九鬼周造 『「いき」の構造』 講談社 2003

西洋哲学を土台にして、日本の「いき (粋、イキ) 」 の構造を明らかにしようと試みた一冊。

これまでの自分の人生を振り返った時に、転換点や大きな局面では、無意識のうちに「いき」を大切にしてきたことに気づいて、手に取った。

読んでみると、初版が1930年、つまり96年前のものなので、事例が分かりにくかったり、現在からは容認できないところもあった。
その点、この版はそうした違和感を丁寧に注釈してくれていて、読みやすかった。

内容は、いきの定義を、「垢抜けして (諦) 、張りのある (意気地=いきじ) 、色っぽさ (媚態) 」としている。
その上で、これらの関係の構造を解き明かして、哲学的に解明しようとしている。
解説にもあるように、その試みが成功したかどうかは疑問があるところだけど、先人の挑戦には経緯を払いたいと感じた。

この本を読み終わった今、自分はあと10日で51歳になる。
これからの人生も「いき」であり続けたいと思った一冊。


以下は、チェックした箇所 (重要と感じた順番、一部要約を含む) …

☆「いき」の定義=「垢抜けして (諦) 、張りのある (意気地=いきじ) 、色っぽさ (媚態) 」
→我が国の文化を特色付けている道徳的理想主義と宗教的非現実性との形相因によって、質料因たる媚態が自己の存在実現を完成したもの
<二 「いき」の内包的構造>

☆「いき」な色=華やかな体験に伴う消極的残像
→温色の興奮を味わい尽くした魂が、補色残像として冷色のうちに沈静を汲む
→色に染みつつ、色に泥まないのが「いき」
<五 「いき」の芸術的表現>

☆「いき」な目=単に「色目」だけでなく、なお目が過去の潤いを想起させるだけの一瞬の光沢を帯び、瞳はかろらかな諦めと凛乎とした張りとを無言のうちに有力に語っているのが「いき」
<四 「いき」の自然的表現>

○「いき」の第一徴表=異性に対する「媚態」
→異性との関係が「いき」の根源的存在を形成している
<二 「いき」の内包的構造>

○「いき」の第二徴表=「意地」=「意気地 (いきじ) 」
→江戸文化の道徳的理想が鮮やかに反映されている
<二 「いき」の内包的構造>

○「いき」の第三徴表=「諦め」
→運命に対する知見に基づいて執着を離脱した無関心
→あっさり、すっきり、瀟洒たる心持ち
<二 「いき」の内包的構造>

○文化存在の要諦は、事実としての具体性を害うことなく、ありのままの生ける形態において把握すること
<一 序章>

○意味体験を概念的自覚に導くところに知的存在者の全意味が懸っている
<六 結論>}

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2026 5/16
哲学、美学、文化論
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