在では
それだけでなく、経済・法律など他の社会科学関連の書籍も多数刊行して
おります。
なお、出版社としてはとても珍しく、1997年にはジャスダック市場へ
上場を果たしています。

㈱中央経済社
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-31-2
TEL 03-3293-3371FAX 03-3293-3370
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2006年07月10日



実業之日本社

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実業之日本社は、1897年に創立された歴史ある出版社です。
創業者である光岡威一郎は東京専門学校(現・早稲田大学)の出身。
彼は帝国実業の発達振興を図るべく大日本実業学会を立ち上げ、
雑誌「実業之日本」を創刊します。創刊当初の雑誌のコンセプトは、
当時台頭しつつあったプチブルな実業家向けの経済情報誌、
という感じでしょうか。

しかし間もなく光岡は健康を害し、同社の経営権と出版権を同窓の増田義一
に譲ることになります。増田は1900年実業之日本社を設立。
「実業之日本」は経済雑誌として成長していくことになります。

また、1906年には雑誌「婦人世界」を創刊、これまでの出版流通にはなかった
委託出版制を導入し、あっという間に日本一の部数を誇る雑誌へと成長します。
この雑誌を刷るために、印刷会社の秀英舎は日本初の活版輪転機を購入した、
なんてエピソードもあります。ちなみに、秀英舎は現在の大日本印刷です。

その後、1909年にはあの新渡戸稲造を編集顧問に迎えたりもしています。

その間に「実業之日本」も雑誌の性格を徐々に変えていき、立身出世を
果たした実業家のサクセスストーリーやそのノウハウなどがその誌面の中心
になってきます。より実利的な、ハウツー雑誌に転換した、ということですね。
そういう雑誌は今でこそ青春出版社の「BIG TOMORROW」くらいになってしま
いましたが、昔の経済誌はそういう性格のものが多かったのも事実です。

その「実業之日本」ですが、2002年に惜しまれつつ休刊してしまいました。
末期には「実業の日本JN」なんて名前になったりもしていましたね。
とにもかくにも出版社の名前を冠した雑誌の休刊は寂しいものです。
それ以降、何となくあまり元気が無い印象もある同社です(失礼・・・)が、
今後も良書を出し続けて頑張って欲しいですね。

㈱実業之日本社
〒104-8233 東京都中央区銀座1-3-9
TEL 03-3562-1021 FAX 03-3562-4313
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※なお、この項は大東文化大学・中村宗悦教授のサイト内の日記
「大教室のMONOLOGUE」(2002年1月23日付)を参考文献として使用させて頂いております。

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2006年07月06日



法研

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法研は、主に社会保障・福祉関連の雑誌・書籍を発行する出版社。
1947年2月の月刊誌「社会保険情報」を皮切りに、数々の専門誌を
創刊、今では社会保障・福祉の分野における専門出版社として、
確固たる地位を確立しています。
同社の雑誌は当初、業界関係者に直接送り届ける直販方式のみで
販売しており、いわゆる取次ぎ→書店という販売ルートに参入したのは
1992年とやや遅め。しかし、今では健康関連の一般書もかなりの数を
刊行しています。とはいえ、雑誌に関しては今でも直販が主流。
ま、同社に限らず、いわゆる特定業界向けの専門誌というものは
直販が主流のものがほとんどですが。

さて、最近の同社は「脱・出版社」を標榜しており、健保組合のホーム
ページ作成、セミナーの開催、企業向けのコンサルティング、一般向けの
健康相談事業など、紙媒体にとらわれない数々の事業を展開しています。
今や社会保障・福祉関連の総合情報プロバイダー、と言った趣ですね。

なお、似たような事業展開をしている出版社に保健同人社があります。
というか、実はやっていることが"もろかぶり"ですね。
保健同人社はリクルートが33%株式を取得し、てこ入れが図られるようです
ので、今後は同社についても要注目です。

㈱法研
〒104-8104 東京都中央区銀座1-10-1
TEL 03-3562-3611 FAX 03-3562-3890
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2006年07月04日



岩崎書店

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岩崎書店は児童書・絵本を中心とした出版社。
前身は慶応書房という出版社で、1934年に岩崎徹太により創立されました。
慶応書房時代は現在とは異なり、経済学・政治学の書籍の出版が主だった
ようで、児童書・絵本の分野に進出するのは戦後になってからです。

現在は児童書・絵本専業の出版社として老舗の地位を確立。
「ラブ・ユー・フォーエバー」「モチモチの木」などのロングセラー本を
多数抱えるほか、最近では「デルトラ・クエスト」のヒットが印象的です。
あの派手な表紙は少年・少女向けとしてはどうかと思ったもんですが・・・、
ま、そんなことはいいか。
僕らの世代では岩崎書店というと「はれときどきぶた」ですかね。アニメ
にもなりましたし。

ちなみに所在地は文京区水道。凸版のどでかいビル(トッパンホール併設)の
裏になります。凸版のビルには印刷博物館があり、また近くにはトーハン
本社(古めかしいビルです)や海文堂出版などもありますので、この辺りを
ぶらりと散歩するのもオツなものです。

㈱岩崎書店
〒112-0005 東京都文京区水道1-9-2 I&Iビル
TEL 03-3812-9131 FAX 03-3816-6033
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