Archive for the ‘自然・科学本’


『ニッチ構築―忘れられていた進化過程』 F.John Odling-Smee著、佐倉統訳 共立出版 200710.18.07

「VOCALOID 初音ミク」はまさに革新的なソフトウェアだと思う、まろまろです。

さて、『ニッチ構築―忘れられていた進化過程』F.John Odling-Smee著、佐倉統訳(共立出版)2007。

生物は受動的に環境に適応するだけでなく、積極的にニッチ(生態的地位)を創る側面がある。
そんなニッチ構築(niche construction、ニッチコンストラクション)について体系的に書かれた本。
これまでのニッチ構築の理論的変遷や実例を紹介するだけでなく、人間科学への応用や進化論の拡張も言及している。

たとえば人間科学(人文・社会科学)の分野で進化理論があまり使われてこなかった理由は・・・
1:進化理論が提供するものが少なすぎる
2:適応主義の説明が単純過ぎる
・・・という2点だが、ニッチ構築はこれらを補うことができるので、自然科学と人間科学との間のかけ橋になる理論であると提唱している。
(第6章:人間のニッチ構築、学習、文化プロセス)

また、ニッチ構築は単なる進化の結果というだけにとどまらず、自然選択に次ぐ第2の主要な進化関与者だとして進化理論の拡張を提言している。
(第10章:進化理論の拡張)

このように単なる解説だけでなく、積極的な提言まで言及しているのでボリューミーな一冊になっている。

ちなみに、この本はたまたま一時上京した際に訳者からプレゼントされたので読んでみたものだけど、
ごく単純に「環境に適応しつつ環境を変えていく」という側面が柔術や合気道っぽくて気に入った(^_^)v
(よく考えたらHPやblogなんてニッチ構築みたいなものかも)

以下はチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○ニッチ構築の結果
・生態系エンジニアリング
・選択的環境を変化させて、重要な進化上の結果をもたらす可能性のあるフィードバックを生じさせる
・変更された選択圧という生態的継承を、子孫の集団に対して創出する
・生物と環境との動的な適応的適合に寄与できる第2のプロセスをもたらす
<第1章 はじめに>

○ニッチ構築
=生物体が現在の空間的、時間的位置において環境の因子を物理的に攪乱することにより、
あるいは別の時空的アドレスに移住し、したがって自らを別の因子にさらすことにより、
環境の1つまたは複数の因子を能動的に変化させ、それによって自らの特徴を環境因子との関係に変更を加える時に生じるもの
→ニッチ関数:N(t)=h(O,E)
<第2章 ニッチ構築の証拠>

○生物がニッチの環境因子や自身に作用する選択圧を変化させる方法
=攪乱(perturbation)と移住(relocation)の2種類
<第2章 ニッチ構築の証拠>

○ニッチ構築=個々の生物に生存と生殖のためのエネルギーと物質資源を十分に環境から獲得する機会を与える個体発生上のプロセス
<第4章 ニッチ構築の全般的な定性的特徴>

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2007 10/18
進化論、自然科学
まろまろヒット率3

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『失敗学のすすめ』 畑村洋太郎著 講談社 200509.06.07

まろまろ@ただいま大阪市の大国町近辺にいます。

さて、『失敗学のすすめ』畑村洋太郎著(講談社)2005。

失敗学の創設者による失敗学本。
読んでみると、以前読んだ『失敗学』(ナツメ社)の方がよくまとまとまっていると感じた。
この本は一番最初に出た概要書だけに、失敗に目を向けることの意義について分量を割いている。

ただ、前書にも書かれてあったことでも、「創造力で第一に必要なのは、自分で課題を設定する能力」(プロローグ)と述べている点。
「失敗情報で大切なのは、その人が何をどう考え、感じ、どんなプロセスでミスを起こしてしまったかという当事者側から見た主観的な情報(中略)、
客観的な情報は、経験者と同じ立場の人が見ても、そこから新しい何かを生み出すまではいたらない」(第3章)などの点はあらためて読んでも重要な部分だと思った。

また、失敗者の実名公開について「1:聞く人にリアリティを与える、2:本人に直接聞くことができる、3:失敗は隠すものではないという文化をつくる」(第1章)
という三点のメリットがあるとしているのが印象深い。

以下は、その他にチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○失敗の定義=「人間が関わってひとつの行為を行ったとき、望ましくない、予期せぬ結果が生じること」
<第1章 失敗とは何か>

○小さな失敗を不用意に避けることは、将来起こりうる大きな失敗の準備をしている
<第1章 失敗とは何か>

○失敗情報で大切なのは聞き手が失敗者を決して批判しないこと
→責任追及ではなく失敗の知識化が必要
<第3章 失敗情報の伝わり方・伝え方>

○他者の失敗から学ぶには、目的意識が強く、高い科学技術の基礎能力があなければ不可能(山本善之)
<第4章 全体を理解する>

○真の科学的理解とは、ある現象の因果関係がきちんと理解できる状態をいう
<第4章 全体を理解する>

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2007 9/6
失敗学、工学
まろまろヒット率3

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『失敗学』 畑村洋太郎著 ナツメ社 200606.22.07

最近「どんだけ~」という感嘆詞が流行っているというので使ってみたら通じなくて凹んだ、
まろまろ@まさに失敗学の実例(w

さてさて、そんな『失敗学』畑村洋太郎著(ナツメ社)2006。

様々な失敗から共通項目を抽出して、創造につなげることを目的とした失敗学の本。
単なる精神論や抽象論ではなく、積極的に失敗に目を向ける姿勢に共感を持って手に取った一冊。

失敗原因の分類(第1章)や失敗情報の性質(第2章)がまとめられているのがかなり参考になった。
中でも創造においては「問題発見能力よりも、課題設定能力の方が重要」(第4章)だとしているのは、
ここしばらくのプロジェクトの中で感じていたことだったので印象に残った。
「課題設定のメリットは、同じ課題を持つ他人の行動を参考にできること」(第5章)というのも納得。

また、「失敗による傷み、悔しさが新たな知識を受け入れる素地ができる」(第2章)というのは、
失敗による挫折感の真っ直中にいる今の僕にとって響くものが多かった。

ただ、読んでいてその比率や数値はどっから出てきたんだ?というのもあったし、
それは単に主観だけではないかと思われる部分も目についた。
でも、この本は読みやすさに重点を置いているだけかもしれないので、もう一冊読みたいと思った。

以下はチェックした箇所(一部要約)・・・

☆失敗原因の10分類
未知、無知、不注意、手順の不順守、誤判断、調査・検討の不足、制約条件の変化、企画不良、価値観不良、組織経営不良
<第1章 失敗を知る その基礎知識>

☆失敗情報の性質
減衰、単純化、歪曲化、ローカル化、組織内を上下左右に移動しない、神話化、伝承されにくい
<第2章 失敗情報が伝達されるとき>

○当事者から見た主観的な情報もとても重要
<第2章 失敗情報が伝達されるとき>

☆失敗情報の伝達項目
事象、経過、原因、対処、総括、知識化
<第2章 失敗情報が伝達されるとき>

☆失敗による傷み、悔しさが新たな知識を受け入れる素地ができる
<第2章 失敗情報が伝達されるとき>

☆失敗情報の伝達方法
記述、記録、仮想演習、体得、教育、雰囲気
<第2章 失敗情報が伝達されるとき>

○想定外の事態にぶつかるのはフロントランナーの証
<第3章 失敗に学ぶということ>

○アイデアを得る方法
水平法、思考演算法、対話法、ブレインストーミング法
<第4章 失敗が創造を生む>

☆(創造では)問題発見能力よりも、課題設定能力の方が重要
<第4章 失敗が創造を生む>

○課題設定のメリットは、同じ課題を持つ他人の行動を参考にできること
<第5章 失敗と向き合う~組織のなかの個人~>

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2007 6/22
失敗学、工学
まろまろヒット率4
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