青年期以降に自閉スペクトラム症 (Autism Spectrum Disorder, ASD) と診断された人のために書かれたコミュニケーション手引書。
図解が多くて読みやすいものの、根拠となる参照資料が載っていないため、どこまでの信頼性があるか確認できないことに不安を感じた。
ただ、監修者自身による臨床事例として…
医者は70%の力で診断する
→100%にこだわると治療が手遅れになることがあるから
…と、完璧主義になりやすいASDの患者に説明するというのは、説得力があった。
<Doctor`s VOICE: 世のなかは70%理論で回っている>
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2024 7/24
ASD、発達障害、発達神経症、精神障害
まろまろヒット率2
千住淳 『自閉症スペクトラムとは何か: ひとの「関わり」の謎に挑む』 筑摩書房 2014
基礎研究者が書いた自閉症スペクトラム (Autism Spectrum Disorder, ASD) の解説書。
ASDの基礎研究の過程と成果の解説に加えて、それらを通して、「その他大勢」 (定型発達者) がどのように他者や社会を認識して関わっているのかについてを考察している。
読んでみると、当事者でも、治療者でもない、基礎研究者としての立場を明確にしながら、丁寧に解説している姿勢に好感を覚えた。
内容も、「なるほど」と思うところも多く、たとえば、ASDを含む発達障害をどのように捉えているかは、文化や社会によって差があることについて…
韓国では、他の国でASDと診断される人が、「反応性愛着障害」という診断を受けることが多い
→家族の名誉を重要視する文化が背景となり、かつてあった「冷蔵庫母親説」の悲劇が繰り返されている可能性がある
<第8章 社会との関わりからみる自閉症>
…と指摘しているところは、主人公をASDに設定した韓国ドラマの『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』 (2022年) が、「韓国では画期的なこと」と話題になった理由が初めて理解できた。
以下、チェックした箇所 (一部要約含む) …
☆障害=その他大勢の人たちとの違いによって学業や就労、日常生活に制限が出てくる状態
→障害物競走のハードルのようなもの
→絶対的なものではなく、個人と社会との関係によって決まっている
→個性と障害の境目は曖昧であり、社会的、文化的な背景を抜きにして考えることはできない
<第1章 発達障害とは何か>
☆発達障害 (ハードル) の支援プロセス
1: 個人に働きかける方法=ハードルを乗り越えたり、避けたりする練習
2: 環境に働きかける方法=ハードルを低くしたり、横によけたりする措置
<第1章 発達障害とは何か>
〇ギリシア語のautos (英語のauto) が語源のAutismが日本で「自閉」と訳された経緯はよく分からないが、語感としては「Autism」よりも「Autistic wihdrawal」に近い
→海外では100年前 、日本では70年前の医学の知識に基づいた訳語なので現在の理解とずれてくるのは仕方がない
<第2章 自閉症スペクトラム障害とは何か>
☆診断はレッテル貼りをするためでなく、本人への有効な支援を選ぶためにある
→本人や家族に「医者に何とかしてほしい」と思う状態 (愁訴) がない場合は、診断を受けることはない
<第2章 自閉症スペクトラム障害とは何か>
〇ASDの2つの行動特徴
1: 対人コミュニケーションや対人行動の困難さ
2: 限局的・反復的な行動や興味のパターン (こだわり・常同行動)
<第2章 自閉症スペクトラム障害とは何か>
〇伝統的に、日本の精神医学や心理学の世界では、海外で行われている研究結果を「輸入」するとき、日本の文化に合わせた調整をうまくやっている
→もともと優れた研究や臨床の蓄積があることが、「輸入」をスムーズに行うことのできる理由の一つ
<第8章 社会との関わりからみる自閉症>
〇ASDを含めた発達障害と関わるうえでは、治療や介入といった視点だけでなく、「異文化コミュニケーション」の視点が、今後ますます重要になってくる
<第9章 自閉症という「鏡」に映るもの>
☆ASDを含めた発達障害の研究は、定型発達者が抱えている「常識」を疑い、人間とは何か、人間社会とは何かについて考え直すきっかけになる
<第9章 自閉症という「鏡」に映るもの>
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2024 7/12
ASD、発達障害、発達神経症、精神障害
まろまろヒット率4
井上真偽 『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』 講談社 2018
聖女伝説が残る地域での結婚式で、不可解な事件が起こった。
奇蹟の存在を証明しようとする探偵・上苙丞の関係者は、その事件に巻き込まれていく…
可能性(仮説)と反証(その否定)を中心にしたミステリー小説、『その可能性はすでに考えた』シリーズ。
前作『その可能性はすでに考えた』同様、論理性の戦いという点や、思わぬ展開という点が面白い。
ただ、今作は読んでいて、まどろっこしさを感じる部分が何度かあったことや、余韻の良さは前作の方が良かったと感じた。
ちなみに、前作同様、今作でも探偵・上苙丞の言動や不合理な行動原理(彼の場合は奇蹟を信じる)などは、自分を投影してしまった。
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2024 7/1
ミステリー小説
まろまろヒット率3
齋藤孝監修 『強くしなやかなこころを育てる! こども孫子の兵法』 日本図書センター 2016
『新訂 孫子』などから、孫子の言葉を、子供が読んでも分かるように解説した一冊。
個人的にはこれまで、『孫子の兵法がわかる本』、『図解「孫子の兵法」を身につける本』、『逃げる「孫子」―他を凌駕する“兵法”の原点とは』、などを読んできたけど、児童書になっているのは驚いた。
以前読んだ、同じシリーズの児童書版『君主論』と同じく、生々しさを子供向けに翻訳する挑戦に感銘を受けた。
特に、以下の2つは、孫子が大切にした考えだろうと想像して、印象に残った。
◯相手のことも自分のことも知っていれば、何回戦っても負ける心配はない。
相手のことを知らないで、自分のことだけわかっていたら、勝てる可能性は半分くらい。
相手のことも自分のことも知らなければ、必ず負けてしまうよ。
<彼れを知りて己をしれば、百戦して殆うからず。彼れを知らずして己を知れば、一戦一負す。彼れを知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。>
◯100回戦って100回勝つより、戦わないで勝つほうが本当にすごいこと。
<百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。>
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2024 6/13
児童書、戦略論、諸子百家
まろまろヒット率3
齋藤孝監修 『悩きびしい社会を生き抜く人になる! こども君主論』 日本図書センター 2017
『新約 君主論』、『君主論』 (既読) などから、マキアヴェッリ (マキャベリ) の『君主論』の言葉を、子供が読んでも分かるように解説した一冊。
まず、「学校でおそわることのない”世の中のホント”がたくさんつまっています!」と、監修者が帯に書いているように、『君主論』を児童書としたことに斬新さを感じた。
個人的にも、これまで『君主論』や『マキアヴェッリ語録』を読んできたので、この帯を見た時は「そりゃ日本の学校教育では教えんやろ」と感じた。
これは、この本の「おわりに」の後に、「おとなのみなさんへ」として、監修者が…
「お子さんを取り巻く環境は、おとなと同じようにきびしさにあふれています」
「おとなはもっとこどもを信じて”世の中のホント”を知らせてもいいのではないか」
…と、述べていることから、あえて挑戦した意図がうかがわれる。
特に、以下の2つは、マキアヴェッリが大切にした考えだろうと想像して、印象に残った。
◯やさしさときびしさは、バランスがたいせつ。愛されながら恐れられる存在になろう。
<(新しい君主に必要なことは、) 民衆から愛されるとともに恐れられること、…厳格であると同時に、丁重で寛大で、闊達であること、…>
◯運命だって、自分しだい!ふりまわされず、思い描いた未来を手に入れよう!
<かりに運命が人間活動の半分を、思いのままに裁定しえたとしても、少なくともあとの半分か、半分近くは、運命がわれわれの支配にまかせてくれている…>
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2024 6/11
児童書、哲学、思想、政治学、マキャベリズム
まろまろヒット率3
齋藤孝監修 『悩みや不安にふりまわされない! こどもブッダのことば』 日本図書センター 2017
『ブッダの真理のことば感興のことば』、『ブッダのことば スッタニパータ』、『仏道入門 四十二章経を読む』などから、ブッダのものとされる言葉を、子供が読んでも分かるように解説した一冊。
特に以下の2つは、ブッダ (ガウタマ・シッダールタ) が大切にした考えだろうと想像して、印象に残った。
◯気持ちがつらくなったら「これは自分のもの」というこだわりを、いったん捨ててみよう。
<「これはわがものである」また「これは他人のものである」というような思いが何も存在しない人 (そうした人は) 「われになし」といって悲しむことがない。>
◯「生きる」と「苦しい」はセットだと知ること。それがしあわせのスタートだよ。
<「一切の形成されたものは苦しみである」 (一切皆苦) と明らかな智慧をもって観るとき、ひとは苦しみから遠ざかり離れる。>
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2024 6/8
児童書、仏教
まろまろヒット率3
石持浅海 『扉は閉ざされたまま』 祥伝社 2008
偽装を続けたい犯人と、真相に迫る人物との頭脳戦が始まる…
題名の通り、「扉は閉ざされたまま」、密室は開けられずに、推理が進むのが特徴のミステリー小説。
設定の面白さを感じたものの、登場人物があまり魅力的には感じられなかったので、思っていたよりも没頭感はなかった。
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2024 6/6
ミステリー小説
まろまろヒット率3
井上真偽 『その可能性はすでに考えた』 講談社 2018
不可解な事件の真相はいったい何だったのか、どうすればそのような可能性がありうるのか。
様々な登場人物が、その可能性を仮説を立て、探偵・上苙丞は「その可能性はすでに考えた」と反証していくが…
可能性(仮説)と反証(その否定)を中心にしたミステリー小説。
論理性の戦いというところに面白さを感じた。
また、最後に探偵・上苙丞が立てた仮説が一番心が暖まるものというのも、印象に残った。
ちなみに、探偵・上苙丞の言動や不合理な行動原理(彼の場合は奇蹟を信じる)など、まるで自分を見ているような感覚になった。
あまりに似ているので、探偵・上苙丞が思考する際の癖である「憂思黙想(ブラウンスタディ=Brown Study)」※を自分もするようになった。
ちょっと影響を受けてしまった一冊。
※:右手で片目を防ぐ=片目を塞ぐのは不要なものを見ないため、片目を開けたままなのは見えざるものを捉えるため。
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2024 6/1
ミステリー小説
まろまろヒット率4
森博嗣 『すべてがFになる』 講談社 1998
天才研究者に会おうと、主人公たちは孤島にある研究所に行くが、そこで思わぬ事件に巻き込まれていく…
ミステリー小説。
読んでみると、後半部分の主人公と犯人との静かな対話が緊張感があり、楽しかった。
ただ、勝手な期待なことは承知だけど、素材が揃っているだけに、もう少し頭脳戦を見たかった。
ちなみに、主人公たちが所属するN大学は、僕も働いたことがあるので親近感を感じた。
大学図書館の構造も、「そういえば、こんな感じだった…」と懐かしく思い出された。
2024 5/16
推理小説
まろまろヒット率3
高橋悠 『改訂版 就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)事業所運営・管理ハンドブック』 日本法令 2021
就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)の運営・管理のガイドブック。
福祉事業は、不慣れな自分にとっては複雑な制度に思えるので、一つずつ理解しようとして手に取った一冊。
特に、「第2章 日本の障害福祉の変遷と障害福祉サービス事業の制度について」は、頻繁に改正されてきた福祉関連の制度趣旨が時系列で説明されていて、概要を理解するにの役立った。
また、就労継続支援A型のスコア方式に、「(3)多様な働き型-②外部研修会等への講師派遣、学会等での研究発表又は実践報告の実施状況」が明記されているのは、各事業所の活動を蓄積して共有していこうとする意図が感じられた。
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2024 5/8
福祉事業、就労移行支援、就労継続支援
まろまろヒット率3