Archive for the ‘戦略論’







『取締役会の毛沢東―毛沢東の「ゲリラ戦論」に学ぶマーケティング戦略』 ガブリエル・ストリッカー著、鈴木尚子訳 バジリコ 200501.24.06


『THE有頂天ホテル』は確かに面白いと思った、らぶナベです。

さて、『取締役会の毛沢東―毛沢東の「ゲリラ戦論」に学ぶマーケティング戦略』ガブリエル・ストリッカー著、鈴木尚子訳(バジリコ)2005。

毛沢東の『遊激戦論』(抗日遊撃戦争の戦略問題)を、現代の著名な企業の戦略、マーケティングに当てはめた一冊。
原題は”MAO IN THE BOARDROOM”(2003)。

第1章「ゲリラ戦とは―法則を変えること」で「最も強い者のみが生き残る、のではなく、最も賢い者のみが生き残る」としているように、
確かにどんな有名企業も、最初は小さくひ弱な存在としてスタートし、大きな企業とのゲリラ的な戦いを通して強く大きくなってきた。
そうした企業の戦略、マーケティングの過程はゲリラ戦の理論で分類、分析できるというこの本の視点に興味を持った。
社会主義を目指して戦った毛沢東の戦略を、資本主義の中心である企業戦略に当てはめているという皮肉もちょっと面白かった。

そんな興味深い志向の本だけど、実際に読んでみると各章の項目とその当てはめ事例が
実はあんまり関連してはいないのではないかと思うところもけっこうあったのが残念。

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2006 1/24
経営戦略、マーケティング
まろまろヒット率2

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『ゲリラ戦争―キューバ革命軍の戦略・戦術』 エルネスト・チェ・ゲバラ著 中公文庫 2002(原著1960)01.13.06


ジャージ・コミュで突発的にゲリラオフ会を開催した時に「チェ・マロバラ」と名乗ったら、
複数のまろみあんから「チェ・ゲマロの方がいい!」と総括された、チェ・ゲマロ@自己批判プレイです。

さて、『ゲリラ戦争―キューバ革命軍の戦略・戦術』エルネスト・チェ・ゲバラ著(中公文庫)2002(原著1960)。

ゲリラ戦を駆使してキューバ革命を指導し、その後も各地で戦ったチェ・ゲバラが書いたゲリラ戦の基本書。
最近、まわりで「ゲリラ的な」という表現をよく耳にするし自分でも使うことがあるので、
ゲリラ戦略とはどういうものか、まとまっているものを一度読もうと思って手に取った一冊。

内容はキューバ革命という特殊事例から、ゲリラ戦に共通する一般法則を導き出そうとしている。
同じような目的で書かれた毛沢東の『遊激戦論』(抗日遊撃戦争の戦略問題)と比べると、
ゲリラの戦略・戦術だけでなく、その支援作り、実際の生活面なども書かれてあって、
こちらはどちらかというと革命書に近い。

読んでみると、正規軍ではなく、根拠地をつくりながら移動し、小回りがきいて、相手の意表をつく展開をする・・・
そんなゲリラ戦略に、コンテンツ分野やWEBなどの新しい領域で活躍する個人やコミュニティと共通したものをあらためて感じてしまった。
思わずゲバラ帽ではなくゲマロ帽を作ろうかなと思った(^_-)

以下は、チェックした箇所(要約含む)・・・

○勝てそうでないかぎり、いかなる会戦も戦闘も小衝突もやらない
<第一章 ゲリラ戦の一般原則>

○戦略とは全般的な軍事情勢からみて達成すべき目的およびこれらの目的を達成するための全般的な諸方法の分析
○戦術とは大きな戦略的目的を達成するための実際的方法のこと
<第一章 ゲリラ戦の一般原則>

○住民の絶対的な協力と、その土地についての完全な知識が必要
→この二つの条件は、ゲリラ戦士にとって一瞬間もゆるがせにすることはできない
<第一章 ゲリラ戦の一般原則>

○ゲリラ兵士に要求される基本的特質=柔軟性をもち、あらゆる環境に適応し、
戦闘中にどんな思わぬ事故がおきてもそれを逆用する能力をもつこと
<第一章 ゲリラ戦の一般原則>

○敵の縦隊のどの部分を攻撃する場合でも、先頭隊はかならずたたいておかねばならない
→敵兵は先頭に立つことを嫌がり、敵内部に反乱じみた空気を引き起こすため
<第二章 ゲリラ部隊>

○ゲリラ戦のもっとも重要な特徴のひとつは、敵と味方の間の情報にいちじるしい差違があること
<第二章 ゲリラ部隊>

○テロは無価値→効果を生まないし、人民を革命から離反させ、割りに合わない人的損害を味方にもおよぼす
<第三章 ゲリラ戦線の組織>

○メディア宣伝は、内(ゲリラからの発信)と外(外部に源をもつ)の相互に補い合う二つのタイプの組織からつくる
<第三章 ゲリラ戦線の組織>

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2006 1/13
戦略論
まろまろヒット率3

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『逃げる「孫子」―他を凌駕する“兵法”の原点とは』 守屋淳著 青春出版社 200401.05.06


白蜜派と黒蜜派に分かれるという鍵善のくずきりは、だんぜん黒蜜派だったらぶナベです。

さて、『逃げる「孫子」―他を凌駕する“兵法”の原点とは』守屋淳著(青春出版社)2004。

引くことや撤退すること、つまり「逃げる」ことに注目して孫子を読み解く一冊。
曹操(1章)、毛沢東(2章)、ホー・チ・ミン(と戦ったアメリカの失敗、3章)、
ポーター、ドラッガー、ビル・ゲイツ(現代経営戦略への応用、終章)など、
孫子を参考にして進退を駆使して戦った人々の戦略を解説している。

確かに孫子でもっとも重要な点は、逃げることを恥とせずに柔軟に進退をすることだ。
「立場の弱い者が強者を逆転した陰には、かならずゲリラ戦や状況に合わせた柔軟な進退の存在を見て取れる」
と著者が言っているように、ライバルや環境の変化に合わせていかに柔軟に対応するかが孫子の根幹だ。

読みながら自分のことを振り返ってみると、ここ最近は「絶対に負けられない」と意気込むあまり、
硬直した場面もあったなと反省してしまった。
「意欲」や「こだわり」は大切だけど、時として判断する目を曇らせてしまう。
気をつけたい(^^;

ちなみに、孫子は「ライバル多数の状況を想定」して書かれていると著者は述べている。
その点が「1対1の決闘を想定したクラウゼビッツとの違い」と言っているのは納得。
また、逃げることは「臆病さに陥る微妙なバランス」だが、
「後世の人間や安全な場所にいる第三者たちは強気な決断を支持したがる」というのもうなずけた。

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2006 1/5
戦略論
まろまろヒット率3

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『遊撃戦論』 毛沢東著、藤田敬一・吉田富夫訳 中央公論社 2001(原著1938、1942)10.03.05


MovableType3.2の不具合のおかげでmaromaro.comはただ今コメント&トラックバック受け付けできなくなってる、
らぶナベ@更新もできないのでSixApartさんにはがんばってほしいです(T_T)

さて、『遊撃戦論』毛沢東著、藤田敬一・吉田富夫訳(中央公論社)2001(原著1938、1942)

毛沢東の代表的な論文「抗日遊撃戦争の戦略問題」(1939)、「文芸講話」(1942)の二つを載せている一冊。
「抗日遊撃戦争の戦略問題」は遊激戦の基本原則をまとめたもので、後の世界各地のゲリラ戦の教科書にもなったもの。
一応読んだけど「文芸講話」の方はこのタイトルでは余計だと思った。

メインの「抗日遊撃戦争の戦略問題」で一番興味を持ったのが、毛沢東が主動権(主導権)については語っている部分だ・・・
「主動権というものは、いかなる天才といえども生まれつきもっているものではけしてなく、
ただ聡明な指導者が客観的状況をまじめに研究し、正確な判断をくだし、
軍事上、政治上の行動を正しく処理することによって、はじめて、生まれるものである」(第4章)、
「情勢判断に長じ機をみるに敏であるといったこういう聡明さは、虚心に研究し、観察や思索につとめる人だけが獲得できる」(4章)
・・・なるほどと思った。
確かに主導権争いは、相手との争いじゃなくて自分がいかに冷静に判断できるかの争いなんだろう。
怖れ、焦り、自信の無さ、コンプレックス、そういう自分の中にある状況判断を曇らせるものとの戦いが主導権争いの本質なんだと感じた。
立ち退きにあっていて交渉を続けている時だったのでこの考えはとても印象深かった。

ちなみに僕は毛沢東に対しては、複雑な印象を持っている。
毛沢東が評価している明の朱元璋と同じくグロテスクな面が目立って肌が合わないと思うときもある。
でも、延安時代に書かれたこの論文は、修飾語が少なくて言っていることがクリアだ。
常に劣勢な状況から、徐々に主導権を握っていった毛沢東の語る言葉には説得力があった。

以下はチェックした箇所(要約含む)・・・

○戦争の基本原則は、自己を保存し敵を消滅することである(第2章)

○遊激戦の方針(第3章)・・・
(1)主動的に、弾力的に、計画的に、防衛線のなかで侵攻戦を、持久戦のなかで速決戦を、内戦作戦のなかで外線作戦を実行すること
(2)正規戦争との呼応
(3)根拠地の建設
(4)戦略的防御と戦略的侵攻
(5)運動戦への発展
(6)正しい指揮関係

☆主動(主導)権というものは、いかなる天才といえでも生まれつきもっているものではけしてなく、
ただ聡明な指導者が客観的状況をまじめに研究し、正確な判断をくだし、軍事上、政治上の行動を正しく処理することによって、
はじめて、生まれるものである(第4章)

☆情勢判断に長じ機をみるに敏であるといったこういう聡明さは、虚心に研究し、観察や思索につとめる人だけが獲得できる(4章)

○受け身の立場にたたされたときは、その立場から脱出すること
→多くの場合は移動することが必要(移動がたやすいのは遊撃隊の特徴)(第4章)

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2005 10/5
戦略論
まろまろヒット率4

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『なぜ、正しく伝わらないのか―戦争にみる情報学研究』 ジョン・ヒューズ・ウイルソン著、 柿本学佳訳 ビジネス社 200410.03.05


らぶナベ@「セカチュー」のエンディングロールでちょっとウルウルきたのは、
決して長澤まさみのような彼女がいなかった自分の高校時代を思い出したからではありません(T_T)

さて、『なぜ、正しく伝わらないのか―戦争にみる情報学研究』ジョン・ヒューズ・ウイルソン著、 柿本学佳訳(ビジネス社)2004。

イギリスの情報機関に20年以上勤務して今は研究者になっている著者が書いた、情報戦の本。
原題は”MILITARY INTELLIGENCE BLUNDERS AND COVER-UPS”。

方向づけ→情報収集→情報照合→解釈→配布→再び方向付け
・・・という風に情報が循環する「インテリジェンス・サイクル」を基本にして、
これまでの戦史の中でどのようにして情報伝達の齟齬が起こったのかを紹介している。
事例はノルマンディー上陸作戦(1944)、独ソ開戦(1941)、真珠湾攻撃(1941)、シンガポール侵攻(1942)、
そして9.11同時多発テロ(2001)を取り上げている。

どういう風に情報の行き違いが起こったかという事例紹介の部分が多くて、法則性の解明は少なかった。
だから訳題は「なぜ、正しく伝わらないのか」ではなく「なぜ、正しく伝わらなかったのか」の方が正確かもしれない。

「意図と能力を分けて考えるということは、情報の過誤を調べていく上では欠かせない問題」(1章)という点や、
「かつての情報員たちは秘密の情報を収集してくるのに苦労したが、いまは大量の情報から探し出すのに苦労している」(終章)としている点は妙に納得。
ちょっと前までは偵察衛星からの機密情報だったものが、いまは“Google Map”でグリグリ見れる情報環境の変化はやっぱり大きなものなんだろう。

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2005 10/3
情報・メディア、歴史、戦略論
まろまろヒット率3

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『ローマ人の物語11,12,13 ユリウス・カエサル~ルビコン以後~』 塩野七生著 新潮文庫 上中下巻 200410.15.04


ひょんなことから秋葉原関係の仕事を振られた、らぶナベ@駅前によく出没しています。

さて、『ローマ人の物語11,12,13 ユリウス・カエサル~ルビコン以後~』上中下巻
塩野七生著(新潮文庫)2004年初版。

『ルビコン以前』に続く「ローマ人の物語」シリーズ第5段。
カエサルがルビコン川を渡ってからの元老院派との内戦、
オリエント諸国との戦い、数々の改革、そして暗殺で倒れるまでと、
その後の後継者争いでオクタヴィアヌス(アクグストゥス)が勝利するまでをえがいている。

意外だったのはカエサルはポンペイウスとの決戦「ファルサルスの戦い」で
倍以上の兵力差の相手に対して1/4を予備兵力で残して戦って勝ち、
さらに追撃戦までやったということには少し不思議な気がした。
訓度の違いはあるけど、ほとんど同じローマ兵で編成も同じだったのに
そんなことが実現可能だったんだろうかと少し首をかしげてしまった。
ここらへんが同時代のハンニバルや大スキピオのようには
戦略戦術論の教科書にはならなかったカエサルの戦いの特徴っぽくて面白かった。

また、著者が「こうも戦闘ばかり書いているとわかったような気がするが」
という前置き付きで「戦術とは要するに、まわりこんで敵を包囲することを、
どのやり方で実現するか、につきるのではないか」と述べているのには思わず納得。
戦史上、重要な戦いを見てみると確かに「この包囲戦法のみが、
敵の主戦力の早期の非戦力化につながるからである」という気がしてくる。

そんな風に引っかかりもありながら読み終えてみると、
ローマ史上もっとも重要な期間の一つが終わったことに少し寂しさを感じてしまった。
「寛容」を掲げて頑なに対立勢力の排斥をしなかったカエサルの姿勢が
結果的に暗殺を招いたこともカエサルらしい最後のような気がした。
もちろん、もっと生きてほしかったという残念さは少し残るけど。

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2004 10/15
歴史、戦略論、政治
まろまろヒット率4

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『ローマ人の物語8,9,10 ユリウス・カエサル~ルビコン以前~』 塩野七生著 新潮文庫 上中下巻 200409.22.04


アクティヴな引きこもりにしてはめずらしく第1期生になった、らぶナベです。

さて、『ローマ人の物語8,9,10 ユリウス・カエサル~ルビコン以前~』上中下巻
塩野七生著(新潮文庫)2004年初版。

待ちに待ったカエサル編がスタートした『ローマ人の物語』シリーズ文庫化第4段。
古代ローマ史上もっとも有名な人物の1人で、後の時代に与えた影響は高く
皇帝の代名詞にまでなったユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)が
ローマ掌握に乗り出したルビコン川渡河までをえがいている。

これまでカエサルにまつわるエピソードや名言は断片的にしか知らなかったので、
この本を読んではじめて彼の通した伝記を知ることになった。
だから早熟な割に30代後半になってからようやく芽が出始めた遅咲き
というのはかなり意外だったし(活躍期は40代に入ってから)、
器用に見えて不器用なカエサルにナニゲに親しみを感じてしまった。

構成的にはようやく活躍期に入った40代のガリア戦役(8年間)が半分以上を占めている。
カエサル自身が「ガリア戦記」を書いていたり発掘調査も進んでいるので
戦略・戦術面の記述や論考などの戦史的側面がとても面白かった。
また、常に法を遵守する姿勢を貫いたのに、教条主義的な法に縛られなかったという
(元老院最終勧告を無視)、彼の生き方からにじみ出る魅力に僕も惹かれた。

そんな風に面白かったけれど、これまでのシリーズに比べると
修飾語や接尾語も含めて文章の読みにくさを感じてしまった。
カエサルに対する愛情がこうさせてしまったのか?

ちなみにこの『ルビコン以前』はタイトル通りルビコン川を渡る
「賽は投げられた(jacta alea est)」で終わる。
僕は最近までこの賽(さい)のことをサイコロではなく動物のサイだと思っていた。
ハンニバルは象部隊を率いていたし、サイを投げるくらい大変な思いをして
決断するのだという風に解釈していた・・・人の勘違いとは怖いものである(^^;

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2004 9/22
歴史、戦略論、政治
まろまろヒット率4
歴史

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『信長・秀吉・家康の戦略戦術』 佐々克明著 産能大学出版部 2001(2版)08.17.04


仲間由紀恵のお千代さん(山内一豊の妻)は反則だと思う、
らぶナベ@でも2006年大河は思わず観てしまいそう(^^;

さて、『信長・秀吉・家康の戦略戦術』佐々克明著(産能大学出版部)2001年第2版。
近頃、まろまろ関係で何かと接点の多い格闘技ジムの会長さんが貸してくれた本。
戦国時代を終わらせた三人の特徴的な戦略戦術を紹介、解説している。

初版(1981)から20年以上にわたって版を重ねて売れ続けているだけあって
この手の本の中では章立てから文体まですごく読みやすくなっている。
ただ、初版から時間が経っているので現代への適応事例が少し古いものだったり、
宗教戦争(石山本願寺)の解釈に違和感があったりはするが
「歴史を学ぶ」だけでなく「歴史から学ぶ」大切さを改めて感じれる一冊。
何かの機会に歴史から感じ取り、学べることって多いような気がする。

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2004 8/17
歴史、戦略論
まろまろヒット率3

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『アメリカ海兵隊~非営利型組織の自己革新~』 野中郁次郎著 中公新書 199510.28.02


まろまろ用語集「がんばりすぎるな」を見た人から
「価値があるからしんどいことをするんであって、
しんどいからといって価値があるとは限らないですよね」というメールをもらった、
らぶナベ@深いので用例に修正追加しておきました(^^)

さて、『アメリカ海兵隊~非営利型組織の自己革新~』野中郁次郎著(中公新書)1995年初版。
アメリカ海兵隊(US.Marine)という世界でも類を見ない独特の組織を題材に、
非営利型組織での自己革新とはどういうことかをテーマにした本。
組織論研究の第一人者が書いた本だけに一見堅そうだけど、
中には「単なる趣味じゃん」と思えるような記述もあったりして
普通の読み物として読んでも楽しい。

何しろ著者が他の分野の研究者と共同執筆した『失敗の本質』(中公文庫)の中で、
太平洋戦争のターニングポイントになったガダルカナルの戦いを分析しているときに
海兵隊の独自の戦い方に興味を持ったのが執筆のきっかけになっていて、
本人も「ほとんど趣味的に・・・」っと前書きで書いているくらいだ。
その『失敗の本質』は僕も心のベスト本のひとつだし、
読者の立場でも同じようにガダルカナルの戦いのところで
強襲揚陸という海兵隊の独自のスタイルに興味を持った。
さらに『歴史群像 朝鮮戦争』(学研)を読んだときも、
中国軍介入で連合軍が崩壊する中で重厚な包囲を突破して
長津湖からハガル里まで退却した海兵隊の記録に強い印象を受けたことがある。
(凍結しないようにアンプルを加えながら走ったという衛生兵が象徴的だった)
そんな独特の組織がどう形成され、
変化する環境に対してどう自己革新していったかを書いている。
扱っているテーマの大きさの割にはちょっと分量が足りない気もしたが、
自己革新という視点以外でも物資を常に海上展開していて有事の際には
人を空輸して合流させるという即応部隊(Force in Readiness)としての
現在の海兵隊のスタイルはWEB活動にも応用できそうな気がした。
いろんな読み方ができる興味深い一冊。

以下は、本書のテーマ自己革新組織についての要旨&抜粋要約・・・

<自己革新組織>

“定義”
絶えず自ら不安定性を生み出し、
そのプロセスの中で新たな自己創造を行ない、
飛躍的な大進化としての再創造と連続的で漸次的な小進化を、
逐次あるいは同時に行なうダイナミックな組織

“要件”
(1)「存在理由」への問いかけと生存領域(domain)の進化
(2)独自能力ー「有機的集中」を可能にする機能配置
(3)「分化」と「統合」の極大化の組織
(4)中核技能の学習と共有
(5)人間=機械系によるインテリジェンス・システム
(6)存在価値の大化

(注)自己革新組織の要件には、概念としては矛盾するが
実は相互に補完し合って共存関係にあるものが多い。
→行動がそれらの突破口
→ゆえに自己革新は機動力が必要
 (上記の要件は機動力の要件でもある)

☆変わらないもの(不易)と変わるもの(流行)は、
それぞれが単に独立してあるのではなく両者は相互に作用し合うのである。
存在価値は、機能価値を触発し方向づけるが、
機能価値は、存在価値を環境の変化に順応した形で実現する。

(1)について
ドメイン(domain)とは、組織がどのような領域で環境と
相互作用したいかを決める独自の生存領域のことである(略)
生存領域は、論理的な分析だけで出てくるものではない。
環境と相互に作用しながら思索反省と経験反復とを通じて
次第に分かってくるのであり、
ある時点でリーダーがそれを明確に概念化するのである。

(1)について
小進化としての洗練は経験的であることが多いが、
大進化としての再創造は経験を越える概念で始まることが多い。

(1)について
市場競争による淘汰を受けない非営利の公的組織に
革新を促す刺激はその生存に対する危機(略)
したがって公的組織の革新へのモティヴェーションは存在本能に近い。

(2)について
戦略は、言い換えれば、資源配分のデザイン(略)
戦略は状況に依存するので唯一絶対のものではないが、
普遍的な原理といえるのは「集中」。
 (海兵隊の場合、中心的機能は歩兵)

(3)について
分化と統合の同時極大化は論理的には不可能
(略)現実における行動が必要。
→対抗する二つの力のバランスを取るのではない、
 時と場所によって異なる力関係を感じ取り、
 組織のリーダーがその強いほうを選んで推進する。

(4)について
情報の本質は何らかの「差異」をもたらすこと。
したがって敵が何をやろうとしているかということは、
我々が何をやろうとしているかということと関連させて初めて意味を持つ。

(6)について
組織の持つ価値=
組織が果たすドメインや使命などから構成される「機能価値」
    +
組織の成員から全人的関与を引き出す、何のために生きるかという「存在価値」

(6)について
自己革新組織は、主体的に新たな知識を創造しながら、
既存の知識を部分的に棄却あるいは再構築して自らの知識体系を革新してゆく。
→知識創造こそが組織の自己革新の本質

(6)について
知識には言語化、ドキュメント化が可能な形式知(言語知、分析的知、客観的知)と
言語化、ドキュメント化が困難な暗黙知(経験知、直感的知、主観的知)があり
知識創造は両タイプの知が相互に作用しながら循環するダイナミックなプロセス

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2002 10/28
組織論、経営学、戦略論
まろまろヒット率4

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『ローマ人の物語3,4,5 ハンニバル戦記』 塩野七生著 新潮文庫 上中下巻 200210.08.02


リクエストに応えて読書日記を新しい順に入れ替え中の、
らぶナベ@参考にするので引き続きご意見&ご要望お待ちしております(^^)

さて、『ローマ人の物語3,4,5 ハンニバル戦記』上中下巻
塩野七生著(新潮文庫)2002年初版。
『ローマ人の物語1,2 ローマは一日にして成らず』に引き続いて堪え性なく読んだ、
ローマ人の物語シリーズ第二段。
文庫化される前からこの第二段『ハンニバル戦記』はずっと気になっていた。
何しろ戦略や戦史を語る際には必ずと言っていいほど出てくる
カルタゴの悲劇の天才戦略家ハンニバルが主役だからだ。
今まで読んだ戦略関係の本で何度このハンニバルの名前が出てきたかわからない。
特に前216年の「カンネーの戦い」での彼の両翼からの包囲殲滅作戦、
相手の主戦力を無力化させる戦術についての考察は、
現在も欧米の士官学校では必ず習うというほどだ。
そうは言うものの彼の第二次ポエニ戦争を通した戦い方、
そしてローマとカルタゴの戦いの全体像はよく知らなかったので
この本はとても面白く読めた。
(断片的な知識がつながっていくパズル的快感)

読んでみて改めて感じたことは、ハンニバルは戦略の天才だと称されることが多いが、
ローマ同盟都市を離反させる最初の戦略プラニングで思いっきりつまずいている。
その彼の戦略・戦術がこれほどまで研究されてきたのは、
彼自身の要因に加えてローマという後に巨大な国家として
長年栄えた国を何度も破ったからというのも大きな理由なのだろう。
ローマが繁栄すればするほど、長く存続すればするほど、
ハンニバルの名前は広く長く普及するしその戦い方も詳細な記録に残りやすい。
だから後の世の研究対象にもなりやすい。
ちょうど三方ヶ原の戦いで徳川家康を破った武田信玄が江戸時代を通して
戦国最高の武将と言われたりその戦い方が研究されたりしたのと似ている。
ハンニバルはちょっと得してる(^^)

僕は彼を破ったスキピオ・アフリカヌス(大スキピオ)の方に強い興味を持った。
ローマ軍が完全に壊滅したカンネーでは司令官を救出しての脱出に成功するなど
様々な運にも恵まれていたが彼の気持ち良いほど大胆で鮮やかな戦略にはひかれる。
ちなみに地中海世界でのハンニバルと大スキピオの決戦「ザマの戦い」が前202年、
東アジアでの項羽と劉邦との決戦「亥下の戦い」もちょうど同じ前202年。
高校の世界史の教科書でこのことを発見した時には
(勉強できなかったけど教科書眺めるのは好きだった)
「東西で凡人が天才がを破った年なんだなぁ」と勝手に思っていたが
大スキピオは彼自身、非常に才気溢れる人間のようで
僕の年来のこの考えを修正することにもなった一冊。
彼についてのいい本があればまたあらためて読んでみたい。

以下はチェックした箇所・・・

☆戦争終了の後に何をどのように行ったかで、その国の将来は決まってくる。
勝敗は、もはや成ったことゆえどうしようもない。
問題は、それで得た経験をどう生かすか、である。
<第二章 第一次ポエニ戦役後>

○戦闘の結果を左右する戦術とは、コロンブスの卵であると同時にコロンブスの卵ではない。
誰も考えなかったやり方によって問題を解決するという点ではコロンブスの卵だが、
そのやり方をと踏襲すれば誰がやっても同じ結果を産むとはかぎらないという点で、
コロンブスの卵ではないのである。
<第三章 第二次ポエニ戦役前期>

○天才とは、その人だけに見える新事実を、見つけることのできる人ではない。
誰もが見ていながらも重要性に気づかなかった旧事実に、気づく人のことである。
<第三章 第二次ポエニ戦役前期>

○(ハンニバルの言葉として)多くのことは、それ自体では不可能事に見える。
だが、視点を変えるだけで、可能事になりうる。
<第四章 第二次ポエニ戦役中期>

○信頼は、小出しにしないほうが、より大きな効果を産みやすい。
<第五章 第二次ポエニ戦役後期>

☆優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。
率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人でもある。
持続する人間関係は、必ず相互関係である。一方的関係では、持続は望めない。
<第六章 第二次ポエニ戦役終期>

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2002 10/8
歴史、戦略論、政治学
まろまろヒット率4

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