Archive for the ‘小説’





『光武帝』 塚本青史著 講談社 上中下巻 200604.30.07

一歩踏みだしたら、いきなりつまずいて捻挫した、まろまろです。

さてさて、『光武帝』塚本青史著(講談社)上中下巻2006。

後漢を打ち立てた光武帝(劉秀)を主役にした歴史小説。
光武帝は中国史上屈指の名君、それも王朝の開祖としては一番か二番目に挙げられる人物として知られている。
慣用句になったエピソードも豊富にある人物だけど、なぜかこれまで物語として取り上げられることが少なかった。
そんな光武帝を主役にした歴史小説ということで期待して読んでみた。

・・・なのに読み終わってみると残念な感想を持ってしまった。
有名なエピソードはほとんど入っていないし、フィクションに大きな分量を割いていてそれが面白くない。
政略・戦略面がほとんど取り上げられていなかったのもがっかりしてしまった。
(特に後漢をたててからのエピソードが豊富なのにそれが一切えがかれていない)
上中下巻もある長編小説なのにもったいなく感じた一冊。

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2007 4/30
歴史小説
まろまろヒット率1
売れ筋 本

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『邪魅の雫』 京極夏彦著 講談社ノベルス 200611.29.06

ごはん&麺類好きだけど、最近ふとしたことからパンを勉強中のまろまろです。

さて、『邪魅の雫(じゃみのしずく)』京極夏彦著(講談社ノベルス)2006。

1953年(昭和28年)、江戸川、大磯、平塚で次々に不可解な毒殺事件が発生した。
一見、何のつながりも無いように思える各地の事件を、捜査本部は早々に「連続」殺人事件と認定した。
各地でバラバラに発生した毒殺事件に関連はあるのか?
・・・京極堂シリーズ第8弾。

内容はタイトル通り、邪(よこしま)なことの魅力、そのひと雫に魅了された人々の物語がストーリーの中心となっている。
個々に出てきた場面がパズルのピースのように、最後に一枚の絵としてつながることを期待して読んでいたのに、
結末の絵はこれまでのピースとのつながりが弱いもので、印象が薄い一枚でしかなかった。
そのために読み終えてみると物足りなさが残ってしまった。

この作品では、自分が世界の一部なのではなく、世界が自分の一部だという錯覚にとらわれてしまった人々、
砂漠と砂一粒の大きさを逆転させてしまった人々の切なさがテーマとなっているだけに、
謎解きよりも内面的な描写が多いのは仕方ないんだろうけど、途中の退屈さが解消されずに終わったように思えてしまった。

前作の『陰摩羅鬼の瑕』と同じく、期待が高かっただけに迫力に欠ける印象を感じてしまった。
次回作にはこれまでのシリーズのように最後に大きな絵を見せてくれることを期待したい。
(読者はどんどん欲深くなってしまうものなのか(^^;)

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2006 11/29
小説
まろまろヒット率3
売れ筋 本

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『風の群像―小説・足利尊氏』 杉本苑子著 講談社文庫 上下巻 200010.06.06

ペットが飼えない一人暮らしなので野良猫の手懐け方を教わっている、まろまろ@目下まふまふ練習中です。

さて、『風の群像―小説・足利尊氏』杉本苑子著(講談社文庫)上下巻2000。

室町幕府を開いた足利尊氏の生涯をえがいた歴史小説。
足利尊氏が生きた南北朝時代は、僕にとって関心の高い時代の一つだ。
権威が崩れ、悪党などの異形の新勢力が台頭し、婆娑羅文化に代表される闊達な文化が生まれた興味深い時代。
そんな南北朝時代だけど、この時代を取り上げた物語は南朝側の視点に立つものが多い。
特に足利尊氏に関しては南北朝時代の主役の一人なのに、物語に取り上げられることが少ない。
たとえば歴代の武家政権を開いた源頼朝(鎌倉幕府)、足利尊氏(室町幕府)、徳川家康(江戸幕府)の三人の中でも、
足利尊氏は一番マイナーな存在になっている。
・・・っと思っていたら足利尊氏を取り上げた歴史小説を発見したので手に取った一冊。

この本を読む前の足利尊氏に対しては「とても複雑でとらえどころのない人物」という印象を持っていた。
器量が大きくて大盤振る舞いな一方、とても小心で精神的に不安定だというイメージがあったが、
読んでみるとこの小説でもそのイメージそのままになっていた(w

中でも観応の擾乱での迷走ぶりと立ち回りの醜さは、読んでいて気持ちが悪くなるほど良く表現できていた。
「これでよく天下取れたな」という印象が、この小説でも生々しくえがかれている。
また、この小説では弟の足利義直の評価が高く、加えて『太平記』ではいつも悪役にされる高師直がカッコ良くえがかれているのが好感が持てた。

足利尊氏が物語の主役になりにくいのは、やはり歴史的な評価が戦前と戦後で揺らいだということだけでなく、
この複雑怪奇な性格(一説には精神疾患説がある)から来ているんだろうとあらためて感じた一冊。

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2006 10/6
歴史、小説
まろまろヒット率3
歴史

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『点と線』 松本清張著 新潮文庫 1971(原著1958)06.09.06

社会派推理小説の原点とされる本を読んだので社会派な用語「弊社」をアップした、まろまろです。

さて、『点と線』松本清張著(新潮文庫)1971(原著1958)。

昭和32年(1957年)、九州で男女二人組の心中死体が発見された。
ありふれた情死に小さな疑問点を見つけた捜査員は、汚職事件との関連と他殺の可能性で捜査を進めるが、
容疑者は犯行時に北海道にいたという完璧なアリバイがあった・・・

日本推理小説の最高傑作の一つと言われる一冊。
容疑者のアリバイを崩して破っていくという、いわゆる「アリバイ破り」ものとして、
突飛なトリックや荒唐無稽な動機の多かった推理小説に衝撃を与えた作品。

読んでみるとすでに50年近く前の話だし、時刻表を駆使したトリックはこの作品以降
よく使われているのでオチは簡単に想像できた。
ただ、電報が重要な役割を果たしていたり、青函連絡船があったりと、
当時の交通手段・通信手段を考えてみると感慨深いものを感じた。

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2006 6/9
推理小説
まろまろヒット率3
松本清張

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『船乗りシンドバッドと軽子のシンドバッド』 リチャード・F. バートン原典訳、大場正史日本語訳、古沢岩美イラスト ちくま文庫『バートン版 千夜一夜物語』第七巻より 200406.01.06

まろまろ@いま書店に並んでいる幻冬舎『世界の山ちゃん伝説』に僕のインタビューが載ってマッスル。

さて、『船乗りシンドバッドと軽子のシンドバッド』リチャード・F. バートン原典訳、大場正史日本語訳、古沢岩美イラスト
(ちくま文庫)『バートン版 千夜一夜物語』第七巻より(2004)。

シンドバッドの原典が読みたくて手に取ったバートン版千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)の第五百三十七夜から第五百六十六夜まで。
もちろん原典と言っても、シンドバッドの物語自体が色々な海洋物語・伝説を集約したものだし、
派生型も多くて本当の意味でのオリジナル原著に当たるものは無い。
ただ、このバートン版はかなり原形を留めているとされていて、第七回目の航海についてはカルカッタ版も載せられているので信頼性も高い。

実際に読んでみると・・・原典のシンドバッドは人を殺しすぎ(笑)
確かにこのままでは子供向けにはできないのがよくわかる。
ただ、その分生々しいシンドバッドの冒険伝説が活き活きとえがかれていて躍動感があった。
また、解釈や考察を加えているバートンの注釈も興味を持てた(この本で竜涎香などの希少品のことを知った)ので、
169ページにわたる長編物語なのにあっという間に読むことができた。

読み終えてみると毎回苦難に遭って「二度と航海には出ない」と心に誓いながらも、
その都度航海に出てしまうシンドバッドに微笑ましさを感じたし、
どこか親近感のようなものを感じたりもした。

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2006 6/1
小説、寓話、海洋もの
まろまろヒット率3
アラビア ロマン

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『海賊モア船長の憂鬱』 多島斗志之著 集英社 200502.01.06

海洋深層水のお風呂に入れる三浦半島の観音崎にある「スパッソ」にいってきた、
らぶナベ@お肌ツルツルさんいなりました(^_-)

さて、『海賊モア船長の憂鬱』多島斗志之著(集英社)2005。
以前読んだ『海賊モア船長の遍歴』の続編。

ロンドンの東インド会社本社に勤務するマイケル・クレイは、失踪事件を調査するためにインドのマドラスに向かう。
失踪の謎にはジェームズ・モア率いる海賊団、マドラス長官トマス・ピット、オランダ東インド会社、フランスなどが複雑に絡んでいた・・・

失踪事件の捜査を物語の主軸に、18世紀初頭のインド洋をめぐる列強のパワーバランス、海軍の洋上生活、そして海戦をえがいている。
続編といっても主軸になる人物が違うし、前作は純粋に海洋小説だったけど今回は捜査や陰謀などのミステリー部分が大きい。
前作に比べるとハラハラが少なくなっていたのが少し残念。
何年後かに出るこのまた続編へのつなぎか?

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2006 2/1
小説、海賊もの、歴史
まろまろヒット率3

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『海賊モア船長の遍歴』 多島斗志之著 中公文庫 200101.04.06

らぶナベ@本年もよろしくお願いシマウマ。

さて、2006年の最初に読んだ本は、『海賊モア船長の遍歴』多島斗志之著(中公文庫)2001。

主人公ジェームズ・モアはかつて東インド会社の航海士だったが、不可解な巡り合わせと不運で凋落していた。
そのモアが海賊討伐に出航するアドヴェンチャー・ギャレー号(キッド船長)に乗り込むことから物語がはじまる・・・

海賊ものの傑作と前から耳にしていたので、年始に読んでみた一冊。
17世紀末のインド洋を舞台に、船中での人間模様、過去をめぐる謎をえがきながら、
商船への襲撃、軍艦との海戦、海賊同士の争いなどのメインストーリーが進んでいく。

しっかりした時代考証、個性的な登場人物たちの活躍、海戦での頭脳戦など読みどころは多いけど、
特に印象に残ったのは、主人公モアとマドラス長官トマス・ピットとのやりとりだ。
トマス・ピットの書斎にあったモンテーニュの『随想録(エセー)』の中の、
「物陰で狡猾におこなわれる不正よりも、はっきりと表立ってなされる不正のほうをまだしも許容する」
という一文に「同感なり」という書き込みが添えられていたのをモアが発見するシーンは、
二人の間に芽生えた友情のようなものの背景がわかって印象深い。

上下二段式の長編だけど、展開が早い上に章立てがわかりやすいでサクサク読める一冊。

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2006 1/4
歴史小説、海賊もの
まろまろヒット率3

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『中大兄皇子伝』 黒岩重吾著 講談社文庫 上下巻 200412.19.05

「浅田真央を浅田真央をトリノへ出してあげたいまとめサイト」に新しい社会運動の姿をかいま見た、
らぶナベ@とりあえず安藤美姫の目はこわいです(^^;

さて、『中大兄皇子伝』黒岩重吾著(講談社文庫)上下巻2004。

社会常識にこだわらずに既得権益と戦い、専制君主的なリーダーシップで改革を断行する、
そんな日本人らしくない歴史人物として織田信長はよく取り上げられるし、彼を主役にした小説やドラマは多い。
でも同じく革命的な人物なのに中大兄皇子(天智天皇)を主役にした物語は少ないと思っていたら、
たまたま見つけたので手に取ってみた歴史小説。

読んでみると上巻のほとんどをかけて、大化の改新にいたる経緯をえがいている。
中大兄皇子が蘇我入鹿を暗殺するのは、正確には大化の改新じゃなくてそのきっかけの乙巳の変だけど、
その過程には国際情勢の変化、中臣鎌子(藤原鎌足)の暗躍などが絡まってきていて
この時代ってやっぱり面白いんだなぁっと再確認することになった。

ちなみに中大兄皇子の女性関係をめぐっては弟から奪った額田王と、実妹の間人皇女が有名だけど、
この小説では間人皇女との関係の方をかなり詳細に書かれてあった。
確かに同父母の妹と関係を持ったことについては中大兄皇子を象徴する事例としてよく挙げられる。
たとえば僕が中学の時に読んだ中大兄皇子の娘、持統天皇を主役にした『天上の虹』(里中満智子)では、
彼が実の妹と肉体関係を持った理由を「自分しか愛せないから」としていた。
この小説では「禁忌をやぶることの快楽にとりつかれたから」と解釈していたのが興味深かった。
二十歳の時に当時は強大な権力を持っていた蘇我入鹿を自分の手で暗殺した時の衝撃が忘れられず、
禁忌をやぶることの欲求にとりつかれてしまったという視点にはちょっと説得力があった。

また、この小説では一人称「吾」で語られるスタイルなので中大兄皇子の視点を想像しながら進行している。
だから新羅の金春秋(武烈王)に対してはある種の尊敬の念を持っていたことや、
厩戸皇子(聖徳太子)は仏教に逃げたとしている評価がちょっとおもしろかった。

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2005 12/19
歴史小説
まろまろヒット率3

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『王妃の離婚』 佐藤賢一著 集英社文庫 200212.12.05

立ち退き問題更新停滞問題が立て続けに解決してきた、らぶナベ@今年のトラブル今年のうちにってやつです(^_-)

さて、『王妃の離婚』佐藤賢一著(集英社文庫)2002。

中世フランス、まだ法学が神学の一部だった頃(カノン法)におこった国王から王妃への離婚裁判を舞台にした法廷もの。
主人公は学問の世界(カルチェ・ラタン)に挫折し、それでも知的な仕事からは足を洗えずに田舎弁護士をしている。
その主人公が圧倒的に不利な王妃側の弁護に名乗りを挙げる、過去の自分に復讐するために・・・

没落した主人公が過去を引きずりながら不利な状況を戦っていくというのは、まさに法廷もののお約束ストーリーだけど、
いきがっていた頃の気恥ずかしさ、引きずり続ける恋、上手く折り合いをつけられない思い出たちの描き方が絶妙で、
読んで自分の古傷がジクジク痛むような気持ちになったほどだ(^^;
この点がこの作品が直木賞(第121回)を受賞した理由のような気もする。

そんな過去と絡めながら進む現在はとても躍動感がある。
国際情勢の影響下で進む生々しい政治的駆け引き(カノン法なので裁判はローマ法王庁管轄)と、
鋭い論理戦を展開しながら不利な状況をつくがえしていく痛快さがとても面白い。
章立ても上手くて、息を飲むシーンが何度もあった。

エピローグの一番最後は必要ないような気もしたが、最後は男女にとっての「救い」とはいったい何なんだろう?っと考えさせてくれる一冊。

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2005 12/12
歴史小説、法廷もの
まろまろヒット率4

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『播磨灘物語』 司馬遼太郎著 講談社 全四巻 2004(新装)12.01.05

らぶナベ@「ドラゴンボール占い」の結果が亀仙人だったのでちょっと凹みました(>_< )

さて、『播磨灘物語』司馬遼太郎著(講談社)全四巻2004新装。

豊臣秀吉の参謀として活躍した黒田官兵衛孝高(如水)を主役にした歴史小説。
友人が黒田官兵衛に興味を持っていると言っていたのを耳にしたのと、
別の古い友人が「俺って黒田官兵衛っぽいんだよな」とつぶやいたのを思い出して読んでみた司馬作品。

読んでみると、播磨の端っこで鬱々として京都に出かけていった青春時代、豊臣秀吉との出会いで調略に全力をかけた日々、
反乱を起こした荒木村重を説得しに行ったのに投獄されて生死をさまよった時期、
竹中半兵衛とのお互いを認め合う友情の逸話など、
見所満載のはずが読み終わってみると消化不良な気持ちになった。

黒田官兵衛のあっさりした性格もあるのだろうけど、何よりも山崎の合戦以降のことは
最終章「如水」だけで要約されていて、駆け足に書かれていたのが残念だった。
関ヶ原の戦いで九州を席巻しようとした彼の姿ももっと書いてほしかった。

ちなみに僕は司馬作品の中に出てくる「中国大返し」のシーンがいつも印象に残る。
『新史太閤記』や『功名が辻』でも印象深かった(自分と重ねあわせることもあった)けど、
この作品でも大急ぎで引き返す中で秀吉が馬上から大声で言った言葉を祐筆に書かせて、
各地に手紙で送る姿には今風に言うところのモバイル・コミュニケーションな姿をかいま見て印象深い。

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2005 12/1
歴史小説
まろまろヒット率3

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