Archive for the ‘社会心理学’





『カリスマ―出会いのエロティシズム』 チャールズ・リンドホルム著、森下伸也訳 新曜社 199201.17.06

修二と彰の振り付けを練習中の、らぶナベです。

さて、『カリスマ―出会いのエロティシズム』 チャールズ・リンドホルム著、森下伸也訳 新曜社 1992

カリスマの研究書、めちゃ面白かった一冊!
内容は理論編(第2部)でカリスマ研究の歴史、各分野からのアプローチを押さえながら統合理論としてまとめ、
実例編(第3部)でカリスマとその信奉者たちの典型例を取り上げて、
結論(第4部)でカリスマとその信奉者たちとの相互作用は一体何なんなのか、その今日的な意味も含めて答えを出している。
理論の深さ、実例の迫力、結論の説得力、どれを取ってもカリスマの研究の決定版と言える本。

まず、すごいなと思ったのが膨大な先行研究を押さえていているところだ。
たとえば理論編では情念に焦点を当てた哲学者たちとしてヒュームやミル、ニーチェ(2章)、社会学としてのアプローチ、ウェーバー(ヴェーバー)とデュルケム(3章)、
催眠と群集心理学からのアプローチのメスマー、ル・ボン、タルド(4章)、精神分析学からのアプローチとしてのフロイト(5章)などの
カリスマ研究の背景やそれぞれのアプローチを総括しながら、
カリスマ的リーダーシップの病理性を強調する心理学的見解と、カリスマ的集団に積極的な価値を与える社会学的言説との対比をまとめて(6章)、
カリスマ精神の病いなのか、再社会化なのだろうかと問いの下で統合理論化(7章)をしている。

その次の実例編では典型的なカリスマとその信奉者たちの実例としてアドルフ・ヒトラーとナチ党(8章)、
チャールズ・マンソンとそのファミリー(9章)、ジム・ジョーンズと人民寺院(10章)を取り上げている。
著者は文化人類学出身なので、この実例編は本領発揮という感じでとても迫力があった。
ある人物がカリスマ的パーソナリティを持つことになってゆく過程、奴隷化しているのに自分は解放されていると思う信奉者たち、
そしてカリスマと信奉者の相互作用で生まれた集団のダイナミズムが展開し、崩壊していく様が克明にえがかれていて、
単純に生々しい読み物としても読み入ってしまった。
そしてシャーマニズムとの共通点を指摘しながら(11章)、結論につなげるという流れがとても綺麗。

結論(12章)では、現代のカリスマをよく指摘されるような芸能人やスポーツ選手にとどまるだけでなく、
カリスマ的な特徴を帯びた人間関係として、家族(観)とロマンティックな恋愛を挙げているのが面白い。
確かに実例編で出てきたカリスマとその信奉者たちは極端な事例かもしれないけど、
読みながらホストに入れ込む女性や、キャバクラ嬢に振り回される男性を思い起こしていただけに納得。
(実は自分自身の恋愛体験の中にも重ね合わさる面もあった(^^;)

人間関係がもたらす無我と交感の絶頂感(エクスタシー)は魅力的で、時には没頭してしまう。
コミュニケーションの快楽に耽溺する人の性向は決して特殊なものではなく、
人間の本質の一つなんだ、というこの本の主張は説得力があった。
(そこには集団のダイナミズムが生まれる源泉になる)

ちなみに、この本はインターネット普及以前に書かれたものだったので、
現在のネットコミュニティ内でのカリスマ出現に著者はどう思っているのか知りたかった。
また、理論編の第2部はけっこう面白いんだけど、理論的背景とかアプローチを退屈だと思う人は、
訳者が言っているように実例編の第3部から読んでも十分に面白く読めると思う。

以下はチェックした箇所(要約含む)・・・

○カリスマというものを理解するためには、カリスマ的人物の性格やそのカリスマ的魅力を個々の人間に受け容れやすくさせている諸属性を研究しなければならないばかりでなく、
同時に指導者と信奉者が相互作用をおこなっているカリスマ集団そのもののダイナミズムをも分析しなければならない
<第1章 序説>

○弱く空虚な人間は、服従することによって、ひとつのアイデンティティを、また力と意志という不可欠な幻想を手に入れることができる
→カリスマの信奉者たちは抑圧の中に解放されているという感覚を感じる (Hoffer 1951)
<第4章 催眠と群集心理>

☆自己の解体的幻想による同一化的経験こそが指導者に対する信奉者の愛、自我の境界が消失する超越的な愛の源泉
<第6章 カリスマは精神の病か、それとも再社会化か>

○心理学者たちが指導者に焦点をあて、彼らの障害をもったパーソナリティを強調しがちであるのに対し、
社会学者たちは指導者の性格についてほとんど論じることなく、信奉者や彼らを取り巻く環境に関心をもつ
→心理学が信奉者のうちに病理性を見ようとするのに対して、
社会学者は信奉者が普通の人間よりも深い心理学的な生涯を病んでいるわけではないことを証明することに関心をもっている
<第6章 カリスマは精神の病か、それとも再社会化か>

○カリスマに対しては大きく分けて二つのアプローチがある・・・
・精神分析学に由来するものでカリスマの感情的強烈さや超越的性格を認めはするが、それに対する価値判断を含み、指導者の個人的特長を過度に強調するもの
・社会学に由来するもので集団の重要性、共同体への参加が人々の願望の対象となりうることをよく認識しているが、
 しかし経験から情念を剥離させ、リーダーシップを閑却し、カリスマ的紐帯の根底にある無意識の衝動を軽視するもの
→どちらのアプローチもカリスマ的経験の一部を教えてくれるが全体ではない
<第6章 カリスマは精神の病か、それとも再社会化か>

☆自我がその価値を減ぜられ、アイデンティティの標識や対象とのきずなを剥奪されながら、それでもなお同時にすべての行為の唯一の正当化根拠とされるとき、
カリスマの啓示や帰依者の共同体的集団への没入によってあたえられる激しさや内的確実感は高度に魅力的
→このようにして高められた相互作用の形式は現実の社会構造に欠けている、交感の感情、エクスタシー的自己喪失、超越、信念をあたえる
<第7章 カリスマの統合理論>

☆カリスマ的な関わりへ導いていく諸条件について統合的図式・・・
・疎外された現代社会とナルシシズムの文化が結合して人々にカリスマへの没入を受容させやすくしている
・人格的アイデンティティを遮断することによって人々に自己喪失を用意させる思想改造
→いずれも人格的アイデンティティを脅かし、集団による個人の吸収を促進し、集団形成の指導者に対するエクスタシー的心酔を偏愛するように作用する、
 ある種の技法や社会状況がもつ人格解体的作用に対してまことに弱い存在として人間を描く
<第7章 カリスマの統合理論>

○ヒトラーという恐るべき事実に直面した歴史家や政治学者は、当然のことながら彼や彼の運動からその神秘的な要素を取りのぞこうとするから、
その結果として諸々の偶然の変数が結びつくことで彼に政権の掌握と維持が可能になったという事実を強調することになる
<第8章 「取り憑かれた従者」>

☆カリスマ集団の隠された目的は「成功」することではなく、経験することそれ自体
→だから外的脅威の圧力で集合体経験は強化される
<第8章 「取り憑かれた従者」>

○(ナチスのSS訓練は)極度の疲労と苦痛、そして屈辱は、男たちの過去とのきずなを切断し、いかなる自律感覚も腐食させる効果を発揮した
<第8章 「取り憑かれた従者」>

○社会変動が旧来のきずなを切断してしまったところはどこでも、補償としてのカリスマ運動を好む
<第9章 「愛こそわが裁き」>

○主観のうちに生じるエクスタシー的なトランスという変成状態の所有がシャーマニズムの中心
<第11章 「聖なるものの技術者」>

☆シャーマンの役割につくことは、現代においてカリスマとなることと同じく、アイデンティティ解体という初期局面から苦痛に満ちた自己再構成を経て、
他のもっと弱い魂たちを圧しつぶす潜在的な精霊をコントロールして顕在化させる能力をもった変身せる専門家としての再生へ向かう運動
<第11章 「聖なるものの技術者」>

☆カリスマ的啓示は、周縁に追いやられた集団を無視し抑圧してきた社会構造における弱き者の示威運動、反構造の契機、警告のコミュニタスとなる (Turner 1982)
→カリスマの形態は、いかなる社会にあっても、社会構造の中にそれがあらわれることで克服されなければなならい抑圧のタイプと程度を示す
<第11章 「聖なるものの技術者」>

○逸脱せる集団とその指導者に精神的な変調をきたした者というレッテルを貼ることと、彼らが実際に狂気に落ち込んでいくこととの間には明確な相関関係がある
<第11章 「聖なるものの技術者」>

☆今日におけるカリスマの過剰なあらわれは、交感を求める人間の根源的な欲求を社会システムが満たしえないでいることの反映
→カリスマとその集団は、その暗さによってわれわれ自身が置かれているディレンマの輪郭をくっきりと縁どる影
<第11章 「聖なるものの技術者」>

○非日常な無我の状態に到達することのできる一つの方法が、移ろいやすい気質をもったカリスマ的指導者という霊感喚起的な人物によって結合された集団に所属すること
<第12章 今日のカリスマ>

☆恋愛においては、カリスマにおいてと同じように、相手のうちへ自己を喪失することが縮小としてでなく、高揚、エクスタシー、自我の拡大として経験される (Chasseguet-Smigrel 1976)
→恋に落ちることは巨大な革命のエクスタシー感情と変革パターンを小規模で複製する集合運動の最も単純な形態 (Alberoni 1983)
→カリスマも恋愛も強烈な情動喚起的関係における自他の完全な同一化を要求するので同時並行することはできない
<第12章 今日のカリスマ>

☆カリスマとは、世俗的な世界の疎外と孤立の外部にあってそれと対立する根源的な超越の瞬間をもたらす直接的なエクスタシー経験
→無我と交感というモーメントは、われわれ人間の不可欠な条件の一部
→問題はそうしたモーメントがどのような形態をとるかということ
<第12章 今日のカリスマ>

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2006 1/17
カリスマ研究、社会学、心理学、社会心理学、文化人類学、宗教学、思想史、リーダーシップ論、政治学、組織論、コミュニティ論
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『ウェブログの心理学』 山下清美・川浦康至・川上善郎・三浦 麻子著 NTT出版 200509.29.05

ネットは顔の見えないコミュニケーションだとする資料の中で、「上戸彩似だと聞いてたメル友に会ったら綾戸智絵に似てた」という事例を見つけた、
らぶナベ@響きが似てるだけにちょっと笑いました(^_^)

さて、『ウェブログの心理学』 山下清美・川浦康至・川上善郎・三浦 麻子著(NTT出版)2005。

「人はなぜウェブログを書くのだろう?」、「なぜウェブログを続けるのだろう?」という疑問に社会心理学からアプローチした一冊。
社会心理学としての調査、考察だけでなく、インターネットの普及と共に始まったウェブ日記の歴史もちゃんと書かれてある。

内容はこれまで言われてきたことをまとめたという感じだけど、その分なるほどと思える要約もあった。
たとえば「ウェブログの本質はそのブロガーのライフストーリーとしての時間的な縦軸と、情報をつなげる横軸との組み合わせ」(第4章)というものや、
「ウェブログの持つ信頼性の根源は”継続性”にある」だからウェブログに必要なのは「継続する名前とそれに伴う存在感」(第5章)というものはすごく納得した。

本文に加えて附録もウェブログのススメ、ウェブログを中心にしたインターネットの歴史、ウェブログに関する論文・記事リストまであって充実している。
分量的にも読みやすいし、ネットでの情報発信に関わってる人や興味がある人には、かなり良い本ではないだろうか。

以下はチェックした箇所(重要と感じた順)・・・

☆ウェブログというコンテンツのもつ社会心理学的な意味を考えるときまずもって注目すべきは、
個人のもつ情報という横糸と、個人のなかで経過する時間という縦軸(ライフストーリー)が組み合わさることによってもたらされる絶妙の相乗作用
→2ちゃんねるなどの掲示板とウェブログの決定的な違いは、ウェブログが独立した空間だということ
<第4章 ウェブログの現在と未来>

☆ウェブログのもつ情報の信頼性の根幹=継続性
→ウェブログに必要なのは継続する名前とそれに伴う存在感(継続性があれば仮名で十分)
<第5章 ウェブログ・個人・社会>

☆ウェブ日記の効用・・・
・自己に向かう効用=感情の表出、自己の明確化、社会的妥当性、
・関係に向かう効用=二者の発展、社会的コントロール、社会的妥当性
→日記そのものは自己表現で、それを契機としたコミュニケーションの可能性にかけるのがウェブ日記の本質
→コミュニケーション志向のより強いウェブログが登場しても不思議はない
<第3章 ウェブログの社会心理学>

☆ホームページをもつ動機=「情報の呈示動機」、「自己表現動機」、「コミュニケーション動機」(池田・柴内 2000)
→ホームページはコミュニケーション動機の強いユーザーにとっては使い勝手が悪いものだったが、
 ウェブログはトラックバック機能なでで書き手同士のコミュニケーションを容易にした
<第1章 インターネット時代のコミュニケーション>

☆これまでの書物が持っていた書き手の著社性とは別に、インターネットでは読み手の著者性が生まれた
→インターネットは読み手主体のメディアという見方もできる
<第1章 インターネット時代のコミュニケーション>

○メディア・コミュニケーションの二つの方向性=コミュニケーション行為を隠す方向と明らかにする方向
<第1章 インターネット時代のコミュニケーション>

○携帯電話も電子メールも、コミュニケーションしている状況を社会関係のなかから切り離すことができるようになって、会話内容も同時に大きく変化した
<第1章 インターネット時代のコミュニケーション>

○日記を含め、自分自身の日常を記録する行為は、自己フォーカスを刺激し、自覚状態を高める効果がある
<第3章 ウェブログの社会心理学>

○トラックバックとリンクは情報をつなぐ点では共通だがその方向性は逆・・・
リンク:自分のウェブログの読み手に、情報源を伝える
トラックバック:情報源となってるウェブログの書き手と読み手に、自分が言及していることを伝える
<第5章 ウェブログ・個人・社会>

○ソーシャル・ネットワークは基本的に個人駆動型のつながりを強めるもの
→社会的強者=実名を出すことがメリットになり、すでに強固なネットワークを持つ人々が
さらにそれを拡大するためには利便性が高いが、そうでない人々にとってはメリットを感じにくいかもしれない
<第4章 ウェブログの現在と未来>

○ソーシャル・ネットワークはアクセス・コントロールの容易なウェブログに対する潜在的ニーズに応えたサービス
<第5章 ウェブログ・個人・社会>

○読者からのフィードバックはブロガーの心理的過程に大きな影響をおよぼしており、
それらを容易にコンテンツに組み込むことを可能にしたウェブログの仕様は、
ブロガーたちに読者の目を明確に意識さえ、書き続けようとする意思を力強くサポートする
<第4章 ウェブログの現在と未来>

○WBC(Web-Based Communication)=発信主体、ABC(Article-Based Communication)=メッセージ主体
<第1章 インターネット時代のコミュニケーション>

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2005 9/29
情報・メディア、HP・ブログ本、社会心理学
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心理学 キャリア

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『コミュニケーション学―その展望と視点』 末田清子・福田浩子著 松柏社 200304.15.04

弊社建物に新しい顔が増えてどぎまぎしている、らぶナベ@実は人見知り系です(^^;

さて、『コミュニケーション学-その展望と視点-』
末田清子・福田浩子著(松柏社)2003年初版。

評判が良かったので読んでみたコミュニケーション学関連領域の概要書。
コミュニケーションをめぐる用語の定義や研究の背景を丁寧に紹介してくれている。

コミュニケーションに対する各分野からの主要なアプローチを
「機械論的視点」、「心理学的視点」、「相互作用論的視点」、
「システム論的視点」に分類して紹介したり(3、4章)、
言語学からのアプローチや(5、6、7章)、
コンテクスト研究(9章)に対するフォローもされている。
定義・引用・索引が充実しているので辞書としても使えるし、
コミュニケーション学関係の概要書では決定版的ではないだろうか?

以下はチェックした箇所(一部要約含む)・・・

☆コミュニケーションの定義=
・ラテン語の共通項(communicare)が語源→当事者が共通項をつくりあげるプロセス
・”Culture is communication and communication is cultre”(E.T.Hall)
・本書の定義=シンボルを創造し、そのシンボルを介して意味を共有するプロセス
<第1章 コミュニケーションとは何か>

☆コミュニケーションの特徴=
シンボルを介して行われる、言葉や行為そのものに意味はなく人が意味づけする、
意識無意識を問わず人はコミュニケーションを行う、
あるコミュニケーション場面を同じように再現はできない、
コミュニケーションとはプロセス、コミュニケーションの問題は単純化できない
<第1章 コミュニケーションとは何か>

☆コミュニケーション論をめぐる主要な4つの視点・・・

☆「機械論的視点」(The mechanistic perspective)
・命題:「どのチャンネルが一番大きい量のシグナルを送れるか、
     どれくらいノイズが生じるか」の問いに答えるために構築
・特徴:全体は部分の総体に等しいとういう立場
・研究:チャンネルの違いによるコミュニケーション効果など
・コミュニケーション能力:いかにノイズを減らし効率を高めるか
・文化の扱い:文化は要素として組み込まない
→古いモデルでシンプルなので広く使用されている

☆「心理学的視点」(The psychological perspective)
・命題:「刺激をどのように選択し、どのように反応しているか」
・特徴:メッセージの意味はコミュニケーションを行う人が与えるものであるという立場
・研究:概念フィルターを持った個人など
・コミュニケーション能力:いかに当事者相互のフィルターを近似させられるか
・文化の扱い:人が様々な刺激を選別して取り入れる際のフィルターを形作るもの
→メッセージの送り手よりも受け手側に焦点を当てているので応用範囲が広い
  (特に異文化間コミュニケーションではよく使用される)

☆「(シンボリック)相互作用論的視点」(The interactionist perspective)
・命題:「(言葉や行為などの)シンボルがいかに創造され、共有されるか」
・特徴:コミュニケーションは役割取得・遂行によって成立するという立場
・研究:シンボルがある文化でどのように創られるか、変るかなど
・コミュニケーション能力:当事者がどの程度意味を共有しているか
・文化の扱い:コミュニケーションの当事者が共有するシンボル
→文化や副文化の創造、言語発達、認知的プロセスなどに応用可能

☆「システム論的視点」(The perspective of general systems theory)
・命題:「いかにコミュニケーション・パターンを探求するか」
・特徴:全体は部分の総体よりも大きいという立場
・研究:小集団や家族内コミュニケーション・パターンの探求など
・コミュニケーション能力:いかにルールに従ってコミュニケーションできるか
・文化の扱い:習得されたある解釈のシステム(知識体系)であり受け継がれるもの
→まだ新しい理論
<第3章 コミュニケーションの4つの視点>
<第4章 文化に対する視点の多様化>

☆四つの視点の分類・・・

「機械論的視点」&「心理学的視点」
・法則によってコミュニケーションは司られる
・因果関係の探求
・仮説検証型の量的研究(quantitative research)

「シンボリック相互作用論的視点」&「システム論的視点」
・調整可能なルールがコミュニケーションにはある
・現象の探求
・仮説構築型の質的研究(qualitative research)
<第3章 コミュニケーションの4つの視点>

☆言語の定義=
・「言語は思考を形成していく器官である」(Humboldt)
・”a set(finite or infinite) of sentences, each finite
in length and constructed out of a finite set of elements”(Chomsky)
<第5章 言語コミュニケーション(1)>

☆言語の特性=
1:超越性(displacement)、2:恣意性(arbitrariness)、3:生産性(productivity)
4:文化的伝承(cultural transmission)、5:非連続性(discreteness)、6:二重性(duality)
<第5章 言語コミュニケーション(1)>

○普遍文法(Universal Grammar)=
人間の言語の能力を言語能力(competence)と言語運用(performance)に分けて、
前者の言語獲得装置(Language Acquisition Device)が
人類には生まれながらに備わっているとすること(Chomsky)
<第6章 言語コミュニケーション(2)>

○言語学のコミュニケーション能力(communicative competence)=
文法能力(grammatical competence)、社会言語能力(sociplinguistic competence)
談話能力(discourse competence)、方略能力(strategic competence)
(Canale&Swain)
<第6章 言語コミュニケーション(2)>

○協調の原則(cooperative principle)=
会話のやり取りはある程度までは協調的作業であること(H.P.Grice)
<第6章 言語コミュニケーション(2)>

○会話の格率(Maxims of conversation)=
量の格率(Maxims of quantity)、質の格率(Maxims of quality)、
関連性の格率(Maxim of relation)、様態の格率(Maxims of manner)
<第6章 言語コミュニケーション(2)>

☆言語コミュニケーションの特徴=
デジタルである、新しい社会現実を創ることが可能、
抽象思考で重要になる、内省的である(Trenholm&Jensen)
<第7章 言語コミュニケーション(3)>

○言語コミュニケーションの意味の3レベル
・意味論レベル=外延的(denotative)意味+内包的(connotative)意味
・統語論レベル=語彙が文法的に正しい順序に並べる必要性
・語用論レベル=CMM(Coordinated Management of Meaning)
<第7章 言語コミュニケーション(3)>

☆コミュニケーション能力研究の歴史的な2つの潮流
・レトリック研究(humanistic rhetorical study)
 →構想(invention)、配置(disposition)、修辞(style)、
  記憶(memory)、所作(delivery)から構成
・社会科学的研究(social-scientific communication theory)
<第7章 言語コミュニケーション(3)>

○翻訳・通訳の等価性=
語彙の等価性、慣用表現の等価性、文法的等価性、経験・文化的等価性、概念の等価性
<第8章 言語と文化の相互作用>

○イーミックとエティック
・イーミック(emic)=ある特定の文化の枠組みに依存して事象をみる
・エティック(etic)=ある特定の文化の枠組みに依存しないで事象をみる(Pike)
<第8章 言語と文化の相互作用>

☆コンテクストをとらえす尺度は主に2つ・・・
・静的か、動的か(コミュニケーションを規定するのか、お互いに変化していくものか)
・コミュニケーションが起こっている場のことか、その場を取り囲む背景か
<第9章 コミュニケーションの場と背景>

☆コンテクストの種類(Malinowski)=
・状況のコンテクスト(context of situation)
 →活動領域(field)、役割関係(tenor)、伝達様式(mode)が構成要素
・文化のコンテクスト(context of culture)
<第9章 コミュニケーションの場と背景>

☆コンテクスト化(contextualization)=
言語及び非言語を使ってある時ある場所で言った言葉と過去の知識を結びつけ、
会話を保持していくプロセス(Gumperz)
→コンテクスト情報をもとにある会話表現を選ぶこと(Maynard)=
 自己コンテクスト化(self-contextualization)
<第9章 コミュニケーションの場と背景>

☆Hallのコンテクスト定義=
「できごとを取り巻く情報であり、そのできごとの意味と密接に結びついているもの」
→共有している情報量が多ければハイ・コンテクスト文化、
 共有している情報量が少なければロー・コンテクスト文化
<第9章 コミュニケーションの場と背景>

○言語コード=制限(restricted)コード+複雑(elaborated)コード(Bernstein)
<第9章 コミュニケーションの場と背景>

○音調学(Vocalics)=韻律素性(prosodic features)+周辺言語(paralanguage)
<第11章 非言語コミュニケーション(2)>

☆ジェスチャーの機能=
1:表象記号(Emblems)、例示子(Illustrators)、感情表示(Affect displays)、
発話調整子(Regulators)、適応子(Adaptors)
<第11章 非言語コミュニケーション(3)>

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2004 4/15
コミュニケーション学、言語学、社会心理学、心理学、教育学
まろまろヒット率4
心理学 キャリア

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『コミュニケーション・入門―心の中からインターネットまで』 船津衛著 有斐閣アルマ 199611.10.03

最近になって公開している遺書がいろいろなところで取り上げられるようになった、
らぶナベ@この本風に言えば生死間コミュニケーション?(^^;

さて、『コミュニケーション・入門~心の中からインターネットまで~』
船津衛著(有斐閣アルマ)1996年初版。

コミュニケーション論についての議論を網羅的に紹介している一冊。
何となく感じてるコミュニケーション論への違和感を具体化させるために、
メルマガでこの分野の本を募集したときに紹介された本でもある。

読んでみると「うわさ」についての記述に一番の興味を持った。
曖昧な状況の中で状況を把握するために必要なものとしてうわさは発生する。
だから人々がうわさに基づいて行動するのはそのうわさを信じているからではなく、
それが必要だからだし、情報が多すぎても発生するというのは納得(第7章)。

でもやっぱり通して読んでみると全体的に何だか薄いような気がする。
これはメディア論などの本を読むときに感じる違和感にも似ている。
双方向とか強調しながら実は受信者中心で発信者への視点が弱いからだろうか?

ちなみに副題にインターネットが入っているけど、
初版が1996年ということもあって記述がすごく少ない。
(日本におけるインターネット元年が1995年)
やはりこの領域はすごいスピードで変化しているんだなぁ
っとあらためて感じたりもした。

以下はチェックした箇所(一部要約&関心が高い順)・・・

☆「うわさ」
=曖昧な状況に共に巻き込まれた人々が自分たちの知識を寄せ集めることによって
その状況についての有意味な解釈を行おうとするコミュニケーション(ジブタニ, 1985)
→うわさは単なる伝達ではなく人々が状況を規定する過程
→人々がうわさに基づいて行為するのはそれを信用しているからではなく、
それを必要としているから
<第7章 集団行動・社会運動のコミュニケーション>

☆うわさは変化していく状況に適応するために情報が必要であるにも関わらず、
制度的チャンネルが破壊されている場合に生み出される(ジブタニ, 1985)
→情報が多すぎる場合にも発生する
→新しい環境に対処する際に人々がよりいっそう適切な方法を
発達させていく過程に不可欠な要素
<第7章 集団行動・社会運動のコミュニケーション>

☆自己に対する他者の認識と評価についての想像、
それと関連する自己の感情から自我が成り立っている(クーリー, 1921)
→notワレ思うゆえにワレありbutワレワレ思うゆえにワレあり
<第2章 自我とコミュニケーション>

☆「自我は本質的に社会的」
=社会は自我に常に先行して存在し、自我は社会から生まれ、
そこにおける社会的経験と社会的活動の過程において生み出される(クーリー, 1921)
→役割取得(role-taking)を通じて具体的に形作られる
<第2章 自我とコミュニケーション>

☆マスコミは人々の「評価」や「影響」の点ではパーソナルなものにはかなわないが、
「認知」や「情報の流れ」の点では強い力を持っている(ドイッチマン&ダニエルソン)
<第8章 マス・コミュニケーション>

☆「コミュニケーション」
=2人以上の人間が意味を伝達し、その意味の伝達を通じて
互いに共通な意味を有するようになる過程
<第8章 マス・コミュニケーション>

☆「ネットワーク」
=固有の意思と主体性のあるユニットがそれぞれの自由意思で自発的に参加したまとまり
(金子, 1988)
<第5章 集団・組織のコミュニケーション>

○「自己表現」
=自分の気持ち、意志、意見、態度、思考、地位、身分などを他者に向かって表現すること
<第3章 人と人とのコミュニケーション>

○「意味の意識」
=他者の反応と自己の反応、さらにその間の関係を意識していること(ミード, 1973)
<第1章 人間のコミュニケーション>

○「意味のあるシンボル(significant symbol)」
=他者のうちに一定の反応を引き起こすと同時に、
それと同一の反応を自己のうちに引き起こすもの(ミード, 1973)
→これによって人々の共通の意味の世界(universe of discourse)が生まれる
→これは人間特有のもの
<第1章 人間のコミュニケーション>

○「創発的内省性(emergent reflexivity)」
=他者の態度を通じて自己の内面を省みて、
過去と未来を関連づけながら新たな世界を創造すること(ミード, 1973)
<第1章 人間のコミュニケーション>

○「自分自身との相互作用(self interaction)」
=人間は自我をもつ存在として物事や他者を対象化するのと同じく
自分自身を対象化して自分自身に向かって行為できるようになること
→人間は自分自身とコミュニケーションできる(ブルーマー, 1991)
<第1章 人間のコミュニケーション>

○社会規範、価値、理想に同調するときに真の自我を感じる「制度的自我」
               VS
そうしたものから解放されたときに真の自我を感じる「インパルシブな自我」
(その中にはさらにインパルス解放型とインティメート型がある)
<第2章 自我とコミュニケーション>

○「鏡に映った自我(looking-glass self)」
=人間の自我は他者を鏡として、鏡としての他者を通じて知ることができること
(クーリー, 1921)
<第2章 自我とコミュニケーション>

○役割コンフリクト=役割内(intra-role)コンフリクト&役割間(inter-role)コンフリクト
<第2章 自我とコミュニケーション>

○「役割距離」
=決められた役割期待とはズレる行為を行って、目的を達成してしまうこと
→他者の期待から相対的に自由で自律性があることを示す(ゴフマン, 1985)
<第3章 人と人とのコミュニケーション>

○「役割形成」
=既存の役割規定の枠を越えて新たな人間行為を展開すること(ターナー)
<第3章 人と人とのコミュニケーション>

○コミュニケーションの私化は結局は非私化をもたらし再社会化に進む
<第4章 電話コミュニケーション>

○「コミュニケーション合理的なもの」
=共通の状況規定のもとで相互の了解と合意が形づくられ、行為の調整がなされるもの
(ハーバーマス, 1986)
<第5章 集団・組織のコミュニケーション>

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2003 11/10
コミュニケーション論、社会学、社会心理学、心理学、教育学
まろまろヒット率3
心理学 キャリア

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『メディア・コミュニケーション論』 竹内郁郎・児島和人・橋元良明編著 北樹出版 2000(3版)09.20.03

TBS系列で再放送していた『愛なんていらねえよ、夏』にちょっと感動した、らぶナベです。

さて、『メディア・コミュニケーション論』竹内郁郎・児島和人・橋元良明編著
(北樹出版)2000年第3版。
コミュニケーション論の本を探していたらメディア論との関連で構成されている
この本を見つけたので読んでみることになった。

一章ごとに執筆者が違っていて全部で序章+15章とけっこうな分量だったけど、
内容は「薄いやん」っと思うような章もところどころあった。
おかげでメモを残した章がかなり偏っている(^^;
第7章の「マス・コミュニケーションと社会をめぐる理論の成果と展開」が
この本の一応の中心にはなるんだろう。

また、この本で扱うメディアは新聞、ラジオ、テレビなどの
既存のマスメディアが中心になっていて、ネットや携帯電話などの
新しいメディアへの記述が少なくてちょっと残念だった。

ただ、各章末にそれぞれ3冊ずつ、そのテーマに関係する参考図書を
執筆者のコメントつきで紹介してくれているのはテキストとして役立った。

以下はチェックした箇所(一部要約)・・・

☆メディア・コミュニケーション研究の対象=人間・メディア・社会の相関の磁場、
入れ子状の関係のもとでの社会的相互作用としてのコミュニケーション
<序章 メディア・コミュニケーション論の生成>

○メディア変容で注目する点→
1:メディアにおける身体の根源性と基本性
2:新たな個別メディアの登場とメディア総体の自己変容
3:道具・機械メディアの独自の系
<序章 メディア・コミュニケーション論の生成>

○第一次集団(家族や企業組織など)ほど個別間の結合が強固ではなく、
大衆ほどには離散的でもない中間的結合体系=「集合体」(collectivity)
<序章 メディア・コミュニケーション論の生成>

☆メディアはそのメディア内容を離れてメディアそれ自体の独自の次元でも
リアリティ形成の力を一定の社会的文脈の中で発揮する
→メディア独自のリアリティ形成力=「メディウム性」
<序章 メディア・コミュニケーション論の生成>

○社会的格差の中にあるリテラシーを動員した実践が、
コミュニケーションという相互作用によって他者と共有するリアリティを
構成することを通じて、新たな自己、新たな他者との関係形成の一歩を築く
<序章 メディア・コミュニケーション論の生成>

○群集の特徴(Tarde,J.G.)=情動や集団的感情の模倣を通じての集団的一体感(コミュニオン)
<第1章 メディアとしての身体からグーテンベルクへ>

○文字の特性(Platon)=
1:書かれたものは客観的なモノと化して人工物となる、
2:書くことは記憶能力を衰退させる、
3:書かれたものは読み手に応答することはなく自らを弁護することもない
<第1章 メディアとしての身体からグーテンベルクへ>

○従来のメディアと電子メディアの相違点=
1:遠隔地間の情報伝達を瞬時に行える
2:同時に広範囲の人々に対する情報伝達ができる
3:電気信号によって多様な情報を蓄積、伝達することが可能
<第3章 メディアの今日的生成と諸形態>

○通信機器の普及の特徴=相手も同じ機器を持つ必要があるので
普及が十分ではない時期にはなかなか広まらないが、
普及がある一定数(クリティカル・マス)を超えると
逆にその機器を持っていないことに対して社会的圧力がかかる(吉井,1997)
<第6章 パーソナル・メディアとコミュニケーション行動>

☆ある年齢層の行動・意識を調査・分析する際の注意点=
1:「年齢層効果」(特定の年齢層であることの影響)、
2:「時代効果」(調査した時代の影響)、
3:「コーホート効果」(同時代に生まれた集団=コーホートが持つ特性の影響)
<第6章 パーソナル・メディアとコミュニケーション行動>

○メディアの公共性の基準(McQuail,1994)
=自由、平等、多様性、情報の質(客観性、均衡など)、社会的秩序と連携、分化的秩序
<第7章 マス・コミュニケーションと社会をめぐる理論の成果と展開>

○マス・コミュニケーションの社会的機能(ラザーフェルド&マートン,1960)
=1:地位付与の機能、2:社会規範の強化、麻薬的逆機能(潜在的機能)
<第7章 マス・コミュニケーションと社会をめぐる理論の成果と展開>

☆マス・コミュニケーションの社会的機能(ラスウェル,1960)
=1:環境の監視、2:環境への反応にあたっての社会の諸部分の調整、3:社会的遺産の世代的伝達
(国家単位で当てはめれば1:外交官、2:ジャーナリスト、3:教育者)
→ライト(Wright,C.R.,1960)はこれに4:娯楽の提供を追加
<第7章 マス・コミュニケーションと社会をめぐる理論の成果と展開>

○カルチュラル・スタディーズは第一段階では記号論や精神分析のアプローチを導入、
第二段階では社会的な主体としてのオーディエンスに焦点を合わせることで
その構造的な規定性を脱構築するという二重のパースペクティヴを有する
→メディアの基本的契機であるテクスト、テクノロジー、オーディエンスを
 それぞれ独立した変数とみなして議論を進めることは無い
<第9章 カルチュラル・スタディーズのメディア・コミュニケーション研究>

☆カルチュラル・スタディーズにとって重要なのは、
自由なテクスト解釈の主体としてのオーディエンスではなく(略)
様々な差別の文化政治学が葛藤と矛盾、せめぎあいを含みながら作動していく
政治の現場としてのオーディエンスの社会的身体である
<第9章 カルチュラル・スタディーズのメディア・コミュニケーション研究>

○メディアと日常生活を分離させてそれぞれの分野の科学性を追及するのではなく、
日常生活や郊外や都市、グローバルな空間システムの作用についての分析と
コミュニケーションについての分析を統合させる
→家庭には、想像される家庭(home)、社会関係の場の家族(family)、
 モラル・エコノミーの場の世帯(household)の三つの次元がある(Silverstone,1994)
<第9章 カルチュラル・スタディーズのメディア・コミュニケーション研究>

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2003 9/20
メディア論、コミュニケーション論、社会学、社会心理学
まろまろヒット率3
マスコミ キャリア

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『オデッセウスの鎖―適応プログラムとしての感情』 R.H.フランク著、山岸俊男監訳 サイエンス社 199504.17.03

最近は屋号(?)で「まろまろさん」と呼ばれたりもする、らぶナベです。

さて、『オデッセウスの鎖ー適応プログラムとしての感情ー』
(原題”Passions within Reason-The Strategic Role of the Emotions-”)
R.H.フランク著、山岸俊男監訳(サイエンス社)1995年初版。
前に読んだ『マインドー認知科学入門』の中で「合理的思考プロセスでも感情は重要だ」
と述べられているところが一番面白かったと言うと佐倉助教授が貸してくれた一冊。

この本では自己利益追求(感情は合理的判断の邪魔)という経済学の前提条件を
感情の重要さに注目しながら修正しようとしている。
合理的自然人という考え方や利潤追求モデルは前々から批判を受けているけれど、
経済学者が経済学的アプローチから感情の重要性を考察している点が面白い。
(著者は経済学者だけど訳者は社会心理学者という点もユニーク)
だから自己利益追求モデルを否定しているわけではなく、
利益追求の意味と過程をもう一段階広くとらえようとしている。
読んでいるとちょっと無理っぽい展開だと感じる箇所もいくつかあるけれど
「その理論に反するデータを示されただけでは重要な理論は変わらない」から、
「事実により良く合致する代替理論が提出される必要がある」として
この本を書いている著者の姿勢はすごく好感が持てた。

以下はチェックした箇所の抜粋(一部要約)・・・

☆私は(略)感情が自己利益追求にうまく役立つと考えている。
 ただしその理由は、感情に駆られた行為が隠された利益を生み出すからではなく、
 合理的行動によっては解決できない重要な問題が存在しているからである。
 そういった問題の特徴は、自分に不利益な状況になっても行動を変えられないように、
 自分の行動をあらかじめ自分で縛りつけておかなくては解決できない点にある。
 →オデッセウスの故事に
<1章 自己利益を越えて>

☆「自己利益追求モデル」=人が常に効率良く自己利益を追求しようとする視点
 「コミットメント・モデル」=一見非合理な行動がコミットメント問題の解決に役立つ
               感情傾向だとする視点
<1章 自己利益を越えて>

○コミットメント問題は、後で自分の行動を変えられなくするよう、
 自分の行動をあらかじめ一定の方向に縛りつけておくと得になる場合に生じる。
 →誤魔化し、抑止、結婚など
<3章 道徳感情の理論>

☆道徳感情は報酬のメカニズムを微調整し、特定の状況で将来の報酬やペナルティに
 もっと敏感にさせるための荒削りな試みとして考えることができる。
<4章 評判>

○さまざまな不快感情を避けたいという欲求が、道徳行動を引き起こす主要な要因。
 (ケーガン)
<8章 道徳を身につける>

○愛について思慮深い人は、愛することができない。(ダグラス・イェーツ)
<10章 愛>

○判別フィルターがなければ、環境からもたらされる刺激はわれわれを圧倒してしまうだろう。
 脳は実際に意識されているよりもずっと多くの情報にアクセスしている、
 それらの情報の多くは意識されていないけれども、だからといって、
 感情や行動に何の影響も与えないわけではない。
<10章 愛>

○感情にもとづく行動はコストをともなっているように見えるが、
 そういった行動が必ずしも物質的に不利になるとは限らない。
<11章 人間の品位>

○全盛をきわめている理論は、その理論に反するデータを示されただけでは変わらない。
 事実により良く合致する代替理論が提出されてはじめて、
 既存の理論は本当の挑戦を受けることになる。(トーマス・クーン)
<12章 まとめ>

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2003 4/17
進化心理学、経済学、社会心理学
まろまろヒット率3
心理学 キャリア

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『社会心理学キーワード』 山岸俊男編 有斐閣双書 200102.08.03

『プロジェクトX』に取り上げられた当事者と会った、
らぶナベ@出来事メモ(2003/2/4)にアップしてます。

さて、『社会心理学キーワード』山岸俊男編(有斐閣双書)2001年初版。
前に読んだ『図解雑学 社会心理学』がちょっと軽すぎたので
念のために買ってきて読んでみた社会心理学入門書。
社会心理学で使われるキーワードを網羅的に100個紹介していて、
通読すればテキストになるけど辞書としても使える便利な一冊。
目的ごとにキーワードを分類した道具箱まで用意されてあって至れり尽くせり。
テキストや辞書としてだけでなく何気なく感じていた普段の現象や
それとなく知っていた言葉についてのちゃんとした説明や分析が読めるので
日常生活の出来事を通して感じたことをまた別の視点で振り返るきっかけにもなる。
(ここらへんが社会心理学を知ることの短期的なメリットかな?)

ちなみにこれで4月までに認知科学、言語学、社会心理学の入門書を
一通り読むという課題をクリアしたことになる。
小さくても自分で作って自分で超えたことの達成感はやっぱりうれしいものだ(^^)

以下チェックした箇所(一部要約&重要と感じた順)・・・

☆社会心理学=「社会的存在としての人間の心の性質を研究する学問」
 G.W.オルポートによれば「個人の思想・感情・行動が、
 他の人間の現実の存在、あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって、
 どのように影響されるかを理解し、説明することを企画する科学」<1>

☆心と社会とは、お互いが相手を生み出しつつ相手によって
 生み出されるという意味で相互構成的な関係
 →社会的・文化的な環境とは独立したかたちで心を理解するには大きな限界
 →ここに社会心理学の存在意義がある<2>

☆社会心理学の役割(デュルケム)
 心理学=個人の判断に影響を与える要因の解明
 社会学=社会的事実の上に影響を及ぼすような諸原因の解明
 →心理と社会的事実が「どのような相互関係にあるか」を
  解明するのが社会心理学の役割<82>

☆人間の「自己概念」(J.C.ターナー)
 ・個人的アイデンティティ=特定の他者との親密で永続的な人間関係に基づく
  独自の自己記述
 ・社会的アイデンティティ=所属する集団や社会的カテゴリの一員であることを
  認識して生まれる自己記述<75>

☆「社会的交換理論」=物質的・社会的・精神的な資源の交換の視点で
  個人間や集団間の関係を見ること
 →進化心理学者は社会的交換課題こそが、性選択の課題とともに、
  人間の脳と心の進化によって最も重要な適応課題だと考えている<35><96>

○「沈黙の螺旋」(spiral of silence)
 =一般に認められないと認知された意見は公共の場で発言されにくくなり、
  一般に認められていると認知された意見は公共の場で発言されやすいので
  少数意見と多数意見の差はどんどん開いていくこと(E.ノエル-ノイマン)<100>

○「情報伝達の2段階説」(ラザースフェルド)
 =メディアが伝えた情報を集団内のオピニオンリーダーが
  中継して広めるという考え<93>

○対人関係の「SVR理論」(マーステイン)
 S段階=相手から受ける刺激(stimulus)に魅力を感じる段階
  ↓
 V段階=相手と価値(value)を共有する段階
  ↓
 R段階=お互いの役割(role)を補い合う段階<63>

○「近接因」=その現象や行動に直接に対応している心の性質(ピーマン嫌い)
 「究極因」=その現象や行動の近接因についての説明(なぜピーマンが嫌い)
 →「メタ理論」はどんな種類の説明を究極因として受け入れるかについての信念<4>

○メタ理論の種類
 ・「心メタ理論」=心のはたらきに見られる規則性を解明
 ・「情報処理メタ理論」=その規則性がいかなる情報処理のメカニズムを
             通して生み出されるかを解明 
 ・「適応メタ理論」=上記のようなHOWではなくWHYを解明<5>

○研究方法の種類
 ・「実験研究」=結果解釈が明確だが外的妥当性が低い
 ・「調査研究」=結果が一般化できるが結果解釈が難しい<6>

○実験の種類
 ・「風洞型実験」=特定の状況のモデルを作って
  そこで人がどう行動するかを調べる(外的妥当性重視)
 ・「理論検証型実験」=理論に関連しない夾雑物を全て排除して
  実験操作と結果の関連性を明確化する(内的妥当性重視)
 →「構成概念妥当性」=具体的な変数の操作や測定が
   理論変数と正しく対応している程度のこと<7>

○M.シェリフの実験結果=希少資源をめぐる競争が集団間の葛藤を引き起こす
 →葛藤低減には単なる集団間の接触ではなく上位目標を達成するための
 「協力的相互依存」が必要<8>

○強力な不公平感を生み出す利己的な「相対的剥奪感」発生の条件
 (1)個人がAを望んでいる
 (2)他社がAを手に入れているのを知る
 (3)自分もAを手にい入れる資格がると感じる
 (4)Aを手に入れることは不可能でないと考える
 (5)Aを手に入れないのは自分が悪いからだと思えない(W.G.ランシマン)<15>

○「フォールス・コンセンサス理論」
 =自分の特性・意見・行動は一般的で適切なもので、
 自分と違うそれらは一般的ではなく不適切であるとみなす傾向(L.ロス)<25>

○「エミック」=当事者の観点から現象や行動を理解しようとするアプローチ
 「エティック」=普遍的な観点から現象や行動を理解しようとするアプローチ
 (人類学より)<34>

○「ステレオタイプ化」=合理的な理由なしにステレオタイプにまつわる情報を
 そのメンバーにも当てはまると過剰適用してしまう単純化された認知
 →個人の中で自動的・無意識的に生じるので効果が隠れたものになりやすい<46>

○社会心理学の「帰属」
 =他者の行動からどうしてその行動が生じたのかという原因を考える推論<49>

○「感情」=身体的変化とその自己認知、そして外的刺激の認知と
      状況の認知が合成した一種の複合状態
 →感情を意識的に感じるという感情体験は主観的な経験なので、
  生じている出来事の一側面だけを指し示しているにすぎないことに注意<51>

○「援助行動」の原因
 ・苦境に陥っている人を観察することで生じる不安や不快感を軽減するため
 ・苦境に陥っている人に対する共感的関心
 →後者の原因から来る援助行動は継続すると考えられる<66>

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2003 2/8
社会心理学
まろまろヒット率3

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『図解雑学 社会心理学』 井上隆二&山下富美代著 ナツメ社 200101.20.03

10年ぶりに復活したドラマ『高校教師』では今回も京本政樹は変態役なのかと思う、
らぶナベ@ソニンがご無体なことされるのかな?

さて、『図解雑学 社会心理学』井上隆二&山下富美代著(ナツメ社)2001年初版。
院の準備のために社会心理学の入門書を探していたところ、
HPにときどき遊びに来てくれているよしぞおさんに紹介してもらった本。
彼女は専攻が社会心理学で専門が自殺論という実に熱いテーマを持っている人。
紹介してもらったこのナツメ社の図解雑学シリーズは雑学とかいいながら
内容はけっこう手堅いし図解があって理解しやすいので
僕も他分野で何度かお世話になっている。

内容は個人レベル、対人レベル、集団レベル、社会レベルの四つの段階ごとに
社会心理学の基本的な考え方を紹介しているが、
やはり社会レベルでのテーマ紹介が面白かった。
特に流行は「独自性への要求」と「同調性への要求」との緊張関係から
生まれるという考え方はおもしろいと思う。
(独自性への要求→同調性への要求→再び独自性への要求へと循環)
そうだとしたら流行を生み出す人はこの二つのジレンマに悩む人かもしれない。

この本は「社会心理学が扱うテーマについてざっと知ることができる」として
紹介してもらったけれど、あまりに網羅的でちょっと物足りなさを感じた。
もう一冊、体系的な教科書を紹介されたので
そちらも読んでから社会心理学の入門はひとまず一段落としよう。

以下はチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○社会心理学=人の社会行動が社会的な要因によってどのように影響されるか、
 その影響過程を明らかにすることを目的とする科学

○社会心理学での「集団」=
 1:メンバーが互いに影響を受け合う(社会心理学者は特に相互作用に注目)
 2:メンバーの関係が一定期間継続する
 3:メンバーは共通の目的がある
 4:メンバー間に地位や役割がはっきりしている
 5:メンバーが集団に属していることを自覚している
→「集団」と「群集」との違い=集合期間が定期か一時期か、
 役割が分化しているかしていないか、相互作用が強いか弱いか

○「集団極性化」=個人の時よりもよりも集団の時の決定がより極端になること
→他者の存在が自説の強化と確信になるため(J・ストーナー)

○群集心理の特徴=1:一体感、2:無責任性、3:無名性
→群集は「乱集(モップ)」と「聴集」に分かれる

☆流言
・流言の広まる度合い=事態の重要性×情報の曖昧さ

・流言の特徴=
 1:平準化→情報が要約されて平易化する
 2:強調→情報の中からある要素が飛び出して強調される
 3:同化→伝え手と聞き手がもっている知的、感情的な条件でゆがめられる
(G・オールボルトとL・ボストマン)

☆流行=「独自性への要求」と「同調性への要求」との拮抗から生まれる
→独自性への要求から新たなものが生み出され、それが広まり、
 同調性への要求から受け入れられ、再び独自性への要求が生まれる

○ブランド品に代表される「威光効果」=持つことで優越感を感じる暗示
→暗示のかかりやすさ=「被影響性」
→被影響性が高い人=1:自主性に欠ける人、2:権威に影響されやすい人

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2003 1/20
社会心理学
まろまろヒット率3

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