Archive for the ‘経営学’







"GUCCI-Business in Fashion-" written by PAOLA TRIMARCO Penguin Readers 200104.01.04


LOVENABE@boring virus mails.

“GUCCI-Business in Fashion-” written by PAOLA TRIMARCO Penguin Readers 2001.
This book is a story of “GUCCI”, one of the most famous brand companies.

Although I have never owned a GUCCI product, the cool cover design
of this book caught my eye at the book store, and I was tempted to buy it.
This (temptation to buy at first sight) is called “JAKEGAI” in Japanese :-P .

The book was about how the GUCCI brand started off, and how it is managed today.
I was especially interested in the start for the GUCCI as a bland.

GUCCI’s first store was very small and had no original logo.
It took a long while for the GUCCI GG logo from a shape of a stirrup.
I was astonished by the amount of time it takes to establish a brand.

Reading this book gave me a fresh view of my own brand “MAROMARO”.
It’s a tiny enterprise, but even GUCCI was so in the past ;-) .

check the amazon

2004 4/1
洋書、ブランドマネイジメント、English
まろまろヒット率3

annotation; this readingdiary was assisted by maropro.

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『アメリカ海兵隊~非営利型組織の自己革新~』 野中郁次郎著 中公新書 199510.28.02


まろまろ用語集「がんばりすぎるな」を見た人から
「価値があるからしんどいことをするんであって、
しんどいからといって価値があるとは限らないですよね」というメールをもらった、
らぶナベ@深いので用例に修正追加しておきました(^^)

さて、『アメリカ海兵隊~非営利型組織の自己革新~』野中郁次郎著(中公新書)1995年初版。
アメリカ海兵隊(US.Marine)という世界でも類を見ない独特の組織を題材に、
非営利型組織での自己革新とはどういうことかをテーマにした本。
組織論研究の第一人者が書いた本だけに一見堅そうだけど、
中には「単なる趣味じゃん」と思えるような記述もあったりして
普通の読み物として読んでも楽しい。

何しろ著者が他の分野の研究者と共同執筆した『失敗の本質』(中公文庫)の中で、
太平洋戦争のターニングポイントになったガダルカナルの戦いを分析しているときに
海兵隊の独自の戦い方に興味を持ったのが執筆のきっかけになっていて、
本人も「ほとんど趣味的に・・・」っと前書きで書いているくらいだ。
その『失敗の本質』は僕も心のベスト本のひとつだし、
読者の立場でも同じようにガダルカナルの戦いのところで
強襲揚陸という海兵隊の独自のスタイルに興味を持った。
さらに『歴史群像 朝鮮戦争』(学研)を読んだときも、
中国軍介入で連合軍が崩壊する中で重厚な包囲を突破して
長津湖からハガル里まで退却した海兵隊の記録に強い印象を受けたことがある。
(凍結しないようにアンプルを加えながら走ったという衛生兵が象徴的だった)
そんな独特の組織がどう形成され、
変化する環境に対してどう自己革新していったかを書いている。
扱っているテーマの大きさの割にはちょっと分量が足りない気もしたが、
自己革新という視点以外でも物資を常に海上展開していて有事の際には
人を空輸して合流させるという即応部隊(Force in Readiness)としての
現在の海兵隊のスタイルはWEB活動にも応用できそうな気がした。
いろんな読み方ができる興味深い一冊。

以下は、本書のテーマ自己革新組織についての要旨&抜粋要約・・・

<自己革新組織>

“定義”
絶えず自ら不安定性を生み出し、
そのプロセスの中で新たな自己創造を行ない、
飛躍的な大進化としての再創造と連続的で漸次的な小進化を、
逐次あるいは同時に行なうダイナミックな組織

“要件”
(1)「存在理由」への問いかけと生存領域(domain)の進化
(2)独自能力ー「有機的集中」を可能にする機能配置
(3)「分化」と「統合」の極大化の組織
(4)中核技能の学習と共有
(5)人間=機械系によるインテリジェンス・システム
(6)存在価値の大化

(注)自己革新組織の要件には、概念としては矛盾するが
実は相互に補完し合って共存関係にあるものが多い。
→行動がそれらの突破口
→ゆえに自己革新は機動力が必要
 (上記の要件は機動力の要件でもある)

☆変わらないもの(不易)と変わるもの(流行)は、
それぞれが単に独立してあるのではなく両者は相互に作用し合うのである。
存在価値は、機能価値を触発し方向づけるが、
機能価値は、存在価値を環境の変化に順応した形で実現する。

(1)について
ドメイン(domain)とは、組織がどのような領域で環境と
相互作用したいかを決める独自の生存領域のことである(略)
生存領域は、論理的な分析だけで出てくるものではない。
環境と相互に作用しながら思索反省と経験反復とを通じて
次第に分かってくるのであり、
ある時点でリーダーがそれを明確に概念化するのである。

(1)について
小進化としての洗練は経験的であることが多いが、
大進化としての再創造は経験を越える概念で始まることが多い。

(1)について
市場競争による淘汰を受けない非営利の公的組織に
革新を促す刺激はその生存に対する危機(略)
したがって公的組織の革新へのモティヴェーションは存在本能に近い。

(2)について
戦略は、言い換えれば、資源配分のデザイン(略)
戦略は状況に依存するので唯一絶対のものではないが、
普遍的な原理といえるのは「集中」。
 (海兵隊の場合、中心的機能は歩兵)

(3)について
分化と統合の同時極大化は論理的には不可能
(略)現実における行動が必要。
→対抗する二つの力のバランスを取るのではない、
 時と場所によって異なる力関係を感じ取り、
 組織のリーダーがその強いほうを選んで推進する。

(4)について
情報の本質は何らかの「差異」をもたらすこと。
したがって敵が何をやろうとしているかということは、
我々が何をやろうとしているかということと関連させて初めて意味を持つ。

(6)について
組織の持つ価値=
組織が果たすドメインや使命などから構成される「機能価値」
    +
組織の成員から全人的関与を引き出す、何のために生きるかという「存在価値」

(6)について
自己革新組織は、主体的に新たな知識を創造しながら、
既存の知識を部分的に棄却あるいは再構築して自らの知識体系を革新してゆく。
→知識創造こそが組織の自己革新の本質

(6)について
知識には言語化、ドキュメント化が可能な形式知(言語知、分析的知、客観的知)と
言語化、ドキュメント化が困難な暗黙知(経験知、直感的知、主観的知)があり
知識創造は両タイプの知が相互に作用しながら循環するダイナミックなプロセス

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2002 10/28
組織論、経営学、戦略論
まろまろヒット率4

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『競争の戦略』 M・E・ポーター著、土岐坤・中辻萬治・服部照夫訳 ダイヤモンド社 1995(新訂)10.27.99


NHK教育で放送されている『おじゃる丸』こそ合法ダウナーだと思う、
らぶナベ@見終わった後はあらゆるやる気を無くします(^^)

さて、今回はかなり手こずった『新訂 競争の戦略』ダイヤモンド社
M・E・ポーター著、土岐坤・中辻萬治・服部照夫訳(1995年新訂)っす。
タイトル通り競争戦略についてとてもダイレクトに書かれた本。
なまじマーケティングとか経営戦略とかいうことを口に出すなら
一度は読んでおかないとお話にならないとまで言われる一冊。
(確かに就職活動でこれ系の話をして恥をかく人間は読んでなかった)
学術書としては新しいしこれクラスの著者にしてはけっこう若いけど
すでにこの分野では古典的な地位を占める学術書になっている。
でもやたらと分厚いので読み始めるのにかなりの勇気がいる本でもある(^^;
現に僕はこの本を読み終わるのに約一ヶ月かかり、
線引き用のマーカーも3本ダメにした。
その上この本の本体自体だけで5631円もするという
まさに時間、労力、費用の三つがかかる大著。
そういう意味で今まで読んだ学術書の中ではヴェーバー著
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(岩波文庫)や
サイモン著『経営行動』(ダイヤモンド社)に匹敵する。
これで有益じゃなかったらポーターに不幸のメール送りつけちゃいます(^^)

具体的な構成としては全16章を3部構成に分けてる。
パート1(第1章~第8章)は「業界における競争の性質を決める基本原理」
として競争戦略の基本的概念や分析手法について一般化している。
この本の根幹を成している重要な部分、理論的主柱にあたる。
パート2(第9章~第13章)は先端業界や衰退業界などのそれぞれ具体的な
業界環境の中で競争戦略をつくるのに必要な業界分析方法を述べている。
ここの部分は応用編というか自分が注目したり置かれている状況に応じて
見直せるようになっている。ガイドブック的な使い方もできる便利な所。
パート3(第14章~第16章)は拡大戦略や統合戦略のように競争戦略において
採用される主要な戦略についてタイプ別に検証している。
総じてパート1とパート2がとても重要だと感じた。
パート1は基本的な理論・概念構築を担う学術書としての性質があり、
パート2は各業界ごとに対する解説書としての性質がある。
一粒で二度は使える確かに手がかかるだけの一冊になっている。
僕的にはパート3はおまけ的なイメージを受けた。

以下は気になってチェックしたところと必要を感じて要約した部分・・・

○”本書の概要”
<戦略策定の古典的方法について>
目的と手段とを区別することで、戦略の本質はとらえられる。

☆「首尾一貫性の検証項目」
1:内的な一貫性があるかどうか
・目標1つ1つが互いに達成可能か。
・重要な運営ポリシーは目標に合致しているか。
・重要ポリシーは互いに強化しあう関係になっているか。
2:環境と適合しているか
・目標とポリシーは業界の好機にうまく乗れるか。
・目標とポリシーは業界の脅威(競争相手の反撃も含めた)を、
 利用可能な企業資源で対処できる程度に抑え込めるか。
・環境がアクションを吸収して相手にさとられぬように、
 目標とポリシーのタイミングがとれているか。
・目標とポリシーはより広範な社会的関心事にうまく対応できるか。
3:企業資源と適合しているか
・目標とポリシーは競争相手よりも会社で利用可能な資源に
 よくマッチしているか。
・会社の変化できる能力に応じたタイミングで、
 目標とポリシーがつくられているか。
4:コミュニケーションと戦略実行力はどうか
・目標は中枢実行担当者に十分理解されているか。
・目標とポリシーそれと実行担当者が責任を果たそうとする
 情熱との間に十分な一致があるか。
・戦略をうまく実行させるだけの十分な経営能力があるか。

パート1:競争戦略のための分析技法

○第1章”業界の構造分析法”
☆競争戦略をつくる際の決め手は会社をその環境との関係で見ることである。
・・・決め手はこれら外部要因に対するその能力の会社間の差違。

「競争を激化させる構造要因」
互いに代替可能な製品をつくっている会社の集団ーこれが業界である。
5つの競争要因ー新規参入の脅威、代替製品の脅威、顧客の交渉力、
供給業者の交渉力、競争業者の敵対関係の5つの競争要因が
一体となって業界の形相の激しさと収益率を決める。
戦略策定の立場ではそのうち一番強い要因が決め手になる。

「敵対関係の強さ」
競争業者間の敵対関係の強さは主に同業者が多いか
似たり寄ったりの規模の会社がひしめいている、業界の成長が遅い、
固定コストまたは在庫コストが高い、製品差別化がないか
買い手を変えるのにコストがかからない、キャパシティをふやすのは
小刻みにはできない、競争業者がそれぞれ異質な戦略をもつ、
戦略がよければ成果が大きい、撤退障壁大きいなどから決まる。

「参入障壁」
主に規模の経済性、製品差別化、巨額の投資、仕入先を変えるコスト、
流通チャンネルの確保、規模とは無関係なコスト面での不利、政府の政策、
参入に対して予想される報復、参入を抑える価格から決まる。

「撤退障壁」
資産の特殊化、撤退コストの高さ、政略的な関連性で問題を起こす、
感情的障壁、政府および社会からの制約から決まる。
☆最悪の例は参入障壁が小さく、撤退障壁が大きい場合だ。
状況が悪化しても業界のキャパシティは減らないから。

「代替製品」
現在の製品よりも価格対性能比がよくなる傾向を持つ製品、
高収入をあげている業界によって生産されている製品を示す。
これらに対しては抑え叩きのめす戦略をとるかそれとも避けられない
強敵として対処する戦略をとるか決めるべき。

「構造分析と競争要因」
☆効果的な競争戦略とは最良の防衛ポジションをつくること。
・・・競争要因の一番弱いところをみつけること、これが戦略である。
競争要因のバランスに務める、変化をうまく利用する、多角化戦略など。

「業界分析と業界の定義」
業界の定義と会社の欲する事業の定義とをはっきりと分けることが、
業界の境界線を引く際の不必要な混乱を避ける有効なやり方である。

○第2章”競争の基本戦略”
☆「三つの基本戦略」
コストのリーダーシップ、差別化、集中。

「コストのリーダーシップ」
低コストの地位は強力な値引き攻勢に対しても防衛してくれる。
買い手が威力を振り回すにしてもせいぜい自社の次に
低コストの業者に対しギリギリの価格水準に値切るくらいものだから。

「差別化」
コストのリーダーシップとは違う仕方で5つの競争要因に対処できる
安全な地位をつくるため業界の平均以上の収益を約束してくれる。
・・・差別化に成功して顧客の忠実性を得られた企業は
代替製品に対しても同業者より有利な立場にいられる。

「集中」
市場全体では低コストも差別化も達成できないが狭く絞られた
市場ターゲットだけだと低コストも差別化も達成できる。

☆「窮地に立った企業とは」
3つの方向の中で少なくとも一つにおいてさえ戦略がつくれない企業のこと。
市場シェアを確保する資本投資もなければ、低コストの競争に参加する
決意もなく、業界全体を相手にした差別化戦略もなく、
限られた狭い範囲での差別化や低コスト地位を生み出す
集中戦略ももたないからだ。戦略の面ではお粗末な立場にいることになる。
結果として企業カルチャーがあいまいになり
組織のあり方や動機づけシステムが動揺する。
→日産がダメになったのはまさにこの戦略理論で説明できる!
コストのリーダーシップ(トヨタ)、差別化(ホンダ)、
集中(スズキ)もできずどちらつかずで地盤沈下したからだ。

○第3章”競争業者分析のフレームワーク”
☆競争戦略とは競争相手よりもすぐれている点を生かして
その価値を最大にするように事業を位置づけることである。
したがって、戦略策定の主眼は、緊密な競争業者分析にある。
すぐれた競争業者分析は以下の質問に答えられるものでなければならない。
1:この業界ではどの企業を競争相手にすべきか、
その企業のどんな動きを競争対象にすべきか。
2:その競争業者の戦略的な動きは自社にどんな影響を及ぼすか、
その動きをどれくらい重視する必要があるのか。
3:その競争業者と競争を避けたほうが望ましい分野はどこか。
☆競争業者の「現在の戦略」「将来の目標」「仮説」「能力」に注目する。
競争業者が抱いている将来の目標と自社の地位と業界の性格に関しての仮説は
あまり重視されていないが競争業者の将来の行動は
この二つの要素によって決まってくることが多い。

「競争業者分析の構成要素」
<潜在的競争業者の分析>
・現在はこの業界にはいないが非常に低いコストで業界へ参入できる業者。
・この業界に参入することによってあきらかな相乗効果が得られる業者。
・戦略の一貫性から見てこの業界への参入が当然と思われる業者。
・流通チャネルの統合を進めている顧客企業あるいは供給業者。
・現在の競争業者と業界外の関連業者との間で今後起こると思われるM&A。

「将来の目標」
競争業者が現在の地位や利益水準に満足しているかどうかを
推測するために目標を知る。現在の戦略を変えてくる可能性が
どれくらいあるか、企業環境の変化や業者の動きに
どの程度の反応を示すかを予想することができる。
・・・自社の戦略変更に対する競争業者の反応も予測しやすくなる。
また、競争業者が何か新しい動きをとり始めた場合には
それにどの程度力を入れる考えがあるのかを知ることができる。
注意:目標分析は企業内のさまざまな組織階層ごとにすべき。
<事業単位レベルでの目標>
1:業績面積での公表された目標、および公表されていない目標は何か。
2:リスクに対する態度はどうか。
3:企業上もしくは非経済上の価値観や信条といったものをもっているか。
4:組織内での責任と権限はどんなふうに配分されているか。
5:管理システムと報酬システムはどうなっているか。
6:どんな経理システムや会計方式をとっているか。
7:経営者たちはどんな人たちで構成されているか。
8:将来の方向について役員間での意見の一致はどの程度あるか。
9:取締役会はどんなメンバーで構成されているか。
10:業務上の契約によって経営活動が制約されているか。
11:政府の規制あるいは社会的な制約条件にしばられているか。
<多角化企業の本社部門と個別部門の目標>
1:その企業全体の現在の業績はどうか。
2:企業全体としての目標は何か。
3:全体戦略の中でのその事業部門の戦略上の重要度はどの程度か。
4:なぜその事業部門が設立されたのか。
5:その事業部門と他の部門との経済上での関係はどうなっているか。
6:トップはどんな価値観あるいは信念をもっているか。
7:自社内の数多くの事業に適用した基本戦略というものを持っているか。
8:他の部門の業績とニーズから考えてその事業部門に
 どれだけの売上目標投資収益率目標を与えているか、
 また資金面ではどんな制約条件を課しているか。
9:どんな多角化計画をもっているか。
10:企業全体の組織構造からその事業部門の企業内での
 地位と目標についてどんな手がかりが得られるか。
11:企業全体の管理および報酬精度の中での
  その事業部門の責任者の待遇はどうか。
12:昇進が早いのはどんな業績をあげた経営者か。
13:その事業部門の責任者は部内から昇進した人か、
  それとも部外あるいは社外の人か。
14:企業全体として社会からの攻撃を受けるような要素をもっていて、
  それが事業部門に影響を及ぼすようなことはないか。
15:企業あるいはトップ・マネイジメントの中の特定の人が、
その事業部門に特別な愛着をもっていないか。
<ポートフォリオ分析と競争業者の目標>
その事業の目標を知る手がかりだけではなく、投資収益率や
マーケット・シェア、あるいはキャッシュ・フローなどの点から
その事業にどの程度力を注ぐのか、またその戦略上での地位を変える
可能性がどれくらいあるのかを知る手がかりになる。
・・・ポートフォリオ分析を使うと競争業者の事業を「鐘のなる木」、
「刈り取り」、「これから成長させようと意図している事業」に区分できる。
<競争業者の目標と戦略上での位置づけ>
戦略策定の一つのやり方は競争業者に脅威を及ぼすことなしに
目標を達成できるような位置を市場の中に見つけだすことである。

「仮説」
あらゆるタイプの仮説を調べることによって経営者が自社環境を
認識する場合に知らず知らずのうちに入り込んでくる偏見、
もしくは盲点を見つけだすことができる。
1:コスト、品質、技術水準、およびその他の主要な点において、
 その地位がどのへんにあると信じているか。
2:特定の製品あるいは特定の経営政策に対して歴史的あるいは感情的に
 強い一体感を抱いているか、これからのうちどれと結びつきが強いか。
3:文化や地域あるいは国のちがいによって事象認識法と
 それの重要度の決め方にちがいが見られるか。
4:長年にわたってしみ込んだ組織上での価値観もしくは規範があり、
 それらが事象の見方に影響を及ぼしているか。
5:その製品の将来の需要についてどんな考えを抱いているか、
 また業界の動向が意味するところをどのように認識しているか。
6:同業他社の目標と能力をどんなふうに考えているか。
7:新しい市場条件と合わないような業界の定型化した知恵、
 あるいは因習的な荒っぽい法則、業界固有のやり方を信頼しているか。
<事業の歴史>
1:最近数年間の実績と比べて現在の業績とマーケット・シェアはどうか。
2:当該市場における経歴はどうか。
3:本来どの分野でスターだったのか、どの分野で成功したのか。
4:他社のある特定の戦略や業界内での事象に対して、
 これまでにどんな対抗行動を示してきたか。
<経営者の経歴とそのアドバイザー>
1:経営者の専門性は何か。
2:これまで採用して成功した戦略と失敗した戦略のタイプは何か。
3:今の事業以外にどんな事業を経験してきたか、それらの事業の経営方針と
 戦略にはどんな特異点があるのか。
4:どんな大事件と遭遇してきたか。
5:どんな社外活動や社外との関わりをしているか。
6:その企業が採用しているコンサルタント、広告代理店、銀行などは何か。

「能力」
核になる能力、成長能力、迅速な対応能力、変化への適応能力、
持続力から構成されている。

「四つの構成要素の統合」
<攻撃的な動き>
現在の地位での満足度、予想される動き、予測される動きの強さと重大さ。
<防御能力>
弱点、挑発、対抗行動の効果。
<競争分野の選定>
☆競争業者の動機を交錯させたり目標間の整合性を
なくすような状況をもたらす。
・・・ある特定の動きに対する対抗策そのものは
有効であっても結局は企業全体のより大きな利益を損なうという
状況に追い込む。これはすでに市場で成功し確固とした地位を
維持している企業に対して有効。

「競争業者分析と業界動向の予測」
<将来の業界動向予測>
1:それぞれの業者の予想される動きが相互作用を引き起こすなら、
 それは業界の将来にどんな意味をもつか。
2:それら業者の戦略は一点に収れんしていくのか、
 そうなれば共倒れにならないか。
3:業界の予想成長率に見合うだけの成長率を維持しているか。
4:予想される動きが合体して業界構造に影響を及ぼすようになるか。
<情報伝達と統合の重要性>
すばらしいデータが収拾されてもこれが戦略策定に生かされないなら
データ収集時間は無駄になる。
すぐ失われるような断片的なデータでも統合できれば有効な資料になる。

○第4章”マーケットシグナル”
競争相手の動機、意図、目標を示す手がかりにもなるが
事実を隠す見せかけの役割も果たす。

「動きの予告」
有利な地位占領、相手の行動を妨げる脅威、テスト、自社の意思伝達、
懐柔、回避、評判の確保、社内の意思統一などの役割を担う。

「間接的な攻撃」
間接的に反撃できるような市場で小さなシェアを持っていれば
自社のメイン市場への競争業者進出を抑える有効性がある。

○第5章”競争行動”
「脅威的な行動」
反撃の遅れと手強さの間にトレードオフ関係がある場合、
この二つをうまくバランスさせる必要がある。

「防御的な行動」
☆相手に対してその動きが賢明でなかったと思わせるのがすぐれた防衛。
競争相手に譲歩を強いることができてこその防衛効果。
<競争基盤の否定>
相手が目標達成の基盤にしているものを否定してかつその状態が
継続すると思いこませることで行動をやめさせることができる。

「約束」
攻撃及び防御を計画し実施する場合の最も重要なコンセプトは約束。
自社の経営資源と意図を曖昧ではなくはっきりと伝える方法。
約束の価値はその抑止力にある。

「情報と秘密についての覚え書き」
どんな情報でもそれを公開する場合にはそれが競争戦略の
重要な一部であるという認識に立って実施されなくてはいけない。

○第7章”業界内部の構造分析”
「競争戦略の次元」
専門度、ブランド志向度、プッシュ型かプル型か、流通業者の選択、品質、
技術のリーダーシップ、垂直統合、コスト面での地位、サービス提供度、
価格政策、力、親会社との関係、自社と事業を行っている国の政府との関係
・・・などで区分する。

「戦略別企業グループ」
☆<戦略グループと移動障壁>
参入障壁はその戦略グループへの業界外からの企業参入を防ぐだけでなく、
その業界内の企業が一つの戦略グループから別のグループへ
移動するのを防ぐ役割も果たす。(移動障壁)
この考えは業界内での収益性という点で企業間に常に一貫した
格差のある理由も説明できる。業界内の戦略グループは
それぞれ固有の移動障壁をもっており、
それが企業間の収益性に格差をもたらしている。
さらにこの考え方を使うと戦略を変えても全部が全部、
成功するわけではないのに企業ごとに採用している戦略が
異なっている理由も説明できる。

「業界内構造分析が戦略策定に果たす役割」
☆ある業界における競争戦略の策定とは参入すべき戦略グループの選択。
→戦略策定の一番の基本は自社の長所と短所、特に他社にない競争力を
その環境内の利益見込みとリスクに合わせることである。
→長所と短所を検討するフレームワークには構造上から見るやり方と
実行上から見るやり方の二つのタイプがある。

○第8章”業界の進展・変化”
「業界を予測するためのフレームワーク」
業界の変化を説明するよりも変化の原動力になるものを知ることの方が
実り多い→このメカニズムが進展過程。

「進展過程」
成長の長期変化、買い手セグメントの変化、買い手の学習、不確実性の減少、
専有知識の拡散、エクスペリエンスの累積、規模の拡大・縮小、
インプットコストと通貨コストの変化、製品イノベーション、
マーケティングイノベーション、生産工程のイノベーション、
関連業界の構造変化、政府の政策変化、参入と撤退などから決まる。

☆「企業が業界構造を変えることができる」
企業のとる戦略行動によって業界の構造を変えることができる。
→業界の進展を迷惑な既成事実として受け入れるのではなく、
利益機会と考えなければならない。

パート2:業界環境のタイプ別競争戦略

○第9章”多数乱戦業界の競争戦略”
「多数乱戦の原因は何か」
参入障壁の低い、規模の経済性やエクスペリエンス曲線が効かない、
高い輸送コスト、在庫コストが高く売上変動も大きい、創造性が売りもの、
買い手や供給業者が強すぎて大手でも有利にならない、多様な市場ニーズ
規模の不経済が致命的、人手によるサービスが決め手、撤退障壁、新規業界、
いちじるしい製品差別化、各地域の条令、政府による企業集中の禁止。

「多数乱戦業界を制圧するには」
規模の経済性やエクスペリエンス曲線が作用する状況を作り出す、
多様な市場ニーズに標準品で対応する、M&Aで利益の出る規模まで拡大する、
多数乱戦の原因を無力化するか経営から切り離す、
業界の動向をすばやくかぎとる。

「多数乱戦に対処する方法」
多数乱戦は多くの場合いかんともしがたい経済原則が働くから起こる。
こういう状況では戦略によって自社の立場をどう変えていくかが
何にもまして重要になってくる。

「多数乱戦業界の競争戦略策定手順」
1:業界の構造はどうか。競争業者はそれぞれどういう位置にいるか。
2:多数乱戦の原因は何か。
3:多数乱戦状態を変えられるか。その方法は何か。
4:変えて利益が得られるか。その場合の自社がめざす位置はどこか。
5:多数乱戦が避けられない場合はどう対処するのが最善か。

○第10章”先端業界の競争戦略”
形が整ったばかりの業界もしくは再編された業界のことで古い業界でも
環境変化によって競争の仕方が変わればこの業界と同じ問題が起きる。
☆戦略策定の観点ではこの業界の特徴は競争のルールが無いことである。
自社にとって有利なルールを創りあげるのが競争の争点になる。

「構造的環境の特徴は何か」
技術の将来性が確定的ではない、戦略が定まっていない、時間的視野が狭い、
コストは高いが急速に下がる、スピンオフ企業が次々に生まれる、
初めての買い手ばかり、助成金が出る。

「どの市場が早く開拓できるか」
新しい業界の製品をどの市場が早く受けいれ、
どこが遅くまで扉を閉ざしているかを見定めることが重要。

「戦略の選択」
先端業界の戦略策定ではこの時期につきものの不確定さやリスクに対する
対処が必要だがどんな戦略でも採用できてそれが当たると大きい。

○第11章”成熟期へ移行する業界の競争戦略”
「移行期に業界はどう変わるか」
シェア競争が激化、顧客が買い慣れる、コストとサービスに重点が移動、
過剰にならないように増強するのが難しくなる、国際競争が激しくなる、
新製品や新用途が出にくくなる、流通業者のマージンが減るが力は強まる、
利益は低下するが一時的な場合と永続する場合とがある。

「移行期は戦略にどう影響するか」
あらゆるコストで主導権をとるか、差別化か、一点集中主義か、
成熟期に戦略の迷いは許されない。

「成熟期は組織にどんな影響を与えるか」
業績目標の引き下げ、社内規律の厳しさを増す、昇進が少なくなる、
分権から再び中央集権化へ。

「移行期業界の社長のあり方」
厳しい原価管理、職能部門間の調整、マーケティングなどに関する手腕は
急成長業界で企業の形を整えてゆくこととはまた別の手腕。
組織を支えどのように生き残らせようかと案じることは
未開地に挑む気分が消え失せることもあり、特に創業経営者の中には
移行期であると認めなかったり経営の現役から退くなどの兆候がみられる。

○第12章”成熟期へ移行する業界の競争戦略”
「衰退期の競争を左右する構造要因」
・需要面:不確実性、需要衰退の速さとパターン、残った需要領域の性質、
衰退の原因(代替品か人口の変化かニーズの変化によるものか)。
・撤退障壁面:転用のきかない耐久資産、撤退の固定コスト、情報障壁、
他事業との関連性、金融市場への影響、垂直統合、経営者の感情障壁、
政府と社会による障壁、資産処分。

「衰退期の戦略」
<リーダーシップ戦略>
シェアを確保してリーダシップを握る。
<拠点確保戦略>
特定のセグメントで強力な地位を築くか防衛する。
<刈り取り戦略>
もてる力を増加させずに活用してうまく投資を回収する。
<即時撤退戦略>
できる限り早く投資を回収する。

「衰退期戦略の選択」
他社と比較した自社の業界地位に合わせてどのように業界に
踏みとどまるのが望ましいのか判断する過程。
1:有力な競争業者はそれぞれどんな撤退障壁に直面しているか。
 どの企業がすばやく撤退してどの企業が踏みとどまるか。
2:踏みとどまる企業の強い点は何か。
 撤退障壁と考え合わせてどの程度まで踏みとどまるのか。
3:自社の撤退障壁は何か。
4:残る需要領域と対比して自社の強みは何か。

「衰退期の落とし穴」
衰退に気づかない危険、消耗線の危険、
大した力もないのに刈り取り戦略を採る危険。

「衰退期にそなえる」
撤退障壁を高くしてしまうような投資や活動はできる限りひかえる、
衰退期に有利な状況になると考えられる市場セグメントに重点を置く、
他社が代替製品に切り替えるコストがかかるように手を打つ。

○第13章”グローバル業界の競争戦略”
「グローバル競争が有利になる原因」
比較優位性、生産・物流・マーケティング・購買における規模の経済性、
グローバルなエクスペリエンス、製品差別化、独自の製品技術、生産の移動。
・・・これらの原因がグローバル化によって経済性が生じる側面が
事業全体のコストにとってどれほど重要か、
事業の競争力にとってどれほど重要なのかで決まる。

「グローバル競争への障害」
<経済的障害>
輸送と在庫のコスト、国によって異なる製品ニーズ、
侵入を許さない流通チャネル、セールスパーソン、現地での修理部門、
リードタイム、地域市場内での複雑なセグメンテーション、
需要が広まっていない。
<経営管理上の障害>
国によって違うマーケティング、
変化の激しい技術、国情に合わせたサービス。
・制度上の障害:政府による障害、認識不足や経営資源不足から来る障害。

「グローバル業界への進展」
<きっかけとなる環境変化>
規模の経済性が大きくなる、輸送と在庫コストが下がる、政府規制の緩和、
流通チャネルの合理化、生産要素コストの変化、経済・社会環境差の縮小。
<戦略イノベーションがグローバル化を刺激する>
製品の再定義、セグメントターゲットの明確化、国別製品のコスト低下、
企画部品の多用、完成品に代わり主要部品の製品、発想の転換。

「グローバル業界での競争」
政府の産業政策と企業の競争行動、主な進出市場政府との関係、
企業全体としての競争、競争業者分析の難しさ。

「戦略案にはどんなものあるか」
業界の全品種で競争する、特定のセグメントに集中する、
特定の国に集中する、安全地帯を狙う。

パート3:戦略デシジョンのタイプ

○第14″垂直統合の戦略分析”
垂直統合とは技術的には別々の生産、流通、販売、その他の経済行動を
一つの企業内にまとめることである。
多くの垂直統合デシジョンはそれにからむ経理計算を中心として
作るか、買うかのデシジョンなのである。
しかし数字だけに頼らず間接的な影響も考えてその大きさと
戦略的意味を判断すべきである、これがデシジョンの核心である。

「戦略的利得とコスト」
川上企業とは売る側の企業、川下企業は買う側の企業。

「戦略的な利得」
統合の経済性、技術の習得、需要と供給の確保、取引圧力の回避、
差別化の強化、参入又は移動障壁を高める、収益の高い事業への参入、
系列化が進む上での自衛力向上。

「統合の戦略的コスト」
移動障壁を乗り越える費用、打つべき施策の増加、取引相手の硬直化、
撤退障壁を高める、必要資金の大きさ、R&Dの他社依存ができなくなる、
バランス保持の必要性、刺激が鈍る、異なった経営方式の必要性。

「準統合」
長期契約と完全所有との中間のどこかにある関係をつくり出すことである。
少額の株式投資、融資の保証、購入の前払、独占取引契約、
専用配送施設、共同R&Dなど。
このような利益共同体のメリットは善意、情報の共同化、
経営者のつき合い、相互間の債権責務など。
決め手になるのは準統合によって形成される利益共同体が完全統合よりも
コスト・リスクが小さく、それでいて利得は入手できるかどうかである。
→エニックス株を購入した僕は準統合なのか?

「垂直統合デシジョンに見られる錯覚」
一定の条件下では垂直統合が戦略上の地位向上につながるものの、
戦略的に弱い経営を立て直すことには不十分である。
→安易な統合への警鐘。

○第15″キャパシティ拡大戦略”
「キャパシティ拡大デシジョンの構成要素」
競争業者の行動の予測は一回限りで終わるものではない。
なぜなら一社の動きが他の競争業者に影響を与えるからである。
特にその業者が業界のリーダーである場合は他社への影響は大きい。

「キャパシティ過剰になる原因」
<技術面での原因>
規模の経済性・習熟曲線が大きい、キャパシティ拡大には時間がかかる、
繊細最小効率 (MES)が大きくなる、生産技術の変化、
一度に大きくキャパシティを増やす。
<業界構造上の原因>
強力な撤退障壁、供給業者の力、信頼性の確率、
競争業者の統合化、キャパシティのシェアが受注量に影響、
生産能力の新しさとタイプが需要を左右する。
<競争上での原因>
同業者数が多い、信頼できるリーダー企業の欠如、新規参入、
他社に先駆けた設備拡大が利益を増やす。
<情報上での原因>
将来への過大な期待感、競争業者の力の把握を誤る、金融機関からの圧力
マーケット・シグナル機能の崩壊、業界構造の変化。
<経営上での原因>
生産指向型の経営者、設備を拡大した場合のリスクよりも
しなかった場合のリスクが大きい。
(後者の場合は地位と業績にも大きな損益となる)
<政府政策の原因>
設備投資を誘う不当な税制、自国産業育成の方針、雇用の維持と促進圧力。

「需要先どり戦略」
市場の大部分をあらかじめ押さえ競争業者の設備拡大意欲をくじき
市場への参入を遅らせることを意図したもの。
<以下の条件すべてを満たさなければ危険が大きい>
期待される市場規模に見合うだけの設備拡大、おこなう企業の信頼性、
規模の経済性もしくはエクスペリエンス曲線効果が
大きくあらわれる市場での設備拡大、
競争業者が行動する前に先どり戦略意向があることを示す能力、
競争業者による進んで身を引く意志(経済性以外で目標を持っている、
その事業が企業戦略遂行上で核になっている、利益を犠牲にしても
市場地位の維持をはかる意志のある企業を相手にするのは困難)。

○第16章”新規事業への参入戦略”
市場要因の働きが不完全な業界を見つけることが参入の前提。
市場用要因が完全に作用しているなら平均以上の投資収益は無理。

「自社内での開発をもとにした参入」
構造上の参入障壁と参入した業界の既存業者の反撃の二つの障壁がある。

「反撃が生じる可能性」
低成長業界、汎用品もしくは汎用化した製品業界、固定比率の高い業界、
少数寡占業界、老舗の既存業者がある業界、
既存業者がその事業を戦略的に重視している業界。

「参入業界の確定」
<不均衡状態にある業界>
新しい業界、参入障壁が高くなりつつある業界、情報の少ない業界。
<反撃が緩慢か非効果的な業界>
参入に対する反撃コストが得られる利得よりも大きい業界、
家父長的な支配力をもつリーダー企業の結束固いグループがある業界、
既存業者の現在の事業を守る観点から反撃コストが高過ぎる業界、
因習的な観念が支配的で参入業者がこれを利用できる業界。
<参入コストが他社よりも少なくてすむ業界>
<自社の力によって業界構造を変えることができる業界>
<参入によって自社の既存事業にプラス効果が生じる業界>

「参入の基本コンセプト」
製品コストの引き下げ、低価格販売によるシェア獲得、
市場における新しいセグメントの発見、他の流通網を利用する、
広い意味でより優れた製品販売、新しいマーケティング手法の導入。

「吸収合併による参入」
事業買い取り価格は会社市場で設定されている点が重要。
<利益をもたらすだろう吸収合併>
底値の額、会社市場の機能が不完全、他の買い手の非論理的な行動、
吸収した事業をうまく運営するための独自の能力。

「段階的参入」
ある戦略グループへ参入して次に別のグループに参入するという
段階的な参入戦略をとることも可能。(参入リスクの軽減)

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1999 10/27
経営学、戦略論、経済学
まろまろヒット率5

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『シティバンクとメリルリンチ』 財部誠一著 講談社学術新書 199908.19.99


去年から始まった日本型金融ビッグバンは眼に見える形で着々と進行中で
特に今年の10月からはいよいよ株取引の手数料自由化がスタートする。
こうした流れはサーヴィスの種類が豊富になって
僕ら顧客が自分の好みで様々な形態を選べるようになるんだけど
その代わりに「知らなかった」や「教えてくれなかった」は通用しなくなる。
と、いうわけでそれなりに僕もビッグバンの流れや
使っている金融機関の事くらいは調べようと思い読み始めた本。

シティバンクもメリルリンチも銀行と証券会社という違いはあれ、
どちらも法人(ホール)相手ではなく個人(リテール)を相手にしている
現在の日本市場では唯一の外資系金融機関。
1200兆円を超える世界一の個人金融資産が眠っている日本で
この領域をターゲットにするのは当然といえば当然の方針だが
日本独自の金融文化や個人顧客の伝統的な排他性や保守性のために
各国の金融機関は個人をメインターゲットにすることに二の足を踏んでいる。
そうした中で個人を狙って進出してきたシティバンクとメリルリンチは
一体どういう企業文化を持っていてどのような経緯で成長してきたのか、
また日本市場に対してどういう戦略を持って臨んできているのかを
この本では日本金融市場のこれまでの特徴と対比しながら記述されている。

本の中ではシティバンクとメリルリンチの両方とも80年代には瀕死状態で
(シティバンクに到っては米国史上最大の不良債権を持っていた)
そこからはい上がってきた金融機関というのを強調していた。
30万円以上の預金が無いと口座維持費を取られてしまうシティバンクの方は
あまり僕とはまだまだご縁が無さそうなのでさらっと読んだが、
(100万以上預金すると他銀行から引きだしたとしても
24時間ATM手数料無料というのは惹かれるけど)
メリルリンチの方は僕個人の取引証券会社であるのでとても興味深く読めた。
特にこの本を読んで強く印象に残ったのは”Get Rich Slowly”という
メリルの理念だ、これはまさに顧客として感じていたことだった。
普通の証券会社は営業ノルマが細かく設定されているために、
顧客に大したこと無い株を安易に薦めたりすることが多々あるが
メリルの営業にはそのノルマが細かく設定されてはいない。
だから僕の担当の人と話していても他の株を強く薦められることは無い、
求めるならあくまでアドヴァイスという形で株を紹介するという感じだ。
だからとても安心感を持って窓口に立ち寄ることができる。
しかし、この営業方針が日本の顧客に理解されるかどうかは微妙だろう。
基本的にそれは顧客がある程度は自分で学ぶということが前提になるし
顧客の自己責任について他の証券会社よりも強調することになる。
僕のように株を所有することを通して市場や株式を学びたいという人間なら
まさにこれは大歓迎だし小うるさい営業が嫌いという人にも歓迎されるが
「おんぶにだっこ」な感覚を根強く持っている多くの日本の顧客にとって
このやり方は違和感をまだまだ強く感じるだろう。
そこにメリルの苦戦があるように個人的に感じた。

そしてこの本を通して感じたもう一つの大きなこと。
それは各業界で現在進んでいる規制緩和や自由化によって
「結局1社か2社しか生き残らない」と極端には言われている。
(自動車、銀行、旅行代理店、製薬会社などなど)
でもそれはトップの「何でも屋」としては1社か2社が残るというだけで
他の各社がより存在理由やアイデンティティを鋭くしてゆく
(中途半端は消えてゆく)ということだろうと感じる。
まさに「No1か?Only Oneか?」をせまられる構造になるだろう。
もちろんこれは予想というより勝手な臭い的に感じるだけのことで
実際にどうなってゆくのかは確かにはわからないけど
どちらに転んでも僕にとっては生きやすい世の中になっていきそうだ(^_^)

また、他にはこの本の中で株式市場や為替市場に限らず、
市場で最高値で売り最安値で買うことの難しさについて・・・
「大底が形成されるのは売り手がまったくいなくなってしまうからであり、
反対にマーケットが天井をつけるときは買い手が消えてしまうからである。」
・・・としているのは当たり前の話だが思わず熱くなると忘れることだ(^^;

それと日本の不動産を買い始めている外資系企業が導入している、
担保の価格変動をも金融機関の責任に入れる「ノンリコース・ローン」が
本格的に日本の不動産業界で中心になっていけば
ずいぶん不動産業や銀行などによる融資の仕事も
興味深いものになってゆくだろうと感じた。

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1999 8/19
経営学
まろまろヒット率3

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『マイナスに賭ける!』 福嶋康博著 KKベストセラーズ 199807.11.99


僕が去年内定していて現在株を所有している、
株式会社エニックスの社長である福嶋康博の本。
大学院の講義で使うことになるかもしれないので株主総会でもらった本。
いかにも企業トップの出しそうなタイトルと出版社にかなり引いたが
「まぁ社長が書いた(?)本なんてこういうものだろう」と読んだ一冊。

内容は予想通り自分の半生と成功談と成功した考えが書かれていた。
彼とは最終面接も含めた採用過程で三度会って少し話をする機会があって
後で聞くとどうも彼に気に入られて採用が決定したそうだが
僕自身彼には憎めないというか好感を持っていた。
ただ、それを本にすると薄っぺらくなってしまうなという感じだ。
そうした中でそれでも印象に残った箇所が・・・
「まわりの人には常識であっても、自分が心から納得できるものでなければ、
自分にとっては”不自然”なこととしか思えない。
つまり、自然さとは自分が納得できるかどうかということなのである。」
・・・というものだ、確かに強く納得できる。

また・・・
「私は不安のために行動を起こしているのである。」や、
「小さなことをやるのも、大きなことをやるのも苦労はそう変わらない。
だったら高い目標を持って、自分自身を信じて大きなターゲットで
ナンバーワン目指してチャレンジしたほうがずっとやりがいがある。」
・・・のような意見・・・
「自分が正しいと思ったことは三回では主張し続けろ。」
・・・というところは直接彼から聞いたことがあるだけに印象深い。

そしてやっぱり慎重だなと思ったのが、
訴訟を起こすときも勝つことではなく
「どういう情況になるとウチは負けるのか?」と負ける条件を並べて
それらを確実に潰していこうという姿勢だ。

事業に関しては・・・
「事業をやるならば、玄人よりも素人のほうが当たることが多い。
玄人はアイデアがでてきても業界の常識に縛られてしまって
簡単にダメだと判断してしまうからである。素人ならば、
いいと思ったことを素直に実行するから施工する可能性が高い。」

「企画マンとしての固定概念を打ち破るような発想は、
ゼロから考えるところにあるといえる。」

「自分は強いから勝つことになっているという自然体で臨んだからである。」
・・・などは彼らしい(エニックスらしい)意見。

「周囲の人間が悲観的に振れている現代では、
マイナス思考で物事を考えている人が多い。
その常識に照らして合わせて考えるクセをつけてしまうと、
どんどんマイナス思考へのスパイラルに陥ってしまう。
そこで、世間の常識というモノサシ自体が本当に正しいものかどうかを、
疑うことからはじめることをおすすめしたい。」
・・・とは成功者だから言えることだがそれだけに言う価値があるだろう。

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1999 7/11
経営学
まろまろヒット率2

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『オーガニゼーションズ』 J.G.マーチ/H.A.サイモン著&松田武彦、高柳曉、二村敏子訳 ダイヤモンド社 197706.22.99


さて、『オーガニゼーションズ』J.G.マーチ/H.A.サイモン著、土屋守章訳
(ダイヤモンド社)1977年初版をば。
『経営行動』から10年後に書かれた本。
基本的に『経営行動』の理論をもとに肉付けをしたという感じがある。
それ故理論自体は『経営行動』の焼き直し的な匂いを感じた。
なかなかに難解だが著者の特徴として第一章で結論的なことを述べ、
各章の終わりにもその章での結論を項をさいて書かれているので
歯ごたえはあってもうんざりするものではなかった。
これは著者が理系に強く傾いているからか?

具体的な内容の方は最初に組織のメンバーに関する一般的な三つの命題・・・
(1)組織のメンバーは受動的な器械であるという命題
(2)組織のメンバーは態度、価値、目的を組織に持ち込むという命題
(3)組織のメンバーは意思決定者かつ問題解決者であるという命題
・・・を挙げてそれぞれに考察を加えていくという構成になっている。
第一章はこの問題提起、第二章は(1)の命題に関する考察、
第三章~第五章は(2)の命題に対して考察し、
第六章から第七章は(3)の命題に対して考察している。
(全七章完結)

以下は重要と思われる箇所の抜粋・・・
第1章”組織内行動”
<社会制度としての組織の重要性>
☆組織の特徴を二つあげて・・・
「組織のメンバーそれぞれを取り巻いている環境としての他の人々は、
高度に安定し、予測可能なものとなる傾向がある。
組織が環境に対し調整のとれた方法で対処することができる能力を
もっている理由は、すぐ後に論じられる組織の構造的諸特徴とともに、
この予測可能性があるからである。」
                ↓
「組織は相互作用する人間の集合体であり、われわれの社会の中では、
生物の中枢の調整システムと類似したものをもっている最大の集合体である。
しかしこの調整システムは、高等の生物有機体にある中枢神経系統ほどには
とても発達していないといえるー組織は、猿よりもミミズに近い。
それにもかかわらず、組織内の機構と調整の高度の特定性こそ、
ー複数の組織間、ないし組織されていない個人間の拡散した多様な関係と
対比してみればー生物学における個々の有機体と重要性において比較可能な
社会学的な単位として、個々の組織を特徴づけているものである。」

第2章”「古典的」組織理論”
<結論>
○古典的組織理論(科学的管理法)の限界についての結論を・・・
「古典的組織理論は組織内行動に対する理論全体の
ごく一部分のみを説明しているにすぎない・・・」
            ↑
「(1)理論の基礎となる同期に関する過程が不完全であり、
したがって不正確である。
(2)組織内行動の範囲を規定するに当たって、
利害の組織内コンフリクトがもつ役割を、ほとんど認めていない。
(3)複雑な情報処理システムとしての人間の限界のために
人間に課せられている諸制約条件がほとんど考慮されていない。
(4)課業の認定と分類における認知の役割に対して、
意思決定における認知の役割とともに、ほとんど注意していない。
(5)プログラム形成の現象をほとんど重視していない。」

第3章”動機的制約ー組織内の意思決定”
<集団圧力の方向>
「個人の生産への動機づけに作用を及ぼすものとしての個人の諸目的は、
彼が入りうる集団(組織を含めて)に対する彼の一本化の強さと、
その集団圧力の方向との二つを反映しているものである。」

<結論>
○動機づけに及ぼす影響を三つの関数に絞って・・・
「(a)個人にとっての行為の代替的選択肢の喚起作用
(b)喚起された代替的選択肢の個人によって予期された結果
(c)個人によってその結果につけられた価値」

第4章”動機的制約ー参加の意思決定”
☆「組織の均衡」理論について・・
「均衡とは、組織がその参加者に対して、
彼の継続的な参加を動機づけるのに十分な支払いを整えることに、
成功していることを意味している。」
            ↓
<組織均衡の理論>
「(1)組織は、参加者と呼ばれる多くの人々の
相互に関連した社会的行動の体系である。
(2)参加者それぞれ、および参加者の集団それぞれは、組織から誘因を受け、
その見返りとして組織に対して貢献を行なう。
(3)それぞれの参加者は、彼に提供される誘因が、
彼が行うことを要求されている貢献と、(彼の価値意識に照らして、
また彼に開かれた代替的選択肢に照らして測定して)等しいか
あるいはより大である場合にだけ、組織への参加を続ける。
(4)参加者のさまざまな集団によって供与される貢献が、
組織が参加者に提供する誘因をつくり出す源泉である。
(5)したがって、貢献が十分にあって、その貢献を引き出すのに足りるほどの
量の誘因を弓よしている限りにおいてのみ、
組織は「支払能力がある」ー存続しつづけるであろう。」

<結論>
「誘因ー貢献の差引超過分は、二つの主要な構成部分をもっている。
すなわち、組織を離れる知覚された願望と、
組織にとどまるために放棄している代替的選択肢の効用
(すなわち組織から離れる知覚された容易さ)である。
移動の知覚された願望は、現在の職場についての個人の満足と、
組織から離れることを含んでいない代替的選択肢に対する彼の知覚との、
二つのものの関数である。」

第5章”組織におけるコンフリクト”
<コンフリクトに対する組織の対応>
「組織はコンフリクトに対し、次の四つの主要過程によって対応する。
すなわち、(1)問題解決、(2)説得、(3)バーゲニング、
(4)「政治工作」である。」
           ↓
「これらの過程の最初の二つのもの(問題解決と説得)は、
決定についての公的一致とともに、私的一致をも確保する試みを示している。
このような過程を、われわれは分析的過程と呼ぶ。
公私ともの一致ではない後者の二つ(バーゲニングと政治工作)を、
われわれはバーゲニングと呼ぶことにする。」
●バーゲニング(bargainning)がかぶっているやん!!
           ↑
「・・・バーゲニングは、意思決定過程としては、
潜在的に分裂的な結果をある程度もっている。
バーゲニングは、ほとんど必然的に、
組織の中の地位および権力体系に緊張を与える。
もし、より強い公式の権力をもっているものが優勢になれば、
これは組織の中の地位および権力の差違を、
非常に強いものとして知覚することになる
(これは一般的にはわれわれの文化の中では逆機能的である)。
そのうえ、バーゲニングは、組織の中の諸目的の異質性を、
承認し合法化する。目的の異質性が合法化されてしまえば、
組織内ヒエラルキーにとって利用できたかもしれない
コントロール技法が、利用できなくなってしまう。」

「組織の中のほとんどすべての争いは、
分析の問題として規定されることとなる。
コンフリクトに対する最初の対応は、問題解決および説得になる。
このような対応はそれが不適応にみえるときにすら持続する。
共通の目的が存在していないところでは、
それが存在しているところと比較して、
共通の目的に対するより大きなあからさまの強調がある。
また、バーゲニングは(それが起きたときには)、
しばしば分析的な枠組みの中に隠蔽される。」

第6章”合理性に対する認知限界”
<組織構造と合理性の限界>
「組織の構造と機能の基本的特色が生じてくるのは、人間の問題解決過程と
合理的な人間の選択とがもっている諸性質からであるということであった。
人間の知的能力には、個人と組織とが直面する問題の複雑性と比較して
限界があるために、合理的行動のために必要となることは、
問題の複雑性のすべてをとらえることでなくて、
問題の主要な局面のみをとらえた単純化されたモデルをもつことである。」
●ここは『経営行動』の理論そのまま

第7章”組織におけるプランニングと革新”
<個人および集団の問題解決>
○ケリーとチボーの問題解決過程に対する集団の作用・・・
「(1)数多くの独立の判断をプールしておく効果
(2)問題の解法に対して直接の社会的影響によってなされる修正」
            ↓
○(1)について個人の問題解決能力に対して集団がもっている優位性・・・
「(a)エラーの分散、(b)よく考慮された判断の際立った影響力、
(c)自身のある判断の際立った影響力、(d)分業」
            ↓
○(2)について直接の社会的影響力によってなされる修正の種類・・・
「(a)集団メンバーは全体として、どの個人メンバーよりも可能な解法もしくは
解決への貢献を、より多く利用することができるであろう。
(b)個人の集団メンバーに対して、多数はの意見に同調させようとする圧力。
(c)集団の環境は、孤立した個人に比較して努力と課業完遂とに向けての
動機づけをを増加させたり現象させたりするであろう。

(d)集団メンバーは、自分の考えを他の人に伝える必要のために、
自分の考えを鋭くし明確化しなければならなくなる。
(e)集団の解法を出すために、個々人の解法を組み合わせたり
重みづけすることからくる作用。
(f)集団の環境は、程度はさまざまだがわずらわしさを生じさせる。
(g)集団の環境は、相違を刺激したり疎外したりする。」

<目的構造と組織構造>
○目的構造と組織内単位のヒエラルキーとの関係について・・・
「(1)手段ー目的ヒエラルキーの高いほうのレベルでの目的は、
操作的ではない。」
(2)手段ー目的のヒエラルキーの低いほうのレベルでは、
目的は操作的である。
(3)手段ー目的ヒエラルキーにおいて目的が操作的になっているレベルの
もっとも高いところから一つか二つ下のレベルでは、
個々の行為プログラムを認識することができる。」

<限定された合理性の原則>
○フォン・ミーゼスとハイエクの分権化擁護論・・・
「人間のプランニング能力の現実的な限界を所与とすれば、
分権化されたシステムは、集権化されたものに比較して、
よりよく作動するものである。」

1999 6/22
組織論、経営学
まろまろヒット率4

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『組織の心理学』 田尾雅夫著 有斐閣ブックス 199105.05.99


らぶナベ@大阪の万博公園内にある「みんぱく(国立民族学博物館)」の
入館無料日に見学に行けてうかれているっす(^^)

さて『組織の心理学』田尾雅夫著(有斐閣ブックス)1991年初版を読みました。
政策科学研究科の講義に来ている組織論の教授の著書。
組織に関する心理学の研究について現在おこなわれている研究と諸説、
相反する意見や議論を紹介している。
この本を読み通して伝わってくるのはこの分野は研究され始めたのが
かなり新しいということもあっていろいろな定義や概念などが
まだまだ結論に至っていないということだ。

この本でもっとも面白く感じれたのは実は後書きにあたる”後記”だった。
大学の同級生とたまにあって飲むときに大学教員である著者に対して
「お前は気楽で良いよな」と愚痴られることがあるそうだ。
「俺だって・・・」と喉まで出かかることはあるが生き方の重たさの違い
というようなものを感じてしまい言葉にさせてくれないらしい。
現実はメルヘンのようでないからメルヘンを必要とする。
しかし学生時代のモラトリアム人間を続けている(と述べている)
著者にとってメルヘンの意味はわかるようで、
その奥行きまでは理解できない。
もしかしたらこの言い訳のために本書を書いたかもしれないし、
このなかに免罪の意味を込めようとしかもしれないと記述している。
→実に正直で微笑ましいと感じられた(^^)

またこの”後記”では本書の理念的柱とでもいうべき記述が多く・・・
○「組織と人間」の関係は微妙である。
・・それほど脆いカゴのなかに青い鳥など住んでいるわけがない。
本気になって探す人がいれば・・・それはそれで幸せかもしれないが、
羨ましく思わせるような幸せではない。
○いい古されたことではあるが「組織と人間」の関係は
本来ハッピーではない。むしろ、奥深くに入り込むほど、
苦い酒を飲むことも多くなるであろう。
それが現実と、したり顔でいう以前の、もっと身近な現実である。
○組織の人になれば、組織にのめりコムのではなく、
かといってソッポを向くのでもなく、
それなりに組織と擦りあわせができるような関係とは
どのような関係であるかと考えるようになる。
・・それはテクニックの問題で済ませられないところがある。
・・人の一生で何分の一かを費やすところである。
もっと深い意味がありそうである。あってほしいという気持ちもある。
→という風に学術的な記述ではないが著者の組織論に対する姿勢を
率直に述べている、このようなところに非常に好感が持てた。

さて、では本題の注目すべきと思いチェックしたところの・・・
第1章”心理学の方法”
「個と全体」
○人間性と組織は本来折り合わないものである。
・・・というアージリスの発言を引用して・・・
○組織が、現代社会のために不可欠な制度であることを認めつつ、
組織におけるこの二律背反を注視しなければならない。

「現代社会のなかの組織」
○組織は、おそらく人類の歴史とともにあったかもしれない。
・・・しかし、組織を自覚的に、つまり自然にできるものではなく、
人為的に創り出されるものであるという視点から
捉えるようになったのは古いことではない。
ウェーバーの官僚制、テイラーの科学的管理法、フェイヨルやアーウィック、
ギューリックの行政管理論などは、科学的な組織分析は、
ようやく1世紀を超えたくらいの歴史が数えられるくらいである。

「科学としての組織の心理学」
○組織における心理学が、実際的な意義をもつのは、
個人の自由意志が組織の目標と対等に出会うところであり、
それは社会全体の成熟とともにあると考えられる。
強制的な応藷によるシステム運営が当然であるとする社会にあっては、
組織の心理学が成り立つ素地はない。
→これは本当だろうか?一見そうかなと思ってしまうがどうもひっかかる。

「組織の中の合理と非合理性」
○理論やモデルだけではなく、思想そのものがまだ熟していない
ということであろうか・・・組織と人間に関する確固たる思想が望まれる。

「分析視点の刷新」
○組織と人間の出会いは、ただ1つではなく、さまざまなモデルが
成り立つことをごく自然なことと考える寛容さが望まれる。

第2章”社会化とキャリア”
「社会化とは」

○(組織の社会化について)社会化は2つの視点から捉えられる。
1つは、個人が自らの利益のために、すすんで組織人になろうとし、
組織の価値や規範を積極的に取り入れ適応する過程である。
他の1つは、組織が自らのために、個人を順化させ、教化しようとする
過程である。この2つの社会化、つまり個人が関心を向けるところと
組織の意図するそれが合致しないところもある。

「コミットメント」
○ブキャナンの定義・・・
a)同一視(identification)
B)投入(involvement)
C)忠誠(loyalty)

第3章”モチベーション”
「欲求説の比較」
○欲求説における個人差とは、人間一般の区分けであり、
それぞれのメンバーの個人的な事情に配慮した差違ではない。

第4章”組織とストレス”
「ストレス・モデル」
ストレッサとストレイン、モデレータの関係を・・・
○  モデレータ要因
      ↓
ストレッサ→→→ストレイン
     
「個人的達成感の後退」
○役割葛藤や曖昧さの多い仕事ではバーンアウトしやすい。

「コーピング」
○(ストレスに対するモデレータ要因について)状況を変えることが
できそうであると判断したとき、問題中心型のコーピング(coping)になり、
変化させられそうにないと認知すると
情動中心(emotion-focused)型になる。

第7章”プロフェッショナリズム”
「スペシャリスト」
○半ば組織人、半ば職業人の行動は組織がインテリジェントになるほど
無視できない要因にならざるを得ない。

第8章”グループ・ダイナミックス”
「会議の心理学」
○会議の機能について・・・
a)アイデアの創出
b)情報の意図とその解読をがっちさせる
c)成員性を改めて確認する
○会議運営について、経験的には知られていることも多いが、
体系的に整理されているとはいけない。今後に残された問題は多い。

「プロジェクト・チームなど一時的な集団の形成」
○その特徴について・・・
a)相互依存的関係
b)成果の先行→とりあえず成果を得なくてはいけないので、
いわば勝ちを急ぐ集団でもある。
c)基準や規範の単純さ
・・・永続を前提とする集団に比べると、
「その場」を切り抜けることを何よりも優先さえたがる傾向に陥り、
合理的な判断や行動に欠けるところもある。

第9章”対人葛藤”
「社会的技術」
○適応できないことが葛藤の要因であるならば、
葛藤関係は学習の機会である。
・・・修羅場を何度かくぐり抜けることが適応のためには
欠かせないということである。

第10章”リーダーシップ”
「リーダーシップとは」
○リーダーシップとは特定の個人の能力や資質によるのではなく、
対人的な関係のなかで発揮され、場合によっては、
集団の機能そのものである・・・バブリンによれば、
リーダーはその機能を必要とする状況の制約から外れることはできない。
ある状況のもとで有効であったリーダーも、状況が変われば、
そして、役に立たないことが明らかであると、その地位から追われる。

「パス・ゴールモデル」
○フォロワーを動機づけ、満足させるために、
リーダーは彼らに目標の達成にいたる道筋を明確にしなければならない。
通路、つまり、パスの明示化(path clarification)である。

第12章”組織風土”
「行動環境としての組織風土」
○リットビンとストリンガーの組織風土(organizational climate)
の定義として・・・
組織システムの要因とモチベーション性向の間に介在しうる
1つの媒介変数であり、一群の個人のグループと一群のモチベーションの
グループに対する状況的なモチベーション影響力の累積的な記述をあらわす。

「方法の問題」
○(組織風土という言葉の使用の問題点について)ペインらも、
満足では分析の単位は個人であり、分析の要素は仕事であり、
観測は感情であるのに対して、風土では、単位は集合ないしは組織、
要素は集団か組織、そして、観測は記述的であり、
論理的にも操作的にも明確に区別されるものであるとしている。
・・しかし、現実には・・満足との相関関係を明らかにしようとする研究が
圧倒的に多い・・概念としても、まだ成熟するのはいたっていない。

「組織文化との相違」
○風土とは、あくまでそれぞれの個人による特性の記述であり、
必要に応じて、個々の心理的風土は平均され、
その組織の特性であるとされる。
しかし、そのものに評価的な、規範的な特性はないとされている。
その点、文化には、程度の差はあるが、
メンバーの判断を方向づけ、行動を規制する働きがある。

「外部的な役割規定」
○組織風土とは・・・その是非や可否と別途に論じるべきである。
倫理的な概念ではない。

第13章”パワー関係と管理”
「パワー関係の動態」
○ザルドは、組織とは、パワーを保持するものの間で繰り返される
内部的演技(interplay)であるとして、競いあいのなかのパワー関係に
分析の焦点を合わせなければならないとしている。

「ポリティクス」
○メイエスとアレンによれば、ポリティックスとは、
組織によって是認されない目的に到達するために、
あるいは、是認されない手段を通して是認された目的に到達するために
影響力を行使することである。

「管理者とリーダー」
○肝心なことは、管理者は、対人的な影響力を重視するリーダーとは
区別されるべきである。
リーダーの働きは監督者に近似しているといえるであろう。

「管理者は何をすべきか」
○ミンツバーグによる管理者の定義、3つのカテゴリーと10の役割として
・・対人的(シンボル、連絡、監督)
情報的(モニター、普及、広報)、
意思決定的(革新、妨害除去、資源配分、ネゴシエーション)

第14章”組織デザイン”
「支持の調達」
○変化については、実際の変化とシンボリックな変化を
区別しなければならないことがある。
組織が内部の構造を変える場合、もし資源や権力の再配分が伴わなければ、
それは単にシンボリックな変化が起こったことでしかない。
このような変化はスタイルを変えただけで、
中味や重要度を実質的に変更してないからである。

「変化における成功条件」
○デルベックが挙げた変化が成功にいたるための条件・・・
a)変化の一般的な目的について、組織エリートからの委任と、
計画を実行に移すことについての同意を取り付けていること。
b)パフォーマンス・ギャップに関して文書化するなどの明示的にすること。
c)可能な解決策と、それによって得られる成果に関して、
広範で技術的に確かとされる調査を実施し、データ得ておくこと。
d)内部的に強力な支援が得られるような工夫。
e)変化の効果をみるためのパイロット・テストが行えるような
許容能力や余裕の調達。
・・・要は、一方で支持をできるだけ多く集めること、
他方で抵抗を除去するための方策を立てることが
変化をすすめるために重要である。→いちいちこんな言い方するなんて
この人たちは戦略と戦術を知らないのでは?

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1999 5/5
組織論、心理学、経営学
まろまろヒット率5

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『経営行動―経営組織における意思決定プロセスの研究』 ハーバート・A・サイモン著 松田武彦、高柳曉、二村敏子訳 ダイヤモンド社 1989(3版)04.27.99


最近ダイオウイカにはまっている、
らぶナベ@スルメ何人前になるんだろう?っす

さて、『経営行動~経営組織における意思決定プロセスの研究~』
原題”ADMINISTRATIVE BEHAVIOR
-A study of Decision-Making Proccesses
in Administrative Organization-”
ハーバート・A・サイモン著 松田武彦、高柳曉、二村敏子訳 
ダイヤモンド社 1989年新版(第3版)初版を読み終えました。

この本は組織論の古典中の古典であり社会科学の代表的名著の一つ。
「これを読まずして組織論を語るな」とまで言われるほど重要な本で
前々から一度は読んでみようと思っていた一冊。
しかし読む機会が見いだせずにモヤモヤしていたところ、
ひょんなことで社会人になりそこねたので読んでみることになった。
人生とはよくわからないものだ(^^)

著者は経済学の分野でノーベル賞をもらっているが発表論文も含めると
その研究領域は組織論、システム科学、コンピュータ科学、哲学、数学、
OR、心理学、社会学、政治学、統計学、
電子工学、認知科学、さらに人工知能論に及んでいるという
まさに歩く”Liberal Artist”。
そのためか元々初版発行時(1946年)には十一章完結であったのに
著者がどんどん付け足していって最新版(第三版)では
六章増えて十七章+付録まで増えている。
前書きだけでもかなりの分量になっているという実に読み応えがある本。

さて、内容の方は意思決定過程の観点から組織がどのように
理解できるかについてアプローチしている。
「初版への序」でも述べられているように組織の真の骨肉をとらえる言葉や
概念上の適切な定義がいままで無かったということで
著者がこの領域の研究に役立つ道具を創ろうと試みた一冊でもある。
そのためか定義付けのための道具立てを意図した記述が多い。
その例の一つとして今まで組織論において明確な概念や定義が無かった理由を
長くこの領域の研究分野とされた経済学と心理学との間にある溝に
求めている。そのことをもっとも端的に表している「第3版への序文」
(合理的行動と管理)では・・・
○今日の社会科学は、合理性の取り扱いにおいて、
極度の分裂症状を呈している。一方の極には、経済学者がおり、
彼らは経済人が途方もない全能の合理性をもっているものと考える。
・・他の極端では、すべての認識を情緒に分解しようとする
フロイト以来の社会心理学の傾向がある。
・・おそらく、つぎの世代の行動科学者は、
われわれが今日述べているよりは、人間はずっと合理的である
ーしかし、経済学者が宣言したほど大げさではないー
ことを示さなければならないだろう。
この分裂症状は、第四章と第五章に反映している。
第四章は、経済学や公的意思決定理論で展開されてきた
合理性の概念を明らかにする仕事をしている。
第五章は、人の認知能力には限界があるため、合理性を行使するにさいして
大きな制約が課されることについて議論している。
それゆえ、実際の世界で見出されると実際に期待できる
合理性を描いているのは第四章ではなく、第五章である。
・・ただ、心理学を捨てたり、組織理論を経済学的基礎の上に
据えるだけでは、問題の解決とはならない。
・・組織と管理の純粋な理論の存在できる余地は、
人間行動が合理的であるように意図されているが、しかし、
ただ限られた範囲でのみ合理的であるような領域にこそ、まさしく存在する。
・・・と自分の考えを経済学と心理学の間に位置していると主張している。

そして組織の定義を「第3版への序文」(組織の意義)で・・・
☆本書の既述では、組織という言葉は、人間の集団内部での
コミュニケーションその他の関係の複雑なパターンをさす。
このパターンは、集団のメンバーに、その意思決定に影響を与える情報、
仮定、目的、態度、のほとんどを提供するし、
また、集団の他のメンバーがなにをしようとしており、
自分の言動に対して彼らがどのように反応するかについての、
安定した、理解できる期待を彼に与えるのである。
社会学者はこのパターンを「役割の体系」と呼んでいる。
われわれの大部分の人々にとっては、
それは「組織」として、広く知られているものである。
・・・としている。
このことをさらに深めた第四章「管理行動における合理性」
(組織の影響のメカニズム)では羅列的に・・・
○(1)組織は、仕事をそのメンバーの間に分割する。
(2)組織は、標準的な手続きを確立する。
(3)組織は、オーソリティと影響の制度をつくることによって、
組織の階層を通じて、意思決定を下に
(そして横に、あるいは上にさえも)伝える。
(4)組織には、すべての方向に向かって流れるコミュニケーション経路がある。
(5)組織は、そのメンバーを訓練し教育する。
・・・と明確な定義付けをおこなおうとしている。

同じく「第3版への序文」ではこの本の骨格部分として・・・
○第四章と第五章は、本書の核心を示している。
この二つの章では、人間による選択、すなわち、
意思決定の理論が提示される。
この理論は、経済学者の主要な感心の的となってきた選択の合理的諸側面と、
心理学者や実際の意思決定者の注意をひきつけてきた、
人間の意思決定のメカニズムの諸性質や諸限界の両方を含み、
十分広くかつ現実的であることをねらいとしている。
・・・と第四章「管理行動における合理性」と、
第五章「管理上の決定の心理」がこの本の中心だと述べている。

この二つの章に関しては同じく「第3版への序文」(合理性の限界)でも・・
○第四章と第五章の論題を一口でいえば、こうである。
すなわち、管理の理論の中心的な関心は、人間の社会的行動の、
合理的側面と非合理的側面の間の境界にある。
管理の理論は、特に、意図され、しかも制限された合理性についての理論、
すなわち極大にする知力をもたないために、
ある程度で満足する人間の行動の理論である。
・・・と結論をまとめてくれている。

この「第3版への序文」はこの本の要約的な色合いが強く
(長い本なのでこれはありがたい(^^))、
今まで意思決定をおこなう人間に対する分析とされていた経済人に対して・・
○1:経済人が最高限を追求するー利用しうるかぎりの選択肢のなかから
最良のものを選び出すーのに対して、
われわれが経営人と呼ぶ彼の従弟はあるところで満足する
ー満足できる、あるいは「十分よいと思う」好意を探し求める。
2:経済人は混雑したままの「現実の世界」を扱う。
経営人は、彼の知覚する世界が、現実の世界を構成する、
さわがしいはなやかな混乱を、
思い切って単純化したモデルであることを認める。
彼は、現実の世界が概して意味がないことー現実世界の事実の大部分は、
彼が直面している特定の状況には、たいして関連をもたないこと
ー現実世界の事実の大部分は、彼が直面している特定の状況には、
たいして関連をもたないこと、原因と結果のもっとも重要な連鎖は、
短く単純であることーを信じているので、
このようなあらっぽい単純化で満足する。
それゆえ、彼は与えられた時点において実質的に無関係であるような、
現実の諸側面ーそのことはたいていの側面がそうであることを意味するが
ーを考慮に入れないで満足する。
彼は、もっとも関連があり重要であると考えるごく少数の要因だけを
考慮に入れた状況の簡単な描写によって、選択を行う。
・・・と反論している。

また、社会学において非常によく使われる役割という言葉については・・・
○もし、社会的な影響を、意思決定前提に対する影響としてみる見解を
採用するなれば、役割理論における困難は解消する。
役割とは、個々人の意思決定の根底にある諸前提の、
すべてではないが、そのいくつかを明記したものである。
○かくて、役割理論および行動理論についてわれわれがひき出した結論は、
同じものである。
すなわち、適切な分析単位をもたなければ、
正しい人間行動の理論をうちたてることは不可能であるという結論である。
役割は、単位としては大きすぎ、行為もまた同様である。
意思決定の前提は、このどちらよりも、もっと小さな単位である。
・・・とこの言葉の安易な使用を注意している。

さて、以下はこの本の骨格である第四章「管理行動における合理性」で
チェックした箇所、ちなみに()は節の名称、
☆は特に重要であると思ったり印象に残った点・・・
(手段と目的)
○各階層は、下の階層からみれば目的と考えられ、
上の階層からみれば手段として考えられる。
目的のハイアラーキー的な構成によって、
行動は統合され一致したものとなる。
なぜなら、一連の代替的行動の各々が、価値の包括的尺度
ー「究極の」目的ーによって評価されるからである。

○このように、手段と目的の関係を考察してくると、組織も個人も、
ともにその行動の完全な統合を達成することができないでいることがわかる。
けれども、その行動に合理性がなにか残っているとすれば、
それはまさしく、いま記述してきたこの不完全な、
しばしば相矛盾するハイアラーキーである。

(代替的選択肢と結果)
☆手段と目的の関係様式に対してあげられる難点は、
(a)それが意思決定における比較の要素を、漠然としたものにすること。
(b)意思決定における事実的要素を価値的要素から分離することに、
十分成功していないこと。
(c)合目的の行動における時間という変数に対しての認識が不十分である。
・・代替的行動の可能性とそれらの結果の観点から述べられた
意思決定理論は、これらの難点にすべて答えてくれる。

(代替的行動)
○個人にとって、彼の代替的選択肢のすべてと
その結果のすべてを知ることは明らかに不可能である。
そしてこの不可能であることが、実際の行動と客観的な合理性のモデルとを
異ならしめる非常に重要な分岐点となっている。

(第四章の結論として)
○手段と目的は、事実と価値にそれぞれ完全には対応していないが、
この二組の用語の間にはなんらかの関係があることがわかっている。
手段と目的の連鎖は、諸行動からその結果としてあらわれる諸価値に
いたるまでの因果的に関連した要素の列挙、として定義された。
かかる連鎖における中間的目的は、価値指標として役立っている。
そして、この価値指標を用いることによって
最終目的あるいはその目的に内在している価値を完全に探求することなしに、
われわれは代替的選択肢を評価することができる。

さらにもう一つの骨格である第五章「管理上の決定の心理」
でチェックした箇所・・・
○この章の議論はきわめて簡単に述べることができる。
一人の孤立した個人が、きわめて合理性の程度の高い行動をとることは、
不可能である。
・・個人の選択は、「所与の」環境ー選択の基礎として選択の主体によって
受容された諸前提ーのなかで行われるのであり、
行動は、この「所与のもの」によって定められた限界内においてのみ
適応したものとなる。

(合理性の限界)
☆実際の行動は前章(第四章)で定義したような客観的合理性に、
少なくとも三つの点において、及ばない。
(1)合理性は、各選択につづいて起こる諸結果についての、
完全な知識と予測を必要とする。
実際には、結果の知識はつねに部分的なものにすぎない。
(2)これらの諸結果は将来のことであるゆえ、
それらの諸結果を価値づけるにさいして、
想像によって経験的な感覚の不足を補わなければならない。
しかし、価値は、不完全にしか予測できない。
(3)合理性は、起こりうる代替的行動のすべてのなかで
選択することを要求する。実際の行動では、これら可能な代替的行動のうち
ほんの二、三の行動のみしか思い出さないのである。

(予測の困難性)
○損失の経験があると、損失が起こることが高い確率で生ずると
予測するよりは、むしろそのような結果を避けようとする欲求が強化される。

(行動持続のメカニズム)
○行動持続の一つの重要な理由は、すでに第四章で論じられた。
活動は、同じ方向に活動を持続することを有利とさせるなんらかの
「埋没価値」を生じさせることが非常に多い。
・持続の第二の理由は、活動それ自体が、
注目を活動の持続と完成とに向けさせるような刺激をつくり出すことである。

(要約)
○人間の選択の型は、代替的選択肢のなかからの選択というよりも、
刺激反応の型に近いことが多い。
○人間の合理性は、心理的な環境の範囲内で働くにすぎない。
○しかし、意思決定の刺激それ自体は、より大きな目的に役立つように
統制されうるものであり、個人の一連の意思決定は、
十分に練られた計画へと統合されうるものである。
☆意思決定の環境を注意深く統制することは、
選択の統合を可能にするのみでなく、選択の社会化をも可能にする。
社会的な制度は、個人に社会的に課せられた刺激のパターンに
その個人の行動を従属させることを通して、個人の行動を秩序かするもの、
とみることができよう。
まさにこのような諸パターンにおいてこそ、
組織の意義と昨日を理解することができるのである。

以下はその他の章でチェックした箇所(・・・
第七章「オーソリティーの役割」
(オーソリティー)
○「オーソリティー」とは、他人の行為を左右する
意思決定をする権力として定義されよう。

(オーソリティーと「最後の言葉」)
○部下の服従の度が強くなればなるほど、
オーソリティーが存在する証拠はますますかくれたものとなる傾向がある。
なぜなら、オーソリティーは、間違った意思決定を取り消すときのみにしか、
行使される必要がないからである。

(心理学とオーソリティーの理論)
○心理学は、ちょうど、生理的、物理的、あるいは他の環境的要素が
そうであるように、条件として管理のなかにはいっている。
それは、管理理論それ自体の一部というよりはむしろ、
管理の技術の一部である。

第八章「コミュニケーション」
(マニュアル)
☆マニュアルを作成する人々は、「完全性」および「統一性」を求めて、
ほとんどつねに、以前には個人の決定にゆだねられていた事柄を
マニュアルのなかに含め、かつこれおを組織の方針に具体化する。
これは、決して必ずしもまったく望ましいことではない。
なぜならば、「完全性」および「統一性」は、調整のために
必要でないかぎり、組織にとってはどんな特別の価値もないからである。

第九章 能率の基準・・・
(達成ー程度の問題)
人間の認知、予測には限界があることと人間の欲望には際限が無いことを
理由として達成とは程度の問題としている。それを踏まえて・・・
☆諸目的を定めることで、管理的決定における
価値要素の問題が終わるわけではない。
加えて、目的が達成されるべき程度を決める必要がある。
・・・と展開している。

第十章「忠誠心と組織への一本化」
(一本化と十分性)
○管理的決定の基本的な基準は、十分性の基準ではなく
むしろ能率の基準でなければならない、と結論できよう。管理者の仕事は、
限られた資源と比較して社会の価値を最大化することである。

第十一章「組織の解剖」
(合理性の領域)
○合理性が行動を決定するのではない、合理性の領域のなかでは、
行動は、能力、目標、および知識に対して、
完全に弾力的であり、適応性がある。
その代わりに、行動は、合理性の領域を制限する非合理的
および不合理的な要素によって、決定される。
合理性の領域は、これら不合理な要素に対する適応性の領域である。

また、著者は上記の通りやたらと研究分野が広いが
付録の「管理科学とはなにか」では・・・
(管理科学の諸命題)
☆科学は、われわれが利潤を最大化すべきか否かを語ることはできない。
科学は単に、どのような条件のもとでこの最大化が起こり、
また最大化の結果がどうなるであろうかを語ることができるだけである。
このような分析が正しいとすれば、一つの科学の文章と別の科学の文章を
区別する論理的な差違はないことになる。
どのような差違であろうと、それは、いくつかの科学の内在的性質からよりは
むしろ、それらの主題から生ずるはずである。
・・・としているのは印象深い。
「訳者まえがき」でも訳者が共著や協同研究を得意とする
サイモンの協同研究のコツを・・・
○協同研究成功の秘訣として同教授があげられるのは、
(1)問題意識の明確な共通理解、
(2)(知識レベルではなく)方法レベルでのコミュニケーション
・・・と紹介しているのには注目した。

最後にこの本を読みながら大学一回生の春休みに挑戦した
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(略:ぷろりん)』
マックス・ヴェーバー著、大塚久雄訳(岩波文庫)
・・を読んだ時のことを思い出してしまった。
社会学と経営学という分野の違いはあれ、
その分野では外せない名著であることと
著者が異様に多様な専門領域を持っていることが
共通していた点がこの本のことを思い出させたのだろう。
よく考えたら読む時期としても所属の違いはあれ同じ一回生だ。
振り返れば僕はいままで一回生時に『ぷろりん』を読んだ経験に
ずいぶんと助けられて来たがこの本もそんな風に
僕にとってかけがえの無い本になるのだろうか。
そう思って読書を終えた。

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1999 4/27
組織論、経営学、意思決定論
まろまろヒット率5

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『補給戦―ナポレオンからパットン将軍まで』 M・V・クレヴェルト著、佐藤佐三郎訳 原書房 198012.23.98


らぶナベ@98年ももうすぐ終わりっすね、
たぶんこの本が今年の読み納めの本になるんでしょう。

今年の僕は吉本プロジェクトの運営と自身の就職活動と大学院入試準備など、
間違いなく今までの人生の中で一番忙しい年だったので
(こんなに新幹線、飛行機使ったのも始めて)
なかなか一冊の本をちゃんと読むことができなかったんだけど
この本を読み終えて一年に読んだ本を数えてみると、
1998年は35冊の本を読み終えたことになるっす。
95年(1回生時)に読んだ総数17冊は問題外として
(遊びまくっていたから)
何とか96年(2回生時)の総数31冊を辛うじて越えている程度。
97年(3回生時)の総数68冊には遠く及ばない。
・・・まだ低回生のみんな、いまのうちに少々無理してでも
読めるだけ本は読んでおきなさい。
じゃないと責任を担うポジションについてホントに時間が取れなくなった時に
はまったく本が読めなくなってダメダメ人間になっちゃうよ(;_;)

さて、『補給戦―ナポレオンからパットン将軍まで』マーチン・ヴァン・クレヴェルト(クレフェルト)著、佐藤佐三郎訳(原書房)をば。
戦史において戦略、戦術などの目立つ面ではなく補給という
地味だが結果に対して決定的要因を与えるものに注目した本。
将軍や司令官やひとたび命令を下せば思い通りその軍団が動き、
トップの戦略や決断だけが勝敗を分かつ要因だと思いがちになる
この分野に一石を投じている非常に興味深い一冊。

リデル・ハートによるシュリーフェン計画の考察はドイツ軍の旋回運動にしか
注目せずその補給システムを無視しているという批判に始まり
「ナポレオンを『戦争の神様』と呼び、ナポレオンの制度の本質と
見なしていたものを表現するために、『絶対的戦争』という言葉を
発明したのは、クラウゼヴィッツであった。」と、
クラウゼヴィッツがナポレオンを讃えるあまり
その活動に決定的な影響を与えた補給体制を無視したと論述を展開している。
特にこの本の後半部分、第6章「ロンメルは名将だったか」、
第7章「主計兵による戦争」(第二次大戦中の連合国の補給に注目した章)は
普通、物量と一言で単に言い切ってしまう補給というものが
いかに多様な要素をはらむかということを述べている。
この本の結論的部分と言うべき最終章のタイトルが
「知性だけがすべてではない」という名前なのが
この本を一番言い表しているように思える。

以下はこの本のテーマである「補給」についての著者の結論的見解として
考えられるウエーベルの言葉の抜粋・・・
「諸君が軍隊をどこへ、いつ移動させたいと思っているかを知るには、
熱錬も想像力もほとんど必要としない。
だが、諸君がどこに軍隊を位置させることができるか、
また諸君がそこに軍隊を維持させることができるかどうかを知るには、
たくさんの知識と刻苦勉励がとが必要である。
補給と移動の要素について本当に知ることが、
統率者のすべての計画の根底とならなければならない。
そうなって始めて統率者は、これらの要素について危険を冒す方法と時期とを
知ることができるし、戦闘は危険を冒すことによって
始めて勝利が得られる。」

また、以下の箇所は著者の意見が結論的に述べられていると
思われるところの抜粋・・・・
「歴史上の偉大な軍人は、計画立案の時間的長さには限界があることを
悟っていた。これを悟らなかった軍人は、必ずしも成功を収めなかった。
過去に存在したおびただしい数の司令官たちは、
政治的運命の変遷や戦術的条件の変化によって、
理想的だと考えていた数量と種類に近い資源を使って、
戦争をすることができなかったであろう。
このことは、司令官にはある種の個人的資質が必要だということを意味した。
例えば適応性、機略縦横、即製能力、そしてなかんずく決断力である。
これらの資質を欠いていたら、
いかに分析的頭脳を持ち洞察力に富んだ司令官でも、機械より劣るであろう。
だが司令官がそうした資質を発揮するためには、柔軟性のある幕僚と、
過度の組織化によってこちこちになっていない指揮機構が必要だ。」

以下はそれ以外の興味深かった箇所・・・

「一般的に兵站の歴史とは、軍隊が現地挑発への依存から
しだいに脱却することである。」

「オーバーロード作戦の立案者たちは、ヒンデンブルクの金言、
すなわち戦争で単純さのみが勝つということわざに、
明らかに違反していたのである。」
ナポレオンの言葉として「戦争とは残酷なものだ、
そこでは決定的な場所に最大の兵力を集中することを知っている者がかつ。」

・・・この本は抜群に面白い本だが読んでいて改めて思うのは、
補給というのは難しいなということだ。
それはいわば勝敗を決する必要条件ではあるが絶対条件ではないからだ。
歴史上十分な補給システムを維持していた軍隊が
補給がまったく崩壊していた軍隊に負けてしまった例も多い。
(どちらかというと戦史ではこちらの方が注目される)
決戦兵力よりも補給ばかりに力を入れて負けた国もある。
まさにディレンマの連続、やっぱり戦争なんてするもんじゃないな。

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1998 12/23
戦略論、マネイジメント、歴史
まろまろヒット率4

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『三菱総研戦略革新ノート』 三菱総研経営コンサルティング部著・牧野昇監修 プレジデント社 199209.03.97


9月8日から本格的に始まる吉本興業インターンシップに関しての
何か参考になるかと思って読んだ本。
もともと大学の古本市で300円で買ったものだが、
これほど記述すべき点が少ないビジネス書もめずらしい。
主にCIを中心に政策提言をしているのだが、非常に具体性に欠け
イメージ先行の主張になっている。まるで広告代理店のような本。
この薄さは1992年出版という時期も影響しているのかなあ?

そこそこ面白いと思ったのは「何ができるのか?」という分析先行の
環境・資源適合型アプローチと「何をしたいのか?」という
意思先行のソフト・システム型アプローチの記述だけ。
でもこれも今さらこんな言い方しなくても良いのにと思う。

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1997 9/3
戦略論、経営学
まろまろヒット率1

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