Archive for the ‘自然・科学本’







『現代社会と知の創造―モード論とは何か』 マイケル・ギボンズ編著、小林信一監訳 丸善ライブラリー 199703.06.06


ごはん日記にコロッケそばコンテンツをアップしたら、「揚げたてではダメなのです!」などの熱いメールが複数寄せられた、
らぶナベ@立喰師列伝にはまだまだ入れないようです(^^;

さて、『現代社会と知の創造―モード論とは何か』マイケル・ギボンズ編著、小林信一監訳(丸善ライブラリー)1997。
原題は”The New Production of Knowledge: The Dynamics of Science and Research in Contemporary Societies”(1994)。

前からペラペラと飛ばし読みしたことはあったけど、最近になってWeb2.0などのネット進化の議論で
引用されてるのを見かけることが増えたので通し読みしてみた一冊。

現在、知的生産の方法が大きく変化している。
この本では、その科学技術活動のモード(様式)についての議論をしている。
ディシプリンの内的論理で研究するこれまでの知識生産様式をモード1、
社会に開放された新しい様式をモード2と分類して、その背景や意義を述べている。

解説に書かれてあるように、やっつけ仕事を感じるところや無理やり感がある部分もあるけど、
初版から10年以上たったいまでもこの本が提言したモード2の動きは変わっていない。
たとえばネット上での動きはまさにモード2のものだし、「お行儀の悪い」様式がますます存在感を増してきている。
そんな僕もお行儀の悪い方に分類されているんだろうなと思いながら読み終えた。

ちなみにかなり長い序章(30ページ)を読めばそれで十分内容がわかるようになっている。

以下はチェックした箇所(一部要約)・・・

○クーンのパラダイム論では個々のディシプリンの内部の研究活動を規定するパラダイムの存在を考えた
→ギボンズのモード論では、個別のディシプリンを超えて、あるいは科学技術の研究活動を超えて、
知的な生産活動全体を規定するモードが存在していると考える
<転機に立つ「科学技術と社会」―日本語版の解説にかえて―>

☆トランスディシプリナリティの四つの側面・・・
1:明確な、しかし進化する問題解決の枠組を発展させる
2:解は経験的要素と理論的要素の両方を含み、それはまぎれもなく知識への貢献
3:モード1では制度的な経路を通じて成果が伝達されるが、モード2では成果は参加者が参加している最中に伝えられる
4:ダイナミックであり、流動的な問題解決能力
<序章>

☆本書の核心は、供給サイドにおける潜在的な知識生産者の拡大と、
需要サイドの専門知識に対する要求の拡大が同時並行的に起こっていることが、
知的生産の新しいモードの出現の条件を生み出しているということ
<序章>

○モード2はコミュニケーションが決定的に重要
→知識を利用するためには知識生産に参加しなければならない
<序章>

☆科学は動的にいつも複雑で変化に富んだプロセスで社会を形成したり、また社会いよって逆に科学が形作られたりしている
→科学が取り組む可能性のある問題の幅は際限なく大きく、それゆえ研究課題は純粋に知的な言葉では理解しえない
<第一章 知識生産の進化>

○科学は、技術的な規範と社会規範との緊密な相互作用を含む高度に構造化された一連の活動
<第一章 知識生産の進化>

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2006 3/6
科学哲学、技術社会論、研究様式論
まろまろヒット率3

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『へんないきもの』 早川いくを著 バジリコ 200401.25.06


見た目と存在感がカモノハシに似ていると言われたことがある、らぶナベです。

さて、『へんないきもの』早川いくを著(バジリコ)2004。

そのものずばり、不思議な見た目や驚きの生態を持った生物を紹介する本。
メスの20万分の1の体積しかないオスが、メスの子宮内で一生をすごすというボネリムシや、
気温150度からマイナス273度(絶対零度)の環境下でも生き残るクマムシなど、
「どうやって進化したんだ?」と思うような不思議な生物が取り上げられている。

紹介文がけっこう面白くて、たとえば海面を50メートルも飛ぶトビイカについては・・・
「それにしても水中の、しかも軟体動物が飛行するのである(略)よほど気合を入れて進化をしたのだろう。
イカは多くを語らぬが、数多くの苦労もあったに違いない」・・・など哀愁を誘うものが多い。

可愛いと定評のある動物を紹介する「かわゆいどうぶつさん」のシリーズでも、
実は激しく集団抗争を繰り広げるプレーリードッグや、荒々しい捕食スタイルを持つアイアイなど、
見た目が愛らしいとされる生物たちの生々しい面を紹介している。

可愛いとか気持ち悪いとかいう価値判断は人間が勝手につくったもので、生物たちにとってはそれが自然な姿なんだ。
そういうことをあらためて思い知らされる一冊でもある。

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2006 1/25
自然科学
まろまろヒット率3

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『ダーウィン文化論―科学としてのミーム』 ロバート・アンジェ編、佐倉統・巌谷薫・鈴木崇史・坪井りん訳 産業図書 200407.07.05


「京たこ」が京都には無いようにNewYorkには決して無い「NewYorker`s Cafe」で作業することが多い、
らぶナベ@よく利用されるかたはご一報ください、合間にまろまろとお茶しましょう(^_-)

さて、『ダーウィン文化論―科学としてのミーム』
ロバート・アンジェ編、佐倉統・巌谷薫・鈴木崇史・坪井りん訳(産業図書)2004。

ミーム論(ミーム学、memetics)の研究論文集。
編者が「ミームについて現在の論争点をはっきりさせる」ことを目的とすると言っているように(序章)、
ミームに関連する各分野の研究者たちがミームの有効性について論じている。
ミームに懐疑的な研究者の論文も掲載されているが、その傾向は後半にいくにしたがって強まる。

読んだ感想は、いろいろな議論はあるけど結局「操作的な定義以上のミームを同定することと、
その複製メカニズムをはっきりさせることの両方がなければミーム論は離陸できない」(11章)
というのと同じ感覚を持った。

ちなみにこの本は日本語訳版だけ各章の研究者紹介の項目がある。
この項目のおかげでその主張を唱えている人の背景がわかってとても有益だった。
(立体的に議論の様相がとらえられる)
これを書いた訳者は僕の指導教官だったりするが、彼はこういう研究者紹介をさせると上手い。

また、奇しくもこの本の中でも一番ミームに肯定的なブラックモア博士(第2章担当)とは、
読んでいる最中に実際に会う機会があった。
断片的に知っていた彼女の情報が実際に会うことによってパズルのようにつながったが、
ミームという言葉にはこういう情報のデジタルな側面を表わす響きがあるんだろう。

以下はチェックした箇所(要約含む)・・・

○ミーム=記憶のアイテムで、生物個体の神経系に保存されている情報の一部。
観察者が聴衆かすることで同定される。
観察者の裏付けは、以前にほかの生物個体の神経系に保存されていた
同じ記憶アイテムを裏付けた先行経験に依存している(Lynch, 1998)
<第1章 序論(ロバート・アンジェ)>

○ミーム研究をめぐる三つの論争・・・
・文化を主に構成しているものは、独立して伝達される情報単位とみなしていいのか
・いわゆるミームなるものは、自己複製子として機能しうるだけの要件を備えているのか
・ミーム論のようなダーウィン的、選択理論的なアプローチが文化の科学として最適であり望ましいのか
<第1章 序論(ロバート・アンジェ)>

○ミーム駆動=ミームは、現在成功しているミームを選択する脳を遺伝子に作らせたとする仮説
→人間の脳は選択的模倣装置
<第2章 ミームの視点(スーザン・ブラックモア)>

○私たちの周りにあるすべての文化的存在は、
熾烈なコピー競争の、現在の勝者であるがゆえに存在している
<第2章 ミームの視点(スーザン・ブラックモア)>

○人間の本性は、ミームと遺伝子が複雑な環境下で複製の競争を行った産物であり、
神秘的な導きの原理や自由意志とともにある内なる自己の余地など存在しない
<第2章 ミームの視点(スーザン・ブラックモア)>

○ミームは新しい研究プログラムであるから試行とテストによって評価されるべきである
<第3章 ミーム論をまじめに取り扱う―ミーム論は我らが作る(デイヴィッド・ハル)>

○文化の自然科学に対する主要な2つのアプローチ=
1:文化の進化に焦点をあてたアプローチ(心理的機構の進化に関心)
2:文化的進化に焦点をあてたアプローチ(遺伝子-文化の共進化に関心)
・・・この2つは統合されるべき
<第4章 文化と心理的機構(ヘンリー・プロトキン)>

○認知過程=心的表象を伴う過程
 →表象に対してエージェントが行う行為によって完成する
社会的認知過程=社会的信念、目標を伴う過程
 →エージェントの社会的信念、目標に対して行為を推敲することにより実現する
<第5章 心を(社会的に)通したミーム(ロザリン・コンテ)>

○ミーム論の利点
1:アプローチが基礎的
2:発見的であり新しい解釈や再構築を促す(進化的アプローチの特徴)
3:学際的
4:多岐に渡る問題を取り扱える
<第5章 心を(社会的に)通したミーム(ロザリン・コンテ)>

○科学としてのミーム論の未来は、ミームが脳内で確認されるかどうかではなく、
むしろどの程度までミームが心の中に宿るか、
その根拠や過程が明らかにされるかどうかにかかっている
<第5章 心を(社会的に)通したミーム(ロザリン・コンテ)>

○協力に必要な2つの条件
1:協力しあっているエージェントが1つの共通目標を持っている
2:彼らがその成就に対して相互に依存している
(Conte and Castelfranchi, 1995)
→交換においてはエージェントは相互依存さえしていればいい
<第5章 心を(社会的に)通したミーム(ロザリン・コンテ)>

○人間のニッチ構築は部分的には社会伝達ミームに依存しているものの、
人間の遺伝子の選択的環境にとどまらず、ミームの選択的環境をも形作る
<第6章 ミームの進化(ケヴィン・レイランド&ジョン・オンドリン=スミー)>

○もっとも成功しているミームは、ニッチ構築という形で実現しており、
自分たちの好みに応じて、選択的環境に効果的なバイアスをかけている
<第6章 ミームの進化(ケヴィン・レイランド&ジョン・オンドリン=スミー)>

○ミームを好きかどうかは、単純に「細分派」か「統合派」か、
分析を拠り所にするか解釈を拠り所にするかということに帰すかもしれない
<第11章 結論(ロバート・アンジェ)>

○操作的な定義以上のミームを同定することと、
その複製メカニズムをはっきりさせることの両方がなければミーム論は離陸できない
<第11章 結論(ロバート・アンジェ)>

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2005 7/7
ミーム、進化論、文化研究
まろまろヒット率★★★

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『星を継ぐもの』 ジェイムズ・P・ホーガン著、池央耿訳 東京創元社 1980(原著1977)04.01.05


安藤美姫の両親はよっぽど自信があったんだなと関心する、
らぶナベ@ネーミングには勇気が必要という例ですな。

さて、『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン著、池央耿訳
(東京創元社)1980年初版(原著1977年)。
1年くらい前に書店で見つけてタイトルに引かれていたら、
SF小説の最高傑作の一つで推理小説としても読まれていると知って読んでみたSF小説。
(SF小説を読むのは中学の時に読んだ田中芳樹『銀河英雄伝説』以来十数年ぶり)

物語の舞台は近未来。
月面で真紅の宇宙服を着た遺体が発見される。
この遺体は文明誕生前の5万年前のものであることが判明した。
果たしてこの遺体は人類なのか?それともまったく別の生命なのか?
そしてこの遺体と人類とのつがりはあるのか?
この疑問に対して学際的なプロジェクト・チームが挑む・・・

様々な学説が生まれては消え、離合集散を繰り返しながら
科学的推論が進んでいくプロセスが物語のメインとなる
まさに”サイエンス”フィクション。
特に発見された遺体の遺留品から彼の文化を復元しようとする
言語班(言葉)と数学班(単位)の活躍がおもしろかった。

もう30年も前の作品なので、今となっては理論が少し古かったり、
いろんなところで使われるお約束な部分もあったりするけれど、
プロローグから最終章、エピローグへとつながる流れは芸術的。
読み終えたときにはスケールの大きな感動を味わえる一冊。

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2005 4/1
SF小説、科学推論
まろまろヒット率4

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『創発―蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク』 スティーブン・ジョンソン著、山形浩生訳 ソフトバンクパブリッシング 200402.13.05


どんな場面でも関西弁で押し通す友人に日本の中の反グローバリゼーションを見る、らぶナベです。

さて、『創発―蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク』
スティーブン・ジョンソン著、山形浩生訳(ソフトバンクパブリッシング)2004年初版。

個々が部分的に相互作用を繰り返すことによって、自然に全体的な秩序が生まれ、
その秩序が個々に影響を及ぼす「創発(Emergence)」について書かれた本。
去年のソーシャルネットワーキングをめぐる話題でもよく出てきたキーワードだったので
興味を持っていたら研究室で発見して読んだ一冊。

読んでみると創発現象を支える「フィードバック」についての書かれている4章が一番面白かった。
「荒らし」や「ROM」が横行するインターネットの現状を
フィードバック回路で説明しているのも面白かったし、
個別の結果を非難するよりも自分の価値観を奨励するフィードバック回路を
生み出す仕組を考えることを提唱しているのも興味深かった。

ただ、訳注で訳者が突っ込みを入れているようにちょっと強引すぎて「?」と思うところもあったり、
事例の紹介だけでなくもっと仕組を知りたいと思うところもあった。

そんな本だけど、1章でシムシティなどの事例にあげながら
「創発行動はもはや、研究対象にとどまらない。自分で作れるものだ」
と述べているのが一番印象深かった。
創発は自分で生み出せる。
この「まろまろ」もEmergenceしているんだ(^^)

以下はチェックした箇所(要約含む)・・・

☆地面レベルから学習するよう設計されたシステムの5原則
1:多いことは違うことだ
2:無知は役に立つ
3:ランダムな出会いを奨励しよう
4:記号の中のパターンを探せ
5:ご近所に注意を払え
<第2章 街路レベル>

○時間がたつ中で全体が維持されることが複雑系を定義づける特徴の一つ
<第2章 街路レベル>

☆都市生活は、個人の行動を変える、見知らぬ者同士の偶然の相互作用に依存している
→歩道生活における情報ネットワークは(高速道路と違って)十分に肌理の細かいもので、
 高次学習が創発することを可能にする
<第2章 街路レベル>

☆学習=変化するパターンを認識して反応すること
<第3章 パターンマッチング>

○自己組織システムはフィードバックを使って自分をもっと秩序立った構造へと引き上げるが、
WEBのフィードバックを容認しない単方向リンクではネットワークが学習しつつ成長する手段がない
→だからこそ検索エンジンがあてにされる
<第3章 パターンマッチング>

☆負のフィードバック=予測のつかない変動する外的条件の中で均衡点に達する手段
 正のフィードバック=他のシステムを一層推進することになる手段
<第4章 フィードバックを聴く>

☆グループでの会話は一種の回路基盤
=主要な入力は公式な発言者から、二次的な入力は観客や他の発言者の反応から来る
(主要な入力は、自分の信号をグループフィードバックからの二次的な入力に基づいて調整する)
→イカレポンチ(ネット上の荒らし)の横行は、
 情報フローが単方向で観客がいるのに見えないシステムから来る
<第4章 フィードバックを聴く>

○フィードバックの利用自体を非難してもしょうがない
→手元のシステムの個別規則を調べて、フィードバックルーチンが自分の奨励したい価値観を
 奨励するようにするにはどうしたらいいかを考えること
<第4章 フィードバックを聴く>

☆ゲームの面白さはルールが定義づける可能性の空間を探求するときに起こる
→創発システムもまた低次のルールから生まれたルールが律している
<第5章 コントロールのアーティスト>

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2005 2/13
創発、科学書、情報・メディア
まろまろヒット率3

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『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』 アルバート=ラズロ・バラバシ著、青木薫訳 NHK出版 200209.29.04


発売中の『月刊アサヒ芸能エンタメ!』11月号に僕のインタビューが掲載されている、
らぶナベ@書店のHコーナーに置いてる本に載ったのはさすがに初めてです(^^;

さて、『新ネットワーク思考~世界のしくみを読み解く~』
アルバート=ラズロ・バラバシ著、青木薫訳(NHK出版)2002年初版。

人脈、宗教の布教、細胞の構造、性感染症の広がり、テロリストの成功、WEB、
所得格差、新製品の普及など、あらゆる”つながっているもの”に共通する
ネットワークの基本的性質と働きを解説した本。

以前から耳にしていた本なので何気なく手に取ってみたものの、
読始めててすぐ「これは精読しないと!」と思い立ち、
計算したり考えたりしながら三ヶ月ほどかけて読むことになった。
本旨のランダム・ネットワーク理論からスケールフリー・ネットワーク理論への
展開はすごく興味深いものだったし感覚的にも納得できるものだった。
(ノードとリンクの関係、ベキ法則、ハブの重要性と弱点などもすごく納得)
さらにネットワークの性質と働きを象徴的に表わしている個々のエピソードだけでも面白い。

もちろんまだまだ研究がはじまった分野なので突っ込みどころはあるるけれど、
“つながっていること”の意味をこれほどまで考えさせられる本は他に無いと思う。
つながるということ、ネットワークというものに少しでも興味を感じる人には必読書だと思う。
(ただ、邦題より原題の”LINKED:The New Science of Networks”のままの方がよかった気が)

思えばこの本が出た時(2002年)と比べても現在はblogとSNSの隆盛やユビキタスなど、
つながる意味を考える機会や必要性はさらに加速している。
改訂や次作を首を心待ちにしたい。
また、この著者もハンガリーの人、やっぱりハンガリーっすごい。

ちなみにこの本のまとめ部分にあたる最終章は「クモのいないクモの巣」というお題になっている。
前に読んだ進化本『盲目の時計職人』(リチャード・ドーキンス)と通じるものがあって面白かった。
これを読んでいる貴方と僕も常に進化し続けるクモの巣としてつながっているんだ(^_^)

以下はチェックした箇所(要約含む)・・・

○マフィアボーイ(ハッカー)とパウロ(宗教家)が成功できたのは
共にその行動の効率的媒体である”複雑なネットワーク”が存在したから
→そのネットワークの構造とトポロジーのため
<第一章 序>

☆ノードあたりの平均リンク数が1という閾値を超えると
巨大クラスターに含まれないノードの個数は指数関数的に減少する
→クラスターの出現は数学では「巨大コンポーネント」、物理学では「パーコレーション」、
社会学では「コミュニティ」と分野ごとに言葉は違っても
ノードをランダムに選んでリンクしていくとある時点で特別なことが起こることでは共通
<第二章 ランダムな宇宙>

○ネットワーク内の距離が短くなる理由はその数式に現れる対数のため
→対数は巨大なネットワークを収縮させ、”小さな世界”にしている
<第三章 六次の隔たり>

☆ネットワークに関する限り、サイズは必ずしも重要ではない
→真に中心的な位置につけているのは多数の大きなクラスターに参加しているノード
<第五章 ハブとコネクター>

○現実のネットワークのほとんどはわずかなリンクしかもたない大多数のノードと、
膨大なリンクをもつ一握りのハブが共存しているという特徴を持つ
→これを数式で表わしたのが「ベキ法則」
<第六章 80対20の法則>

☆自然はベキ法則を嫌うが系が相転移をしなければならない事態に追い込まれると、
状況は一変してベキ法則が現れる
→ベキ法則はカオスが去って秩序が到来することを告げる明らかな徴候
<第六章 80対20の法則>

○ネットワークの進化は、優先的選択というデリケートだが情け容赦ない法則に支配されている
<第七章 金持ちはもっと金持ちに>

☆スケールフリー・ネットワークにハブとベキ法則が現れるのは”成長”と”優先的選択”のため
<第七章 金持ちはもっと金持ちに>

○スケールフリー・ネットワークはネットワークを時間と共に変化するダイナミックな系とみなす
<第七章 金持ちはもっと金持ちに>

☆ネットワークはランダムな状態から秩序ある状態に変化しつつあるわけではないし、
カオスの縁にあるわけでもない
→ベキ法則すなわちスケールフリー・トポロジーが意味しているのは、
ネットワーク形成の各段階で何らかの組織原理が働いているということ
<第七章 金持ちはもっと金持ちに>

○スケールフリー・ネットワークの重要要素ハブは統計的にはまれな存在だが、
多数のリンクを持ち社会的ネットワークをひとつにまとめる役割を果たしている
<第十章 ウイルスと流行>

○どんな拡散理論にも”臨界値”が必要
→拡散速度<臨界値=普及せず、拡散速度>臨界値=普及
<第十章 ウイルスと流行>

○ネットワークには1点集中型、多中心型、分散型の三つのタイプがあり、
1点集中型と多中心型はいずれも攻撃に弱い(ポール・バラン)
<第十一章 目覚めつつあるインターネット>

○インターネットの背後にあるネットワークは、分散性が高く、集中度が低く、
各部分が局所的に保護されているため、要になるマップを作るという
ごく自然な作業さえ事実上不可能になっている
→インターネットをモデル化しようとすると、成長、優先的選択、距離依存性、
フラクタル構造まで考えに入れなくてはいけない
(インターネットの研究者は設計者から探検家へと変貌しつつある)
<第十一章 目覚めつつあるインターネット>

○コミュニティの定義が難しいのはその境界がはっきりしないことが原因のひとつ
<第十二章 断片化するウェブ>

☆ウェブのアーキテクチャー=「コード」&「人間の集団的行為」の階層から成る
・コードは規制が可能だが、人間の集団的行為は中心となるデザインがないから
個別ユーザーや組織では規制不可能→ウェブは自己組織化する世界
<第十二章 断片化するウェブ>

☆Hotmailの成功要因
1:各人の閾値をゼロにした(拡散速度の増加)
2:登録手続きの簡略化(時間投資の低下)
3:ユーザーが電子メールを送るたびにHotmailの宣伝がなされる(自己拡大)
<第十四章 ネットワーク経済>

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2004 9/29
ネットワーク理論、数学、物理学、科学本、情報、組織論
まろまろヒット率5

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『理科系の作文技術』 木下是雄著 中公新書 198109.04.04


らぶナベ@まろまろ名刺ver.2が完成しました。
(何かの機会でオフラインでお会いした方にはお渡しますね)

さて、『理科系の作文技術』木下是雄著(中公新書)1981年初版。

佐倉統助教授から必読書として紹介された理科系の作文指南書。
20年以上にわたって読み続けられている理科系の定番本で、
研究室のだいぶ上の先輩も学部の頃に必読書として読んだらしい。
前に法学系や人文系、社会科学系の作文本はいくつか読んでいたが、
理科系の作文本は初めてだったので楽しみに読始めた本。

読んでみると他の分野の本に比べても「はっきりと言い切る姿勢」や
「事実と意見の明確な区別」について繰り返し強調しているのが印象深かった。
この二つは勇気のいることだし題材によっては難しいこともある。
(僕が興味がある領域は特にそういう側面が大きい)
でも、だからこそできるかぎり事実と意見を分けて、
はっきりと言い切ることを意識して書く必要があるんだろう。
そのことが述べられているこの本の6~8章はそういう意味でも重要。

ちなみに後半は講演のコツ(11章)などもあって読み物としても面白い。
歯切れ良く聞こえるために「語尾をはっきり言う」ということも書かれていたが、
僕は会話でもカラオケでも語尾で音量が少なくなる傾向があるので、
気をつけたいとあらためて思った。

そんなこんなで理科系に限らず何かを書く人には一読の価値のある本。

以下はチェックした箇所(要約含む)・・・

○理科系の仕事の文書の特徴=内容は事実と意見に限られる
→心情的要素は含まない

☆理科系の文書を書くときの心得
=内容の精選、事実と意見の区別、記述の順序、明快・簡潔な文章
→「やわらかさ」を配慮するために「あいまいさ」が導入されることを嫌う
<1. 序章>

○その研究の価値と成功の可能性とに対する判断の資料を提供するのが申請書の役割
→書こうとする文書に与えられた特定の課題を十分に認識してかかる必要がある
<2. 準備作業(立案)>

☆自分で主題をえらべる場合にはできる限り自分自身が直接当たった生の情報と、
それについての自分自身の考えに重点を置くべき
→これらはたとえ不備や未熟であったとしてもオリジナリティーという無比の強みがある
(紙で得た知識はいかに巧みにまとめてみたところで所詮は二番煎じ)
<2. 準備作業(立案)>

☆序論の役割
(a)読者が本論を読むべきか否かを敏速・的確に判断するための材料を示す
(b)本論にかかる前に必要な予備知識を読者に提供する
<3. 文章の組立て>

☆論文は読者に向けて書くべきもので著者の思いをみたすために書くものではない
→特に序論では著者が迷い歩いた跡などは露いささかも表に出すべきではない
<5. 文の構造と文章の流れ>

☆不自然に思えても、できる限り明確で断定的な言い方をすべき
(見解に保留条件がある場合にはそれを明瞭に述べるべき)
→仕事の文書で何事かを書くのは”state”すること
<6. はっきり言い切る姿勢>

○理論と法則の違い
・理論(theory)=証明になりそうな事実が相当あるが、
 まだ万人にそれを容認させる域には達してない仮説
・法則(law)=すべての人が容認せざるを得ないほど十分な根拠のあるもの
<7. 事実と意見>

○事実の記述は真偽の二価(two-valued)、意見の記述は多価(multi-valued)
<7. 事実と意見>

☆事実記述の際の注意点
(a)その文書の中で書く必要性を十分に吟味せよ
(b)ぼかした表現に逃げずにできるだけ明確に書け
(c)名詞+動詞で書き、主観に依存する修飾語を混同させるな
→一般的<特定的、漠然<明確、抽象的<具体的なほど価値が高い
<7. 事実と意見>

☆事実と意見の書き分けのコツ
(a)事実と意見どちらを書いているのかを常に意識して、
 書いた後で逆にとられる心配はないかと読み返す
(b)事実の記述に意見を混入させないようにする
→意見の根拠になっている事実だけを具体的かつ正確に記述し、
 後は読者自身の考察にまかせるのがいちばん強い主張法
<7. 事実と意見>

☆書くべきことが頭にびっしり詰まっている状態から
書き出す際の流れのコントロール方法・・・
(a)書きたいことを一つ一つ短い文にまとめる
(b)それらを論理的にきちっとつなぐ(つなぎ言葉に注意)
(c)「その文の中では何が主語か」をはっきり意識して書く
<8. わかりやすく簡潔な表現>

☆歯切れがいいと言われる講演のコツ
(a)事実または論理をきちっと積み上げて話の筋道が明瞭
(b)無用のぼかし言葉がない
(c)発音が明瞭(特に語尾)
→注意を惹きたい場合は大きな声ではなく
 ちょっと黙って聴衆の注意を引き出す
<11. 学会講演の要領>

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2004 9/4
作文指南、学問一般、理科系
まろまろヒット率4

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『ブラインド・ウォッチメイカー―自然淘汰は偶然か?』 リチャード・ドーキンス著、中嶋康裕ほか訳、日高敏隆監修 早川書房 上下巻 199311.11.03


愛機ThinkPadのHDがおじゃんになっちゃったけどWEBにあげていたのでデータは助かった、
らぶナベ@この本でも生命でも大切なのはハードではなく情報だと言ってました(^^)

さて、『ブラインド・ウォッチメイカー~自然淘汰は偶然か?~』上下巻
リチャード・ドーキンス著、中嶋康裕ほか訳、日高敏隆監修(早川書房)1993年初版。
ダーウィン主義に対する「生命のような複雑なものは自然淘汰ではできない」とか、
「われわれには創造者がいるのだ」などの批判に一つ一つ反論している本。
この本のタイトル自体からして、かつて生命の複雑さに驚いて
「この世界を作った時計職人がいるに違いない」と考えた昔の神学者に対しての
「時計職人なんていないし、いたとしてもそれは盲目の時計職人」だ
という反論になっている挑戦的な一冊。

本文も「起源を超自然のデザイナーに頼って説明することは、
そのデザイナーの起源を説明しないままにしているのだから、
何も説明していないことになる」(6章)などの記述が満載。

『利己的な遺伝子』のときもそうだったけど、この著者の本は緻密な積み上げと
思い切りの良い大胆さが両立しているからおもしろい。
だからドーキンスは胡散臭いんだ(^^)

ちなみに盲目の(blind)という言葉はあまり適切ではない言葉になってきているので、
この本のタイトルも今後は変わっていくのかな?

以下はチェックした箇所(一部要約)・・・

○われわれの存在がそのものが、ぞくぞくするような謎なのだ
→しかも同時にこの謎はすでに明快に解き明かされている
<まえがき>

○われわれの脳は、ほどのどの速度で三次元空間を動く、
ほどよい大きさの物体の世界を把握するためにデザインされている
<1章 とても起こりそうもないことを説明する>

☆時計職人は先の見通しをもっているが自然淘汰は盲目の、意識を持たない
自動的過程であり、何の目的も持っていない
→もし自然淘汰が自然界の時計職人の役割を演じていると言ってよいなら、
それは盲目の時計職人なのだ
<1章 とても起こりそうもないことを説明する>

○複雑=あらかじめ特定でき、でたらめな偶然だけではとうてい獲得されそうにない
何らかの性質をもつこと
<1章 とても起こりそうもないことを説明する>

○物理学の課題=究極の起源と究極の自然法則の問題を解くこと、
生物学の課題=複雑さの問題を解くこと
<1章 とても起こりそうもないことを説明する>

○進化的変化が起こるのに使える時間が途方もなく長いので、
われわれはそれを直感的に把握できない
<2章 すばらしいデザイン>

○現実には淘汰で残る基準は常に短期的に、単純に生き残るか、
あるいはもっと一般的に繁殖に成功するかである
<3章 小さな変化を累積する>

○遺伝子は実際には二つのことをしている
=発生に影響を及ぼすこと、将来に世代に伝えられること
<3章 小さな変化を累積する>

☆自然淘汰は遺伝子を直接に選びはしない
→遺伝子が体に及ぼす効果(表現型効果)を選ぶ
<3章 小さな変化を累積する>

○数学について大切なことは恐怖心を抱かないようにすること
→「こんなやつにもできるんだから誰だってできる」を思い出すこと
<3章 小さな変化を累積する>

○数学者でない人間にとってコンピューターは想像力の心強い友だち
<3章 小さな変化を累積する>

○サスライアリのコロニーは20kgを越える重さをもち、
2000万にも及ぶ口と針を持つ一匹の動物
→哺乳類とはかけ離れた進化物語の頂点
<4章 動物空間を駆け抜ける>

☆兵アリたちは女王アリのために私を覚悟するが、それは母親を愛しているからでも
愛国主義の理想を叩き込まれているからでもなく、
その身体が女王自身の携えている鋳型の原版から打ち抜かれた
遺伝子によってつくられているからにすぎない
<4章 動物空間を駆け抜ける>

☆生きるもののすべての中核に存在するのは、炎でも、熱い息吹でも、生気でもない
→それは情報であり、ことばであり、指令である
<5章 力と公文書>

☆遺伝子の情報技術はデジタルである
<5章 力と公文書>

○種を定義するのはその全構成個体がDNAに関して同じ番地システムをもっていること
→ある生物種の個体間で異なりうるものは、それらの座の内容である
<5章 力と公文書>

☆種の公文書中に自らを垂直的に伝達させる成功率に関して、
ライバルのDNA間に差があることこそがまさに自然淘汰
<5章 力と公文書>

○自然淘汰にできるのは新たな変異のうちのあるものを受け入れ他を拒絶することだけ
<5章 力と公文書>

☆物理的な実態としてのDNA分子そのものは霧に似ていて、
適当な条件下では大変な速さで生成されるが、
長く存在するものはなく数ヶ月以内にすべて壊れてしまう
→しかし分子がその配列によってつくりだすパターンは最も固い岩と同じくらい長持ちする
<5章 力と公文書>

☆すべてはまったく単純で、楽しくなるほど自動的で、意図的ではない
→累積淘汰の基本的要素ー複製、誤り、そして力ーがまず最初に現れたなら、
似たようなことが起こるのはほとんど必然
<5章 力と公文書>

☆ミーム進化は文化的進化と呼ばれる現象に現れている
→文化的進化はDNAにもとづく進化より桁違いに速く進むので
のっとりではないかと思わせるほどである
<6章 起源と奇跡>

○進化はわれわれの脳に1世紀以下の寿命をもった生物にふさわしい、
危険率や実現可能性についての主観的な意識を備えさせた
<6章 起源と奇跡>

○遺伝子が淘汰されるのは遺伝子の内的性質ゆえではなく環境との相互作用による
→ある遺伝子の環境としてとりわけ重要な構成要素は他の遺伝子である
<7章 建設的な進化>

○科学におけるもっとも偉大な進歩のいくつかがもたらされたのは、
頭の言い誰かがすでに理解されている問題といまだに謎の解かれていない
別の問題とのあいだにアナロジーが成立することを見抜いたおかげでもある
<8章 爆発と螺旋>

○ちょっぴり少数派がさらに少数派になり、ちょっぴり多数派がさらに多数派になるとき、
われわれはいつでも正のフィードバックを生み出す秘訣を握っている
→不安定なバランスがあれば必ず任意でランダムな始まりは自己強化されるようになる
<8章 爆発と螺旋>

☆生物のもつ特性=適応的複雑さ
=途方もない規模での統計的な不可能性(適切に了解されたランダムでない生存)
→ゆっくりした斬新的な累積淘汰こそが生命のもつ複雑なデザインの存在を説明する
<11章 ライバルたちの末路>

☆遺伝子は設計図よりも料理法にはるかに似ている
<11章 ライバルたちの末路>

○偶然を飼いならす
=とうてい不可能なものを順序よく配列された
それほど不可能でない小さな構成要素に分解すること
<11章 ライバルたちの末路>

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2003 11/11
進化論、自然科学
まろまろヒット率3

追記:案の定『盲目の時計職人』に改訳されてました(2005.8.1)。

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『バカの壁』 養老孟司著 新潮新書 200310.22.03


肝機能回復のためにゴーヤ茶を飲んでいる、
らぶナベ@水筒を持ち歩いている人間を見かけたら、
もしかしたらそれは僕かもしれません(^^)

さて、『バカの壁』養老孟司著(新潮新書)2003年初版。
家に泊まりに来た人がくれたので読んでみた今年のベストセラー本。
脳解剖学者が書くエッセイ。

「一般に、情報は日々刻々変化しつづけ、それを受け止める人間の方は変化しない、
と思われがちです。情報は日替わりだが、自分は変わらない(略)あべこべの話です」
→「生き物というのは、どんどん変化していくシステムだけども、
情報というのはその中で止まっているものを指してる。
万物は流転するが、『万物は流転する』という言葉は流転しない」
(第4章:万物流転、情報不安)と述べているところや、
「組織に入れば徹底的に『共通了解』を求められるにもかかわらず、
口では個性を発揮しろと言われる。どうすりゃいいんだ、と思うのも無理の無い話。
要するに『求められる個性』を発揮しろという矛盾した要求が出されている」
→「(教育関係者へ)おまえらの個性なんてラッキョウの皮むきじゃないか」
(第3章:「個性を伸ばせ」という欺瞞)っと言い切っているところなどは
勢いがあって肯きながらサクサクと読んでいける。

また、「教育の現場にいる人間が、極端なことをしないようにするために、
結局のところ何もしないという状況に陥っているという現実があります」
→「(わたしは)自分が面白いと思うことしか教えられないことははっきりしている」
(第7章:教育の怪しさ)と述べているところにはすごく共感した。
ときどき僕は人から教え上手とか説明上手と言われることがあるけれど、
それは誤解で、僕は人に「教える」ことはまったくできないと考えている。
ただ、自分が必要だと思ったり大切だと思うことを相手に伝える、
共感することはできると思っていたところだったので、
そういうことを感じている人が他にもいたんだと思ってちょっと安心。

・・などなど、通して読むとけっこう面白いけど、
飲み屋のクダまきおっさんトーキングの色合いが強くなる後半は
ぐぐっと説得力と小気味良さが落ちてしまっている。

ちなみに、河合隼雄(心理学)といい、この本の著者といい、
こういう系のベストセラーを出す人が
心理学や脳科学の分野の人というのが現代的な特徴なのかな?

以下はその他にチェックした箇所・・・

○真に科学的である、というのは「理屈として説明出来るから」
それが絶対的な真実であると考えることではなく、
そこに反証されうる曖昧さが残っていることを認める姿勢。
→イデオロギーは常にその内部では100%だが、科学がそうである必要はない。
<第1章 「バカの壁」とは何か>

○人間はどうしても、自分の脳をもっと高級なものだと思っている。
実際には別に高級じゃない、要するに計算機。
<第2章 脳の中の係数>

○V.E.フランクルは「意味は外部にある」と言っている。
「自己実現」などといいますが、自分が何かを実現する場は外部にしか存在しない。
<第5章 無意識・身体・共同体>

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2003 10/22
エッセイ、脳科学、科学論、教育論
まろまろヒット率3

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『佐倉統がよむ進化論のエッセンス』 佐倉統編 トランスアート 200310.19.03


オリジナル(原作&アニメ)を知っているだけに実写版『セーラームーン』
いくら仕事でも恥ずかしくて最後まで見れない、らぶナベです。

さて、『佐倉統がよむ進化論のエッセンス』佐倉統編(トランスアート)2003年初版。
進化にまつわる本を紹介しているアンソロジー本で、
情報学環の講義「進化生態情報学」の指定参考図書。
生まれて初めて手に取ったオンデマンド出版物でもある。

内容は生物学の基礎がない人でも進化論に取っ付けるように、
いろいろな本からさわり部分を引用して紹介している。
すごく面白い企画だけど、編者のコメントが少なすぎて物足りなさをかなり感じた。
どうせアンソロジーなんだから、もっとざっくりばっさり切り分けしてほしかった。

ただ、「日本の社会・文化は、まずは韓国や中国やヴェトナムなどと比較すべきであって、
欧米と比較して違いがあったからといって、即日本の独自性だと結論するのは、
論理的にもおかしい。日本ではなくて東アジアの独自性かもしれないのだから」
っと編者が述べているところには(第4部:日本の進化論、今昔)、
研究会で自分に言われているような錯覚を覚えた、反省します(^^;

以下はその他でチェックした箇所・・・

○進化=「変化を伴う由来」=”descent with modification”(Dawin, 1859:123-124)
<第3部 進化と歴史>

○いったん発表された文芸作品は、その後の改定・解釈・翻訳・模倣・ドラマ化
などによる「進化」を行う実体と解釈すべき
(literary accomplishment:Ghiselin, 1980:82-83)
<第3部 進化と歴史>

2003 10/19
進化論、自然科学、アンソロジー
まろまろヒット率2

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