Archive for the ‘ノンフィクション’





『ホームレス中学生』 麒麟・田村裕著 ワニブックス 200712.12.07

気がつけばこの本で今年70冊目の読書日記になる、
まろまろ@これまでの記録は吉本興業にインターンシップに行った年の年間68冊でした。

さて、『ホームレス中学生』麒麟・田村裕著(ワニブックス)2007。

中学生のたむちんは、ある日突然、父親からの一家解散宣言を受ける。
住む家を失ったたむちんは近所の公園にある滑り台、通称”ウンコ”での生活をはじまる・・・

お笑いコンビ麒麟の田村裕によるノンフィクション。
ベストセラーは避けることが多いけれど、親が買ってきていたので思わず手に取った一冊。

読んでみると、まず野良犬や近所の子供たちの戦いの日々がおもしろい。
そしてところどころに入る母親との思い出、そして最後の母親への手紙にはほろりとさせられる。

「愚者はどんな幸せからも不幸を見出し、賢者はどんな不幸からも幸せを見出す」。
その言葉を思い出させられる本。

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2007 12/12
ノンフィクション
まろまろヒット率3

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『(有)アランジアロンゾ』 アランジアロンゾ著 角川書店 200106.18.05

「お気に入りのカレー屋さん200」の200軒突破記念オフ会にお呼ばれして行ってきた、
らぶナベ@二次会もカレーというのが実にアツい会でした・・・

さて、『(有)アランジアロンゾ』アランジアロンゾ著(角川書店)2001。

姉妹からスタートして今や日本を代表するキャラクター・ビジネス企業となったアロンジアロンゾの、
会社設立から10年間(1991-2001)の活動をまとめた企業史。

コンテンツ創造でキャラクター・ビジネス演習を立ち上げようとしていたら、
同期のなるみが貸してくれた一冊。
どうやら彼はもともとアロンジアロンゾのファインらしい。
かくいう僕も実は『どこへいくカッパくん』は愛読書だったりする。

本の内容は、企業キャッチフレーズが「かわいくて、へんてこで、かっこよくて、ばかばかしくて、
ちょっとこわくて、ちょっといたくて、まぬけで、なごめるアランジアロンゾ」というだけあって、
企業史といってもグッツ説明やQ&A、用語集などのコメントが面白くて、
ぱらぱら見るだけでも十分に楽しめる本となっている。

お気楽に読める本だけど、中には考えさせられる点もあった・・・
「CIを考えている間になんか作った方がいいよ」としてはじめた会社の方針は、
「つくりたいものを好きなようにつくって、いっしょうけんめい売る」というものだけど、
好きなものを売るだけに割り切れないものが出てくるしダメだった時のダメージは大きい。
まだ無名の頃に「心臓に毛を生やさなくちゃ」と言い合ったというエピソードや、
社員をリストラするエピソードは読んでいてかなり重たいものを感じた。
(「絵の目がこわいよ」という指摘を受けたエピソードには思わず笑ってしまったけど(^^;)

また、「(内容的に)バカにされ、軽んじられがちな中で、
バカにせず軽んじず信用してもらえる業者さん達と商品を作ってきた」
という姿勢は学ぶところが多いと思った。
いろんな視点で読めるユニークな本。

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2005 6/18
企業史、キャラクタービジネス、ドキュメンタリー
まろまろヒット率4

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『大空のサムライ』 坂井三郎著 光人社NF文庫 2000新装09.05.02

久々に大きなプレゼンをやった、らぶナベ@詳細は出来事メモにてにて(^^)

さて、『大空のサムライ』坂井三郎著(光人社NF文庫)2000年新装初版。
太平洋戦争中、ゼロ戦パイロットとして撃墜王になり、
戦後も生き延びた著者によるドキュメンタリー回顧録。
(戦記モノでもあるので歴史カテゴリにも記録)
この著者の名前は以前から時々眼にすることがあり、関心を持っていた。
実はゼロ戦は第二次大戦中の戦闘機の中でも特に装甲が薄くて、
さらにパイロット保護のための装備もほとんどないという、
防御を捨てて攻撃に特化したことで有名な戦闘機だ。
これはできるだけ機体を軽くして運動性能を上げるという直接的な理由と、
過度に精神論依存する旧日本軍の戦闘思想から来ているもので、
(この点は中公文庫の『失敗の本質』に詳しい)
一撃必殺の居合い道のような潔さと迫力はあるけれど
その分、長期戦ではパイロット生存率が極端に低下する欠点がある。
著者はこのゼロ戦に乗って各戦場で戦って生き残ったというだけでもすごいが、
自分と一緒に行動する僚機を一機も墜落させていないというのがすごい。
(ゼロ戦は最低三機一体で行動した)
そういうことから前々から興味を感じていたところ、
一次試験(筆記)の結果発表を見に行く前に立ち寄った
市ヶ谷の文教堂書店で見かけたので思わず衝動買いしてしまった。
厳しいことでしられる二次試験(学術プレゼンテーション)に進むことになれば、
戦場に向かう心構えなどのヒントがこの本から得られるかなと思ったからだ。

読んでみるとさすがに戦争記録であるので、
気持ち悪くなったり苦しくなって読みにくい箇所も多々あった。
そんな中でもいったん飛び立てば既に自分は死んでるのだと思って戦う、
戦闘機乗りの壮観さを感じてしまった。
特に興味深かったエピソードは・・・
ガダルカナルで致命的な負傷をして出血多量で意識が朦朧、
墜落は時間の問題となった際に「どうせ死ぬなら敵艦に体当たりして死のう」
っと方向を変えて敵艦を探していると意識がはっきりしてくる。
これなら帰れると思って方向を変えるとまた急に眠たくなる。
そこで今度こそ敵艦に突入しようと方向を変えるとまた意識がはっきりしてくる
・・・っということを5、6回繰り返した時に、
人間死のうと思えば「生きよう」とする本能が働いて眼がさえる、
それならば「自分は死にに帰るんだ」という錯覚を起こさせて
ガダルカナル→ラバウル間(約東京→屋久島間の距離)を帰ったという話だ。
欺瞞でも命をかけた自己欺瞞には迫力があるのだろう(^^)
また、「危機に直面した際には三回深呼吸する、
その時間がなければ一度深呼吸する」とか、
「人間は同時に二つのことを考えられないが、
0.何秒かずつずらしていけばいくつものことを同時に考えることができる」
などは当たり前のことだけどいざということにこれができるかどうかが
生死をわける戦闘機乗りの言葉としての重たさを感じた。

プレゼンに臨む際にもこの本を読んで気持ちを高めていたが、
人は誰もが戦闘機乗りかもしれない。
いざというときはたった一人ですべて戦わなくてはいけない
だからこそ自分を支えてくれる母艦を大切にしなくてはいけないのだろう。
一つの岐路に立ったときに読んだ本として印象深い一冊。

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2002 9/5
ドキュメンタリー、歴史
まろまろヒット率4

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『中坊公平・私の事件簿』 中坊公平著 集英社新書 200003.25.01

34日間にわたる東京滞在から帰ってきた、
らぶナベ@ネコのホームズが他人行儀でさびしんぼ倶楽部(T_T)

さて、『中坊公平・私の事件簿』中坊公平著(集英社新書)2000年初版。
東京在住中に市ヶ谷の中大大学院の中で読み終えた、法学関係で50冊目の本。
弁護士・中坊公平がこれまで関わった事件の中から
印象深い14の事件を取り上げて書いている自伝的な一冊。
掲載している事件数自体は14と少なく感じるが
「この本が私の墓標」と言い切っているだけあって
森永ヒ素ミルク事件、豊田商事事件、豊島事件、住専事件などの
戦後史に残る大きな事件だけでなく小さな市場の立ち退き補償事件まで
彼の弁護士人生に影響を与えた事件を紹介している。

様々な読み方ができる本だろうが僕は彼の人間や物事に対する
本質的な希望感や明るさやというものを強く感じた。
特に豊田商事事件や豊島事件などの大きな事件ほど
この考えが貫かれているように感じられる。
森永ヒ素ミルク事件で彼が読み上げた冒頭陳述が掲載されているが
彼が「遅れてきた青春」と呼ぶように僕自身も強い感動を感じた。
人に対して明るさを持つ人間が活躍するというのは先行きが明るいだろう(^^)

以下は印象に残った彼の言葉・・・
現場さえ知っていれば裁判も勝つし客も来る(中略)私にはツテもコネもない。
ましてや不勉強で特に法律に強いわけでもない。
そんな私がこの世界で生きていくためには、
誰より現場をしりぬくしかないんだ。
<H鉄工和議申立て事件>

依頼者が自分の事務所に来る時にはすでに仮面をかぶって入ってきています。
だから依頼者のほんとの素顔というのは依頼者が生活しているところへ
行ってこそ初めてわかるものなのです。
<M市場立ち退き補償事件>

この事件の被害者は誰や。赤ちゃんやないか。
赤ちゃんに対する犯罪に右も左もない。
<森永ヒ素ミルク中毒事件>

当事者の代理人がそもそも事件をどのように考え、どのように進行させ、
どのように終結させるのかということについて、
今のように裁判所任せであってはならない(中略)
弁護は迫力をもっていないとだめ。
<小説のモデル名誉毀損事件>

どうやって被害者の費用負担を最小限に抑え、
かつ正しい調査・鑑定結果を得られるのかということを見出す。
そういうことも弁護士の仕事の中に入ってくる。
<自転車空気入れの欠陥による失明事件>

弁護士が扱う「商品」というのは「人の不幸」というものから出発している
わけです。しかし「人の不幸」というものをどう処理するかというのは
限りなく難しい(中略)要するに人を見て法を説かないといけないのであり、
たえず万人に対して同じ答え、態度で接するという方がむしろ間違っている
<看護学校生の呉服類購入契約事件>

結局、事件を手がける時に弁護士にとって一番大事なのは、
同じ目線でものがみられるかということなのです。
これはどんな事件を手がけるにしても一番必要なことなんです
(中略)人間、粘りとひたむきさが大切です。
<金のペーパー商法・豊田商事事件>

われわれは単に豊島にいて、そしてそれがテレビや新聞に載せられて、
そして公害調停委員会に届くというだけでは目的は達成できない。
香川県の知事が謝罪しないということは香川県の皆さまが
やっぱり承知されていないからだ(中略)それには自分たちが
まず小豆島の土庄町から、そして小豆島から、
われわれの願いというものを本当にわかってもらわなければならない。
<産業廃棄物の不法投棄・豊島事件>

世の中は理屈や筋書きだけでは動きません。
情熱、エネルギーというものが必要です。
住管機構の仕事も見通しがないのに出発してはいけないというのではなく、
見通しがなくとも出発すべきだと考えました。
なんの見通しもないまま出発したのに(中略)何千億も回収できるなんて
奇跡だと言う人もいますが、人間、退路を断って懸命にやれば
世の中は動くものなのです。
<不良債権・住専処理事件>

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2001 3/25
法学一般、ドキュメンタリー
まろまろヒット率4
法務 キャリア

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『最高裁物語』 山本祐司著 講談社+α文庫 上下巻 199712.20.00

これがネットを使い始めた大学入学以来1万5千通目の送信メールになる、
らぶナベ@やっぱり読み書きが主流の仕事に向いているんだと自己分析(^^)

さて、『最高裁物語』山本祐司著(講談社+α文庫)1997年初版上下巻。
軽そうなタイトルからは想像できないほどの大著、でもかなり面白い(^^)
法廷の内外を問わず最高裁を中心に繰り広げられた人間模様、事件、
そうしたものの結果としての判決を最高裁誕生期の終戦前後から
現在までにわたって書かれている本格的なドキュメンタリー。
暗躍めいた裁判官たちの対立、歴代長官や重要人物のキャラクター、
官僚機構としての裁判所の裏事情などについて
とにかく「よく調べたなぁ」と関心するほど詳細に書かれている。
(戦前の事件でもかなり詳しく書かれているし付録の年表もやたらと充実)

分厚いし上下巻もあるので読み始めるまで少し躊躇があったが
実際に読み始めると面白くてとまらなかった。
戦後の有名な事件や社会問題の”顛末書”として最高裁判決を見ていくと
日本の社会情勢の変転が垣間見れてかなり楽しい。
ちょっと風変わりな現代史という表現が一番良いだろうか。

ただ難点を言えばこの本はすべての事柄について保守対リベラルという視点で
追っているのだがこれでは本質がぼやけてしまうこともあるだろうと感じた。
確かに終戦直後から安保くらいまではこの視点抜きにしては語れないけど
あまり二元論にこだわると原理原則論にがんじがらめになってしまうだろう。
現に70年代後半以降の記述は論理の統一性や説得力の迫力が
いまいちパワーダウンしている。
著者が長年ジャーナリストだったことを考えると
この年代の人が持つ匂いなのかなとも思うが
すごく良い本なだけに恣意性があまりに目立つ箇所にはちょっと残念。
でも総じて良い本だと言える一冊だろう。

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2000 12/20
法学一般、歴史、ドキュメンタリー
まろまろヒット率4
法務 キャリア

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『管制官の決断』 加藤寛一郎著 講談社+α文庫 199605.19.99

(株)エニックスから出版されている今月号(6月号)の雑誌、
『Gファンタジー』の編集後記に入社して二ヶ月もたっていない
友達Mの弁が載っているのを見て「なかなかやるな」とほくそえんでいる、
らぶナベ@さあ、みんなも本屋にゴーだ!(^^)
ちなみに僕的にはいまは何もない机が痛いものの残骸の山になってくれると
ネタ的には最高っす(妄想銀行貯金中)。

さて、『管制官の決断』加藤寛一郎著(講談社+α文庫)1996初版をば。
前に読んだ著者の『生還への飛行』で取り上げられたパイロットたちが
潰されるでもなく惑わされるでもなくあたかも楽しむように
危機的状況に対処する姿がかなりカッコ良かったので
もう一冊くらいは読んでみようと思って手に取った一冊。
普段あまり注目されることのない航空管制官にスポットを当てた珍しい本。
主に空港での管制塔内で行われる業務の紹介や適性などを紹介している。
(つまりホンマもんの意味での司令塔)

この著者の書いたものの特徴としてちょっと散漫だったり
趣旨がずれているように感じられる章とかもあったりするんだけど
管制官へのインタビューから成る第六章「二人の管制官」が一番面白かった。
管制官の落合進は管制官の適性について・・・
「瞬間、瞬間に最大限の判断が下せる人・・・口八丁、手八丁の人間。」
管制官でもっとも大切なことについて・・・
「何をやらなくちゃいかんという仕事の上の選択順位、
・・・それができない官制は駄目です。」
「仕事の選択です。・・・いい決め手をしないと、終始駄目になります。」
また、同じく管制官の前川博和は適性について・・・
「パイロットは自分の周波数にいるのは、五分か十分しかいない。
・・・その間に、最初の交信で、『あ、この人だったら大丈夫だ。』
という感じをパイロットに与えないといけない。
・・・声の質とか、話し方とか、何か心が伝えられるような人間。」
彼はまた、反対の多い官制の自動化については・・・
「決心すればできる。」

別の章で管制官、宇根和光夫は官制でもっとも大切なこととして・・
「全体の見通し、先を読むこと。」
官制の極意については・・・
「基本に忠実ということ・・・判断力は、訓練によって養われます。
また訓練によって、ゆとりが生じます。
余裕ある判断が、自信につながります。これが安全につながると思います。」

結論、やっぱ誇りを持って困難な仕事に挑んでいく男ってカッコいい(^_^)

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1999 5/19
ドキュメンタリー
まろまろヒット率4

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『生還への飛行』 加藤寛一郎著 講談社+α文庫 199805.09.99

今月26日で24歳になってしまうことに愕然としている、
らぶナベ@14歳のあの頃がすでに10年前になってしまっている
なんてかなり驚きっす!(*o*)

さて、『生還への飛行』加藤寛一郎著(講談社+α文庫)1998年初版。
著者は航空力学の専門家で東大名誉教授。
ばりばりの理系だけど文系チックな本をけっこう書いている。

内容の方はまずこの本のテーマ性がとても面白い。
航空機を操縦している最中の事故やミスは一瞬で死につながってしまうことが
多くて特にテストパイロットなどは「優秀なやつから死んでいく」
とまで言われるほど危険な目にあうことが多い。
そうした中で事故を経験したパイロットでも生き残ったパイロットと
死んでしまったパイロットに何か違いはあるのだろうか?
窮地を乗り越えて生き残ったパイロットたちに
共通点ははたしてあるのだろうか?
・・ということをきっかけに絶対絶命の死地を脱した
世界中のパイロットへのインタビューを通して
この疑問に挑もうとしたとても興味深い一冊。

インタビュー中もっとも微妙でかつ確信的な質問である
「なぜ貴方は生き残ったのか?」という答えに対して各パイロットたちは・・
○絶対にあきらめなかったからだ(エミール・ウィック)
○いま何が起こっているか正確に判断できること(ニック・ウォーナー)
○怖がらないこと、アクティブにする。麻痺してしまってはだめだ。
何が起こっているか知っていることが必要(ジャン・クーロー)
○キャプテンが平気な顔をしていたら大丈夫、
だけどもし彼がうろたえていたら、たいへんだぜ(ザビエル・バラル)
○平均的なパイロットよりは、少し早く事情を理解する(ピーター・ベガー)
○基本にもどる(藤原定治)
○できるだけ変数を減らして処理するのがパイロットの仕事
(リン・フリーズナー)
○生きるために、一生懸命働いた。
・・そして新しいものには常に疑いを持ってのぞんだ(トニー・レビエル)
→などが特に印象深い。

そして著者が・・・
○航空事故は基本的には「予想できないこと」が原因で発生する。
というように、非常的事態に接しなおかつ生き残ったパイロットたちに
共通した点として四つ列挙している・・・
1:生き延びた理由の一つに「幸運」を挙げている。
2:事故中、時間の経緯が極めて遅くなる。
3:短時間の出来事でも、有能なパイロットはそのあらゆる細部に
正確に対応し、それを詳細に記憶している。
4:事故がパイロットにほとんど後遺症を与えていない。←本質的に楽天的。

そしてこれらを踏まえて・・・
○技巧の優れてパイロットと武道の達人の間に
共通点があってもよいのではないか。
少なくとも両者は際立ってすぐれたセンサーを必要とする。
なぜなら両者は瞬時の判断と決断を要するからである。
・・・として、さらに勝海舟が『氷川清話』で書いた・・・
「天下のこと、すべて春風の面を払って去るごとき心境、
この度胸あって始めて天下の大局に当たることができる」
・・・をも引用している。

そしてこのような領域まで達するには非常な努力がいるだろうという
著者のインタビュー前の考えを・・・
○彼らは一生かけて仕事を楽しんでいる。
必ずしも刻苦精励努力しているわけではない。
好きで楽しんでいるからこそ、長続きし、上達する。
・・・と修正している。
例えば生き残ったパイロットでも・・・
○重要なのは練習と現実が同じでない、ということを認識することです。
しかしまず必要なのは練習です。
これを繰り返すことです(ジョーフレイ・ホールダー)
○学ぶことが好きなこと(ジャン・クーロー)
・・・と述べている。
このことをもっとも端的に表している例がある。
菱川暁夫が墜落して重体として病院に運び込まれたときに、
かけつけた奥さんにまず言った言葉は三つだけで・・・
「うろたえるな」「子供のことを頼む」、
そして「体が治ったら、また操縦してもいいか」だった。
奥さんは「いい」と答えたので何としても生き延びて
また飛ぼうと決心したそうだ。彼はいまでも空自の一線で飛んでいる。
・・・達人とはつまりはマニアだということだろう(^^)

また、面白かったのは零戦の撃墜王として有名な坂井三郎が
彼の極意である左捻り込みを実戦で使ったことが無いことを引用して・・・
○名人は極め技を使うところまでは追い込まれないのである。
・・・ともしている点は考え深いものだった。

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1999 5/9
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『敗れざる者たち』 沢木耕太郎著 文春文庫 197903.04.99

らぶナベ@思わず大学院受かっちゃったのでさっそく東京入りしますです、
いろいろ相談したり調整したりしないといけないので。
(それ自体もまた楽しみの一つだ(^^))

さて、そんな中『敗れざる者たち』沢木耕太郎著(文春文庫)
1979年初版を読み終えました。
普段あまり強い調子の言葉を使わない益田@エニックス内定者が
「ぜひ!」と薦めていたので試しに買って読んだ本。
スポーツの世界に「何か」を求め「何か」が足りなかったために
敗れていった者たちをルポしたドキュメンタリー。
ここにえがかれている人物たちは『あしたのジョー』の矢吹ジョーの様に
一瞬の場にすべてを賭けて戦い燃えつきて敗れていった者たちだけでは無く、
「いつか」燃え尽きたいと思いながらも
その「いつか」を見いだせないまま終わってゆく者たちも取り上げている。
そしてそこにこの本の最大のテーマがあるのではないだろうか
という思いが読んでいて強く感じた。
カシアス内藤という何か物足りないボクサーを取り上げた
第一章「クレイになれなかった男」の最後を・・・
「・・・人間は、燃えつきる人間と、そうでない人間と、
いつか燃えつきたいと望みつづける人間の、三つのタイプがあるのだ、と。
望みつづけ、望みつづけ、しかし”いつか”はやってこない。
内藤にも、あいつにも、あいつにも、そしてこの俺にも・・・」
・・・という風に結んでいるが、これこそが著者が
最もこの本の中で言いたかったことなんだろうと思った。
燃えたくても燃えきれない歯がゆさ、憤り、
カタルシスの無い本当の意味での敗者たちの話を読んでいく中で
僕自身もある種の焦燥感を感じた。
まだドラマでしか見たことがないが彼の代表作である
『深夜特急』にも共通している、この現代の焦燥感とも言うべきものこそが
著者の特徴なのかなと感じた。

特にその思いは最終章である「ドランカー<酔いどれ>」を
読み終えて確信的になった。
すでにピークを過ぎてしまっているこのボクサー輪島功一が
すべてを賭けて燃えつきる場所として挑んだ王座奪還戦を取り上げている。
一度負けた相手から王座を取り返すことが不可能に近いという
ボクシングの常識、この挑戦自体がプロモーション上の犠牲として
仕組まれたものだという経緯、そのような様々な言い訳ができる
この王座奪還戦に輪島はすべてを賭けて燃えつきた。
そして彼は見事に勝者となった。
彼には「栄光への枯渇感」がありありとあった、
今までこの本を読み通して受けていた焦燥感が
この最終章で見事に昇華されたように感じた。
しかしやはりこの章でも真の主役はこの試合をリングサイドで見ていた
著者とこの試合のチケットを送り招待しても最後まで来なかった
第一章で取り上げたカシアス内藤の二人、
つまり燃えつきたいと望みつづける男たちだったように思える。

エンターテイメント業界にせよ教育機関にせよ、
不安定であっても「燃えつきるほどまでに自分を賭けるられる場所がある」
僕はずいぶん幸せなのかもしれないとこの本を読み終えて感じた。

さあ、僕も燃えつきる場所を選びに東京へ旅立とう(^^)

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1999 3/4
ドキュメンタリー
まろまろヒット率5
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『突破者―戦後史の陰を駆け抜けた50年』 宮崎学著 幻冬社アウトロー文庫 上下巻 199802.03.99

まず最初に、読書なんてものは個人の趣味や興味に依存しるもんなんだから
万人に薦められる本は無いと思いますが、この本は絶対読んだ方が良いです。
いや読むべきだ!(断言)
それぞれの社会事象に大きく関わっているのにも関わらず、
今まで様々な理由で報道されてこなかったり
理論書でも曖昧にしている日本の闇の部分がとても明確に書かれています。
それもこの本に登場する人名のほとんどが実名で
「いまこの人物はこんなことしている」と恐いモノ知らずに書いています。
(ヤクザ組長の息子だからここまでできる)だからとても分かりやすい!
ちょうど今まで社会現象を分析する時にうやむやにしていた部分、
パズルの欠けていたピースをはめてすべてが繋がる思いがします。
社会に出るにしても大学で研究するにしても
そして社会と向きな合う上でもぜひ一読に価する本です。
一つの視点を得る上では非常にすばらしい一冊です。

さてその本とは・・・
『突破者~戦後史の陰を駆け抜けた50年~』宮崎学著
(幻冬社アウトロー文庫)1998年初版
戦後報道されにくかったり研究から外されたりしていた
日本の闇の部分に深く関わってきた人間の自伝。
グリコ・森永事件におけるキツネ眼の男として最有力参考人として
疑われた人物でもある。
以前から様々なところで推薦されているのを耳にして読みたいと思っていたが
この度ようやく文庫化してくれたので購入して読んだ一冊。

1945年まさに新しい時代に京都伏見の土建屋兼ヤクザの組長の息子として
生まれ、そこで幼い時から最底辺の人間たちと接しながら育ち、
戦後混乱期にどのようにヤクザなどの闇勢力が一般の社会に
関わっていたのかということを既述することから始まっている。

大学は早稲田の政経学部に入り、そこで当時の例にもれず
左翼運動関わり日本共産党系実行部隊(民青ゲバルト部隊)の指揮を執る。
早大紛争、東大紛争など当時主要な学生運動に実行部隊として関わり
その運動の経緯や社会的な変動を身を持って体験する。
ここがまた面白い!
当事者があまり口にしたがらない上に今の僕たちからはわかりにくい
当時左翼勢力がいかに行動し、抗争し、内部分裂していったのかを
克明に述べている。
東大安田講堂紛争のことも項を多くさき、抗争の経緯から実際の戦術まで
(どのように校舎占拠部隊と戦ったりデモ隊を潰すのかなど)
きっちり説明してくれている。
例えば左翼勢力の温床として各派の覇権争いがおこなわれていた
大学の寮長大会が乱闘になった時の実行部隊投入について・・・
「人の塊と塊がぶつかり合う場合は二派に分けた側が絶対に勝つ」、
「にらみ合った時は先に突っ込んだほうが勝つ。」
・・・と不良時代からの集団ケンカの理論を証明している。

卒業後週刊現代の記者になり大手新聞社にはできなかった
政治の裏側報道に従事する。
その後資金繰りが悪化する家業に戻り、土建業の社長として再建に奔走する。
ここでは日本経済の根幹部分である建築・土建業に対して
どのように政治家、官僚、ヤクザ、仕事師などの闇勢力が
関わっているのかということを明確にしている。
例えば談合というものが実際どういうもので
どのようなシステムになっているのか
どのようなメリット・デメリットがあるのかということを
当事者経験として語っている。
資金繰りが苦しくなると談合破りや取引踏み倒しペテンなどを通して
手形決算の自転車操業を重ねるが、
この時に資本家打倒を掲げ運動していた学生時代と中小企業の社長として
資金繰りに奔走している時代を比べて・・・
「命懸けの資本家に対して、左翼の方は命など懸けてやしない。
その一点で、端から勝負はついていたのだ。」
・・・と結論づけているのが興味深い。

その間に大手ゼネコン恐喝事件のとばっちりを受けて逮捕されて
拘留中に京都府警と対立した後に結局家業が倒産するが
そこで債権者の激しい追い込みを受け借金返済のためにバッタ屋の用心棒や
新宿愚連隊の伝説的人物を頼ったりして最底辺でうごめく。
その後ヤクザの大抗争(山口組、山一会抗争)の最中
グリコ・森永事件の最重要参考人としてこの事件に関わる。
京都の土地開発に関わった時にヒットマンに銃撃を受けたりする
こともあるなどバブル期に地上げ屋として関わるが、
この項のところでいかに金融がバブル期に闇の部分と関わっていったのか、
どうしてあそこまで不良債権がつもってしまったのかということを
当事者として非常に克明に既述している。
(ここらへんは報道されにくい上にぼやかされる部分なので必読だね)
また、最後の部分で今後の日本の闇勢力の展望をのべているが
これがとても興味深い。
現在おこっている犯罪の傾向が見事に彼の展望通りで説得力があるからだ。

この本は自伝で彼の人生を振り返っているのであって理論書ではないが
その分深く印象に残る箇所もあった。
例えば実家のヤクザ家業について抗争を取り上げた時に・・・
「この社会には必ずグレートマザー的な女性がいる。
その大いなる母が死んでいった男たちの死を癒し、
男たちの勲を語って伝説化・神話化していく。」
・・・としたところには感動的だった。

また、この本の結論だなと思われる箇所・・・
「男というのは土壇場で逃げる男と逃げない男の二種類しかないという
厳たる一面があって、土壇場で試されるのは唯一それなんだということが
よくわかった。これはヤクザも左翼も同じ、
市民だって同じだということを後でたっぷり思い知ることになる。」

この本の決論だと思われる箇所もう一つ・・・
「ヤクザの世界は、三つの言葉を知っていれば渡れる・・・
びびるな。相手の心にとどめを刺せ。自分を捨てろ。
これだけを実行していければ、ヤクザとして生きられる。
いや、これは、およそ自立して生きていこうとする人間に
共通する行動規範ではないのか。」

それとこれはどうでも良いことだが著者が
「社会全体が地表からうごめいた時代」として
1968年の左翼運動の盛り上がりと1988年のバブル絶頂期を
あげているがそれなら2008年は大きな変動期に入るのか?
また、1985年は阪神優勝、山一戦争、グリコ・森永事件と騒然とした年で
1995年は阪神大震災、オウム事件、大阪府・東京都各知事に
タレント当選とずいぶん話題があった年。
じゃあ2005年も騒がしい年になるのかな?(笑)

世の中いろんな視点で見た方が立体的にみえるっていうことを
あらためて実感させてくれる良書。
そして何より読んでいてとても面白い!
さあ、君も今日から突破者だ!(^o^)

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1999 2/3
ドキュメンタリー
まろまろヒット率5

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『24人のビリー・ミリガン』 ダニエル・キイス著、堀内静子訳 早川書房 上下巻 199205.03.95

非常におもしろかった本、ドキュメンタリー小説なので以前読んだ
フィクションの『アルジャーノンに花束を』よりもはるかに興味深かった。
以後、この本は心理学的な話になるとネタに使うことになる。

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1995 5/3
小説、ドキュメンタリー、心理学、教育学
まろまろヒット率4
心理学 キャリア

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