米山文明 『声の呼吸法: 美しい響きをつくる』 平凡社 2003

発声治療 (声帯学) の専門医による声を呼吸法の解説書。

思い返せば、この50年ほど、声くらいしか褒められたことが無かった。
そこで、以前読んだ『発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい』 (綾屋紗月、熊谷晋一郎, 2008) に引用されいてたのを見つけ、興味を持って手に取った一冊。。

読んでみると、日本では発声教育が欠けており、softwareとhardwareに偏った書籍や研究が多いことを著者は、度々指摘している。
そこでこの本では、医師として、解剖学的・生理学的な解説を基本としながら、発声と呼吸の関係と、それをより良く使うための実践例が丁寧に紹介されている。

特に、発声は、声帯を中心にした喉だけでなく、全身で行う必要があることを、医学的に、つまり科学的確かさを持って解説しているところは、取り扱う本書の特徴の一つだと感じた。

以下は、チェックした箇所 (一部要約含む) …

○呼吸=体内と体外のガス交換=組織呼吸 (内呼吸) + 肺呼吸 (外呼吸)
<第二章 呼吸と声のしくみ>

☆発声に必要な筋肉としては、骨盤の周辺 (腹筋、背筋) から骨盤底にいたる各種筋肉群、さらに手足や全身にわたる諸筋が間接的に協力体制を取らざるを得ない
→人間は、横隔膜が吸気に使われる専用筋であり、拮抗筋がないため
<第二章 呼吸と声のしくみ>

☆発声に関して極めて重要な点=吸気は、鼻や口から強制的に吸い込むのではなく、肺を取り巻く部分を広げて、自動的に流れ込んでくると認識すること
<第二章 呼吸と声のしくみ>

☆発声を美しくするために必要なこと=呼吸器官、発声器官などの局所的な部分のみにこだわらず、体全体 (頭、頚椎、胸、腹、腰、背中、手、足) の動きをどのようにうまく使いこなすかを理解し、生理的・心理的な動きを一本化して、同時に (反射的に) 作動できるまでに習練すること
<第二章 呼吸と声のしくみ>

☆発声のために吸気は、肺活量が多いことよりも、一回の吸気をいかに効率よく、経済的にうまく使いこなせるかという技術の方が大切
<第二章 呼吸と声のしくみ>

○発声の高低は、声帯の振動数で決まり、その振動数は声帯の振動部分の長さ、重さと緊張状態で決まる
<第二章 呼吸と声のしくみ>

☆体の前頚壁直筋群 (舌→前頸部→胸部→前腹→骨盤) は、発声・発語に必要な舌、横隔膜などと密接に連携しながら協調している
→「歌は表情をもった呼吸」、「歌は節をつけた呼吸」と呼ばれる
<第三章 息から声へ>

☆リラックス状態=静と動の中間にあって、静から動へ、動から静へ瞬時 (反射的) に反応できる平衡状態
→吸気と呼気の間にある一瞬の間を反射的、無意識的に、必要なだけ十分、しかもスムーズに接続させるためにリラックス状態は実用
→東洋の無念無想や、無我の状態とも言える
<第三章 息から声へ>

○骨盤の深いところから呼気が生じ、背中に沿って立ち上っていく
→下からの呼気は上に向かう方向性を持っていて、この上昇する活力が、芸術的や創造的な行為に欠くことができない
<声をよくするエクササイズ>

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2026 3/28
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